立地が良く広大な土地を所有しているなら、
土地信託も検討候補に入れてみては?
目次
土地信託とは
一方で、投資信託は上場されていれば誰でも購入することができますが、土地信託は信託会社との信託契約が必要です。信託契約を締結してもらうには、それなりに価値のある土地でなければならず、そう簡単ではありません。また、地主が土地を信託するには、一定の信用が求められます。信託期間中、その土地を運用できないというリスクが伴うからです。その信用を表すものが信託業の免許になります。
信託業の免許は信託会社と信託銀行が持っており、信託銀行では土地以外にもさまざまな財産の信託を受けるほか、通常の金融機関が行う預金業務や貸出業務も行っています。なお、信託会社は、広義には信託銀行も含まれますが、一般的には預金業務や貸出業務など金融機関の行う業務を行っていない会社のことを指します。
土地信託の方式|賃貸型と処分型
一方、処分型の土地信託は最終的に土地を手放す必要があります。信託会社の計画した通りに開発を進め、その危険負担を地主が負担する必要があるものの、開発による付加価値を乗せて売却することで、単純に売却するより高い価格で売却できるというものです。本記事では、主に賃貸型の土地信託について解説していきます。
土地信託の仕組み
権利の移動で考えると、信託契約の締結により、所有権は地主から信託会社に移る代わりに、地主は信託受益権を得ると考えるとよいでしょう。信託受益権があることから、地主から信託会社への所有権の移転は名目上にものに過ぎず、実質的な所有者は地主に残ったまま扱われます。
信託契約の期間は10~30年程度
所有地で土地信託も含めた土地活用が可能か、
プラン請求を試してみてもよいでしょう
土地信託の流れー契約締結から終了までー
ひとつひとつの行程について見ていきましょう。
1. 信託会社を選んで契約する
一方で、信託銀行はさまざまな分野の信託を請け負っていることから、土地信託に関するノウハウが特段優れているとは言えないケースもあります。
逆に、信託会社は信用性には劣るかもしれませんが、信託を専門に行っているため土地信託に関して十分なノウハウが蓄積されている可能性があります。このように、信用性や土地信託に関わるノウハウなどを比較検討しながら信託先を選ぶとよいでしょう。信託したい会社が決まったら、地主と信託会社とで信託契約を締結します。
2. 信託受益権を取得する
信託受益権って?
実物の不動産売買においては宅地建物取引業法の規制を受けますが、信託受益権の売買においては金融商品取引法や金融商品の販売等に関する法律などの規制を受けます。また、販売時には買主の理解度や財産状況に応じて適切な取引を行う義務が課されます。
3. 信託会社が運用
4. 経費などが差し引かれた分が配当される
5. 契約が終了すると土地や建物などが戻ってくる
立地に優れた土地をお持ちなら
土地信託は手間なく可能な土地活用法です!
土地信託のメリット
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 経営などの専門知識は不要
2. 土地が建物付きで戻ってくる
とはいえ、ローンが残っているとそのローンも引き継ぐことになるため、理想は全てのローンを返済し終えた後に信託期間が終了し、建物とともに土地を受け取ることです。
3. 初期投資などの資金が不要
4. 節税効果がある
信託受益権の相続は土地の相続に比べて簡単に手続きを進められるのに加え、状況によっては土地を所有しているのと比べて相続税を節税できるケースもあります。
土地信託のデメリット
1. 必ず収益が得られるわけではない
基本的に、ローンの返済のある期間は収益が上がりづらいですが、ローンの返済が終わってしまえば、毎月の配当金の額も大きくなりやすいです。最初の数年間は配当金の額が少なくても我慢するつもりでいるとよいでしょう。
2. 仲介手数料(信託報酬)がかかる
ほかのローン返済額や経費、税金は自分で運用しても支払う必要がありますが、信託報酬は自分が運用する場合には一切かからない費用です。この費用を負担してでも土地信託したいかどうかで判断するとよいでしょう。
3. 土地信託できる土地とできない土地がある
土地信託で注意・チェックすべき点
信託業者選びがすべて
とはいえ、信託会社も土地運用のプロですし、信用で成り立っているものなのでそう簡単に失敗はできません。プロが本気で土地を運用するのですから、素人が土地活用するのと比べて成功の確率は大きく高まると考えてよいでしょう。地主としては、複数の信託会社を見て回り、どの信託会社がベストな運用を行ってくれるか判断するとよいでしょう。
土地信託がベストな活用方法なのかどうか
とはいえ、土地信託でも信託会社が駐車場経営やトランクルーム経営を提案してくることもあります。これらの土地活用と土地信託との大きな違いは、地主側の手間やリスクが少ないことと、5~20%の信託報酬を支払う必要があることです。
その土地で自分が土地活用しても成功する確率が高いのであれば、わざわざ5~20%の信託報酬を支払って土地信託する必要はないでしょう。他の土地活用と比較検討した上で、土地信託がベストかどうかを判断する必要があります。
よくある質問
- 土地信託が向いている人は?
- 相続対策を行いたい人は土地信託が向いていると言えます。「土地信託のメリット」でもご説明した通り、信託受益権の相続手続きは土地の相続に比べて簡単で、また、相続税を節税できる場合もあります。そのほか、土地活用はしたいけど労力はかけたくないといった人にも向いていると言えるでしょう。
- 土地信託でよくある失敗事例は?
- 土地信託は、信託会社に信託報酬を支払わなければなりません。しかし、信託報酬は仮に収益が出ていない場合でも支払い続けなければならないものであるため、赤字になる可能性があります。このような失敗を避けるためにも、どの信託会社に依頼するかじっくり検討することが必要です。
- そのほか手間のかからない土地活用法はある?
- 手間のかからない土地活用法として、駐車場経営があります。月極駐車場とコインパーキングがあり、コインパーキングの場合は設備導入のための費用が必要になりますが、いずれも比較的安価な費用で始めることが可能です。そのほかの土地活用法については土地活用の種類の記事を参照ください。
まとめ
一方で、5~20%の信託報酬を支払ってでも土地信託するメリットがあるかどうかは慎重に判断する必要があります。メリットやデメリット、注意点について本記事を参考に土地信託の可否を判断した上で、土地信託に興味があるのであれば、まずは信託会社に問い合わせしてみるとよいでしょう。
立地が良く広大な土地を所有しているなら、
土地信託も検討候補に入れてみては?
この記事の監修者

逆瀬川 勇造
【資格】AFP/2級FP技能士/宅地建物取引士/相続管理士
明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。大学在学中に2級FP技能士資格を取得。大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。