待機児童問題に貢献できる土地活用「保育園経営」のメリットや注意点を解説

  • 更新日:
  • 2022年11月30日
待機児童問題に貢献できる土地活用「保育園経営」のメリットや注意点を解説
社会貢献と同時に安定経営を期待できると話題の土地活用「保育園経営」に関心のある方に、始め方を詳しくご紹介します。

目次

社会貢献にもなり、安定経営の期待できる保育園経営。
準備前に専門家の意見を聞いてみましょう!

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需要はまだまだ多い?保育園をとりまく社会環境

待機児童問題が取り沙汰されてから、厚生労働省や各自治体はさまざまな解決策を実施してきましたが、現在、待機児童数はどのような状況になっているのでしょうか。

保育所等関連状況の調査によれば、令和2年4月1日時点の待機児童数は12,439人で前年比4,333人の減少となっていました。一方、保育所等を利用する児童の数は274万人で前年比5万8千人の増加となっています。

待機児童数は減少傾向にあるものの未だ全国で1万人を超えており、かつ、保育所等を利用する児童は増加傾向にあることから、保育園の需要はまだまだ底堅いと言えるでしょう
利用児童数待機児童数
7都府県・指定都市・中核市1,662,198人7,896人
その他の道県
1,075,161人4,543人
全国計2,737,359人12,439人

保育園の種別

保育園の正式名称は保育所です(本記事では、一般的な呼称である「保育園」で進めます)。保育園は児童福祉施設の1つであり、児童福祉法による定義は「日々保護者の委託を受けて、保育に欠けるその乳児又は幼児を保育することを目的とする施設(児童福祉法第39条第1項)」となっています。

保育園のほかに、子どもを保育する場として幼稚園や認定こども園がありますが、保育園と幼稚園の大きな違いは、保育園が0歳からの保育に欠ける子どもの保育を目的としているのに対して、幼稚園は満3~5歳の子どもの教育機関であることです

また、こども園は保育園と幼稚園を合わせたような施設で、教育と保育の両方を目的とし、すべての0歳以上の子どもを対象としています。

保育園の種別は大きく認可保育園、認可外保育園に分けられます。認証保育園という東京独自の保育園制度もありますが、基本的には認可外保育園に含まれます。また、認可外保育園は、認可保育園に入園できなかった場合や、夜間の保育が必要な場合など、多様なニーズに応えるための施設です。

ここからは、3タイプの中でも、長期安定経営が可能とされる認可保育園(2015年からの新制度による小規模認可保育園も含む)について説明していきます。

保育園の運営方法は2つ

ここからは、保育園を経営するためにはどのようなことが必要か、具体的な運営方法について解説していきます。その前に、保育園を開設する流れを見ていきましょう。まずは、保育園の開設が可能かどうかの確認から始まり、以下のような流れで進んでいきます。
Step1各自治体に保育園の開設が可能な土地かを確認する(※2の業者契約後に業者に依頼しても良い)
Step2土地活用の専門業者(不動産会社、建設業者、マッチング業者など)に保育園による土地活用を依頼・契約する。
Step3業者経由で保育事業者を選び、適切な業者と契約を結ぶ
Step4自治体に対して保育所開設の提案
Step5自治体による審査後、認可がおりる
Step6工事の着工、保育園の開設
では、運営方法について解説していきましょう。保育園の運営方法は大きく分けて自社運営と委託運営の2つの方法があります。それぞれのメリット・デメリットは以下の通りです。
なお、委託運営には、定期借地式とリースバック式の2種類あります。以下で詳しく見ていきましょう。

事業用定期借地式

事業用定期借地式とは、借地権の一種である「事業用定期借地権」の制度を利用して保育園用の土地を貸し出す方法です。保育園の運営を行う業者に土地だけを貸す形になりますので、初期投資のコストもかからず、地代を安定して受け取ることができます

ただし、事業用定期借地式の場合リスクは低いですが、土地の賃料のみが収入となるので収益性はそれほど高くない点には注意が必要です

リースバック式

リースバック式は、所有する土地に保育園の運営業者のお金(建設協力金)で保育園の建物を建設した上で、土地と建物を運営業者に貸し出す方法です。運営業者が支払う建物の賃料から建設協力金を差し引いて返済していきます。

リースバック式なら、土地と建物についての賃料を受け取ることができ、また建物建設コストもおさえることができます。なお、リースバック式の場合、建物の固定資産税の負担は所有者の方になる点、業者から賃料の減額を求められる可能性がある点に注意が必要です

自身で運営するという方法も

ここまでは業者委託による土地活用の方法について解説してきました。もちろん、保育園を自分自身で経営するという方法もあります。

保育園のフランチャイズの傘下に入ったり、コンサルタントに相談しながら運営していったりすることも不可能ではありませんが、上述したように、運営・雇用・トラブル解決などをすべて自分で行う必要があり、難易度が非常に高いということは念頭に置く必要があります。

保育園の設立条件

認可保育園の設立にあたっては、国の基準を受け、各自治体が設立の要件を設けています。具体的には、園児1人当たりの面積として、以下に示すような基準が示されています。

<乳児又は満2歳未満の幼児 >
乳児室1.65m2/1人
ほふく室3.3m2/1人
<満2歳以上の幼児 >
保育室1.98m2/1人
遊戯場1.98m2/1人
屋外遊戯場3.3m2/1人(公園などで代替え可能)
上記のほかにも、建物の基準などさまざまな要件が求められます。各自治体により要件が異なるため、市区町村役所への問い合わせや、市区町村のホームページなどで事前に確認しておくようにしましょう

保育園を経営するメリット

ここからは、土地活用としての保育園経営のメリットについて解説していきます。

補助金がもらえる

保育園経営のメリットとしては、以下のような各自治体の補助金制度を活用できる点が挙げられます。

1.建設補助金(自治体により異なる)
自治体により異なりますが、保育園の建物の建設費用について、自治体から補助金が期待できます。たとえば東京都の場合、建設補助金として建設費用の4分の3が補助金として支給されます。

2.園児の保育への補助金
自分で経営する際の収支に関係する話ですが、園児一人につき、毎月保育単価が補助金として支給されます。保育単価は自治体、施設の定員数、職員の平均勤続年数、受け入れている園児の年齢によって異なり、園児の年齢は年齢が若いほど高単価になります。

税金が免除される

自治体にもよりますが、たとえば東京都においては、保育園運営に使われる土地について固定資産税・都市計画税が5年間免除になります。

安定した経営が期待できる

事業用定期借地権の借地期間は法的には10年以上50年未満と定められています。保育園経営の場合、事業用定期借地式やリースバック式にしろ、一般的には20年以上の契約を行います。このため長期間にわたり安定した収入が見込めます

社会貢献できる

上述の通り、日本はまだまだ待機児童が多く、社会問題になっています。保育園の開設は待機児童を減らすために有効な手段であり、社会的意義がある活動といえるでしょう。

保育園を経営するデメリット

保育園経営のメリットについて前述しましたが、デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

開園までの道のりが長い

自治体の審査なども含め、開園までには長い時間がかかります。たとえば認可保育園の場合、状況によっては2〜3年かかる場合があります

近隣住民からの反対が起こりうる

保育園を建てる場合、近隣住民から保育園の開設反対が起こる可能性があります。開園前は騒音や周囲環境への影響を理由に保育園開園反対運動が起こり、開設の延期や中止といった事態に陥る可能性があります。

また開園後も、園児たちの出す声や音などがうるさいという騒音へのクレームが発生したり、送迎自転車・自動車の増加による交通上のトラブルが発生する可能性もあります

事故の危険性がある

保育園における事故の危険性もあります。保育の現場では、飲食物の誤飲、遊具を使った際の転倒や怪我といった事故が起こる可能性があり、場合によっては閉園せざるを得なくなることもあります

土地転用が難しい

保育園経営の場合、当然ですが保育園用の建物が建てられることになります。保育園の運営が思わしくなく閉園に至った場合、建物の仕様上コンビニやスーパーなど、ほかの業種への転用が難しいというリスクがあります。

社会情勢に左右される

日本社会は今後も少子化が進むことが予測されています。少子化が進んでいくと、少ない園児を奪い合う供給過多な状況に陥ることが予測されます

保育園経営の注意点|失敗しないためにできること

保育園経営を成功させるためには、業者選定をしっかり行わなければなりません。とくに、委託運営で保育園を経営する場合、委託業者の選定を誤ると失敗につながる可能性があります

運営会社により業務委託費やサポート内容は異なるため、どのような運営サポートをしてくれるか、どのような方法で集客を行うか、委託費はどのくらいかなど事前に確認しておくことが大切です。複数の運営会社に相談するなどして、比較しながら業者を選定するようにしましょう

また、保育園を経営するか否か迷っている場合は、土地活用専門業者への相談もおすすめです。保育園経営を進めるべきかどうかの相談はもちろん、保育園以外の土地活用方法についてもアドバイスをもらうことができます。保育園の運営会社選定と同じように、土地活用の相談先も複数業者を比較しながら選定するようにしましょう

よくある質問

ここでは、保育園経営に関するよくある質問をご紹介します。
保育園を経営するために資格は必要?
保育園の開設・経営には資格は必要ありません。ただし、保育園自体には保育士や看護師などの資格保有者が必要です。とくに自治体の補助金や助成金を受ける場合は資格者の基準を満たす必要があります。なお、基準については各自治体に確認するようにしましょう。
保育園経営に関する相談先は?
保育園経営に関する相談先として、まずは自治体があげられます。保育園開設に関する情報を掲載している自治体などもあるため、一度、自治体のホームページなどを確認してみることをおすすめします。そのほか、土地活用専門業者への相談も一案です。無料一括相談サービスなど積極的に活用すると良いでしょう。
保育園経営は相続税対策にもなる?
保育園経営は相続税対策になります。保育園として活用している土地について、一定の要件を満たす必要がありますが、小規模宅地の特例制度を適用することができ評価を下げることが可能です。

まとめ

保育園経営は社会貢献性の高い土地活用です。補助金や減税を受けられるほか、安定経営が期待できるなどのメリットもあります。その一方で、人口減少に伴う園児不足の可能性や、近隣住民とのトラブルが起きる可能性などのリスクもあります。まずは、開設を予定しているエリアで保育園の需要を確認しましょう。また、土地活用の専門業者に相談することも一案です。

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中村 裕介

監修中村 裕介

【資格】宅地建物取引士/保育士

1983年福岡生まれ。上海復旦大学卒。

商社、保育園、福祉施設での勤務を経て、現在は不動産と旅行系の記事を中心に手がけるライター兼不動産経営者。実際に店舗・住宅を提供している立場から、不動産に関する記事を執筆しています。

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