不動産鑑定の費用相場は20~50万円!不動産査定との違いも合わせて解説します

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この記事の監修者

木村 ゆり
木村 ゆり

不動産鑑定士/土地活用プランナー

不動産鑑定の費用相場は20~50万円!不動産査定との違いも合わせて解説します

相続や離婚などで不動産価値を知りたい人に、不動産鑑定と不動産査定の違いと、目的に合った評価方法の選択術をお伝えします。

この記事のポイント
  • 遺産相続するときや財産分与をするときなどには不動産鑑定依頼がおすすめです。
  • 不動産鑑定評価書は税務署や裁判所などに提出するための証拠書類として認められますが、不動産査定書は認められません。
  • 不動産鑑定と不動産査定は似て非なるもの。目的に合わせて使い分けましょう!

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目次

不動産鑑定の費用相場はどのくらい?

不動産鑑定の費用相場は、だいたい20万円から50万円くらいです。不動産鑑定の費用は、不動産の立地、面積や種類によって異なります。

不動産は、更地・一戸建て・マンション・店舗など、さまざまな種類があるので、鑑定の内容しだいで費用が変わってきます。不動産鑑定の費用が高いのは、不動産鑑定士が現地調査や役所調査、市場調査を行った上で、評価額の算出根拠を記載した評価書を作成するからです。

なお、鑑定の費用は「公共事業に係る不動産鑑定報酬基準」をベースに不動産鑑定士事務所がそれぞれ独自に設定しているため、依頼先によって費用には差が出ます。大手の不動産鑑定士事務所のほうが、費用は高くなる傾向があります。

不動産鑑定評価書とは

不動産鑑定評価書とは、国家資格を持った「不動産鑑定士」だけが作成できるもので、不動産の経済価値を示す書類です。

鑑定評価書は、税務署や裁判所に根拠資料として提出したり、売買の相手方に提示して交渉材料に使ったりします。土地や建物の値段だけでなく、賃料の鑑定や、借地権の鑑定、地代の鑑定などもあります。鑑定評価書は不動産鑑定評価基準に基づいて作成されるもので、公的に信頼できる重要書類として扱われます。

簡易鑑定という方法も

費用を抑えたいときには、不動産鑑定士に簡易的な査定書を依頼する方法もあります。「簡易鑑定」と呼ばれることもありますが、「調査報告書」や「価格調査書」という書類が作成されます。

簡易鑑定は正式な鑑定評価書の一部を省略するので、費用が安くなり、調査期間を短縮できます。税務署等に提出するわけではなく、社内の会議で使いたい場合などは、簡易的な鑑定を依頼すれば十分でしょう。

ただし、簡易鑑定は、税務署や裁判所へ提出する証拠書類としては使えないので注意が必要です。

不動産鑑定と不動産査定の違い

不動産鑑定と似たものに、不動産査定があります。不動産鑑定は、不動産鑑定士が行うものですが、不動産査定は不動産会社が行います。鑑定と査定の違いについて詳しく説明します。

費用の違い

不動産鑑定評価は、専門の資格者である不動産鑑定士が有料で報告書を作成します。一方の不動産査定は、不動産会社が無料で行うという違いがあります。

不動産査定は、不動産会社が物件の売却価格を予想する意味があります。不動産会社が無料で査定してくれる理由は、査定した物件の売買を自社に依頼してもらうための営業活動の一環だからです。

資格の違い

不動産鑑定を行うことができるのは、国家資格を持った不動産鑑定士(または不動産鑑定士補)だけです。不動産鑑定評価制度は、適正な地価形成のための国の制度なので公正で信頼感があります。不動産査定は不動産会社が発行するものですが、宅建士以外が査定することもあります。

不動産鑑定士とは?

不動産鑑定士とは、「不動産の鑑定評価に関する法律」により規定された国家資格で、不動産の適正な価格を判断する専門家です。国や都道府県から依頼される地価公示・地価調査の業務や、公共用地の取得時の評価など、公的な業務も行っています。

判定方法の違い

不動産鑑定評価では、取引事例比較法、収益還元法、原価法の三手法を用いて価格を算出します。どの手法を用いるかは、不動産の種類に応じて異なります。

鑑定評価書には価格の算出根拠がぎっしりと記載されるので、10ページ以上のボリュームのある書類になります。不動産査定も、鑑定評価の計算方法を準用して査定されますが、計算過程がやや簡便になっています。そのため査定書は数枚程度の書類になることが多いです。

取引事例比較法とは?

類似した条件の不動産の取引価格と比較して、価格動向も考慮した上で、価格を算出する方法です。

収益還元法とは?

アパートなどの賃貸物件からどのくらいの純収益が生み出されるか予測して、価格を算出する方法です。

原価法とは?

再建築した場合にかかる費用を求め、築年数の経過による価値の減少を考慮した上で、価格を算出する方法です。

証拠能力の違い

不動産鑑定評価書は、税務署や裁判所などに提出するための証拠書類として使うことができます。一方の、不動産会社の作成した不動産査定書は、税務署などに提出する証拠としては認められません。

不動産会社による査定額は売却予想価格の性質があるので、やや高めの査定額を提示されることもあるなど、公平な査定額とは限らないので証拠能力は弱いです。

期間の違い

不動産鑑定評価書は依頼から納品まで、2週間から1ヶ月程度かかります。一方の、不動産会社による不動産査定は、1週間程度で結果が出ます。おおまかな不動産の価値を早く知りたいときには、不動産査定のほうが向いています。

不動産鑑定がおすすめなケース

不動産鑑定と不動産査定はどちらも不動産の価値を評価するものです。しかし “鑑定” は有料であり “査定” は無料です。どのような時に不動産鑑定が必要になるのでしょうか。

遺産相続するとき

遺産分割協議を行うには正確な遺産額がわからないと、相続人それぞれが分割結果に納得しない場合もあります。現金や預金はそのままの金額ですが、貴金属・宝石・証券・不動産など、その評価が変動するものについては「時価」に基づき評価額を計算する必要があります。

不動産には固定資産税評価額のように公的な評価額がありますが、時価と公的評価額に差があるときは、相続人の間で納得の得られない場合もあります。そのような時には不動産鑑定による客観的な評価額を利用すれば、公平に遺産を分けることができます。

相続税の節税をするとき

不動産を相続する時の相続税の計算をするには、まず、不動産の相続税評価額を求める必要があります。相続税評価額は土地と建物とで異なり次のように定められています。

・土地は路線価地域の場合は路線価に基づく路線価方式となり、路線価が定められていない地域は固定資産税評価額に倍率を掛けた倍率方式
・建物は固定資産税評価額に基づく

以上のように公的な評価額を基にして相続税を計算しますが、不動産には個々の状態によって実際に売買される時価が評価額よりも低いケースがあります。

そこで相続税の計算をする場合、不動産鑑定によって計算された評価額に基づき相続税を計算し、税務署が認めると相続税が安くなることがあるのです。

亡くなった人の所有していた全財産から債務などを差し引いた額が、基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人数)を超えた場合に相続税の課税対象となります。高額な不動産を相続したときは、不動産鑑定が役立つことがあります。

木村 ゆり
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離婚などで財産分与をするとき

離婚する場合には夫婦のいずれかが他方に対して財産の分与を請求できます。財産分与は離婚から2年以内に行うという制限があり、財産分与の対象と目的は以下のとおりです。

1.夫婦が形成した財産を公平に分与する
2.離婚した後の相手の生活保障のため
3.離婚の原因を作ったことへの損害賠償

分与する財産の中に不動産がある場合は正確な評価額を算出して分与しますが、固定資産税評価額のような公的な評価ではなく、実際の価格に近い「時価」に基づく不動産鑑定により評価額を決める方法を採用するケースも少なくありません。

個人間で不動産売買をするとき

不動産会社が仲介せず売主と買主が直接取り引きをする「個人間売買」では、売買金額を客観的に算定する不動産査定は行われません。個人間売買は親子間・兄弟間などの血縁者や、友人や知人ということもありますが、売買金額を決めるには難しいものがあります。

時価よりも高い金額での売買は買主に不利ですが、不当に安い金額では税務署から贈与とみなされ贈与税の課税をされるケースもあります。そこで第三者が客観的に売買金額を算定する必要があり、不動産鑑定を利用するケースがあるのです。

法人と役員の間で不動産売買をするとき

法人とその代表者との間で不動産の売買をするときには、取引価格の決め方に注意が必要です。通常の相場よりも高すぎる値段や、逆に安すぎる値段で不動産を売買すると、税務署に否認されて法人税や所得税などが課税される可能性があります。

アパート経営を法人化するときも、個人から法人へ不動産を売却するので取引価格を慎重に決める必要があります。

思いがけない税金が課税されてしまうリスクを回避するためには、不動産鑑定を取得しておくと安心です。

木村 ゆり
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不動産鑑定を依頼する流れ

不動産鑑定評価書が必要な時は不動産鑑定事務所に依頼します。その方法や流れを簡単に紹介し、実際の評価鑑定にあたってはどのような事項が価格を左右するのか、評価のポイントになる要因についてもお伝えします。

1. 鑑定の申し込み

不動産鑑定を依頼する際は複数の不動産鑑定事務所に見積もりを依頼します。不動産鑑定の費用は一律ではありませんし、得意分野やあまり扱っていない分野など、事務所によっての違いもあるためです。

また、正式な「不動産鑑定評価書」以外に、簡易鑑定に該当する「不動産価格意見書」や「不動産価格調査書」の見積もりも依頼できます。見積もりが出てきたら費用や内容などを比較検討し、もっとも信頼できそうな事務所に依頼します。

税務署などに提出するときは簡易的な鑑定では認められないので、正式な鑑定評価書を取得しましょう。簡易鑑定にするかどうか迷ったときは、鑑定士に相談してみてください。

木村 ゆり
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なお、以下の書類を準備しておくとスムーズに依頼できます。固定資産評価証明書・収支表以外の書類は、不動産鑑定事務所が集めてくれることが多いです。
1.登記事項証明書
2.公図
3.地積測量図、実測図
4.建物図面
5.住宅地図など
6.固定資産評価証明書、または固定資産税納税通知書
7.過去の収支表(収益物件の場合)

2. 調査開始

不動産鑑定士は法務局での図面取得や現地調査を行います。さらに、市区町村役場で道路図面や上下水道配管図を集め、都市計画法・建築基準法などの法規制を調査します。そして、周辺の取引事例を収集して取引価格の動向を調査し、価格の分析に生かします。

中間報告を受けることも可能!

納品よりも前に、調査の途中経過の報告を受けることもできます。調査結果をできるだけ早く知りたい場合には、鑑定の依頼時に不動産鑑定士に要望を伝えておきます。

3. 不動産鑑定評価書の交付

鑑定が終わったら、不動産鑑定評価書の交付を受けます。納品時には面談して説明を受けるか、郵送で受け取ります。不明な点があれば、不動産鑑定士に遠慮なく質問しましょう。

不動産鑑定を依頼する時の注意点

不動産鑑定は法律上の必要があるため依頼するケースが多く、できるだけ目的に合った不動産鑑定を取得することが重要です。そのためには依頼するにあたり注意したいポイントがあります。

有効期限は最長1年

不動産鑑定評価書には「価格時点(価格判定の基準日)」が明示されます。不動産鑑定による評価額は価格時点の“時価” なので、価格時点から時間が経過すると、経済的要因や行政的要因そして自然的要因の変動により、不動産の価値が変化することもあります。

従って不動産鑑定評価書に有効期限は記載されませんが、できれば3ヶ月以内が望ましく、最長でも約1年間が目安と考えるのが一般的です。1年以内であっても、価格形成要因の大きな変動があった場合には、鑑定士に「時点修正の意見書」を依頼する必要があります。

スケジュールに注意

不動産鑑定を依頼するケースの中には裁判の証拠として提出する場合や、遺産分割協議のために依頼することもあります。裁判では公判日が決まっていますし、遺産分割協議は相続税の申告期限に間に合うよう終了させる必要があります(相続財産が基礎控除額を超える場合)。

このように不動産鑑定評価書の完成に期限がある場合は、事前にスケジュールを立てて余裕をもって依頼しなければなりません。なお不動産鑑定は、依頼から納品まで2週間から1ヶ月程度かかるのが一般的です。鑑定の必要日数は、不動産の内容によって異なるので、余裕をもって依頼することをおすすめします。

複数事務所で比較

不動産鑑定の費用は前述したように「公共事業に係る不動産鑑定報酬基準」をベースにして、鑑定事務所が独自の報酬基準を作成することが多く統一した費用にはなっていません。

そのため依頼するにあたっては複数社に見積もりを依頼し、費用や鑑定業務への信頼性、相談のしやすさなどを比較検討し選択することが大切です。

不動産鑑定士は各都道府県の不動産鑑定士協会のホームページから探すことができます。なお、見積内容の確認と合わせて、スケジュールや支払い時期・方法なども確認し、費用の準備状況に合わせて依頼する時期を検討するようにします。

不動産鑑定士の得意/不得意分野の確認も

不動産鑑定を必要とするシーンや、不動産鑑定書の使い道はさまざまです。公的な書類から私的な書類まで幅が広く、不動産鑑定士も得意/不得意分野があります。

鑑定評価を依頼する場合には、主にどのような分野を扱っているのか確認し、見積もり費用ともあわせて選択材料にすることが大切です。

まとめ

不動産鑑定は不動産の価格を算定する国が認めた手法です。そのため資格制度が整備され、不動産鑑定評価基準が定められており、厳格な不動産価格を算定する評価方法となっています。評価鑑定の具体的な方法としては、以下3つの手法がありますが、不動産会社が行う不動産査定も同様の考え方で不動産価格を算定しています。

・収益還元法
・取引事例比較法
・原価法

不動産鑑定は有料ですが不動産査定は無料で行ってくれるものです。不動産価値をおおまかに知りたい時は不動産査定で十分な場合もあります。不動産価格を知りたい時には、まず不動産会社に相談するのも賢い方法ですね。

不動産査定と不動産鑑定の違い、ご存じですか?
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木村 ゆり
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不動産鑑定士/土地活用プランナー

千葉大学卒業、地方銀行に勤務後、都内の不動産鑑定業者で事務所ビルやマンション等の収益物件の評価を数多く経験。現在は不動産鑑定士事務所を経営し、住宅・店舗・更地・山林・資材置場など多様な不動産に携わる。

土地活用や相続対策にも精通し、不動産に関するお悩み解決に尽力している。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
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