認知症患者のための土地活用「グループホーム経営」とは|メリット・デメリットを解説

  • 更新日:
  • 2022年11月30日
認知症患者のための土地活用「グループホーム経営」とは|メリット・デメリットを解説
「グループホーム経営」について詳しく知りたい方に、メリット・デメリットを踏まえてご説明します。

高齢化社会に伴いグループホームの需要は増加傾向。
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目次

グループホームとは

グループホームとは福祉施設の1つで、認知症の方がよりよく生きるための施設として注目されています。グループホームは、家庭的な雰囲気を大切にしつつ、プライベートの空間も確保するのが特徴の地域密着サービスです。入居するには、以下3つにすべて該当する必要があります。

・要支援2以上または要介護1以上
・65歳以上(65歳未満の若年性認知症を含む)
・認知症と医師に判断されている

また、グループホームは原則として建設されている市区町村の住人(住民票のある人)が主な利用者となります。厳密な取り扱いについては、市区町村によって異なりますが、特別な事情がある場合はほかの市区町村からでも利用できるケースがあります。

なお、グループホームは医療施設ではないため、看護師の配置は義務付けられていません。あくまでも認知症の進行を緩和させることが目的のため、認知症の進行度合いによって医療行為が必要になった場合は退去せざるを得なくなることもあります。

グループホームは認知症の方以外にも、障害者の方向けの施設もありますが、この記事では認知症の方向けのグループホームについて解説していきます。

グループホーム経営の方法は3つ

グループホーム経営には、以下の3つの方法があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.オーナー型整備
2.事業者型整備
3.みずから運営

1.オーナー型整備

オーナー型整備とは、土地所有者が施設を建築して運営事業者に賃貸する方法です。土地代と建物賃借料が、運営状況に関わらず毎月一定額支払われます。土地オーナーは施設の建築費を負担する必要がある分、リスクを負わなければなりませんが、受け取れる家賃も大きくなります。

2.事業者型整備

事業者型整備とは、運営事業者に土地を貸し、運営事業者が施設を建設、運営する方法です。運営事業者からは毎月定額の地代を受け取ることができます。

土地所有者は建物の建設費を負担する必要がないためリスクをおさえられますが、受け取れる家賃はオーナー整備型よりも安くなります。また、土地を貸すのではなく、運営事業者に売却してしまう方法もあります。

3.みずから運営

3つ目は、土地の大家さんがみずから建物を建設し、事業も自分自身で行う方法です。経営がうまくいけば収益も大きく伸ばせますが、代表者が介護職経験や福祉・医療サービスの経営経験があることや厚生労働省指定の研修を修了していることなどが条件となります。

とはいえ、グループホームはほかの高齢者向け施設と比べて建築基準などのハードルが低く、比較的参入しやすいといえるでしょう。なお、グループホームは個人では運営できない決まりとなっているため、まずは法人化する必要があります。

運営方法次第で最初のコストと購入後の手間、リターンが大きく変わります。ご自分の経験や割ける時間なども考慮しながら選ぶことが大切です。

逆瀬川 勇造
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グループホーム経営のメリット

ここでは、グループホーム経営のメリットをお伝えしていきます。

社会的貢献度が高い

冒頭でお伝えしたとおり、今後日本ではどんどん高齢者が増えていき、高齢化率も増えていくことになります。認知症の高齢者が増加する可能性も高く、グループホームはそうした方々の受け皿となり、社会貢献度の高い事業だといえるでしょう。

長期的な安定した収入が期待できる

オーナー型整備や事業者型整備では、グループホームの稼働状況によらず、毎月安定した収入を得ることができますが、長期的に収入を得続けるにはグループホームの入居状況がよいことが必要です。とはいえ、今後、日本では高齢者と認知症の方の数が増えていくことを考えると、そうしたグループホームの将来的な入居状況についても期待できるでしょう

節税対策・相続税対策が期待できる

グループホームは居住施設のため、アパートやマンションと同じく、相続税や固定資産税に対して節税効果が期待できます

たとえば、グループホームのように建てた建物を他人に貸し付ける場合「貸家建付地」としての評価を受けることになりますが、この場合、通常の土地と比べて2割程度の評価減を受けることができ、その分、相続人が収める相続税を安くできます

グループホーム経営は非常に大きな節税効果を期待できます。特に活用していない土地がある方にはおすすめだといえるでしょう。

逆瀬川 勇造
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グループホーム経営のデメリット

最後に、グループホーム経営のデメリットについても見てみましょう。

建物の転用がしにくい

仮にグループホームの経営がうまくいかず、業者が撤退することとなった場合、新しく別の業者を探すか、みずからでグループホームを運営するか、まったく異なる他業態に転換するかといった選択をする必要があります。しかしそもそも、業者が撤退するくらいですから、ほかの業者を探したり、自分で運営したりするのはうまくいかない可能性もあるでしょう。

その場合は他業態への転換を検討する可能性が高くなりますが、グループホーム用に設備を導入していることもあり、アパートやマンションへ転用するにしても大きな費用がかかってしまいます

建築費用が高い

グループホームは一般的な住宅とは異なり、高齢者向けの設備を導入する必要があるため高額になりやすいです。建物の規模にもよりますが、新築する場合は1億円以上の資金がかかると考えましょう。

グループホームに向いている土地

土地活用としてグループホームの経営を考える場合、どのような土地が適しているのでしょうか。

敷地面積は300m2以上から

東京都におけるグループホームの土地の条件を見てみると、敷地面積は300~400m2以上とされています。また、グループホームは1つの建物をユニットといい、1ユニットに対して5~9人まで入居可能となっていますが、隣接して2ユニットまで設置可能です。

東京都の場合は2ユニットで延床面積500m2以上(最低400m2以上)が要件となります(ただし、東京都の場合、用地の確保が困難な状況などにより、必要と認められれば3ユニットとすることができます。)。

そのほか、入居者が共同で利用する施設として、食堂や台所、便所(1ユニットに3つ)、洗面設備、浴室、消防設備(スプリンクラー)などを整備する必要があります。

1人1部屋あることが必須

グループホームでは入居者のプライベート空間がある必要があり、1人に付き1部屋(7.43m2/4.5畳以上)用意することが必須条件となります。なお、夫婦の場合は2人で7.43m2以上でも可能です。

賃貸需要の少ないエリア

アパートやマンションなどの賃貸需要があまりないエリアでもグループホーム経営は可能です。一般の賃貸物件の場合、周辺にどのような施設があるかが重視される傾向にありますが、グループホームの場合はあまり重視されません。そのため、賃貸需要の少ないエリアでもグループホーム経営を検討してみてもよいでしょう

ゆったりと暮らせる土地

土地活用の多くが「集客」が非常に重要で、駅からの距離やアクセスのよさを求められることが多いです。グループホームの場合も、集客が重要なことに違いはありませんが、求められる条件がほかの土地活用とは異なり、「郊外でゆったり過ごせること」です。

このため、駅から遠くても300m2以上の広い土地を持っている場合には、グループホームを検討してみるのがよいといえるでしょう。

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グループホーム経営に必要な費用

ここでは、グループホーム経営にはどのくらいの費用がかかるのか、詳しく見ていきましょう。

建築費用

デメリットでもご説明しましたが、グループホームを新しく建築する場合の費用は高額になりがちで、1億円以上かかる場合が多いです。一方、マンション・アパートや一戸建てを所有している場合は、リフォームして始めることもできます。

リフォーム費用については、どの程度のリフォームが必要かにもよりますが、たとえば建物の躯体をそのまま利用し、内装工事程度だけにおさえる場合、以下のような費用がかかると考えるとよいでしょう。

・内装工事費:200~500万円
・備品購入費:50~150万円
・登記費用など:20~50万円

もちろん、建物がグループホームの設置基準に満たない場合には大幅な改修工事が必要となってきます。その場合は、上記より高額な費用がかかることになりますが、基本的には新築するのと比べると大幅に初期費用をおさえて事業を始めることができます。

自治体から補助金が出ることも

グループホームの建築には、自治体から補助金が出ることがあります。具体的な補助の内容や要件については、自治体によって異なるため、事前に確認するようにしましょう

たとえば、東京都板橋区の場合であれば建物1ユニット新築の場合で最大2,000万円の補助を受けられることになっています。なお、東京都では高齢者人口に対するグループホームの整備率が低い地域を「重点的緊急整備地域」とし、対象地域では補助が1.5倍となります。
定員重点地域その他の地域
新築の場合1ユニット3,000万円2,000万円
2ユニット6,000万円4,000万円
3ユニット9,000万円6,000万円
改修の場合1ユニット2,250万円1,500万円
2ユニット4,500万円3,000万円
3ユニット6,750万円4,500万円
認知症対応型通所介護等の併設加算1,000万円
また、以下、標準的な定員18名(2ユニット)のグループホームを新築する場合の工事費や補助金の具体例です。※工事費は坪単価90万円として計算しています。
併設施設なし併設施設1施設あり
延床面積700m21,200 m2
工事費約1億9,000万円約3億3,000万円
補助金(重点地域)6,000万円8,000万円

運営費

グループホームの運営費用としては以下のような費用が必要になります。

・人件費
・ローン返済費用
・雑費

まず、人件費としては、「管理者」「生活支援員」「世話人」などを雇うための費用が必要になります。具体的にどの程度の人数を配置すればよいかについては、グループホームの規模にもよります。

サービス管理責任者は事業所30人ごとに1人の配置が必要で、そこまで規模の大きなグループホームでなければ1人配置すれば問題ないでしょう。生活支援員や世話人などについては、利用者3人に対して介護職員1名の配置が人員配置基準として定められているため、これを守る人数分配置しなければなりません。

仮に利用者を30人募集する場合には、10名の介護職員を配置する必要があります。ただし、介護職員についてはすべて常勤である必要はなく、要件を満たせばパートやアルバイトでも可能です

また、所有している土地の上にローンを借りてグループホームを建てて運営していく場合には、ローン返済費用が必要となります。そのほか、雑費としては水道光熱費や利用者を募集するための広告宣伝費など必要になるでしょう。

グループホーム経営の収益シミュレーション

ここでは、以下のようなグループホームを建設することを想定して、収益シミュレーションを立ててみましょう。人件費、水道光熱費、食材などここでは入居者1人あたり20万円/月の経費がかかることを想定します。

・大家型整備
・1ユニット建設
・入居者8人
・入居者1人あたり家賃15万円/月
・入居者1人あたり給付費22.5万円/月(東京都の例)
年間収益3,600万円
年間経費1,920万円
年間収支1,680万円
なお、大家型整備の場合、経営状況によらず、毎月、契約時に取り決めた地代と建物賃借料を受け取ることになります。

よくある質問

ここでは、グループホーム経営に関するよくある質問をご紹介します。
グループホームの需要は?
高齢化に拍車がかかる日本ですが、高齢者が増えると問題となることの1つに認知症があります。厚生労働省によると、65歳以上の認知症の人の数は2020年で約600万人、2025年には約700万人(高齢者の約5人に1人)が認知症になると予測されています。そのため、日本では認知症に向けた対策や取り組みが今後ますます重要になり、グループホームの需要増加も予測されるでしょう。
参考:みんなのメンタルヘルス|厚生労働省
グループホームとサービス付き高齢者住宅との違いは?
高齢者向け施設として、ここ数年で大きく数を伸ばしているものに「サ高住」がありますが、サ高住は「主に介護を必要としない自立した高齢者向け」の施設です。一方、グループホームは「認知症であり、要支援2以上、要介護1以上であること」が条件となっており、利用できる人に違いがあります。詳しくは、サ高住の記事を参照ください。
グループホーム経営を始める際の注意点は?
まずは、その土地で需要が見込めるかどうかを確認するようにしましょう。エリアによってはアパート・マンションなどのほうが需要が見込める場合もあります。迷う場合は、不動産会社に相談することも一案です。また、事業者と提携する場合は、事業者選定をしっかり行うことをおすすめします。各事業者の実績などを事前に確認しておくと安心です。

まとめ

土地活用の方法としてのグループホーム経営の特徴やメリット・デメリットなどお伝えしました。グループホームにはいくつかの経営方式があり、自分で運営する方法だともっとも収益を伸ばしやすいですが、介護業などの経験のない方がいきなり事業を始めるのは難しいので、基本的には、専門の業者を見つけて運営を依頼することをおすすめします。

そもそも、「自分の所有している土地がグループホームに適しているのか」や「専門業者はどのような業者がよいのか」などについては、複数の専門業者に問い合わせをして提案を受けるのがよいでしょう。

グループホーム経営は今後日本国内で需要が拡大していくことが見込まれる有望なビジネスだといえるでしょう。

逆瀬川 勇造
逆瀬川 勇造

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逆瀬川 勇造

監修逆瀬川 勇造

【資格】AFP(2級FP技能士)/宅地建物取引士/相続管理士

明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。

大学在学中に2級FP技能士資格を取得。
大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。

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