事業用定期借地権とは?契約期間や方法、メリット・デメリットを解説します

2024.03.01更新

この記事の監修者

逆瀬川 勇造

逆瀬川 勇造

【資格】AFP/2級FP技能士/宅地建物取引士/相続管理士

事業用定期借地権とは?契約期間や方法、メリット・デメリットを解説します

事業用に限定して貸し出す権利である「事業用定期借地権」の特徴やメリット・デメリットについて分かりやすく解説します。

この記事のポイント
  • 事業用定期借地権とは事業の用途に限定して期間を決めて土地を貸し出す権利のこと。
  • 事業用定期借地権の契約期間は、10年以上50年未満と定められています。
  • 居住用として貸し出す場合より高い地代の設定が可能ですが借主が破綻するリスクも。よく検討した上で計画を立てましょう。

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目次

事業用定期借地権とは

事業用定期借地権とは、事業の用途に限定して期間を決めて土地を貸し出す権利のことです。借地借家法には5つの種類があり、そのうちの1つとしてこの内容が定められています。

事業用定期借地権の特徴としては、利用できる目的が事業用のみであるという点があげられます。事業用とは、店舗や事務所・工場といった居住用以外の目的のことです。

居住用以外となるので、アパートやマンションといった賃貸経営では、事業用定期借地権は利用できません。

また、契約期間は10年以上50年未満という規定があります。契約時に定めた期間が満了すると契約は終了となり、更新はできません。契約終了後は、基本的に建物を解体して更地の状態で返還する必要があるのです。

そのほかの定期借地権の種類

借地借家法で定められている借地権は、「旧法借地権」「普通借地権」「定期借地権」の3つです。さらに、定期借地権は事業用定期借地権を含め4つに区分されています。

一般定期借地権

50年以上の長期間にわたって契約できるのが一般定期借地権です。契約期間終了後は、建物を取り壊して更地で土地を返還する必要があり、期間の更新もないため、安心して土地を貸し出せます

土地の利用目的に制限もなく、50年以上と長期間定期的な収入を得られる点も貸主にとってメリットと言えるでしょう。

建物譲渡特約付借地権

契約完了時に、建てた建物を貸主が買い取る条件で契約するのが建物譲渡特約付借地権です。

買い取る必要はありますが、契約終了後に建物の所有権を得られるため、マンションなどではそのまま経営できるというメリットがあります。

契約期間も30年以上なので、長期間にわたって安定した収入を得られるでしょう

一時使用目的

一時使用目的では、10年以下でも契約可能です。契約によっては1年以内という短期間でも契約でき、使用目的や返還方法も当事者で決められます。

短期間だけ土地を貸し出したいという場合などに向いている契約方法です

事業用定期借地権の契約期間と方法

ここでは、事業用定期借地権について具体的に解説します。

事業用定期借地権の契約期間

事業用定期借地権の契約期間は、10年以上50年未満と定められています

以前は10年以上20年以下と定められていましたが、これでは20年後に建物を解体しなければならず、事業者にとって不都合になることが問題視されていました。

問題解決のため、平成20年に借地借家法の改正に伴い契約期間も10年以上50年未満と改められたのです。

期間によって建物買取請求ができる

事業用定期借地権では、契約期間の設定により内容が次のように異なります。
10年以上30年未満契約更新・建物買取請求権なし
30年以上50年未満契約更新・建物買取請求権あり※
※特約でなしと定めることも可能
建物買取請求権とは、借主が貸主に対して契約終了時に建物の買取を請求する権利のことを言います。事業用定期借地権では、基本的に契約終了時は建物を解体して更地での返還が必要です。

しかし、まだ使える建物の場合、解体することは損失と見なされるため、建物買取請求が可能になったのです。

ただし、借主に家賃の不払いと言った契約違反がある場合には、建物買取請求に応じる必要はありません

事業用定期借地権の契約方法

事業用定期借地権の契約には、次の3つの要件を満たす必要があります。

1.契約期間を10年以上30年未満もしくは30年以上50年未満にする
2.借地上の建物を事業用(居住用を除く)に限定する
3.公正証書で契約する

公正証書とは、公証人が法律に基づき証書として作成し、内容を証明する書類のことを言います。公証役場に依頼して作成してもらい、作成した書類には貸主・借主双方の署名・捺印が必要です。

事業用定期借地権は、この公正証書での契約が必要になります

公正証書以外での契約は無効となり、場合によっては普通借地権として取り扱われるケースもあるのです。普通借地権として扱われると、期間終了後に土地を返還してもらえない可能性もあるので注意しましょう。

事業用定期借地権の契約では、契約内容が決まった時点で覚書を作成しておくなど対策しておくことをおすすめします。

事業用定期借地権の地代相場

契約期間中は、貸主から得た借地料が収益となります。

【借地による収益】
借地料-(不動産所得による所得税・住民税) -(固定資産税・都市計画税)
借地料は高すぎると借り手が見つからず、安いと利益が出ません。借地料を設定するには、地代の相場を理解し適切な価格を設定する必要があります。

なお、定期借地権での地代相場は年間約80万円(200m2あたり)となりますが、エリアによって価格は異なるものです。

一般的には、固定資産税などの租税公課の2~3倍に設定することが多く、たとえば固定資産税が2万円の場合は、年間の地代が4~6万円となります

路線価や利回りから算出する方法があるので検討するとよいでしょう。

また、事業用定期借地権の場合、契約年数の残存期間によって地代の評価額が変動します。長期契約することで評価額が下がるため、契約期間が長いほど地代が安くなる傾向があることも覚えておきましょう

事業用定期借地権の収益モデル

借地料を得る場合の具体的な収益モデルを見ていきましょう。仮に、20万円/月で貸した場合は年間で240万円、10年で2,400万円の収益を得ることができます。なお、借地により利益が出ると、不動産所得として税金を納める必要があります。

また、あくまでも所有者は貸主のため、毎年の固定遺産税や都市計画税は支払い続けなければなりません

また、事業用定期借地権では「建物を建てて貸し出す」「隣接地を合わせて事業用定期借地権を設定する」といった方法でも収益を得ることができます。

建物を建てて貸し出す方法

土地の上に賃貸物件を立てて事業者に貸し出す方法であればより高い賃貸料を得ることができますが、初期費用が掛かるのに加え、事業者が倒産してしまったような場合、次の事業者を見つけるまで収入を得ることができないというリスクがあります

たとえば、1億円で建物を建てて50万円/月の家賃を得られるようになると、年間600万円、10年で6,000万円の賃貸収入となりますが、10年経った時点で事業者が倒産したり、借地期間が終了したりすると、収益がマイナスのままとなってしまいます。

隣接地と共同で事業用定期借地権を設定する

土地が小さい場合、隣地の所有者と合わせて事業者に定期借地する方法もあります。

たとえば、あなたをAさん、隣地の所有者をBさんとすると、①AさんとBさんそれぞれが事業者と契約する方法と、②AさんとBさんで借地契約締結、土地を一体化した上でAさんと事業者とで借地契約を結ぶ方法があります。

借地契約は長期に渡る契約になることが多く、どのような契約形態を取るにせよ、隣地所有者のBさんとはしっかり契約内容について認識を共有しておくことが大切でしょう

事業用定期借地権のメリット・デメリット

ここでは、事業用定期借地権のメリット・デメリットについて見ていきましょう。

【メリット1】貸し出し期間を選べる

事業用定期借地権では、契約期間を最短10年・最長50年までの間から選ぶことができます。10年後に別の土地活用方法を検討しているのであれば短期で契約、使用する見込みがないなら長期で契約と、自分の土地活用計画に合わせて契約することが可能です。

ほかの定期借地権では最短でも30年以上の契約が必要なので、短い期間での契約を検討しているならメリットが大きいと言えます。

【メリット2】事業リスクを負わずに地代収入を得ることができる

通常、事業用定期借地権を利用しようとする土地であれば、居住用に向かないロードサイドにあることが多いですが、事業用の土地となると売却しようとしても利用者が限られます。

一方で、自分で事業を始めるにはリスクが大きいと考える方もいらっしゃるでしょう。

事業用定期借地権であれば、事業者としても最初の負担が少ない状態で事業を始めることができ、貸主は自分で事業するリスクを負わずに安定した収入を得られるというメリットがあります

【メリット3】居住用よりも高い地代を設定できる

一般的に、事業用として貸し出す際には居住用として貸し出す場合より高い地代を設定できます。そもそも、ロードサイドにある土地などは土地の評価も高いことが多いです。

居住用としては向かないものの、利用したい事業者がいれば、比較的高い価格で貸し出せることも少なくありません

【メリット4】相続税の軽減ができる

定期借地権が設定されている貸宅地は、その定期借地権の残存期間に応じて一定の評価減が認められています。

たとえば、土地の相続税評価額が5,000万円の土地を30年で貸し出し、10年経過後に相続が発生した場合、5,000万円×20%=1,000万円の評価減を受けることができます。
定期借地権の残存期間評価減
15年を超えるもの20%
10年超~15年以下15%
5年超~10年以下10%
5年以下5%

【デメリット1】満期まで中途解約ができない

借地権は、定期借地のみならず、普通借地においても期間の途中で中途解約することはできません。

特約を設ければ借主から中途解約することはできるものの、貸主は特約を設けたとしても中途解約は認められていません。この点には十分留意しておく必要があるでしょう。

【デメリット2】借主の経営破綻リスクがある

契約期間中に借主が事業破綻するリスクがある点には注意が必要です。借主が破綻した場合、建物はそのまま残ってしまう可能性があり、更地に戻す場合には貸主が費用を負担しなければならないケースもあります

その場合でも、建物の所有者は借主になるため、勝手に建物の解体などができず法的な措置が必要です。収益が得られないだけでなく、対応に手間や費用が掛かる点には注意しましょう。

【デメリット3】固定資産税の減税はない

土地の上に居住用の建物が建てられれば、6分の1もしくは3分の1減税される特例がありますが、事業用定期借地の場合にはこの減税を受けることができません

とくに、これまで住宅が建っていた土地で、建物を解体して事業用定期借地するような場合には注意が必要です。

【デメリット4】土地の利用方法に制限がある

事業の用途でしか利用できないという制限があるため、利用者が限定される点はデメリットとなります。

しかし、事業用定期借地権の利用を検討する土地は、居住用に向いていない土地というケースが多いでしょう。事業用定期借地権だけでなく、売却も視野に入れて活用を検討することをおすすめします。

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事業用定期借地権の活用事例

事業用定期借地権を活用される例として、コンビニエンスストアの出店がありますが、大手コンビニエンスストアのローソンでは、出店ガイドラインを以下のように定めています。
出店場所住宅地路面郊外ロードサイド
契約期間15年以上
敷地面積120坪以上(間口20m以上)
用途地域第一種低層住居専用地域、工業専用地域以外
次に、大手パチンコ店のダイナムでは、出店用地として以下のような条件を提示しています。
出店場所郊外
契約期間20年以上
敷地面積2,000坪以上
道路幅員6m以上
用途地域準工業・工業・商業・近隣商業・無指定、契約期間
基本的に、一定以上の大きさの敷地面積がないと土地活用もできませんが、隣接地の所有者と一体で定期借地を結ぶようなことも可能です。

よくある質問

ここでは事業用定期借地権についてよくある質問について見ていきましょう。
事業用定期借地権に向いている土地は?
長期間使わない土地、ロードサイドなどにある土地、まとまった大きさのある土地が向いています。中途解約できないため、基本的には長期間使わない土地であることが前提となり、事業者にメリットのある土地という点も重要です。

一般的には、駐車場まで含め数百坪以上の広さが必要となるため、数十坪程度の土地は向いていないでしょう。
事業用定期借地権の注意点は?
誰に貸すかが重要なポイントとなります。長期間契約するため、期間中に事業者が破綻するリスクが考えられます。

破綻した場合、建物が残っても勝手に壊すことや貸すことができずに、法的な措置が必要になるなど対応が難しいものです。貸す相手のリスクを見極め、リスクの少ない人に貸すことが重要になります。
土地を取られる心配はない?
事業用定期借地権は公正証書を作成して契約するため、土地が取られる心配はありません。

また、物を一定期間専有した場合に発生する取得時効では、所有権や地上権では取得が認められていますが、債権である貸借権は対象にならないという考えもあります。ただし、過去の判決では貸借権での時効が成立したケースもあるので注意しましょう。

まとめ

事業用定期借地権を利用する土地は居住用に向かない土地であることが多く、そうした土地では売却などほかの活用法でも利用者が限られるため、土地活用の選択肢が増えるのは大切なことです。

居住用に使える土地であっても、事業用定期借地権を活用することで居住用より高い家賃を得られる可能性もありますが、これまで居住用として使っていた土地である場合は固定資産税の減税が受けられないため、注意が必要です。

交通量の多い土地や、広大な土地を所有しているなら、
事業用定期借地権を検討してみましょう!

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逆瀬川 勇造

逆瀬川 勇造

【資格】AFP/2級FP技能士/宅地建物取引士/相続管理士

明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。大学在学中に2級FP技能士資格を取得。大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
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