離婚した時家を売る?「マイホームの売却」について解説します

2024.01.24更新

この記事の監修者

逆瀬川 勇造

逆瀬川 勇造

【資格】AFP/2級FP技能士/宅地建物取引士/相続管理士

離婚した時家を売る?「マイホームの売却」について解説します

離婚をきっかけにマイホームを手放すケースは多いです。売るべきか住み続けるべきか、6つのケーススタディをご紹介します。

この記事のポイント
  • 婚姻中に取得したマイホームは、離婚時の財産分与の対象となるのが一般的です。
  • ローンが残っている、どちらが住み続ける、など事情によって対処法が異なるため、できる限りの話し合いが必要です。
  • まずは住宅ローンの残債と現在価値の掌握が先決です。不動産会社に相談してみるのも解決策の1つでしょう。

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目次

財産分与の考え方とよくある事例

財産分与とは、婚姻生活中に夫婦で協力して築き上げた財産を離婚の際にそれぞれの貢献度に応じて分配することで、離婚時には相手方に請求することができると定められています。

財産分与は大きく清算的財産分与扶養的財産分与慰謝料的財産分与に分けられますが、このうち清算的財産分与は「結婚している間に夫婦間で協力して形成・維持してきた財産についてはその名義に関わらず夫婦の共有財産と考える」というもので、不動産の名義に関わらず、婚姻中に取得したものであれば財産分与の対象となります。

財産分与の割合と対象範囲

財産分与における貢献度は、年収で判断されるわけではありません。夫が会社勤めで稼いたお金から購入したものでも、専業主婦の妻は家で家事を頑張っていたと言えることから、財産分与の割合は原則的に2分の1ずつと考えられています。

同居時に取得したものは財産分与の対象となる

財産分与の対象となる財産は、原則として同居時かどうかが基準となります。夫婦が同居している間に取得された財産は財産分与の対象となりますが、離婚協議の過程で別居をしていた場合、別居時に取得された財産については財産分与の対象とはならないと考えられています。

相続財産は財産分与の対象とならない

さらに、夫婦の婚姻期間中に取得した財産であっても、夫婦の協力とは無関係に取得した財産、たとえば婚姻中に発生した相続によって得た不動産は財産分与の対象とはなりません。相続で得た財産は夫婦が協力して得た財産とはいえないからです。

【事例1】共有名義の不動産

婚姻中に購入した不動産であれば、それだけで財産分与の対象となる可能性がありますが、購入時の不動産の名義が共有である場合、その名義をどうするのか苦労することが少なくありません。

たとえば、資産価値が3,000万円の不動産を2分の1ずつ共有名義で所有していた場合、どちらか一方が全持分を所有しようと思えば、1,500万円を相手方に支払う必要があります。住宅ローンを借りることができれば良いですが、必ずしも全額借りられるとは限りません。

また、共有名義の不動産を売却する際には双方の承諾が必要となるため、夫婦で意見が異なる場合は売却することはできません。離婚時に不動産についてまとまらないまま、夫婦どちらかの連絡が取れなくなると、双方の承諾が得られないため売却できなくなってしまいます。

さらに、そのまま数十年経過し、どちらかに相続が発生してしまうとその相続人全員が持分を持つ事態に発展することもあります。

【事例2】住宅ローンの抵当権

住宅ローンの残債がある場合も同様です。たとえば、夫名義で購入したマイホームで離婚後「夫が家を出て妻が住み続けることになったケース」で考えてみましょう。

この場合、妻の名義で住宅ローンを借り換えができれば良いですが、妻に借り入れができるだけの収入があることが前提となります。一方、借り換えせずに夫が住宅ローンを返済し続けることもできますが、住宅ローンでは抵当権を設定するため、夫の返済が滞ると家を差し押さえられてしまう可能性があります。

なお、抵当権とは住宅ローンを組む時に、その対象となる不動産(マイホーム)に設定されるもので、お金を出す銀行が債権者、お金を借りるマイホーム取得者が債務者となります。

抵当権とは、簡単に言えばその不動産を担保に取るということで、住宅ローンの返済が滞ると、銀行は対象の不動産を売却するなどして残債を回収することができます。

離婚後の夫としては、住宅ローンを返済しながら新居の家賃も支払わなければならず、連絡が取れている間は良いですが、数年後に別の家族を持つことになったことなどを原因として返済が滞ってしまうと、妻はマイホームを出ていかなければなりません。

このように、離婚時には不動産の名義や住宅ローンが問題となることが多いです。

売る?住み続ける?離婚時のお家売却ケーススタディ

婚姻中に取得したマイホームがある場合、財産分与の考え方からすると、マイホームを売却して得られた資金を夫婦で分けるのが一般的です。

しかし、夫婦それぞれの離婚後の生活のことなどを考えて、マイホームを売却せずにそのままどちらか、もしくは両方が住み続けるケースもあります。それぞれ、売る場合と住み続ける場合でどのような点に気をつける必要があるのでしょうか?

【ケース1】夫名義で"夫"が住み続ける場合

マイホームを夫名義で購入し、夫が住み続けるケースでは夫はそのまま住宅ローンを返済するだけなので名義に関しては問題ありません。ただし、家の価値から住宅ローンの残債を差し引いて残りがある場合、その残りの金額は夫婦の共有財産として財産分与の対象となるため、夫にはその分の負担が求められます。

たとえば、3,000万円の価値を持つ家に対し、住宅ローンの残債が2,500万円であれば500万円のうち半分、250万円は妻に支払う必要が生じます。このお金は別に用意する必要があります。

【ケース2】夫名義で”妻”だけ住み続ける場合

マイホームを夫名義で購入したものの、子供の学校やその後の生活のことを考えて妻が住み続けるケースも少なくありません。このケースでは、妻に住宅ローンの残債を借り換えできるだけの収入があれば良いのですが、そうでない場合は夫がそのまま支払い続けるしかありません。

なお、このケースでは夫の負担が大きくなるため、財産分与の際に夫に分配される財産を多くしたり、夫が支払うべき養育費を少なくしたりして調整します。

とはいえ、夫は住宅ローンの返済と新居の家賃を支払うため負担が大きくなるため、住宅ローンの返済が滞ってしまうこともあります。

住宅ローンの返済が滞ってしまえば、妻はマイホームから出ていかなければなりませんし、住宅ローンの保証人になっている場合には、妻に返済の義務が生じます。

【ケース3】夫名義から妻名義に変更し、”妻”だけが住み続ける場合

夫名義で購入したマイホームを、夫名義のままで妻が住み続けるケースでは、妻は常にマイホームを失うリスクを負わなければならず、安心して生活できません。そこで、離婚時に名義を夫から妻に変更することもできますが、妻に住宅ローンを借り換えできるだけの年収がなければ夫が返済を続ける必要があります。

また、マイホームの名義変更には金融機関から承諾を得なければなりません。しかし、金融機関とのローン契約書にも記載があるように、金融機関側は「ローン返済者がその住宅に住むこと」を条件として融資しているため、名義変更を承諾しないことが一般的です。

金融機関に名義変更の承諾を得ないまま、夫が住宅ローンを返済しながら妻に所有権だけ移転することも不可能ではありませんが、住宅ローンの返済が滞り、その時点で金融機関に離婚の事実や所有権の名義変更の事実が見つかると契約違反となり、一括返済を求められるのが一般的です。

つまり、住宅ローンの残債があるうちは、所有権だけ妻名義に変更しても意味をなしません。

住宅ローンの連帯保証人

離婚が要因となって浮上するマイホーム問題ですが、夫婦で住宅ローンを組む際、夫もしくは妻のどちらかが名義人となり、どちらかが連帯保証人になることが一般的です。しかし、離婚で連帯保証となっている側がマイホームを出ていくことになった場合、連帯保証人から外れたいと思っても容易に解除できるものではありません。

まず、基本的に連帯保証が解除されるのは、住宅ローン返済がすべて終わった時のみとされています。住宅ローンが残っている状態であれば、代わりの連帯保証人を探す必要がありますが、積極的に連帯保証人に名乗りを上げてくれる人はいないでしょう。

それでも連帯保証を外したいのであれば、名義人単独の収入で住宅ローンの借り換えを行う方法があります。住宅ローン借り換えを行うことで契約内容を変更することができるため、連帯保証を外すことが可能になります。

ただし、住宅ローン借り換えには新規手続きにかかる保証料や手数料などの諸費用が必要になるため、余計な出費が増える点には注意しなければなりません。

【ケース4】夫名義で”そのまま一緒”に住み続ける場合

離婚後も夫名義でそのまま一緒に住み続ける離婚後同居のケースも意外と多いようです。離婚後同居では、新居を探す手間や家賃の問題、子供の転校などの負担を軽減できます。

住宅ローンの返済や所有権に関しては、もともと夫名義ですので継続して返済を続けることになります。しかし、このケースでも財産分与をする場合には、家の価値から住宅ローンの残債を差し引いて残りがある時は、妻にその2分の1の現金を支払う必要が生じます。

【ケース5】売却して住宅ローンの返済に充てる場合

売却して住宅ローンの返済に充てるケースでは、売却資金で住宅ローンを完済してもお金が残る場合には残ったお金が財産分与の対象となります。

一方、売却額が住宅ローンの残債に満たなかった場合、残りの残債分に関しては現金を充てなければそもそも売却することができません。

前者の状態をアンダーローン、後者の状態をオーバーローンと呼びます。

アンダーローンとは?

住宅の価値が住宅ローンの残債よりも高い状態のことをアンダーローンと呼びます。

住宅の価値 > 住宅ローンの残債
たとえば、マイホームを売却すれば3,000万円で売却できるのに対し、住宅ローン残高が2,500万円であればアンダーローンの状態です。このケースでは3,000万円-2,500万円=500万円の現金が残ることになりますが、財産分与では、この住宅は500万円の価値があると見なされて、原則として2分の1ずつ分配することになります。

売却するケースでは、売却資金から250万円を支払えば良いですが、すでにお伝えしたように夫が住み続けるケースでは250万円を妻に支払う必要があります。

オーバーローンとは?

住宅ローンの残債が住宅の価値よりも高い状態のことをオーバーローンと呼びます。

住宅の価値 < 住宅ローンの残債
たとえば、住宅ローンの残債が3,500万円あるのにマイホームを売却しても3,000万円しか得られないケースです。このケースでは、財産分与の判断ではこのマイホームに経済的価値が無いとされます。

そして、残る500万円の借金は財産分与の問題ではないため、2人で2分の1ずつ負担するわけではなく、ローンはあくまでもローンを借りた人が負担する必要があります。

なお、マイホームを売却して得られた資金で住宅ローンの残債を完済できないとそもそも売却することはできません。残りの500万円は夫婦の預貯金などから支払う必要があるでしょう。

住宅ローンが完済済みの場合は?

住宅ローンが完済済みの場合はシンプルに清算することが可能です。マイホームを売却するにしても、売却価格を2分の1ずつ分けて清算することができますし、売却をせずに夫もしくは妻のどちらかが住み続ける場合は、マイホームを査定に出し、査定額の半分を出ていく方に支払うことで清算することができます。

なお、査定額の半分を支払ってもらう場合は、後の支払い滞納リスクを避けるためにも一括払いをお願いするとよいでしょう。

【ケース6】任意売却という選択肢

通常、不動産は住宅ローンを完済できなければ、抵当権を抹消できないため売却自体することができません。しかし、任意売却では完済できない金額については銀行などの債権者と住宅ローンの債務者との間で話し合いをして、条件をつけることで、住宅ローンを完済することなく抵当権を抹消し、不動産を売却することができます。

任意売却の結果、残った債務に関しては、銀行などの債権者と住宅ローンの債務者とが返済額や借入期間を決めて、返済していくのが一般的です。とはいえ、任意売却も良いことだけではありません。

まず、任意売却は通常通り住宅ローンを返済している状態では交渉できないため、数ヶ月住宅ローンの支払いを止める必要があります。この過程で、住宅ローンの延滞となるため個人信用情報に登録されてしまいますが、一度個人信用情報に登録されてしまうと、5〜6年は新しいローンを借りることができなくなります。

以上のようなデメリットがありますが、離婚後の不動産の処分としては売却してしまうのが、一番楽で後に大変な思いをしなくて済むという考え方もあります。どうしても残債を預貯金などで全額返済できないという場合には任意売却を検討してみるのも良いでしょう。

まとめ

婚姻期間中に、不動産を購入していると、通常その名義に関わらず財産分与の対象となります。離婚時には不動産を売却して残ったお金を財産分与で分配するのが一般的ですが、お互いの新居を探す手間や子供の学校の問題などからどちらかが住み続けるケースもあり、それぞれに問題が起こりうることをお伝えしました。

離婚時にトラブルも揉めごともなく家を売ることができれば、スムーズに終えることができるかも知れませんが、必ずしもそうならないケースの方が多いことでしょう。離婚による心労も重なり大変な時期ではありますが、できる限り双方が納得する形で進めることが大切です。

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この記事の監修者

逆瀬川 勇造

逆瀬川 勇造

【資格】AFP/2級FP技能士/宅地建物取引士/相続管理士

明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。大学在学中に2級FP技能士資格を取得。大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。

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