「買取」と「仲介」。手段は違いますが、不動産会社選びの大切さは変わりません。しっかりと比較・検討することが大事です。
目次
不動産買取とは?

不動産売却の「仲介」と「買取」の違い
「仲介」は売主と買主の間に不動産会社が仲介として入り、売買契約を取りまとめます。一度媒介契約を締結すれば、広告や内見などの販売活動を行うのは不動産会社です。一方、売主と買主を仲介するのではなく、不動産会社が買主となるのが「買取」です。売主は不動産会社と直接価格などを交渉し、条件がまとまればすぐに契約に進めることが可能です。広告や内見などの販売活動を行う必要がありません。
買取 | 仲介 | |
---|---|---|
買主 | 不動産会社 | 個人 |
広告や内見(販売活動) | しない | する |
買取の最大のメリットは現金化までの期間を短くできることです。デメリットは売却価格が安くなってしまうことです。これについては、後ほど詳しく解説します。
買取には2種類の方法がある

1.即時買取
2.買取保証
なお、期間内に仲介で売買が成立した場合、仲介手数料を支払う必要がありますが、期間内に決まらず買取となった場合には仲介手数料は発生しません。
不動産買取のメリット

仲介手数料がかからない
例えば、3,000万円の物件であれば3,000万円×3%+6万円+消費税で103.68万円もの手数料を支払わなければなりません(参考:仲介手数料について )。
一方、不動産買取では仲介手数料を支払う必要がありません。不動産会社が物件を仕入れ、リフォームやリノベーションを施して商品化し、それを販売することで利益を得るためです。
短期間で手放すことができ、現金化しやすい
買取額で交渉がまとまればすぐに契約を行い、司法書士の登記手続き等を経て、すぐに現金化できます。すぐにでも現金化したい理由がある時には即時買取を、時間に余裕がある時には買取保証を選ぶと良いでしょう。
契約不適合責任が免除される
契約不適合責任は、契約内容と異なるものを売却したときは、売主が債務不履行の責任を負うという責任です。契約不適合責任では、売却物件の内容が契約書に「書かれていたかどうか」が非常に重要です。分かりやすく言えば、雨漏り、シロアリ被害などの欠陥を契約書に書かれてない場合、不動産を売却した後、売主が補修の対応をしたり、場合によっては契約を解除されたりする可能性があります。
しかし、不動産買取の場合には、買主が業者の場合、契約不適合責任は免除されるため、悩まされることはありません。

近隣の人に知られることなく売却することができる
もちろん、仲介でも不動産会社に事前に要望を伝えればチラシを撒く範囲を限定したり、見学会を開催しないで販売を進めたりすることもできますが、買主を見付けられるスピードは落ちるでしょう。一方、買取の場合は自分と不動産会社でのやり取りとなるため、近隣の人に知られることは少ないです。
不動産買取のデメリット

市場価格よりも1~3割ほど安くなる
不利になりやすい条件がある
買取と仲介のメリット・デメリット比較
買取 | 仲介 | |
---|---|---|
仲介手数料 | 不要 | 必要 |
売却期間 | 短い | 長い |
契約不適合責任 | 免除 | 有(1~3ヶ月が多い) |
売却の事実 | 知られない | 知られる |
売却価格 | 市場価格より1~3割安くなる | 市場価格 |
不利になりやすい条件 | 築浅物件・条件の良い物件 | 築古物件・条件の悪い物件 |
「仲介」と「買取」どちらを選べばよいの?

買取に向いている条件
具体的に、転勤が決まっておりすぐに売却したい場合や、県外の不動産を相続しており、売却に手間をかけたくないなどの理由で買取が選ばれることが多いようです。また、造成や解体などすれば売却できるが、そのための費用を捻出できない場合には買取で現状のまま売却することができます。
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売却に向いている条件
一方、売却に向いている物件は、立地が良かったり、築浅物件だったりと、そのままの状態でも充分な商品力がある場合です。また、時間がかかってもよいから1円でも高く売りたいと言う場合には売却を選んだ方が良いでしょう。
こんな物件ならはじめから買取を検討して
仲介で1年以上売れない
仲介に出して1年以上売れない物件は、1年間の販売活動を通して、特にそのエリアで不動産の購入を検討されている人には認知されているはずです。それにも関わらず売買が成立せず、また、その後も売却活動を続けるとなると「売れ残り」物件と判断されて、さらに売却するのが難しくなってしまいます。こうなると、売却価格を値引きする必要があるのですが、値引きを繰り返してどんどん安くしていくよりは、早いタイミングで買取を検討した方が良いケースも少なくないでしょう。
築年数が古く、立地が悪いなど市場で売れづらい
不動産の売買は立地の影響が強く、立地の良い物件であれば売却に出してすぐに売れる可能性が高いです。一方、立地が悪く、さらに築年数が古いなどの悪い条件が重なってしまうと仲介で売却するのは難しくなります。売却するためにリフォームやメンテナンスなどの費用や手間をかけるより、最初から現況渡しで不動産会社に買い取ってもらい、プロの手で商品化してもらった方が最終的にはお得となるケースもあります。
ワケあり物件である
接道義務を果たしていない物件や、自殺や事故など心理的瑕疵のある物件は市場で売却することが難しいです。接道義務を果たしていない物件であれば、周辺の物件とまとめて有効活用するなど不動産会社に売却した方が有効活用できる可能性は高くなるでしょう。事故物件の場合も同様です。いずれにせよ、市場価格よりかなり安くなってしまうことは覚悟しなければなりません。
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不動産買取に関するよくある質問

不動産の買取には費用はかかるの?

不要な家具や家電は自分で処分しないといけないの?
他社の仲介で売りに出していますが買い取ってもらえる?
住宅ローンが残っていても買取してもらえる?
買取専門業者と仲介も行っている業者どちらがいい?
「仲介」でも「買取」でも不動産会社選びは大切
買取では不動産会社に直接買い取ってもらうため、価格査定が重要です。できるだけ高い価格を探す必要があり、そのためには多くの不動産会社に価格査定をしてもらうことが大切です。
一方、仲介は価格査定が重要なことに違いはありませんが、単に査定価格の高い不動産会社を選ぶのは問題です。高い査定価格を出し、先に媒介契約を締結して、売却活動中に値下げを繰り返す不動産会社も存在するからです。上記のような不動産会社を避けるためには、自分の売却する不動産と同じタイプや同じエリアの物件で販売実績が豊富な不動産会社を選ぶとともに、査定価格の根拠を聞いた上で信頼のおける会社を選ぶようにしましょう。仲介による売却でも買取による売却でも、基本的には複数の不動産会社に査定を受けるのがオススメです。
不動産会社の選び方は以下の記事でも詳しくご紹介していますので、合わせて参考にしてみてください。

まとめ

「買取」と「仲介」。手段は違いますが、不動産会社選びの大切さは変わりません。しっかりと比較・検討することが大事です。

監修逆瀬川 勇造
【資格】AFP(2級FP技能士)/宅地建物取引士/相続管理士
明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。
大学在学中に2級FP技能士資格を取得。
大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。