- 建物の解体は必ずしもマストとは限りません。解体したい理由をよく考えてプロにも意見を求めましょう。
- 解体費用や日数は条件によって異なります。複数の見積もりを取ることがコストダウンの秘訣です。
- 建物がないと固定資産税はアップします。必要性とタイミングについては慎重に検討を!
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目次
土地を売るなら家を解体して更地にするべき?
空き家の期間が長い場合には、建物が老朽化して崩れかかっていたり、動物が住み着いていたり、ごみが投棄されていたりと、危険な状態・不衛生な環境に陥っていることもあります。このような場合には、環境改善のためにも建物を解体し、いったん更地に戻した方がよいでしょう。
このように、解体したい理由は物件によって、また所有者の考え方によっても違います。しかし、よほど建物が老朽化して危険な状態にあるのでない限り、解体して更地にしなければならない理由はありません。古家付きの土地でも、適正な価格で売却することは十分可能です。
実家や空き家の解体の流れ
解体費用の見積もりの出し方
机上査定は、インターネット上の一括見積もりサービスを利用した見積もり方法です。建物の種類や構造、面積(坪数)、周辺状況などを選択すると、近隣の解体業者から見積もり結果が送られてきます。
精度は高くないものの、手軽に見積もり依頼できる点と、一度の入力で複数の会社の見積もり内容を比較できるのがメリットです。
一方訪問査定では、解体業者の担当者が、実際に現場を見て見積もりしますので、正確な金額を出してもらうことができます。「机上査定」で見積もりした場合でも、最終的には「訪問査定」によって正確な見積もり金額を掲示してもらうことをおすすめします。
解体見積もりではどこを見るべきか
前面道路が狭いと重機やトラックの出入り・横付けができず作業日数がかかるため、解体費用も割高になります。前面道路と高低差がある土地も、宅盤を崩したり、残土を処分したりという作業が必要になるため、コストアップになります。
また、建物だけでなく庭木や庭石、塀、舗装版などの外構、浄化槽・井戸といった埋設物の撤去にも費用がかかります。
建築基準法でアスベストの使用が禁止される2006年以前の建物の場合、屋根材や外壁材にアスベストの含有された建材が使用されている可能性もあります。アスベストを含む建材は散水しながら手作業で撤去することになるため、通常よりも数十万円は余分にコストがかかります。
解体にかかる費用相場の計算方法
坪単価(相場)×延床面積(坪数)=建物本体の解体費用 |
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壁を設ける | 1坪あたりの相場 |
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木造 | 2.5~3.5万円程度 |
鉄骨造 | 3~4万円程度 |
鉄筋コンクリート造 | 5.5~6.5万円程度 |
30坪の木造住宅なら、3万円×30坪=90万円。概算で90万円程度の解体費用がかかることがわかります。ただし、この坪単価はトラックや重機の出入りに支障がなく、外構や埋設物、特殊な建材の撤去費用を考慮しない場合の単価です。
実際には何らかの付帯費用がかかると考えて、後数十万円は多めに見積もっておくようにしてください。
解体にかかる日数は、30坪程度の木造住宅なら10日から2週間程度ですが、付帯工事が多い場合は作業に手間がかかるため、倍以上の工期が必要になることもあります。
解体後の手続きや費用
滅失登記をしないと建物を取り壊しても自治体に通知がいかないため、解体した後も存在しない建物に対して固定資産税が課税され続けることになります。このようなことにならないよう、解体後は速やかに滅失登記を行うようにしてください。
建物滅失登記には登録免許税は課されませんが、土地家屋調査士に登記を依頼する場合、報酬として3~5万円程度の費用が発生します。
解体費用を抑える4つの方法
1.解体業者は複数社を比較検討しよう
ただし、極端に見積額の安い解体業者には注意が必要です。見積額が極端に安い場合、後から高額な追加費用が発生したり、手抜き工事や不法投棄を行ったりという悪質な業者である可能性も考えられます。
2.ごみ処理は事前にできる限り自分たちで行う
産業廃棄物の処理費用は一般廃棄物に比べて高額なので、一般廃棄物としてごみ収集業者に引き取ってもらえば数百円から数千円で済むところを、産業廃棄物として処理することで数万円のコストがかかる場合もあります。
少しでも費用を安く上げるには、不用品はごみ処理施設へ持ち込む、リサイクル業者に回収に依頼するなど、できるだけ自分たちで処分するようにしてください。
3.解体に関する補助金を利用する
東京都杉並区の助成制度を例に挙げてみましょう。
特定空家等及び特定空家等に準じるもの(不良住宅)
・特定空家等…空家等対策の推進に関する特別措置法第2条第2項により、杉並区空家等対策協議会で特定空家等と判断された空家。
・特定空家等に準じるもの(不良住宅)…杉並区で不良住宅と判定された空家。
〇助成率
除却工事費の80%(所有者負担20%)
〇助成限度額
150万円
※助成にあたり、申請書及び物件が一定の条件に該当する必要があります。
物件の所在地に同様の助成制度がないかどうか、調べてみることをおすすめします。
4.建物滅失登記を自分で行う
建物滅失登記は1か月以内に!申請しないとデメリットだらけ
滅失登記をしていない土地でも、売買したり建物を建てたりと、土地を使用することには何の制限もありません。
ただし、登記に問題のある土地には担保を設定できないため、土地を購入する人はローンを組むことができません。もし、現金で土地を購入する人がいたとしても、ローンを組めない土地では家を建てることができないため、売主が契約不適合責任に問われる可能性もあります。
このように、建物滅失登記を怠ることで、後からさまざまなトラブルに見舞われる可能性があるのです。
自分でできる!建物滅失登記を申請する方法
まずは、以下の必要書類を準備してください。
・建物滅失登記申請書
・建物取毀証明書(たてものとりこわししょうめいしょ)
・解体業者の資格証明書(全部事項証明書など)
・解体業者の代表者の印鑑証明書
・案内図(住宅地図の写しなど)
申請書は法務局のホームページからダウンロードできます
登記上の住所と現住所が異なる場合には、住民票を提出する必要があります。必要書類の準備ができたら、解体した建物の所在地の管轄法務局で申請を行います。10日前後で手続きは完了し、登記完了証が発行されます。
家を解体する際に知っておきたいデメリット
建物を解体すると住宅用地の特例措置を受けられなくなるため、固定資産税が現在支払っている額の6倍に増えてしまうのです。
同様に、都市計画税にも小規模住宅用地の特例として3分の1の軽減措置があるため、更地にすることで税額が3倍に増加します。
土地が売れるまでの税金は、当然ながら所有者である自分自身が支払わなければならず、それだけ出費が増えることになります。
土地を購入する側としても、すぐに家を建てる予定のない人は、更地よりも古家が建っている土地の方が税制上のメリットがあると考えるので、建物を解体しない方が買い手がつきやすい場合もあるのです。
まとめ
ただし、建物を解体して更地にすることは、固定資産税が大幅にアップするなどのデメリットもともないます。なぜ解体するのか、本当に解体する必要があるのか、再度検討されてみてはいかがでしょうか。慌てて解体せず、まずは古家付きで売りに出してみるというのも選択肢の1つです。
更地にするか売却するか検討中の方
解体費用や税金面も考慮して検討しましょう。
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この記事の監修者
いしわた さとみ
【資格】宅地建物取引士/二級建築士/既存住宅状況調査技術者/ホームステージャー
建築設計事務所、不動産会社、建設会社等での勤務を経て、現在は不動産・住宅・建設ライター、住宅営業、建設CADオペレーターとして活動。