広大な土地をお持ちの方に、おすすめの土地活用が太陽光発電。
賃貸経営のような集客リスクがないのが大きな特徴です。
目次
田舎の土地活用に多い太陽光発電

太陽光発電とは
太陽光という自然エネルギーを使うことから、電力会社による主な発電方法である火力発電や原子力発電とは違って、自然にやさしいという特徴があります。
再生可能エネルギーについて
再生可能エネルギーは太陽光のほか、風力や水力、地熱、バイオマスなどがあります。これらの特徴は「枯渇しない」「どこにでも存在する」「CO2を排出しない」の3つです。
FIT(固定価格買い取り)制度とは
この制度は、太陽光発電システムを設置すると、電気を定められた価格で電力会社に買い取ってもらえるという制度です。大きくは10kw未満(住宅用)と10kw以上(非住宅用)に分かれており、例えば平成30年度だと10kw未満で1kwあたり26円、10kw以上だと18円+消費税と固定価格に違いがあります。
また、10kw未満は固定期間が10年なのに対し、10kw以上は20年となっています。
太陽光発電の収入の仕組み

なお、電力の買い取りシステムには全量買い取りと余剰買い取りがあり、住宅などに設置される太陽光発電システムでは余剰が選択されるのが一般的です。
余剰買い取りとは、太陽光発電システムで発電した電力を、最初に住宅内で電力として消費し、残った電力を売却する方式で、一方の全量買い取りは発電した電力をすべて売却する方式です。
買い取り価格と利回りについて
FIT(固定価格買い取り制度) | ||
---|---|---|
10kw未満 | 10kw以上 | |
平成27年度 | 33〜35円 | 29円+消費税 |
平成28年度 | 31〜33円 | 24円+消費税 |
平成29年度 | 28〜30円 | 21円+消費税 |
平成30年度 | 26〜28円 | 18円+消費税 |
平成31年度 | 24〜26円 | - |
固定期間 | 10年 | 20年 |
平成27年度には29円+消費税だったのが平成30年度には18円+消費税にまで下がってきており、今は旨味がないのではないか、という声がよく聞かれます。
これは確かにそうした側面もあるのですが、一方で太陽光発電システムの導入費用は年を追うごとに安くなってきています。昔は10kwの発電量を持つシステムを導入するのに400万円かかっていました。しかし、今では300万円程度で導入できます。かけた投資額に対する回収額、つまり利回りはそれほど変わっていないのです。
なお、太陽光発電システムの導入費用はどのメーカーを使うかによって大きく変わります。あまりに安いシステムだと、設置してから5年くらいで発電量が下がったり、故障したりするケースもあります。
利回りだけでなく、15年間の発電保証や機器保証が付いているなど、保証の期間や内容もよく吟味した上で利用するメーカーを決めるようにしましょう。
太陽光発電のメリット

1.リスクが少なく安定して経営ができる
土地活用にはアパート・マンション経営や駐車場経営などさまざまなものがありますが、空室リスクなど、ほとんどが集客に関わるリスクを抱えています。
一方、太陽光発電は一度設置してしまえば、FITで価格も固定していますし、少し雨の日が続いたからといって、1年の内にそこまで大きく日照量=発電量が変わるわけでもありません。
2.FIT制度や補助金制度がある
補助金制度などは、設置される自治体によって金額や取り扱いが異なるため、導入前によく調べておきましょう。
3.メンテナンスは外注に依頼
管理費がかかりますが、メンテナンスをしてもらった時に写真を送ってもらうようにすれば、現地に行くことなく運用できます。
4.地価に影響しない
つまり、どこで運用してもよいということになりますが、他の活用法や固定資産税のことを考えると、地価の安いところで運用した方がお得でしょう。
5.ランニングコストはほぼかからない
もちろん、太陽光発電システムが故障したら取り替える必要がありますが、太陽光発電システムには10〜25年程度の保証が付いているのが一般的です。
太陽光発電のデメリット

1.ソーラーパネルの設置費用が高い
どのくらいの大きさの土地に、どのくらいの枚数を設置するかによってその費用は変わりますが、自分で用意するにせよ、融資を受けるにせよ、用意できるかどうかを事前に確認しておきましょう。
2.パネルの反射などで近隣への配慮が必要
実際にメガソーラー(1,000kw)が設置された隣地の方が裁判を起こしたケースもあります。(この裁判では、原告(隣地の方)が負けたようです)。
3.日照の変化もあり、発電量は安定しない
そのため、一般的には6〜7月の梅雨の時期や、日照量の減る11月〜2月は発電量が減り、逆に日照量の多い月には発電量が増えます。月によっては見込んだ額の売電収入が得られないことも考えられるため、注意しましょう。
4.節税効果はない
節電効果を得たいのであれば他の土地活用を選択する必要があります。
5.利回りが年々低下している
今後もFITの価格が安くなることを考えると、できるだけ早く導入を決めた方がお得になる可能性が高いです。
太陽光発電の初期費用・予算について

イニシャルコスト
ランニングコスト
なお、50kw以上のパネルを設置する際は法定点検が義務付けられており、年間50万円程度の費用を見込む必要があります。
モデルケースの紹介
所有している土地に30kwの太陽光発電を設置する場合、イニシャルコストは900万円です。また、ランニングコストに関しては、50kw以下なので4年に1回程度、2万円の点検費用を支払えば大丈夫です。掃除や土地の草刈りを業者に依頼する場合には、その費用もかかると考えましょう。
太陽光発電に向いている土地・向いていない土地

自治体によって設置規制している土地も
例えば、神戸市では2018年8月22日、パネルを地上に設置する際の設置場所の規制などが盛り込まれた条例を制定する方針を明らかにしています。こうした自治体の動向にも十分な注意が必要です。
まとめ
太陽光発電は集客について考える必要がなく、またFIT制度があることから安定した運営が見込める一方、節税効果がないなどのデメリットもあります。
FIT制度については、年を追うごとに固定価格が安くなっており、また、自治体によっては規制が進められるなど少しずつやりづらくなっていくことが考えられます。なるべく早く検討だけでもしてみるとよいでしょう。
広大な土地をお持ちの方に、おすすめの土地活用が太陽光発電。
賃貸経営のような集客リスクがないのが大きな特徴です。

監修逆瀬川 勇造
【資格】AFP(2級FP技能士)/宅地建物取引士/相続管理士
明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。
大学在学中に2級FP技能士資格を取得。
大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。