- 手間のかからない土地活用として人気があった太陽光発電ですが、FIT制度の改正で新規設置が難しくなっています。
- 発電装置の初期費用は年々安くなっていますが、売電価格も下がっているため利回りも大きくは望めないでしょう。
- 自家用や環境対策、災害対策としては有効です。マンション経営などと同時に検討するならアリでしょう。
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目次
太陽光発電の仕組み
太陽光という自然エネルギーを使うことから、電力会社による主な発電方法である火力発電や原子力発電とは違って、自然にやさしいという特徴があります。
太陽光発電の2つの経営方式
自営方式
ただし、以前はFIT(固定買取制度)の発電量の小さいものでも発電した電気をすべて固定金額で買い取ってもらえる(全量買取)がありましたが、現在は個人が現実的に参入できるものとしては、発電した電気は原則自用として使用した残りの部分のみ買い取ってもらえるもの(余剰買取)へ制度が変更になってしまっています。
従って、未利用の土地で太陽光発電の経営を行うことは難しくなりましたが、現在のFIT制度でも発電した電気を自用で使用し、残った電力を買い取ってもらうことは可能です。
土地を貸す方式
太陽光発電の初期費用・予算について
イニシャルコスト
例えば、以前は10kwの発電量を持つシステムを導入するのに400万円かかっていましたが、今では安ければ200万円程度で導入可能です。
なお、基本的には発電量=パネルの枚数によって設備の費用が変わり、またパネルの他、パワーコンディショナーをどのメーカーの、どの商品を選ぶか、蓄電池を設置するかによっても変わります。
あまりに安いシステムだと、設置してから5年くらいで発電量が下がったり、故障したりするケースも珍しくありません。15年間の発電保証や機器保証が付いているなど、保証の期間や内容もよく吟味した上で利用するメーカーを決めるようにしましょう。
ランニングコスト
そのほか、故障や修理した場合には別途費用がかかります。
太陽光発電はやめとけ!と言われる6つのデメリット
ここでは太陽光発電のデメリットを解説していきます。
【デメリット①】FIT制度の改正で余剰買取になった
つまり、発電量を増やせば、それだけ自家消費しなければならない電力も増え、30%以上消費できなければ電力を買い取ってもらえません。一般家庭やアパートなどで消費される電力には限界があり、その消費電力が30%以上となる程度の発電量では余剰電力を売ってもそれほど大きな売電収入にはならないため、投資としてはそれほど魅力がなくなってしまいました。
FIT(固定価格買い取り)制度とは
大きくは10kw未満(住宅用)と10kw以上(事業用)に分かれています。
さらに10kw以上の事業用は、地上設置型と屋根設置型に区分され、それぞれ10kw以上50kw未満と50kw以上に分かれています。たとえば2024年だと住宅用の10kw未満で1kwあたり16円、地上設置型の10kw以上50kw未満だと10円+消費税といったように固定価格に違いがあります。 また、住宅用の10kw未満は固定買取期間が10年なのに対し、事業用の10kw以上50kw未満は20年となっています。
買取期間満了後も引き続き電力を売電したい場合は、東京電力や関西電力などの小売電気事業者に対し売電することが可能です。ただし、買取期間満了までに、いずれかの小売電気事業者へ申込みの上、買取契約を締結しておく必要があります。
なお、買取単価は各事業者によって異なり、売電できる事業者は経済産業省のページで確認することが可能です。
FIT制度の補完的な制度として、10kW以上の事業用、特に高圧以上の大きな設備については、FIP制度というものが新設されています。FIP制度は、FIT制度より複雑で、一定の買取価格水準は保証されますが、FITより割安で、市場での取引結果が買取価格に反映される仕組みになっています。
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【デメリット②】利回りが年々低下している
個人がFITを利用できる現実的な設備であれば、すでに余剰売電しか買い取ってもらえない状況であるため、さらに利回りは低くなり、太陽光発電で多くの収益を得ることは難しいでしょう。
【デメリット③】発電設備の設置費用が見合わない
前述のように余剰買取では、売電できる電力量も限られ、FITの買い取り単価も下がっているため、設備のコストが以前よりも下がっているとはいえ、投資に対するリターンとしての期待値は小さく、投資資金の回収が売電金額では非常に難しいといえます。
【デメリット④】日照の変化もあり、発電量は安定しない
そのため、一般的に6〜7月の梅雨の時期や、日照量が減り、積雪する11〜2月は発電量が減り、逆に日照量の多い月には発電量が増えます。月によっては見込んだ発電量にならないことも珍しくありません。
【デメリット⑤】災害リスクがある
また、台風時などに飛散したパネルが近隣に被害を与え、その損害賠償が発生する可能性もあります。
【デメリット⑥】節税効果はない
太陽光発電の設置例
シミュレーション例
これらについて、以下のような条件を設定して、簡易的にシミュレーションしてみます。
<設置条件> | |
---|---|
立地 | 都内でもやや郊外の住宅地 |
設置場所 | 住宅家屋の屋根 (南向き、設置可能面積50m2) |
設備 | ソーラーパネル(270w)20枚 (=発電容量5Kw) パワーコンディショナー変換効率95% |
設置前の毎月の電気代 | 従量電灯B 15,000円/月 (年間:180,000円) |
設置費 | 1,300,000円 |
年間発電量 | 6,082kwh |
---|---|
太陽光発電設備導入後の年間電気代 | 108,953円 |
年間売電金額 | 69,826円 |
この例では、年間18万円だった電気代が10万8,953円となり、約7万1千円の節約に加え、6万9,826円の売電収入があるので、およそ14万円程度年間で節約できたとなります。
投資として見ると
太陽光発電を検討するなら、現状ではこのような考え方で設置の検討が必要になります。
太陽光発電やらなきゃよかった…となる前に
もし、太陽光発電を活用して収益を得るという土地活用の提案があったら、疑ってみる必要があります。土地活用として、太陽光発電で収益を得るつもりで始めてしまうと思ったような収益は得られず、やらなければよかったとなりかねません。
太陽光発電に興味がある場合は、実際にどれだけの収益がえられるのか、現在ならどれだけ節約になるのか、自分でも調べてみるようにしましょう。
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まとめ
太陽光発電については、土地活用の手段としてではなく、高騰している電気代の節約や温暖化対策、災害時の電力確保など別の目的で導入を検討すべきものになっています。これらの目的であれば、十分設置する価値がありますが、土地活用法としては検討から外していいと思われます。
FIT制度の変更で、太陽光発電の環境が変化しています。
土地活用として検討中の人は必読です!
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この記事の監修者
![秋津 智幸](/press/system/press_image/2023/10/03/6lq5Hvbz7EKEaDTolK97dLwlZzqvKn3mubWiolCVSoc/trim/53260786648a4299a88c4ba6960574f0_m.jpeg)
公認不動産コンサルティングマスター/宅地建物取引士/AFP/2級FP技能士
不動産サポートオフィス 代表コンサルタント。横浜国立大学卒業。
神奈川県住宅供給公社を経て、不動産仲介業者に従事した後、2011年に個人事務所として不動産サポートオフィスを開設。自宅購入、不動産投資、賃貸住宅など個人が関わる不動産全般に関する相談・コンサルティングを行う他、不動産業者向けの企業研修や各種不動産セミナー講師、書籍、コラム、記事等の執筆・監修にも取り組んでいる。
主な著書に「貯蓄のチカラ~30歳からのおカネの教科書」(朝日新聞出版)などがある。
土地活用という面では、空いている土地に地上設置型の太陽光発電設備を設置して売電収入を得ることを期待しますが、制度の変更で10kw以上の地上設置型太陽光発電でも、FITの認定を受けるには自家消費が前提で、発電容量(規模)が大きくなるほど自家消費自体が難しく、FITの認定を受けること現実的ではありません。