土地活用を検討するなら、
利回りの意味・計算方法を必ず理解しましょう!
目次
土地活用における「利回り」とは

たとえば、1,000万円投資して、年間で100万円の利益が得られるのであれば、年間利回りは100万円÷1,000万円×100=10%となります。基本的な考え方は以上の通りなのですが、土地活用においては利回りには大きく2種類あり、どちらの利回りを指しているかによって意味が異なるため注意が必要です。2種類の利回りとは、「表面利回り」と「実質利回り」のことです。
表面利回り
実質利回り
NOI利回り
なお、NOI利回り(実質利回り)はFCR(Free and Clear Return)と呼ばれることもあります。
利回りと利率の違い
たとえば、100万円で利率3%の金融商品を購入すると1年後には3万円の収益が得られます。一方、1年後に金融商品の価格が99万円になったり、101万円になったりすると、前者では利益が3万円(利息)-(100万円-99万円)=2万円に、後者では3万円(利息)-(100万円-101万円)=4万円になります。
前者であれば利回りは2万円÷100万円×100(%)で2%、後者であれば4万円÷100万円×100(%)=4%です。利率と利回りの違いについて、間違いのないようしっかり確認しておきましょう。
土地活用における利回りの注意点4つ

入居率を考慮することが大切
もちろん、実際に立地がよいなど人気があれば1年間満室で運営できることもあるでしょう。しかし、そうでない場合、たとえば実勢の平均入居率が80%程度の場合には1,200万円/年×80%=960万円/年程度しか収入が得られず、利回りは9.6%となります。年間で1,200万円/年収入があることを想定していたのに、960万円しか入ってこないとなれば、その埋め合わせをどこでするのかも考えなければなりません。
工夫を凝らして入居率を高めることは大切ですが、実際に手元にどのくらいの金が入ってくるかについてはより厳しい基準で考慮する必要があります。
利回りの高い物件ほどリスクが高い
「利回りが高くて売れ残っている物件」は、基本的には需要が薄く、投資(土地活用)するにはリスクの高い分野であると考えましょう。
利回りは変わる可能性がある
表面利回りよりも実質利回りをチェック
ランニングコストと諸経費について
甘い予測で投資判断をすると後悔することも…
自身でも調べつつ、プロの意見にも耳を傾けましょう。
土地活用の利回り相場(平均利回り)

たとえば、1億円投資した場合、年間の収益は700〜800万円程、各種経費が差し引かれると400〜600万円程度残ります。そこからローンの返済や税金の支払いが発生します。この数値は不動産投資において、土地から購入することを前提とした利回りのため、土地は所有していることを前提にする土地活用においては、もう少しよい数値になるでしょう。次に土地活用における利回りについて相場を紹介していきます。
4つの土地活用の利回り相場を紹介

それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.アパート・マンション
たとえば、1億円のマンションでその内訳が建物7,000万円、土地3,000万円だった場合、平均的な利回りを考慮すると年間の家賃収入は700〜800万円、経費を差し引いた収入は400〜600万円です。土地があることを前提とすると、土地活用における表面利回りは700〜800万円÷7,000万円で10〜11.4%、実質利回りは5.7〜8.5%となります。
2.駐車場・トランクルーム
たとえば、自動車が5台(月極5,000円/台)停まる駐車場を、100万円で整備した場合、表面利回りは2.5万円/月×12ヶ月÷100万円=30%となります。これに、管理費用として30万円/年×5%=1.5万円/年を支払い、固定資産税として10万円支払うとすると、実質利回りは30万円-11.5万円÷100万円=18.5%です。
一方、トランクルームでコンテナを5台、1台1万円/月で貸し出し、初期費用として300万円かかったとすると、表面利回りは1万円/月×5台×12ヶ月÷300万円=20%となります。また、年間の経費として管理費が60万円×20%=12万円、固定資産税が3万円だったとすると、実質利回りは60万円-15万円÷300万円=15%です。
3.太陽光発電
50kwのソーラーパネルを設置することを想定し、設置費用は1,200万円程度、年間の収入は10万円/月だとすると、表面利回りは10万円/月×12ヶ月÷1,200万円=10%となります。また、清掃などの維持費で年間10万円、固定資産税として30万円費用がかかるとすると、実質利回りは120万円-40万円÷1,200万円=6.6%です。
4.高齢者施設
※下表は土地を所有していることを前提に計算をしています。

よくある質問

- 高利回りを実現するためにできることは?
- できるだけ高い利回りを目指すためには、まず、さまざまある土地活用の方法を比較検討することが大切です。需要は利回りに大いに影響します。所有している土地はどのようなエリアに位置していて、どのような需要が期待できるかなど含めながら土地活用の方法を比較するようにしましょう。悩む場合は、土地活用の専門家に相談することも一案です。
- 利回りが下がる一方…対策はある?
- 賃貸アパートやマンションの場合は、空室率改善のためにリフォームするなどの対策を取ることが可能です。仮に、対策を取ってもなお利回りが改善されない場合は、売却を検討しても良いでしょう。収支状況が悪化し、身動きが取れなくなる前に行動することをおすすめします。売却については、土地売却の記事を参照ください。
- 土地活用を成功させるために必要なことは?
- 土地活用は事前準備や事前調査をしっかり行わなければ、想定していた収益を得られなかったり、想定以上の初期費用がかかったりなどのリスクがあります。これらを回避するためにも土地活用を始める前に検討期間を設けることが大切です。まずは、立地や周辺環境を調べた上で、土地活用の専門家に相談してみるとよいでしょう。詳しくは、土地活用の記事を参照ください。
まとめ

土地活用を検討するなら、
利回りの意味・計算方法を必ず理解しましょう!

監修逆瀬川 勇造
【資格】AFP(2級FP技能士)/宅地建物取引士/相続管理士
明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。
大学在学中に2級FP技能士資格を取得。
大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。