いらない土地を手放したい!放棄や寄付など処分する方法を解説します

2024.02.29更新

この記事の監修者

逆瀬川 勇造

逆瀬川 勇造

【資格】AFP/2級FP技能士/宅地建物取引士/相続管理士

いらない土地を手放したい!放棄や寄付など処分する方法を解説します

土地の処分に困っている方へ、土地の所有権に関する基礎知識や不要な土地を処分する方法について事例に合わせてご紹介します。

この記事のポイント
  • いらない土地の処分方法は「寄付」「放棄」「売却」の3つ!
  • 所有者不明土地に関する新制度が令和元年に施行されています。
  • いらない土地を国に引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属制度」も合わせて確認しましょう。

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目次

不動産ならぬ"負"動産|いらない土地は処分できる?

不動産は、所有しているだけで固定資産税を支払わなければならないなどの理由から、実家にある土地を親から譲り受けているものの活用していない場合にうまく処分できないかと考える方は少なくないようです。

もちろん、正規の方法で売却できればよいのでしょうが、田舎の土地だと買い手もなかなかつかないでしょう。不動産が”負”動産になる主な要因としては、以下のようなことがあります。

1.固定資産税がかかる
2.損害賠償のリスクがある
3.管理の手間がかかる

1.固定資産税がかかる

不動産は、使っていなくても持っているだけで固定資産税を支払う必要があります。田舎で土地の評価も低ければ固定資産税も安くなりますが、それでも土地が広いと負担額は馬鹿になりません。

しかも、建物が建っていたり、農地であれば税負担軽減の適用を受けられたりしますが、通常の土地で建物が建っていない場合はその特例の適用も受けられません。

なお、農地として固定資産税の軽減税率の適用を受け続けるためには、継続して耕し続ける必要がありますし、空き家が建っている場合は適切な管理が行われていないと特定空き家と指定され、特例の適用を受けられなくなる可能性があります

2.損害賠償のリスクがある

がけ地などで、崖崩れが起こり損害を生じさせた場合には損害賠償責任を負う必要があります。また、建物が建っている場合で空き家が倒壊して通行人を怪我させたりした時も同様です

3.管理の手間がかかる

さらに、土地は定期的に管理しなければ草が生えてしまいます。

そのまま放置すれば伸び続けて、周辺の土地の所有者からクレームを受けることもありますし、市町村によっては条例で雑草の除去が義務付けられている場合もあります

土地の所有権についておさらい

基本的に土地の所有権はいらないからといって放棄することはできません。民法では、不動産の所有権について「所有者のない不動産は国庫に帰属する(民法第239条第2項)」としています。

これは勘違いしがちな文章なのですが、いらない土地は所有権を放棄すれば国のものになるというわけではありません

なお、このほかのどの条文にも土地の放棄について書かれたものはなく、基本的に、土地の所有権は使わないからといって放棄することはできないのです。

土地の所有権を放棄することができないことはわかりましたが、ほかに土地を手放す方法はないのでしょうか?以下3つの手放す方法を考えてみましょう。

【土地を手放す方法その1】寄付する

一般的な方法では土地を売却できなかった時に、寄付するという選択肢もあります。

ただ、もちろん誰でも受け取ってくれるというわけではなく、基本的には次のような寄付先の中から選ぶことになります。

1.自治体へ寄付する
2.個人へ寄付(譲渡)する
3.法人へ寄付(譲渡)する

1.自治体へ寄付する

寄付先として最初に思い浮かぶのは市町村などの自治体ではないでしょうか。しかし、実際には自治体は使用する目的がなければ土地など不動産の寄付を受け付けてくれません

もちろん、自治体ごとに設けられた条件を満たせば、無償で引き取ってくれますが、これはあまり多くありません。

というのも、市町村にとって土地の所有者に対して課税する固定資産税は大事な収入源であり、その土地を特に使い道もないのに受け取っていては税収が減ってしまいます。

しかも、仮に寄付を受けた場合、その土地を管理するのにも手間と費用がかかります。そんなことを無条件で続けていては、いずれは財政が立ち行かなくなることは目に見えているでしょう。

なお、自治体へ寄付する場合、その手順は自治体によって異なりますが、大筋は以下の通りです。相談時に対象の土地について、その情報のわかる公図や謄本、写真を用意しておきましょう

2.個人へ寄付(譲渡)する

個人への寄付は相手が大丈夫なら誰でもよいのですが、基本的にはあなたがどう活用してよいかわからない土地を欲しがる人はそういないと考えた方が自然でしょう。

ただ、ひとつだけ有効な方法があります。それは、 ”隣地の所有者に対して寄付すること” です。隣地の所有者であれば、土地を有効活用しやすいですし、もともとあった土地をまとめてひとつの土地とすることもできます

なお、個人への寄付については、相手方に税金がかかります。寄付を受けた個人は、贈与を受けたことになるからです。

贈与税は、毎年110万円の基礎控除を受けられるため、土地の評価額から110万円を差し引いた額に所定の贈与税の税率が課されて、税額が決まります。
基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%-
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1,000万円以下40%125万円
1,500万円以下45%175万円
3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円

3.法人へ寄付する

法人への寄付も検討してみるとよいでしょう。個人であれば、隣地の所有者くらいしかすぐに思い浮かぶ寄付先はありませんが、法人であれば事業や保養目的としての利用も考えられるため、欲しがる企業はあるかもしれません。

また、個人だと譲渡を受けるための税金がかかりますが、法人であれば費用も経費扱いとすることができます。

なお、寄付先の可能性としては、一般企業より公益法人等(社団法人や学校、自社、NPO法人など)の方が高いと言えるでしょう

上記いずれかの寄付先に寄付が決まったとして、実際に寄付する時には所有権移転登記費用がかかります

所有権移転登記は司法書士に依頼するのが一般的ですが、登記時に税金として支払う登録免許税、司法書士に支払う司法書士報酬で合わせて10〜30万円ほどはかかると考えましょう

不動産の売買の場合、所有権移転登記の費用は買主が負担するのが一般的ですが、寄付の場合、どちらが負担するのかは話し合いのうえで決めるとよいでしょう。

なお、寄付ができた場合、寄付した側には所得税が、寄付された側には贈与税が課される可能性があるため注意が必要です

寄付する側の税金としては、寄付先の相手によって以下のように取り扱いが変わります。つまり、寄付した先が法人で、一般企業であれば譲渡所得が課税される可能性があります。
寄付先寄付する側への課税の内容
個人課税されない
自治体課税されない
一般企業みなし譲渡所得として課税される
公益法人等みなし譲渡所得として課税されるが所定の手続きで非課税

チェックポイント!

なぜ、利益を得ていないのに譲渡所得を課される可能性があるかというと、土地を寄付する際、土地を売却して現金を取得した後、その現金を寄付先に寄付したとみなされるから、とのこと。

詳しくは税理士など専門家に確認するとよいでしょう

【土地を手放す方法その2】放棄する

すでにご説明したように、基本的に土地を放棄することはできません。ただし、両親が所有している土地などで、相続の際に相続放棄をすれば、土地の所有権を放棄することができます。

相続前であれば相続放棄する

実家の土地などは相続のタイミングで相続放棄することで所有権を放棄できます

相続放棄すると、土地だけでなく、ほかの財産もすべて放棄しなくてはなりませんが、相続放棄した後は固定資産税などの支払いをしなくてよくなります

管理義務に注意

ただし、相続放棄したとしても、その土地の管理義務は継続されます

「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意を持って、その財産の管理を継続しなければならない(民法第940条)」

この義務を免れるためには、家庭裁判所に申し立てをして相続財産管理人を選任する必要があります。

この辺りの手続きは、相続放棄の手続きと合わせて司法書士がすすめてくれますが、相続財産管理人申し立ての際に予納金として数十万円~の費用がかかることに注意が必要です

【土地を手放す方法その3】売却する

土地を寄付したり、放棄したりする方法以外に売却することも再検討してみるとよいでしょう。

売り出し価格・売り方の見直しも

再検討する際には、売り出し価格や売り方の見直しをしてみましょう。

具体的には、売り出し価格を安くしてみる、もしくは建物が建っているのであれば解体して更地にして売り出してみる、または空き家バンクに登録してみるといった方法があります。

売り出し価格を再検討する

売り出し価格については、寄付も考えているくらいであればほとんど無料の価格で売り出ししてみるのもよいでしょう。

ただし、この場合、売り出し価格が安ければ安いほど不動産会社が受け取る仲介手数料も小さくなり、頑張るモチベーションに欠けるため、別途報酬を支払うことを約束するなどの工夫が必要でしょう。

土地の売却は、複数の不動産業者にまとめて査定ができる一括査定を活用しましょう。

建物を解体して更地にしてみる

また、新築住宅が建てられる土地であれば建物を解体して更地にすることで格安の新築用地として売却することができるかもしれません。

なお、この場合、地元の建売業者に買取を依頼してみるのもひとつの方法でしょう

空き家バンクに登録してみる

さらに、空き家バンクに登録してみるのもよいでしょう。空き家バンクに登録すると、自治体やNPO法人などが運営するサイトに物件が登録されます。

空き家バンクは、基本的に移住希望者しか利用できないため、一般の不動産を求めている人とは別の層の閲覧者が物件の情報を見ることになります。

通常の不動産売却を並行して空き家バンクへの登録を進めてみるとよいでしょう。空き家バンクについては、以下の記事を参照ください。

土地活用を再度考えてみる

将来的に処分することを前提に、土地活用を考えてみるのもひとつの方法です。田舎の土地でも、太陽光発電であれば立地に関係なく活用することができます

また、市街化調整区域外など、建物を建てられるエリアの場合、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)であれば、あまり立地を気にせずに始めることができます。

そのほか、土地が農地であった場合には、市民農民として市民に農地を貸し出したり、農業体験をしたりといった活用法も考えられます。田舎の土地活用については、以下のページでも詳しくご紹介しています。

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所有者不明土地に関する新制度が令和元年に施行

所有している土地を管理せず、相続が発生しても登記をしないといったことが繰り返された結果、所有者不明の土地が全国に約410ヘクタールも存在するとの報告がされています。

このような所有者不明土地の発生を抑制するための手立てとして、令和元年6月1日「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が全面施行されました。

この特別措置法により、たとえば、長期間にわたって相続登記がされていない土地があった場合、登記官が職権で法定相続人などに登記手続きを直接促すことができるようになります

詳しくは国土交通省のページを参照ください。

土地を手放したい人のための「相続土地国庫帰属制度」とは

2021年4月には、いらない土地を手放したいと考える方のために、いらない土地を国に引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属制度」が創設され2023年4月からスタートしています

本制度を利用する場合は、相続や遺贈により所有権の全部または一部を取得した相続人が申請をしなければならず、申請には所定の申請書の提出が必要です。

そのほか、本制度を利用するための詳しい要件は法務省のページなどで確認することができます。

よくある質問

ここでは、土地売却に関するよくある質問をご紹介します。
土地売却にはどのような費用がかかる?
土地の売却には、不動産会社に支払う仲介手数料やローンが残っている際に支払う一括返済の手数料が必要になります。

また、土地の測量をする際には測量費用が、土地を更地にして売却する際には解体費用が必要です。その他、土地売却には印紙税などの税金もかかることになります。詳しくは土地売却の記事を参照ください。
狭小地を高く・早く売るためのポイントは?
狭小地は、ローンが組みづらいなどの理由から、一般的に売却しにくいと言われています。そんな狭小地を高く、早く売るためには、まずは買取業者に買い取りを依頼してみましょう。

または、隣地を所有している方に買い取りを打診するのも1つの手です。自分では聞きづらいという場合は、不動産会社に仲介を依頼する際に相談することをおすすめします。詳しくは狭小地売却の記事を参照ください。
土地の一部を売却するにはどうすればいい?
土地の一部を売却する場合は分筆する必要があります。手順としては、事前調査を行い分筆案を作成、土地分筆登記を行うといった流れが一般的です。

なお、土地の分筆は土地家屋調査士に依頼して行うことになりますが、どのように分筆するかなど状況によって費用は大きく変わるため、見積もり依頼をするようにしましょう。詳しくは分筆の記事を参照ください。

まとめ

土地の放棄や寄付についてお伝えしてきました。現行の制度では、隣地所有者への寄付や相続時の相続放棄、空き家バンクの活用などが主要な解決策となると思います。

太陽光発電やサ高住など土地活用について相談する場合には、土地活用のプラン一括請求サービスも合わせて活用してみてはいかがでしょうか。

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逆瀬川 勇造

逆瀬川 勇造

【資格】AFP/2級FP技能士/宅地建物取引士/相続管理士

明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。大学在学中に2級FP技能士資格を取得。大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
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