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代表的な土地活用である「マンション経営」

マンション経営は家賃収入を主な収益源としますが、室数が多いため、リスク分散しやすいのが特徴です。ただ、マンションの建設費用として多額の初期費用がかかってしまうため、特に立地やターゲット設定、家賃設定など慎重に計画を進める必要があります。
また、RC造(鉄筋コンクリート)やSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート)で建てることが多く、建設費用は高くなりがちなものの、ローンの返済期間を長く取れ、最終的に売却するという戦略も取りやすいです。一般的に、他の土地活用と比べて事業オーナーとしての色がより濃いものだと言えます。
アパート経営?それともマンション経営?

建物の構造上の違い
ローンの返済期間
このことから、木造より鉄骨造、鉄骨造よりRC造・SRC造の方が長く返済期間を取ることができます。返済期間を長く取ることができれば、それだけ毎月の返済額を小さくすることができるため、キャッシュフローを改善しやすくなります。
売却
建物の耐用年数
つまり、仮に同じ価格で建てた建物であれば、マンションよりアパートの方が毎年の節税効果は高くなりますが、一方でマンションはアパートより長い期間、減価償却できます。ただ、減価償却は毎年の納税額を抑えることができる経費ですが、売却時に経費として計上できる額が小さくなり、売却時の納税額が高くなります。
この辺りは、税理士など専門家と相談しながら進めた方が良いでしょう。
室数の違い
アパート経営やマンション経営で一番大きなリスクは空室リスクですが、室数が多いことで空室リスクを分散することができます。例えば、6室あるアパートで2室空きが出ると全家賃収入のうち3分の1が失われてしまいますが、20室あるアパートで2室空きが出てもその割合は10分の1に留まります。
空室は、どれだけ良好な経営をしていても、引越しシーズンを中心に出てしまうものです。マンションは、室数が多いことからこうした空室リスクを緩和しやすくなっていると言えます。
"ワンルームマンション経営"との違い
ワンルームマンション経営は立地の良いマンションでも1室だけなので、比較的安価に購入できるなどのメリットがあります。マンション経営において、立地は非常に重要な要素です。マンションを丸ごと所有する1棟マンションだと、立地の良いものを所有しようとすると莫大な資金が必要になるため、サラリーマンを中心に比較的安価に購入できるワンルームマンション経営は人気があります。
なお、今回はこの土地活用のひとつとしてマンション経営についてご紹介しているため、土地の上にマンションを建てて経営する際のノウハウについて紹介していきます。
マンション経営の始め方

まずは建設会社や設計会社に相談することから始まりますが、自分の土地の大きさや立地により、どのくらいの規模のマンションで、1室1室の広さや間取りを決めていきます。できれば、ある程度要望を固めてから行った方がスムーズでしょう。
マンション経営の収益モデル

ここでは、以下を例にシミュレーションしてみたいと思います。
■モデルケース
・RC造3階建てマンション(総戸数20戸)
・ローン借入額:1億円(金利3%/借入期間30年 ※元利均等方式として計算)
・家賃収入見込:各戸6万円(120万円/月、1,440万円/年)
マンション経営の収入
先ほど挙げた例で考えてみると、家賃収入は満室時で6万円×20室で120万円/月です。仮に、2室が空室になれば6万円×18室で108万円/月となります。自動販売機や太陽光発電システムを設置するのであれば月に数万円〜十数万円、月極駐車場を契約するのであれば、立地にもよりますが1台5千円〜1万円程の収入とすることができるでしょう。
マンション経営の費用
例として挙げた内容であれば、金利3%、借入期間30年のローンで1億円借りると毎月の返済額は42万円。固定資産税や修繕費用は家賃収入の5〜10%、管理費は5%程が目安となります。
収支シミュレーションイメージ
満室時想定/月 | 2戸空室時想定/月 | ||
---|---|---|---|
収入 | 家賃収入 | 120.0万円 | 108.0万円 |
支出 | ローン返済額 | 42.0万円 | |
管理費など | 6.0万円 | ||
固定資産税 | 12.0万円 | ||
合計 | 60.0万円 | ||
利益 | 60.0万円 | 48.0万円 |
毎月の家賃収入が120万円あれば、ローン返済をして各種経費を支払っても60万円の手残りがあると考えると、比較的余裕のある資金計画を立てられていると言えるでしょう。
なお、1年間で得られた利益は不動産所得として税金を納めなければならず、新築した年は不動産取得税を納める必要があります。
マンション経営のメリット・デメリット

マンション経営のメリット
安定収入が期待できる
特にマンションの場合は、室数を多くしやすく、引越しシーズンなどによる一時的な空室を他の部屋の家賃収入でカバーしやすく、慢性的な入居者不足でなければ、より安定しやすいです。
また、ローンを返済し終わってしまえば手残りの金額も大きくなり、老後の年金代わりとしても使えます。
資産が残る
アパート経営と比べても、さらに資産を残せる土地活用だと言えます。
節税効果が期待できる
例えば、不動産所得でマイナスとなった年があれば、給与所得など他の所得のプラスと相殺することが可能で、それにより税金を抑えることができます。
また、不動産の相続時にその価値を算定するものとして相続税路線価が使われますが、相続税路線価は実勢価格の8割程度となるよう定められます。
つまり、1億円での売買が相場のものを、相続時には8,000万円程度の価値があると評価されるため、相続税財産の中に相続財産が含まれていると実際より低く評価され、納税額を安く抑えることが可能となります。
マンション経営のデメリット
初期費用がかかる
もちろん、その分だけ多くの収益が得られる可能性がありますが、一歩間違えると多額の借金だけが残ってしまうような事態にもなりかねません。
空室リスク
ただし、マンション経営はアパート経営と比べて室数が多いため、空室リスクを分散することができます。
災害リスク
また、災害リスクより恐いのが自殺や事件などが起こることです。自分の保有物件で自殺や事件が起こると、その部屋の入居者の募集が難しくなるだけでなく、場合によっては建物全体に影響を及ぼすこともあります。
こうなると、入居者を集められないのはもちろん、売却しようにも二束三文でしか売却できない可能性が高いです。こうした、災害や事故が起こる可能性は決して高くはありませんが、どんな物件でもゼロにすることはできません。
可能であれば、複数棟のマンションを所有するなどして、災害や事故のリスクを分散することが望ましいです。
まとめ

マンション経営は、アパート経営と比べて規模が大きく、また耐用年数が長くなることからいろいろな展開を考えられます。一方で、建設費用も高くなることから、リスクもより大きくなることに注意が必要です。マンション経営は入居者を集められるかどうかが一番大切で、そのためには立地が重要です。
相続した土地など、未活用の土地活用としてマンション経営を考えている場合、まずは立地がマンション経営に適しているかどうかを見極めることが大切です。土地活用法の選定にはプロの意見も取り入れることをオススメします。
その際、一括プラン請求を活用すると、土地の情報を入力するだけで1度に複数の会社に相談できるため便利です。まずは、自分の土地にどの土地活用法が合っているのか、一括プラン請求を活用してプロの意見を聞いてみましょう。

監修逆瀬川 勇造
【資格】AFP(2級FP技能士)/宅地建物取引士/相続管理士
明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。
大学在学中に2級FP技能士資格を取得。
大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。