どんな土地活用ができるか迷っている方
初期費用からさまざまな可能性を検討してみましょう。
目次
予算・初期費用から土地活用を考える

一方、賃貸マンションを建てて家賃収入を得る土地活用だと、建てるマンションの規模によっては大きな収益を期待できますが、一方で予算や初期費用は高く、それに応じてリスクも高くなってしまいます。
土地活用を選ぶ際、さまざまな要素を比較検討して決めますが、そのなかでも費用は優先順位の高い要素となるでしょう。なお、広さや坪数からおすすめの土地活用を知りたい方は、以下のリンクを参考にしてみてください。
初期費用ゼロからできる土地活用

事業用定期借地権
また、定期借地権には事業用定期借地権のほか、一般定期借地権もありますが、一般定期借地権は50年以上の期間を定めるのに対し、事業用定期借地権では10年以上50年未満の期間を定めることとしており、定期借地権の期間終了後は、次の土地活用を検討しやすいなど利用しやすくなっています。
費用については、土地を貸すだけなので基本的に費用はかかりません。たとえば、利用にあたり借主が整地する必要があるケースも、その整地費用は借主が持つのが一般的です。
事業用に使う土地なので、大きな工事現場の駐車場としてや、幹線道路沿いの商業施設などとして利用されることが多く、前者の場合は小さな土地から利用できますが、後者の場合は少なくとも100坪程度以上は必要になるでしょう。
なお、リスクがかなり抑えられる分、収益性は低くなりがちで、「固定資産税の2~3倍程度」を目安に定められることが多いです。つまり、得られる実質的な収益は地代から固定資産税分を差し引いた「固定資産税の1~2倍程度」になると考えるとよいでしょう。
等価交換
等価交換では建築主がビルやマンションを建て、投資した額を回収できなければならないため、人気のある駅周辺や商業施設やオフィスビルの需要があるエリアにある土地である必要があるでしょう。
等価交換では提供する土地の価値に応じて、完成後の建物の持分を持つことができますが、自分で建物を建てるより収益は少なくなるのが一般的です。また、業者主導で進められるため、自分の持分が不当に少なく計算されることのないよう、しっかり持分の根拠を確認し、必要に応じて交渉することが大切です。
土地信託
土地の所有権は信託会社に移ることになりますが、元の所有者は信託受益権(配当金を受け取る権利)を持つことになり、実質的な所有権は土地所有者にあります。また、当初の契約期間終了後は、登記簿上の所有権も戻ってきます(双方の合意により更新も可能)。土地信託では土地の所有者の負担はありません。
運用方法にはさまざまなものがありますが、前提として「運用して収益を上げる」ということがあるので、基本的にはアパートやマンションを建てて収益を得られるなど立地のよい土地である必要があるでしょう。
土地信託では、自分でローンを組む必要がなくリスクを抑えられますが、信託報酬として信託会社に5~20%程度支払う必要があるため、自身で運用するケースと比べるとその分だけ収益が低くなってしまいます。
また、毎月必ず信託報酬を得られるわけではなく、収益が少なかったり、経費が多かったりする月は収益を得られないこともあるため注意が必要です。
駐車場経営・バイク駐車場経営
なお、道路を舗装せずに駐車場やバイク駐車場にすることも可能で、この場合ほぼ初期費用ゼロで土地活用を始めることができます。
月極駐車場として経営する場合には、住宅街やオフィス街に、コインパーキング駐車場として利用する場合には商業地に設置するなど、所有している土地がどのような駐車場として需要があるかどうかを見極める必要があるでしょう。土地の広さは1台15m2程度あれば十分で、狭小地から始めることもできます。
初期費用を比較的安く抑えられる分、大きな収益を上げるのは難しいですが、転用性が高く、簡単にほかの土地活用に転換することができます。また、賃貸アパートやマンションのように建物を建てるのと比べると、固定資産税を最大6分の1にできる住宅用地の特例適用を受けられず、税負担が大きくなってしまう点に注意が必要です。
経営方式によって初期費用は抑えられる
これらの内、土地を業者に貸す方法であれば、初期費用をゼロにすることができます。リスクを抑えた投資をしたいのであれば、こうした経営方式を選ぶのもよいでしょう。ただし、収益性は自分で経営する方法や機器をレンタルする方法と比べると安くなる点に注意が必要です。
初期費用がかからない方法も!
土地活用の悩みは専門家に相談してみましょう。
初期費用がかかる土地活用

アパート・マンション経営
もっとも一般的な土地活用ともいえる方法であるため競合も多く、駅からの距離や買い物施設、学校までの距離など利便性のある土地でないと、十分な収益を確保できない可能性が高くなってしまいます。
土地の広さは建物の大きさに応じて小さなものから大きなものまで可能ですが、とくに郊外の土地だと駐車場(1部屋2台以上)を確保できるかどうかが重要なポイントとなります。
戸建賃貸経営
また、土地の広さは30~50坪程度あればよく、広い土地であれば複数戸建てて運用してもよいでしょう。建物が建てづらくなりますが、20坪程度の狭小地や変形地であっても検討できる場合があります。
賃貸併用住宅経営
一般的に、賃貸住宅は投資対効果を重視するため、自己居住用の建物と比べると性能面で劣りますが、自分で住むことを前提に、性能面と費用面のどちらを重視するのか検討する必要があります。
なお、賃貸併用住宅は不動産投資ローンより条件のよい住宅ローンを利用できることもあり、金利を含めたトータルの負担を安く抑えられる点もポイントです。
ガレージハウス経営
また、車やバイクを楽しむことが前提となるため、駅からの距離といった点を気にしなくてもよい点もポイントで、駅から遠い土地でも活用しやすくなっています。必要な予算や初期費用は建物の大きさにより変わりますが、2,000~3,000万円程度から考えることができるでしょう。
トレーラーハウス経営
トレーラーハウスを経営するメリットの1つとして、転用性の高さが挙げられるでしょう。仮に、最初の土地でトレーラーハウスの運用がうまくいかなかった場合、気軽に撤去・売却して別の土地で運用を検討できます。初期費用・予算の低さや転用性の高さから、リスクを抑えた土地活用ができると言えるでしょう。
コインランドリー経営
トランクルーム経営
工場・倉庫経営
賃料や初期費用自体は、建設する建物の大きさにより変わりますが、居住用の建物と比べて1回の契約期間が数年~数十年と長期間に及びやすい点もメリットだと言えます。なお、2020年度建築物着工統計調査によれば、工場・倉庫のそれぞれにおいて1m2あたりの工事費予定額は以下のようになっています。
木造 | 鉄骨造 | RC造 | |
---|---|---|---|
工場および作業場 | 約12.7万 | 約21.7万 | 約33.9万 |
倉庫 | 約10.9万 | 約13.3万 | 約14.2万 |
医療施設経営
ただし、仮に廃業したり移転したりしてしまった場合、次の借り手を見つけるのに苦労する可能性がある点には注意が必要です。なお、独立行政法人福祉医療機構によれば、2020年度の医療施設の建設費は1m2あたり約37万円となっています。
ロードサイド店舗経営
賃貸アパートやマンションより高い収益性を期待できますが、商業施設が撤退したときに次の借り手を見つけづらい点や、固定資産税の優遇制度の適用を受けられない点など注意する必要があります。
コンビニ経営
土地の所有者が建物を建てて貸し出す方法と、土地を貸して業者が建物を建てる方法があり、後者の場合であれば初期費用ゼロで始めることもできます。
ビジネスホテル経営
保育園経営
また、必要な予算は数千万円程度からで、国から支給される補助金のほか、自治体ごとに設けられた助成金を受けて建築することが可能です。
施設基準 | |
---|---|
乳児室(0,1歳児) | 1.65m2/1人 |
ほふく室(0,1歳児) | 3.3m2/1人 |
保育室・遊戯室(2歳以上児) | 1.98m2/1人 |
屋外遊戯室(2歳以上児) | 3.3m2/1人 |
サ高住経営
なお、建設費の10分の1について補助金(100万円/戸が上限)を受けられる他、所得税や法人税、固定資産税、不動産取得税など各種税金の優遇を受けることが期待できます。
グループホーム経営
また、食堂や台所、浴室などの共用施設を設置する必要があるほか、入居者については5~9人以下のユニットを1つの単位として1事業所に2ユニットを限度とする必要があります。
土地の広さは300m2以上程度から検討可能で、1から建物を建てる場合には建設費用として1億円程度以上は見込んでおく必要があるでしょう。なお、すでに建物がある場合、グループホームの設置基準に沿うよう改築して運用を開始することも可能で、この場合、300~400万円程度から始めることもできます。
老人ホーム経営
太陽光発電
太陽光発電の大きなポイントは、ほかの土地活用と異なり、集客を気にしないでよいことです。つまり、場所を選ばず土地活用可能なので、基本的には地価の安い郊外や市街化調整区域での活用を検討するとよいでしょう。
どの土地活用法が適しているか悩む場合は、
専門家に相談してみませんか?
よくある質問

- 土地活用で費用以外に注意することは?
- 土地活用を始める前に用途地域を確認が必要です。用途地域とは、エリアごとに建築できる建物の種類や用途の制限を定めたルールのことで、全部で13種類あります。対象の土地がどの用途地域に位置しているか、インターネットなどで確認するようにしましょう。詳しくは用途地域の記事を参照ください。
- 田舎の土地でおすすめの活用方法は?
- 田舎の土地でおすすめの活用方法の1つに太陽光発電があります。太陽光発電はアパート経営のように集客リスクがなく、都会と比べて人口の少ない田舎でも安定して収益を確保することが可能です。ただし、アパート経営のように節税効果を得ることはできません。詳しくは太陽光発電の記事を参照ください。
- 相続した空き家の活用方法は?
- たとえば、郊外にある空き家の場合、田舎を体験したいといった旅行者をターゲットに民泊施設として提供することも一案です。また、築年数の古い家の場合は、「DIY可賃貸」などコンセプト型賃貸として貸し出す方法もあります。詳しくは空き家活用の記事を参照ください。
まとめ

どんな土地活用ができるか迷っている方
初期費用からさまざまな可能性を検討してみましょう。

監修逆瀬川 勇造
【資格】AFP(2級FP技能士)/宅地建物取引士/相続管理士
明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。
大学在学中に2級FP技能士資格を取得。
大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。