- 事故物件の売却には告知義務が課せられています。故意に告知しなかった場合は告知義務違反となる可能性も…。
- 売買価格は通常の物件より低くなる傾向にありますが、1~2割減など定量的な目安はありません。
- リフォームや更地にするなど、事故物件を早く高く売るための工夫は可能です。信頼できる不動産会社に相談しながら売却活動をすすめましょう。
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目次
事故物件とは?
瑕疵には、心理的、環境的、物理的、法律的なものがありますが、このうち心理的瑕疵がある物件を「事故物件」と言います。
心理的瑕疵
事故物件と呼ばれるほとんどは、その物件で人が自然死以外の特殊な事情により亡くなったケースを言います。また、自然死であっても発見までに時間がかかった場合など、状況によっては事故物件とみなされるケースもあるので注意しましょう。
これは賃貸物件でも売却物件でも同様です。入居した人が不快な思いをする原因として、過去にこのような履歴があるにもかかわらず、告知しないで取り引きをすると、契約違反に該当する場合があります。
環境的瑕疵
・周辺に暴力団事務所がある
・カルト宗教団体の拠点が近い
・火葬場や葬儀場が視界に入る
このような瑕疵があると、物件そのものには原因がなくても、買主の目的を達成することができないと判断されるケースがあります。このような環境的瑕疵について説明しなかったことを契約違反とした裁判事例もあり、軽視できないものです。
物理的瑕疵
契約不適合に該当するかどうか、判断にあまり困ることはありませんが、契約不適合責任に関する売主の負担については、当事者間の協議により民法上の「不適合の事実通知」期間を短縮する特約も可能になっています。
ただし売主が宅地建物取引業者の場合は、最低2年間の契約不適合責任を負担するよう宅地建物取引業法で定められています。
法律的瑕疵
代表的なケースとして、再建築不可物件の取り引きや違反建築の取り引きなどの場合は、買主に対して十分な説明をしなければなりません。
また、違反建築も法律的瑕疵に当たります。違反建築とは、建築物に対して規制を行う法律に抵触する建築物で、主に次のような法律があります。
1.建築基準法
2.都市計画法
3.消防法
4.宅地造成等規制法
ただし、取り引き時点でこれらの法律に違反している状態であっても、新築の時点では合法だった建築物もあります。これは「既存不適格建築物」と言い、現状のままで使用する分には法律上問題になりません。
事故物件は売却できる?
ここでは、事故物件に関する法律上の「告知義務」や告知義務違反について解説します。
売却には告知義務が課せられる
ここで、「20年前や30年前にあった事故についても、告知しなければならないのだろうか」という疑問が出てきます。一般的には約7年前までの事故が告知義務に該当するとの認識もありますが、裁判ではもっと古い事故についても告知義務違反とされた事例があり、明確な基準はありません。
なお、国土交通省は2021年に「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定し、不動産会社に対する周知を図っています。
事故物件であることを隠して売却は可能?
下にご紹介する事例は、売買の約7年前に強盗殺人事件があった建物付き土地を購入した買主が、引き渡し後に過去の事件を知り、売主に対し損害賠償請求をして、裁判により賠償が認められたものです。
この事例では、買主は売主に対し契約時に事件や事故について質問しましたが、売主は「なかった」と回答したことが不法行為であると判断されました。このような行為は「告知義務違反」と認定されます。
事故物件の売却価格相場
自殺と殺人事件でも与える印象は異なりますが、買主の心理的な影響は個人差もあり、一概に言えるものではありません。また、病死や自然死の場合でも、事故物件として告知するケースもあります。
売買価格については、事故物件は通常の物件より価格が下がりますが、1~2割減などの定量的な目安はありません。買主には「事故物件なら安く買いたい」という損得勘定も当然生まれます。事故物件の場合は、買主が最終的に買いたい価格を提示し、売主が納得することにより合意が成立するのが実態です。
事故物件の売り出し価格の設定
事故物件は「告知事項あり」などと表示して情報を発信することが多く、買主側も事故物件だと認識したうえで、売り出し価格について判断します。つまり「どこまで下がるのだろう?」と様子を見るわけです。そのため、商談に結びつく可能性のある売り出し価格を提示しなければなりません。
売り出し価格を決定するためのプロセスが「不動産査定」です。複数の不動産会社に査定を依頼し、この査定額を参考に売り出し価格を決定します。査定の依頼時には、事故物件であることと事故の内容を不動産会社に伝えなければなりません。
複数の会社に査定を依頼する方法として、最近は「一括査定サイト」を活用する売主が多くなっています。手間なく簡単に査定依頼ができ便利なので、利用してみてください。
事故物件などの特殊なケースは
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事故物件を早く高く売るために工夫できること
清掃・リフォームを行う
可能であればリフォームにより内装を一新するのも1つの方法です。また、霊的な現象まで気になるようであれば、お祓いを実施することも考えられます。
事故が発生すると救急車や警察車両が駆けつけることがあり、必ずといってよいほど近所に知れ渡るものです。しかし、時間をおかずにリフォームなどをすれば、悪い印象を薄めることができるかもしれません。事故が発生した事実は消えませんが、嫌なイメージを払しょくすることはできるでしょう。
更地にする
また、同じ更地でも「更地渡し」の条件で売り出すのは、売買価格の面であまり効果があるとは言えません。更地渡しであれば解体費用を売買代金から充当可能なので、売主が自己資金で解体費用の負担をしないで済みますが、買主にとっては「現状渡し」に近い印象があり、値下げ交渉の要因になることが多いのです。
コインパーキングや駐車場として再利用
立地条件的に駐車場としての利用が難しいなら、居住用以外の賃貸活用を考えてみるのも一案です。資材置き場や市民農園、貸倉庫など、エリアの需要状況によって活用方法を検討しましょう。
買取してもらう
ただし、不動産会社は事故物件であることを織り込んだ価格で買い取るため、買取では事故物件であることの精神的、金銭的負担が軽減されます。なかなか売れない時は不動産会社に相談してみるのも有効です。
まとめ
1.心理的瑕疵
2.環境的瑕疵
3.物理的瑕疵
4.法律的瑕疵
このうち、心理的瑕疵があるものを「事故物件」と呼びます。事故物件は相場価格よりも安くなる可能性が高いですが、工夫次第では相場並みの価格で取り引きできるケースもあるのです。
また、別用途で利用する方法や「買取」により売却する方法も考えられます。事故物件を売却する場合であっても、通常どおり不動産査定によって売却できそうな価格を調べることと、信頼できる不動産会社に相談することが重要です。
事故物件でも工夫次第で売却の可能性はあります。
不動産のプロに知恵を借りてみては?
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この記事の監修者
![弘中 純一](/press/system/press_image/2020/12/15/7bzl7iayW7i24C7ub9JkvgA7KGwNIpnqEW2nwxHbwn0/trim/08cada2c41897b217b1b51f94aafdd4f_m.jpeg)
宅地建物取引士/一級建築士
宅建取引士・一級建築士として住宅の仕事に関り30年。住宅の設計から新築工事・リフォームそして売買まで、あらゆる分野での経験を活かし、現在は住まいのコンサルタントとして活動中。さまざまな情報が多い不動産業界で正しい情報発信に努めている。