土地活用における事業用定期借地権のメリット・デメリット

  • 公開日:
  • 2018年11月15日
  • 更新日:
  • 2018年11月15日
土地活用における事業用定期借地権のメリット・デメリット
事業用定期借地権とは、事業用に限定して貸し出しを行う権利のことです。交通量の多い道路に面していたり、広いけれど公共交通機関の便が悪くて居住用に向かなかったりする土地の場合、事業用にすることで土地活用できます。

今回は事業用定期借地権を検討している方に向けて収益モデル、メリット・デメリットと合わせて、契約をする前に必ず理解しておくべきリスク・注意点を一般借地権、建物譲渡特約付借地権との違いや、事業用定期借地権の基礎知識とともにご紹介いたします。

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目次

事業用定期借地権とは

借地権には、旧法による借地法と、1992年に制定された借地借家法による5つの借地権の、合わせて6種類があります。

法律借地権の種類
借地法(旧法)旧借地権
借地借家法普通借地権
一般定期借地権
事業用定期借地権
建物譲渡特約付借地権
一時使用目的の借地権

事業用定期借地権は、借地借家法による5つの借地権のうちのひとつですが、具体的にはどのような権利なのでしょうか。

一般定期借地権

一般定期借地権は、〇年後に借地を貸主に返すという取り決めをして貸し出す定期借地権のうちの1種です。

契約満了時に貸主側に更新を拒絶する正当な理由がなければ借主側の希望によって更新されたり、契約終了時に借主の建てた建物が残存している場合、貸主のその建物の買取を請求できたりするなどと、借地権は借主の権利が強く、利用しづらいという側面があります。

一方、一般定期借地権は借地期間を50年以上とし、期間の満了に際して借主は建物を取り壊して土地を返還する必要があります。一般定期借地権を利用することにより、貸主は安心して土地を貸すことができるのです。

事業用定期借地権

事業用定期借地権も借地権の一種ですが、こちらは居住用ではなく事業のために土地を貸し出すものです。一般定期借地権が借地期間50年以上なのに対し、事業用定期借地権は10年以上50年未満となっています。

一方、最初に定めた期間で契約が終了し、契約期間満了時には借主は建物を解体して土地を返還しなければならない点は同様です。

建物譲渡特約付借地権

建物譲渡特約付借地権も定期借地権の1種で、借地期間は30年以上で更新はなく、期間満了時に貸主が借主から建物を買い取るというものです。貸主による買い取りがなされた時点で借地権がなくなります。

 借地権の種類借地期間期間満了時
定期借地権一般定期借地権50年以上期間満了時に更地にして返還
事業用定期借地権10年以上
50年未満
期間満了時に更地にして返還
建物譲渡特約付借地権30年以上期間満了時に貸主が建物を買い取る

事業用定期借地権の期間

事業用定期借地権の期間は、一般定期借地権が50年以上なのに対し、10年以上50年未満の間で定められます。事業用定期借地権は、以前は10年以上20年以下の間で定めると決められていました。そのため、事業用定期借地権を利用してガソリンスタンドやコンビニエンスストアなどを始めようとする事業者は、20年後には建物を解体しないといけないことが問題視されてきていました。

こうした問題を解決するため、平成20年1月1日より借地借家法が改正され、事業用定期借地権は10年以上50年未満の間で借地期間を定めるよう改められています。

なお、事業用定期借地権においては、借地期間を10年以上30年未満に設定するか、30年以上50年未満に設定するかで内容が異なります。具体的には、借地期間10年以上30年未満であれば契約の更新や借主による建物買取請求はありませんが、30年以上50年未満で設定した場合は契約の更新と借主による建物買取請求があります(ただし、特約によりなしと定めることも可能です)。

事業用定期借地権の借地期間による区分

借地期間契約の更新建物買取請求備考
10年以上30年未満なしなし 
30年以上50年未満ありあり特約でなしにできる

事業用定期借地権の契約方法

事業用定期借地権を契約するためには、契約の内容に以下の3つの要件を盛り込む必要があります。

1.借地権の存続期間を10年以上30年未満もしくは30年以上50年未満にする
2.借地上の建物を事業用(居住用を除く)に限定する
3.公正証書で契約する

事業用定期借地権は、公正証書で契約を結ばなければなりません。公正証書で契約するためには、公証役場に依頼し、公証役場が作成した公正証書に署名・捺印する必要があります。公証役場での署名・捺印においては貸主と借主、公証人で日程の調整が求められます。公正証書でない書面で事業用定期借地権を契約したとしても事業用定期借地権としては無効です。それだけでなく、普通借地権として取り扱われるケースもあります。

こうしたケースでは期間が満了しても返還を受けられないこともあるため注意が必要です。借地契約が決まった段階であらかじめ覚書を作成するなどの対策をしておくとよいでしょう。

事業用定期借地権の収益モデル

ロードサイドにあるなど、居住用としては使いづらい土地を、事業用定期借地権を活用して事業者に借地することができます。借地期間中は、貸主から借地料を受け取ることが可能です。

事業用定期借地の収益の計算式

仮に、20万円/月で貸した場合は年間で240万円、10年で2,400万円の収益を得ることができます。なお、借地により利益が出ると不動産所得として税金を納める必要があります。また、あくまでも所有者は貸主のため毎年の固定遺産税や都市計画税は支払い続けなければなりません。

借地による収益
借地料ー(不動産所得による所得税・住民税)ー(固定資産税・都市計画税)

建物を建てて貸し出す方法もある

他に、土地の上に賃貸物件を立てて事業者に貸し出す方法もあります。この方法であればより高い賃貸料を得ることができますが、初期費用がかかるのに加え、事業者が倒産してしまったような場合、次の事業者を見つけるまで収入を得ることができないというリスクがあります。

例えば、1億円で建物を建てて50万円/月の賃料を得られるようになると、年間600万円、10年で6,000万円の賃貸収入となりますが、10年経った時点で事業者が倒産したり、借地期間が終了したりすると、収益がマイナスのままとなってしまいます。

隣接地と共同で事業用定期借地権を設定する

また、借地しようとする土地が事業をするには小さい場合、隣地の所有者と合わせて事業者に定期借地する方法もあります。たとえば、あなたをAさん、隣地の所有者をBさんとすると、AさんとBさんそれぞれが事業者と契約する方法と、AさんとBさんで借地契約を結び、土地を一体化した上でAさんと事業者とで借地契約を結ぶ方法があります。

事業用定期借地権地のメリット・デメリット

事業用定期借地権にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

事業用定期借地権のメリット

事業用定期借地権には以下のようなメリットがあります。

1.事業リスクを負わずに地代収入を得ることができる
2.居住用よりも高い地代を設定できる
3.相続税の軽減ができる

1.事業リスクを負わずに地代収入を得ることができる

事業用定期借地権のメリットとして、事業リスクを負わずに地代収入を得ることができるという点が挙げられます。

通常、事業用定期借地権を利用しようとする土地であれば、居住用に向かないロードサイドにあることが多いですが、事業用の土地となると売却しようとしても利用者が限られます。一方で、自分で事業を始めるにはリスクが大きいと考える方もいらっしゃるでしょう。

事業用定期借地権であれば、事業者としても最初の負担を少なく事業を始めることができ、貸主は自分で事業するリスクを負わずに安定した収入を得られるというメリットがあります。

2.居住用よりも高い地代を設定できる

一般的に、事業用として貸し出す際には居住用として貸し出すのより高い地代を設定できます。

そもそも、ロードサイドにある土地などは土地の評価も高いことが多いです。居住用としては向かないものの、利用したい事業者がいれば、比較的高い価格で貸しに出せることが少なくありません。

3.相続税の軽減ができる

定期借地権の設定されている貸宅地は、その定期借地権の残存期間に応じて一定の評価減が認められています。

定期借地権の評価減
定期借地権の残存期間評価減
15年を超えるもの20%
10年超~15年以下15%
5年超~10年以下10%
5年以下5%

例えば、土地の相続税評価額が5,000万円の土地を30年で貸し出し、10年経過後に相続が発生した場合、5,000万円×20%=1,000万円の評価減を受けることができます。

事業用定期借地権のデメリット

一方、事業用定期借地権には以下のようなデメリットがあります。

1.満期まで中途解約できない
2.固定資産税の減税はない
3.利用者が限られる

1. 満期まで中途解約ができない

借地権は、定期借地のみならず、普通借地においても期間の途中で中途解約することはできません。特約を設ければ借主から中途解約することはできるものの、貸主は特約を設けたとしても中途解約は認められていません。

この点には十分留意しておく必要があるでしょう。

2. 固定資産税の減税はない

土地の上に居住用の建物が建てられれば、6分の1から3分の1に減税される特例がありますが、事業用定期借地の場合にはこの減税を受けることができません。特に、これまで住宅が建っていた土地で、建物を解体して事業用定期借地するような場合には注意が必要です。

3. 利用者が限られる

事業用定期借地のデメリットとして、利用者が限られるという点が挙げられます。とはいえ、そもそも事業用定期借地を利用しようとする土地は居住用の土地として使いづらい土地であることが多いでしょうから、売却などと合わせて活用を検討するとよいでしょう。

事業用定期借地権に向いている土地

事業用定期借地に向いている土地としては、以下のような項目がポイントです。

1.長期間使わない土地
2.ロードサイドや商業地にある土地
3.ある程度まとまった大きさのある土地

事業用定期借地権は10年~50年の間、事業者に土地を貸す契約です。中途解約できないため、基本的には長期間使わない土地であることが第一条件となるでしょう。

また、事業用定期借地権の借主は事業者になるため、その事業者にメリットのある立地でないといけません。事業用定期借地権を利用した事業としてはコンビニエンスストアやレンタルショップ、ラーメン店の他、大型ショッピングセンターやパチンコ店、ディスカウントストアなどが考えられます。

コンビニエンスストアやレンタルショップ、ラーメン店であっても駐車場を考えると数百坪の広さが必要となりますし、大型ショッピングセンターやパチンコ店であれば数千坪の広さが必要となることもあります。基本的には、数十坪程度の土地では事業用定期借地権にそぐわないことが多いです。

事業用定期借地権の活用事例

事業用定期借地権を活用される例として、コンビニエンスストアの出店がありますが、大手コンビニエンスストアのローソンでは、出店ガイドラインを以下のように定められています。

出店場所住宅地路面郊外ロードサイド
契約期間15年以上
敷地面積120坪以上(間口20m以上)
用途地域第一種低層住居専用地域、工業専用地域以外

次に、大手パチンコ店のダイナムでは、出店用地として以下のような条件が提示されています。

出店場所郊外
契約期間20年以上
敷地面積2,000坪以上
道路幅員6m以上
用途地域準工業・工業・商業・近隣商業・無指定、契約期間

基本的に、一定以上の大きさの敷地面積がないと土地活用もできませんが、隣接地の所有者と一体で定期借地を結ぶようなことも可能です。

まとめ

土地活用のひとつの方法として、事業用定期借地権についてお伝えさせていただきました。事業用定期借地権を利用する土地は、居住用に向かない土地であることが多く、そうした土地では売却など他の活用法でも利用者が限られるため、土地活用の選択肢が増えるのは大切なことです。

居住用に使える土地であっても、事業用定期借地権を活用することで居住用より高い賃料を得られる可能性もありますが、一方でこれまで居住用として使っていた土地の場合には固定資産税の減税が受けられない点には注意が必要です。

交通量の多い土地や、広大な土地を所有しているなら、
事業用定期借地権を検討してみましょう。

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【監修】逆瀬川勇造

【監修】逆瀬川勇造

【資格】AFP(2級FP技能士)/宅地建物取引士/相続管理士

大学在学中に2級FP技能士資格を取得。
大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ~造成、不動産売買に携わる。

※紹介されている情報は、記事公開当時の内容となります。