売却理由には伝えるべきこと、伝えなくていいことがあります。
効果的な伝え方をプロに相談してみませんか。
目次
みんなの「家を売る理由」とは

・子どもが増えたために住み替えたい
・通勤・通学が便利な場所に引っ越したい
・相続した不要な家を処分したい
・転勤のため不要になった
・不動産市況が好転したため売り時と判断した
・離婚したために住み替えたい
・老朽化したために維持費がかさむようになった
・ローンの支払いが困難になった
・ご近所トラブルのため
・配偶者が亡くなったため住み替えたい
家族構成が変わったことや、便利さ・住環境の改善のために住み替えをすることは一般的ですが、中には買主が嫌がる理由もあるものです。ネガティブな理由で住み替えなければならなくなった時に、どのように買い手に伝えるかは考えどころでしょう。
家を売る理由が不動産売却に与える影響とは

売却理由がどのような影響を与えるのかについてみていきましょう。
買主側が嫌がる理由の場合
ネガティブな理由が心理的なものであれば、買主によっては気にしない人もいるかもしれませんので根気強く買主が現れるのと待つのも一案です。しかし、家の品質や近所トラブルに関する理由があるならば、価格で納得してもらうしかないこともあります。
売却を急がなければならない理由の場合
やむにやまれぬ理由があって売主も納得しているのであれば、少々値下げしての売却でも成功といえるかもしれません。
家を売るネガティブな理由の上手な伝え方とは

伝え方に困った時には、告知義務に当たるのか、当たらないのであればそもそも開示する必要があるのか、という視点で考えてみましょう。
離婚の場合
もっとも、買主の中には離婚を縁起が悪いと考える人もいるかもしれません。あえて買主が聞いてきた場合には、隠さずに話して購入を判断してもらいましょう。
経済的な事情の場合
もちろん、抵当権の解除に時間がかかるなど特殊な事情がある場合には、重要な告知事項ですので契約書・重要事項説明書に織り込んでおく必要があります。
事故の場合
迷うのは自然死や病死の場合ですが、自宅での死亡原因のほとんどは自然死や病死であり、告知義務には該当しないとされています。もっとも、死後長期間経過し、臭気や汚れが発生して特殊な清掃をしなければならなくなった場合などは告知義務に該当します。
事故物件については、国土交通省が告知義務のガイドラインを発表しています。こちらのガイドラインもぜひご参考ください。

相続の場合
近隣トラブルの場合
トラブルについては人によって感じ方が異なることから、伝えるよりも買主に実際に見て、聞いてもらって判断をあおいだほうがよいでしょう。
老朽化の場合
売却の際に、気になっている事項については不動産業者に包み隠さず話して、どのように伝えるか相談してみましょう。内見の時に、実物を見せながら買主に説明し、納得のうえで購入してもらうことが重要です。
売却の成功に必要なのは適切な情報開示

告知義務は守る
告知義務がある事項には、設備の不具合などの物理的瑕疵、法令上の制限などの法律的瑕疵のみならず、騒音や臭気などの環境的瑕疵、事故物件などの心理的瑕疵も含まれます。これらを秘密にして売却した場合には告知義務違反とされ、慰謝料や余計にかかった費用の損害賠償請求、契約の解除請求などの責任を負う場合があります。
知っていて言わないのは契約不適合責任に問われる
契約不適合責任が問われる場合、買主は売主に対して不具合の補修、売買代金の減額・損害賠償、契約の解除を請求することになります。
買主が欲しい情報を意識して伝えよう
買主にとっては、売主の離婚や経済的事情などはそもそも知りたくなかった情報であったかもしれません。告知義務に当たらない情報であればあえて開示するのではなく、買主から聞かれたタイミングでやわらかく伝えるというスタンスで十分です。
まとめ

真摯に物件と向き合って誠実に情報を伝えれば、よい買主と巡り合えることでしょう。
売却理由には伝えるべきこと、伝えなくていいことがあります。
効果的な伝え方をプロに相談してみませんか。

監修徳田 倫朗
【資格】宅地建物取引士
株式会社イーアライアンス代表取締役社長。中央大学法学部を卒業後、戸建・アパート・マンション・投資用不動産の売買や、不動産ファンドの販売・運用を手掛ける。アメリカやフランスの海外不動産についても販売仲介業務の経験を持ち、現在は投資ファンドのマネジメントなども行っている。
売却を急がなければならない場合でも、むやみに価格を下げる必要はありません。もっとも売買価格は物件の良しあしのみならず、売主・買主の経済的事情や売却期限、不動産市況などさまざまな要因によって決まるものです。場合によっては少々値下げしてでも早く契約できてよかったということもあるでしょう。