古い家を売る7つの方法|税金や税制優遇措置についても解説します

2024.07.16更新

この記事の監修者

秋津 智幸
秋津 智幸

公認不動産コンサルティングマスター/宅地建物取引士/AFP/2級FP技能士

古い家を売る7つの方法|税金や税制優遇措置についても解説します

古い家は売れるのかどうか、売れるとしたらどのような売り方があるのかを知りたい方に向けて、古い家の売却方法と注意点をお伝えします。

この記事のポイント
  • 古い家を売るときにはトラブルが起こりがち。スムーズに売却するためには不動産の現状を正確に把握することが大切です。
  • リフォームするか否か、更地にするか否か、ターゲットは個人か企業か…不動産会社に相談しながら戦略をたてましょう。
  • 古い家の売却を成功させるため、税制優遇措置や補助金など活用できる制度を上手に使うことをおすすめします。

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目次

古い家を売る7つの方法

古い家を売るための方法として大きく分けると「中古住宅」として売るか「土地」として売るかになります。さらにそれぞれの売り方にも工夫があり、ここでは売り方のバリエーションをお伝えします。

1.そのまま売りに出す

古い家を売る場合のオーソドックスな方法は現状のままで売却することです。現状のままといっても次の2とおりの方法があります。

1.中古住宅
2.古家付きの土地

古いとはいえまだ十分生活できる状態であれば「中古住宅」として売出し、状態に応じた価格設定が可能です。つまり査定額は「土地+建物」で評価しますので、土地代に建物の評価分が加算できる可能性があります。

建物の劣化が激しくある程度のリフォームが必要な場合は、「古家付き土地」として土地代のみの評価に基づいた売出し価格の設定を行います。

「古家付き土地」であっても買主によっては、そのまま居住用に使用するケースもありますし、リノベーションによる再生住宅として検討するケースもあります。

後述する「更地」の売却よりも売却時の手間はかからず、建物分の瑕疵担保を免責できるとシンプルな取り引きをすることが可能です。

2.解体して更地にして売る

建物の再利用が見込めず「土地」として売る場合は「更地」による売却を選択します。ただし建物解体時期は、売出し前に解体するケースと、売出し時には建物はありますが「更地渡し」を条件に売買契約し、契約後に解体を行い引き渡すケースがあります。

売出す前に解体する場合、「更地渡し」として契約後に解体する場合いずれの場合も、解体費用を事前に用意しなければなりません。

また、事前に解体をして売却する場合はその時期を慎重に検討する必要があります。たとえば「居住用財産の3,000万円控除」が適用できるケースでは、解体してから1年以内に売買契約が締結されていることが条件となります。

「売却するのですぐ解体しよう」と焦る必要はありません。解体時期を適切に見きわめることが重要です。

3.不動産会社に買取してもらう

不動産会社の仲介で売却する場合は時間がかかるケースもあります。早く売却して現金化したいといった場合には「買取」を検討します。

買取とは不動産会社に仲介で買い手を探してもらうのではなく、不動産会社に直接買い取ってもらうという売却方法です。条件が折り合えば短期間で売却が完了します。

ただし仲介で売却する場合の「市場価格」よりも買取価格は安くなり、相場の6~8割前後の価格になります。価格は安くなりますが次のようなメリットがあるので、買取は重要な選択肢です。

・瑕疵担保責任を負う必要がない
・室内の片付けができない場合でも可能
・売買代金受領まで1か月程度で済む

2023年9月現在、不動産価格が上昇しており、なかなか買い取りできないこともあり、実際の取引では市場価格の8割程度で買い取っているケースもよく見受けられます。

秋津 智幸
秋津 智幸

4.瑕疵保険を付けて売る

古い住宅の場合は住宅性能の低下や部材・設備の不具合など、購入を検討する人にとっては不安な面が多くあります。そのような不安材料を取り除き安心して古い住宅でも購入できる制度に「既存住宅瑕疵保険」があります。

既存住宅瑕疵保険を付保する場合は、建物が新耐震基準に適合している上で、所定の検査を受けて合格することが必要です。検査は専門の建築士が行い合格すると、売出し時には一定の検査をクリアし、保険の適用範囲で補償がある住宅としてアピールすることができます。

費用は数万円~十数万円ですが、万が一引き渡し後に不具合などが見つかった場合、保険金で修繕することが可能になります。買主も安心ですし売主も万が一の負担を保険で賄うことができるので、双方にとってメリットのある方法です。

5.リフォームして売る

古い家のため売れてもほとんど土地代にしかならない、あるいは古いため売れないかもしれないと考え、リフォームを行ってから売出すといった考え方があります。

リフォームをしたうえで売却するメリットやデメリットについては、下記の記事が参考になりますが、ここではリフォームをするほうが売りやすいケースについてお話しします。
前述した「既存住宅瑕疵保険」と関係することですが、保険付保のため検査をした結果要件を満たせない場合、リフォームすることにより瑕疵保険の要件を満たせる場合です。

たとえば耐震補強工事の範囲が少なく工事費が低額で納まりそうで、ほかには住宅設備などの程度がよく交換の必要がない場合、耐震補強をメインとしたリフォーム工事を行います。

あるいは雨漏りの発生を予想させる状態がある場合、屋根葺き材の交換などで要件をクリアできるのであれば、対象部分をリフォームし瑕疵保険を適用させる方法です。

このような場合はリフォーム工事をし、既存住宅瑕疵保険を付けたうえで売却する考え方は大きな選択肢と言えるでしょう。ただし、リフォームした分、そのままで売却するより手元に残る資金がマイナスになってしまっては本末転倒です。

リフォームせずに売却する場合の価格とリフォーム後に売却できそうな価格を比較して、リフォーム費用のバランスを見極めることが大切です。大がかりなリフォームとなるようであれば、そのまま売却したほうがよい傾向があります。

実際は、高額なリフォーム費用をかけてリフォームしたから、その分高く売れる訳ではありません。また、リフォームすることで、返って、購入して自分の好きなようにリフォームしたいという需要は消してしまうことになります。

秋津 智幸
秋津 智幸

6.隣人に売る

お隣に知られたくないといった事情があるとか、ほとんど交流がないなどの事情がなければ「家を売ることにしました」などと隣家に声をかけてみましょう。

・親や子どもなどのための家探しをしている
・今の家を建て替えて広くしたいと考えている

など隣地だからこそ購入する動機を持っている場合があります。もしも購入する意思がありそうであれば、その後の交渉や具体的な取り引きは仲介する不動産会社に任せますが、隣人にアナウンスをしておくことは有効な方法です。

7.空き家バンクで売る

とくに地方や郊外の家では、一般的な不動産仲介では売るのに難しい場合があります。立地条件からみて一般のサラリーマン世帯が購入するには不便な物件などの場合、通常の中古住宅としてではなく「空き家バンク」を利用するほうが買い手を見つけやすいケースもあります。

・田舎暮らし
・デュアルライフ
・古民家
・農地付き

上記のキーワードにマッチするような立地や物件であれば、空き家バンクのほうが買い手の目に留まる可能性が高いと言えるでしょう。

古い家を売る時によくある問題点と対策

不動産売却では売主・買主間で問題が生じるケースや、取引をすることが難しくなる場合があります。とくに古い家は建てた時から長期間経過しており、所有者が高齢化しているなどの特有の問題が生じることが多いです。

ここではこのような問題点の概要とトラブルが生じた時の対策についてお伝えします。

【問題点1】境界がはっきりしていない

売主には土地の境界を買主に明示する義務があります。明示できない場合は売買取引そのものが完了せず場合によっては「契約不履行」になり、トラブルになることもあります。

境界がわからない場合は測量を行い、すべての隣地の土地所有者に立ち合ってもらい、双方で境界を確認した後「境界標」を設置するなどして境界を明らかにする必要があります。

これを「確定測量」といいます。この確定測量を行い境界票の設置をするには有資格者に依頼する必要があります。この業務の有資格者とは「土地家屋調査士」であり「測量士」ではないことに注意してください。

測量には「現況測量」と「確定測量」があり、隣地とのトラブルがなくある程度の時間がかかってもよい場合は「確定測量」が望ましいですが、買主の了解が得られる場合には「現況測量」で済ますこともあります。

境界石が見あたらない、境界がよくわからないといった場合には、まず仲介する不動産会社に相談することが大切です。

【問題点2】共有名義者がいる

売ろうとする土地や家が「共有名義」になっている場合があります。共有の不動産は共有者全員の同意がなければ売ることはできません。ただし共有者が同意しない場合であっても、自身の「持分」のみの売却は可能です。

持分のみの売却はトラブルが発生しやすく、不動産の利用に制限があるため、簡単に売却できないこともあって、相場価格から大幅に値引きしなければなりません。持分のみの売却であっても、共有者との話し合いをしっかりすることが重要です。

とくに相続した家が共有の場合は、前述したように「3000万円特別控除」の適用を受けるには期限があります。共有者全員で早めに話し合いをしておくことが大切です。

【問題点3】再建築不可物件である

再建築不可とは、現在建っている家を取り壊して新たに建物を建てることのできない土地になっていることを言います。

主に「接道要件」と言い、建築基準法上の道路に面していない場合や道路に接しているがその幅が狭い場合、あるいは接している道路の幅員が狭いなどにより「建築基準法」の規定を満たせない状態が多いです。

再建築不可の物件は住宅であれば、建築確認申請の不要な範囲の増築を含めて、既存の骨組みを残した「大規模な模様替えまたは修繕」は可能です。

購入検討者がこのような使い方を想定している場合や、建物をそのまま利用する方法を考えていることもあり、買主次第で売買が成立する可能性があります。仲介を依頼する不動産会社によく相談するようにしてください。

【問題点4】相続で揉めている

親が住んでいた古い家の相続が決まっていない場合には、売却することができません。親が住んでいた家に限らず不動産は相続登記したうえでなければ、所有権の移転は不可能です。

遺産分割協議がうまくいかず揉めている場合は次のような相談先があります。

・市区町村の無料相談
・弁護士(法テラスなど)
・司法書士
・税理士
・行政書士

どこに相談すべきかを含めて不動産の相続・売却に関しては、まず不動産会社に相談することも有効な方法です。

【問題点5】認知症の親の持ち家である

売却しようとする家の所有が親であり、親が重い認知症になっていて法的な判断ができない場合は、家族が勝手に売却を進めることはできません。「成年後見制度」を使い法的に適正な方法で売却することが必要です。

成年後見制度を利用し成年後見人が所有者の代理人となって不動産の売却手続きを行うには、家庭裁判所に「後見開始」などの申立てを行います。

さらに自宅の売却となると家庭裁判所の「売却許可」が必要となり、期間もかかることを想定しておかなければなりません。

【問題点6】売価が低すぎて仲介会社が見つからない

建物の構造によりますが、耐用年数を超えるような古い家の場合は建物にほとんど評価がなく、土地代が売買価格の目安になります。さらに立地条件がよくない地方の物件などは、土地代そのものが安くとくに「市街化調整区域」などでは取り引きがほとんど見込めません。

不動産仲介会社にとって事業の源泉は「仲介手数料」です。不動産の仲介手数料は売買金額に対しての割合が決められており、低い売買金額の場合は仲介手数料がわずかな金額となり経費倒れになってしまうこともあり得ます。

とくに遠隔地の場合は出張費用などの経費負担が大きく、仲介業務を受託することに躊躇することもあり得ます。つまり売りたいと思っても、仲介をしてくれる不動産会社が見つからないといった状態になる可能性があるのです。

このような場合は隣家に売却の相談をするか、あるいは空き家バンクに登録し一般的な不動産仲介とは異なる方法で買い手探しをするか、地元の事情に精通し永年地域密着で営業している小さな不動産会社に相談するなどの工夫が必要です。

【問題点7】残置物がある

古い家の売却では室内にたくさんの残置物があるケースが少なくありません。相続により取得した家や、所有者本人が老人ホームなどに入所し、家財道具がそのままになっているケースもあります。残置物を処分する場合は「廃棄物」として扱うことが多く、その費用は数十万円に及ぶこともあります。

費用をかけずに処分しようとすると、みずから自治体の処分場に持ち込むか、粗大ごみとして自治体の回収を待つ方法になり時間がかかります。残置物があるため思ったように売りに出せないケースもあります。

先述した不動産会社に買い取ってもらう場合では、建物を解体して新たな建物を建てることが前提であれば、残置物はそのままで買い取ってもらうことができます。早期に売却したいものの、残置物の処分に困っているようなら、ある程度金額の妥協は必要ですが、不動産会社に買い取ってもらうのも得策です。

そのような場合は仲介する不動産会社にまず相談することが望ましいでしょう。

古い家の売却の悩みは個々に違います。
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古い家を売るときにかかる税金|譲渡所得税

不動産を売却すると印紙税や登録免許税などさまざまな税金がかかってきますが、中でも重要なのが譲渡所得税です。譲渡所得税は、取得した金額よりも高く売却できた場合にかかる税金になります。

なお、譲渡所得税は下表のように、売却するタイミングでの所有期間によって税率が変わる点に注意が必要です。
※上記、所得税の税率には、復興特別所得税(所得税×2.1%)が上乗せされています

譲渡所得税やその他売却にかかる税金については以下の記事で詳しく説明しています。

取得費不明の場合の譲渡税に注意!

不動産を売却した時に「譲渡所得」が発生すると「所得税」を納めなければなりません。譲渡所得は次の式で計算します。
譲渡所得=① 譲渡により得た収入金額-② 譲渡した不動産を取得した時の費用-③ 譲渡するために支払った費用
①の「譲渡により得た収入金額」とは売買代金と租税公課などの日割り清算分です。③の「譲渡するために支払った費用」とは、仲介手数料や解体した場合の解体工事費用や測量代など、売るために必要とされる費用を言います。

①と③は売却時にわかるものです。売買契約書や引き渡し時の清算書などと、譲渡のために支払った費用の領収証が手元にあるはずです。

②の「譲渡した不動産を取得した時の費用」ですが、数十年前に取得した不動産であったり、契約書などの書類が残っていない相続不動産であったりなど、取得した時の金額がまったく分からないケースは珍しくありません。この場合、取得費は次のように計算することが決められています。

取得費は次の①、②のうち大きい金額となります。
(1)実額法土地建物の購入代金、建築費、購入時の仲介手数料、リフォームの設備費や改良費など取得にかかった費用を合計した金額から、建物の減価償却費を差し引いた金額
(2)概算法譲渡により得た収入金額×5%
従って、取得費が不明な場合の取得費は、概算法の譲渡所得により得た金額の5%を採用することになります。

たとえば40年前に200万円で買った土地に家を建てたと仮定して、土地と家を1,000万円で売ったとします。しかし土地を200万円で買ったことを証明する書類がない場合は、建物は減価償却により建物の取得費がほとんどないため、対象となる土地を取得した金額が不明とされ「50万円」が取得費となります。

つまり本来は売った金額から200万円差引するところを、50万円しか差引できず所得が150万円多く計算される結果になってしまいます。

古い家を売るときに使える税制優遇措置

ここでは、古い家を売る際に使える税制優遇措置について解説していきます。

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例

居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例は、所有者自ら居住していた住宅を売却した際、一定の要件を満たしていれば、売却で得た利益(譲渡所得)から最大3,000万円を控除できるという特例です。住宅の古さにはとくに要件はありません。

また、以前住んでいた住宅であれば、住まなくなってから一定の期間内に売った場合も要件に該当します。ただし、賃貸用の一戸建て、マンションやアパート、更地、一定の期間以上居住していない住宅などは適用外です。

なお、住宅を売った年、前年、および前々年に買い換えや交換の特例、マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けた場合は、この特例は利用できません。

一方、この特例を利用した場合は、新たに購入した住宅で住宅ローンを利用した場合でも住宅ローン控除の適用が受けられなくなります。

低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除

個人が、令和7年12月31日までの間に、都市計画区域内にある一定の低未利用土地を500万円以下または一定の区域内にある土地を800万円以下で売却して売却益が出た場合、その譲渡所得から最大100万円を控除できるという特例です。

この特例が適用される低未利用地は、売却前に低未利用で、売却後に買主により利用されることを市区町村が確認したものに限られます。

また、800万円まで適用になる一定の区域内にある土地とは、市街化区域又は非線引き都市計画区域のうち用途地域が設定された区域内か、自治体が所有者不明土地対策計画を策定している場合はその自治体の都市計画区域内にある土地が該当します。

マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

この特例は、自ら居住し、所有期間が売った年の1月1日時点で5年超の住宅を令和5年12月31日までに売却して、新たに自ら住むための住宅を購入した場合、売却によって損失(譲渡損失)が生じたときは、一定の要件を満たしていれば、その譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除(損益通算)することができます。

さらに、損益通算して控除しきれなかった譲渡損失は、売却した年の翌年以後3年内に繰り越して控除(繰越控除)することができるという特例です。そのほかさまざまな要件があります。

被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例

令和5年12月31日までに相続した空き家を売却する場合も、一定の条件を満たしていれば、最大3,000万円の特別控除が適用されます。

また、昭和56年5月31日以前に建築され、相続開始の直前において被相続人以外に居住者がいない空き家が対象で、区分所有のマンションは適用外となります。

そのほか、相続開始の日から3年を経過する日の属する12月31日までに売却することや売買代金が1億円以下であることなど細かな要件があります。

古い家を上手に売るためのコツ

古い家を売るための方法などについてお伝えしましたが、不動産売却を成功させるために知っておいたほうがよいポイントがありますので、いくつかご紹介します。

家屋を解体する場合は補助金を使う

古い家は「空き家」もしくは空き家になる可能性のある「空き家予備軍」です。空き家の増加は社会問題にもなっており、自治体によっては空き家の解体に補助金を出すケースもあります。

自治体の補助金を活用することで売却のための費用負担を減らすことが可能になるため、解体する場合は補助金の活用がおすすめです。なお、補助金の適用には空き家になっている期間などさまざまな要件があるため、地元の自治体に確認するようにしましょう。

更地にする場合はタイミングを見計らって!

更地にする場合はタイミングを考慮する必要があります。なぜなら、更地にするタイミングによって固定資産税の金額に大きな違いが出てくるためです。

家が建っている土地と更地の固定資産税額は大きく異なり、家が建っている土地の固定資産税は更地の場合の1/6になります。

固定資産税は毎年1月1日時点での評価や状態に基づき所有者に課税されるため、更地にして売却する場合には、1月1日を過ぎてから解体しその年のうちに売却すると、安い固定資産税のままで売却することができます。更地にして売る場合は解体のタイミングを考慮することが大切です。

ホームインスペクションを依頼する

中古住宅を探している人には、できるだけ安く購入したいという意識があります。同時に建物各部の劣化や不具合など、できるだけ少ない物件を見つけたいという意識もあります。

しかし中古住宅の状態を正確に知る方法はなく、「たぶん大丈夫だろう?」といった感覚で取り引きされてきたのが実情です。

国土交通省は2018年から、中古住宅の取引に際し「建物状況調査(インスペクション)」の説明を、仲介する不動産会社が行うよう義務化しました。

「ホームインスペクション」はこの義務化以前から、中古住宅の購入希望者に対し一部の建築士事務所が行っていた有償サービスですが、上記のとおり宅建業法に盛り込み売主と買主に対しインスペクションを実施する機会を設けるようすすめています。

ホームインスペクションは住宅の状況を建築士が調査し、客観的に判断できる材料を提供するものです。売主がインスペクションを依頼しその結果を「重要事項説明」に反映させることもでき、買主は「たぶん大丈夫だろう?」ではなく専門家が調査した結果に基づいて購入を判断することができるものです。

売主が積極的にインスペクションを活用し、買主に対して情報を提供することが早く売れるキッカケになる可能性もあります。

実績のある不動産会社に依頼する

古い家を売るには築浅の家に比べて、さまざまな戦略や準備が必要になります。

・リフォームすべきか否か
・最低限やっておきたい修繕箇所やクリーニングは
・「中古住宅」か「古家付き土地」か「売地」か?
・「更地」か「更地渡し」か?
・販売するターゲットは個人か企業か

など新築や築浅物件よりも検討する範囲は広く、販売対象や販売活動も幅広くあり、マニュアルどおりの販売活動では結果が出ない場合もあります。売却を依頼するなら実績のある不動産会社が望ましく、販売ノウハウを持った会社を探すためには「不動産一括査定サイト」の活用が効果的です。

まとめ

古い家の売り方について解説しました。古い家の場合は、売却を難しくさせる「問題点」を抱えていることがあるため、不動産の現状を正確に把握するなど事前準備が大切です。

その事前準備のなかでもっとも重要なのは、売却を依頼する不動産会社をどのように探し選択するか。不動産一括査定サイトの活用はその機会を与えてくれる有効な方法です。

また、補助金やインスペクションなど活用できる制度を上手に使い、古い家の売却を成功させましょう。

古い家の売却にはいくつかのコツがあります!
不動産会社に相談する前に予習しておきましょう。

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この記事の監修者

秋津 智幸
秋津 智幸

公認不動産コンサルティングマスター/宅地建物取引士/AFP/2級FP技能士

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント。横浜国立大学卒業。

神奈川県住宅供給公社を経て、不動産仲介業者に従事した後、2011年に個人事務所として不動産サポートオフィスを開設。自宅購入、不動産投資、賃貸住宅など個人が関わる不動産全般に関する相談・コンサルティングを行う他、不動産業者向けの企業研修や各種不動産セミナー講師、書籍、コラム、記事等の執筆・監修にも取り組んでいる。

主な著書に「貯蓄のチカラ~30歳からのおカネの教科書」(朝日新聞出版)などがある。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
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