- 老人ホームは一般の賃貸住宅よりも比較的高い収益性や利回りを期待できますが、投資額が大きい点には要注意!
- 人材不足により運営状態が悪化することも…。どのようなリスクが潜んでいるか?土地活用の専門家に相談することをおすすめします。
- 安易な気持ちで参入することはご法度。長期スパンの経営計画をしっかり立てることが重要です。
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目次
老人ホーム経営で土地活用すると儲かる?
土地を事業者に貸す | ・介護事業者や社会福祉法人に土地を貸す方法 ・初期費用が不要 |
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土地と建物を事業者に貸す | ・高齢者向け施設を建設し、事業者に貸す方法 ・建設協力金をもらって建設し、初期費用の負担を抑えるリースバック方式が利用できる事業者もある |
自ら運営する | ・高齢者向け施設経営も自ら行う方法 ・収入は最も大きいが、初期費用やランニングコスト(人件費や設備費用など)の負担もあり、また食事や介護、医療などのさまざまな知識や委託先を知らなければ経営そのものができないため、未経験で安易にできるものではない経営の難易度は相当高い |
また、マンションやアパートのような賃貸住宅とは異なり、利用者からの一時入居金や利用料、自治体からの介護報酬など多くの収入を得られると考えがちですが、実際はその報酬を得るための条件が厳しいうえ、その手続きの煩雑さも想像以上です。
加えて、介護士やヘルパーなどの人手不足、運営経費の高騰もあって、収入は多いものの支出も多く、経営自体はかなり大変です。従って、土地活用として、老人ホームなどの高齢者向け施設を考えるなら、自分で経営するのではなく、土地や建物を貸すことが主流となります。
今後の老人ホームの需要
内閣府の2023年版高齢社会白書によると、2022年時点の日本の総人口は1億2,495万人で、そのうち65歳以上人口は3,621万人、総人口に占める65歳以上の人口の割合は29.0%となっています。
将来推計を見てみると総人口が減少していく中で高齢化率は上昇していくことが想定されており、2040年の高齢化率は35.3%、2070年には38.7%で国民約2.6人に1人が65歳以上になると予想されています。

高齢化の推移と将来推計
老人ホーム経営の現状とリスク
今から土地活用として老人ホーム経営を検討するなら、運営する事業者の選定のリサーチが最重要の課題であると意識しておきましょう。

有料老人ホーム数の推移
老人ホームの種類と違い
設置にあたっては都道府県知事などへの届出を必要とし、設置主体は問われません。
また、老人ホームの中には総量規制といって、都道府県ごとに設置数に上限が設けられているものがあります。総量規制とは自治体がその数を管理する制度のことで、老人ホームが増えすぎて入居者が集まらず、経営が悪化し、倒産してしまうことを避ける目的があります。
老人ホームの種類や総量規制についてまとめたものが以下の表です。
公的施設 | 介護保険3施設 | 養護老人ホーム | ケアハウス | ||
---|---|---|---|---|---|
特別養護老人ホーム | 介護老人保険施設 | 介護療養医療施設 | |||
総量規制 | 有 | 有 | 有 | 有 | 有 |
民間施設 | 有料老人ホーム | サ高住 | グループホーム | デイサービス | ショートステイ | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
介護付き | 住宅型 | 健康型 | |||||
総量規制 | 有 | 無 | 無 | 無 | 有 | 有 | 無 |
有料老人ホーム
介護付き有料老人ホーム
具体的には、24時間介護スタッフが常駐し、掃除や洗濯など身の回りの世話や、食事、入浴、排せつなどの介助サービスが受けられる介護施設で、人員や設備に関する運営基準をクリアして自治体から指定(認可)を受けて運営しています。入居条件は施設によって異なり、総量規制の対象となります。
住宅型有料老人ホーム
入居者の介護が必要な状態になった時は、訪問介護などの会社と個別に契約する必要があります。なお、訪問介護やデイサービスなどの事業所が併設されていることが多く、入居者が在宅サービスを受けやすく配慮されています。
健康型有料老人ホーム
要介護となった場合は退去する必要があります。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
入居条件は60歳以上の高齢者、または要介護認定を受けた60歳未満の方で、「介護認定なし」から「軽度の要介護者」を受け入れています。
有料老人ホームとサ高住との違い
また、サ高住は、新築にあたり、所定の要件を満たした場合、工事費の1/10以内(最大で居室1戸あたり135万円)の補助金を受けられるほか、税制優遇や住宅金融支援機構による融資など手厚い制度が用意されているという特徴もあります。
グループホーム
その他公的な高齢者向け施設
特別養護老人ホームは、原則、要介護3以上が入居条件となり、身体介護、生活支援、リハビリ、レクリエーションなどの介護サービスを受けることができ、重度の認知症の方の受け入れも行っています。入居は、緊急度の高い方が優先され、入居時費用はかかりません。
介護老人保健施設は、身体介護、医師・看護師による医療的管理、理学療法士などによるリハビリテーションなどが提供されます。在宅復帰を前提としているので、入居期間は原則3~6ヶ月です。
ケアハウス(軽費老人ホームC型)は、主に自立の方を受け入れる一般型ケアハウスと、介護度が重くなっても住み続けられる介護型ケアハウスがあり、一般型ケアハウスの場合は、認知症や看取りへの対応は行っていないことがほとんどです。介護型の場合は認知症の方も入居が可能で、看取りも行っている場合があります。
老人ホーム経営の初期費用と収益の目安
以下運営方法ごとに簡単な例を挙げて、初期費用と得られる収益についてみておきましょう。
土地を事業者に貸す方法の場合
仮に借地料が坪5,000円であれば、毎月100万円の収入が得られることになり、土地がもともと更地ならば、とくに初期費用はかかりません。
土地所有者が建物を建てて事業者に貸す方法の場合
たとえば、200坪の土地にサ高住を前提とした概算の目安の例としては以下のようなイメージになります。
土地費 | 自己所有 |
---|---|
建物の規模 | 300坪 |
建築費の目安 | 300坪×建築単価100万円/坪=3億円 |
設備費の目安 | 1,000~2,000万円 |
なお、サ高住の場合、建築にあたって要件を満たすことができれば、最大工事費の10%の補助金を受け取ることができますが、大きな金額の初期費用が必要なことは変わりません。
一方、リースバック方式を活用することで建物の建築費を不要とすることが可能になります。リースバック方式とは、契約予定の事業者から「建築協力金」を提供してもらい、施設完成後に、賃料から建設協力金の返済分を差し引き、最終的に建物が土地所有者のものとなる契約方式です。ただし、リースバック方式は経費がかかることもあり、事業者が見つかりにくいという面もあります。
また、この土地所有者が建物を建てて事業者に貸す方法のデメリットとしては、介護事業者が見つからなければ、収入が得られないリスクがあり、見つかっても撤退してしまうと次の事業者を見つけるのが難しい点や、介護施設という建物の特性上、転用が難しい点が挙げられます。そのため、こうしたデメリットとなるリスクを最小限にするために土地活用の専門業者などに相談するといいでしょう。
土地所有者が老人ホームなどの経営も行う方法の場合
老人ホーム経営のメリット
【メリット1】賃貸経営に不向きな土地でも可能性がある
また、老人ホームは認可の要件として、一定の居室面積や施設、設備の設置が必要であるため、広い敷地がないと建設できません。そのため、近郊の住宅地などにまとまった広さの土地を持っている方は、活用を検討してみてもよいでしょう。
【メリット2】高齢者向け住宅の需要がますます高まる
【メリット3】長期的に安定した収益が得られる
【メリット4】補助金を使うことができれば 初期費用をおさえられる
その他、自治体が用意する補助や助成もありますが、補助金の有無や対象となる条件、補助率や金額などは自治体によって大きく異なります。事前に、自治体の窓口やホームページで補助金について確認するようにしましょう。
【メリット5】税制のメリットがある
【固定資産税】
一戸当たり120m2相当部分につき、5年間税額について2/3を参酌して1/2以上5/6以下の範囲内において市町村が条例で定める割合を軽減。
【不動産取得税】
家屋:課税標準から1200万円控除/戸(一般新築特例と同じ)
土地:次のいずれか大きい方の金額を税額から控除(一般新築特例と同じ)
ア:4万5,000円(150万円×3%)
イ:土地の評価額/m2×1/2(特例負担調整措置)×家屋の床面積の2倍(200m2を限度)×3%
老人ホーム経営のデメリット
【デメリット1】建物の制約が多く、初期費用も高い
投資額を回収するには長期に亘って運営を続ける必要があるため、自ら経営する場合はもちろん、専門の事業者に運営を託す場合でも安定した運営が求められます。
【デメリット2】参入障壁が高い
一般の土地オーナーが老人ホームへの投資を行う場合は、土地や建物を専門事業者へ貸す、あるいは運営を委託する形式での参加が現実的です。
【デメリット3】土地建物の転用性が低い
また、特殊な施設であるため、事業がうまくいかずに途中解約されたような場合でも、残された建物や土地をほかの用途に転用することは難しいです。次の事業者が見つかればよいですが、見つからない場合は初期費用が回収できないだけでなく、ローンを借りている場合は返済に窮することになりかねません。
高齢者施設の事業者が土地や建物を借りる場合、20年の普通賃貸借契約を希望するところが多いようです。普通賃貸借契約は、原則更新可能で、一般的には貸主の都合で中途解約ができないため、一度貸すと土地オーナーの希望で転用することは難しくなります。

【デメリット4】優良な事業者を見つけるのが難しい
過去の運営実績や周辺の評判などを念入りに調べ、納得のいく契約内容にするなど慎重に進めていくのがよいでしょう。
土地活用で老人ホームを誘致するコツ
土地の条件や施設の希望などを整理しておく
従って、基本的な土地に関する資料を整理した上で、自分の希望する施設はどういった施設かも考えておきましょう。
不動産会社やハウスメーカーに相談する
従って、土地のある地元の不動産会社や土地活用に積極的なハウスメーカーに土地のオーナーが相談することで、マッチングしてもらうことができます。その際、マッチングが成立する可能性が高くなるので、複数の不動産会社やハウスメーカーに一括でプラン請求が可能な「土地活用プラン一括請求」が便利です。
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マッチング候補の条件を比較する
とくに、賃料や賃貸借契約の種類と期間、途中解約の条件は、将来に大きく影響するので、納得のいく条件のものを選ぶべきです。なお、マッチングの際、同時に複数の事業者が候補に挙がらず、1社しかなかった場合、条件が意に沿わないときは断ることも大切になります。
土地オーナーとしてできる範囲で積極的に関わる
まとめ
ますます需要が高まる老人ホーム。
まずは、メリット・デメリットの把握を!
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安心の提携企業がさまざまな土地活用プランをご提案致します

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この記事の監修者

公認不動産コンサルティングマスター/宅地建物取引士/AFP/2級FP技能士
不動産サポートオフィス 代表コンサルタント。横浜国立大学卒業。
神奈川県住宅供給公社を経て、不動産仲介業者に従事した後、2011年に個人事務所として不動産サポートオフィスを開設。自宅購入、不動産投資、賃貸住宅など個人が関わる不動産全般に関する相談・コンサルティングを行う他、不動産業者向けの企業研修や各種不動産セミナー講師、書籍、コラム、記事等の執筆・監修にも取り組んでいる。
主な著書に「貯蓄のチカラ~30歳からのおカネの教科書」(朝日新聞出版)などがある。
昨今、老人ホームの種類、介護の有無を問わず、利便性のよい立地が求められています。入居者本人や家族だけでなく、そこで働く人が通い易いことが重要なためです。通いにくいことが人員不足の一因になるため、利便性が以前よりも求められるのです。
秋津 智幸