- 遺産相続するときや財産分与をするときなどには不動産鑑定依頼がおすすめです。
- 不動産鑑定評価書は税務署や裁判所などに提出するための証拠書類として認められますが、不動産査定書は認められません。
- 不動産鑑定と不動産査定は似て非なるもの。目的に合わせて使い分けましょう!
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目次
不動産鑑定の費用相場はどのくらい?
不動産は、更地・一戸建て・マンション・店舗など、さまざまな種類があるので、鑑定の内容しだいで費用が変わってきます。不動産鑑定の費用が高いのは、不動産鑑定士が現地調査や役所調査、市場調査を行った上で、評価額の算出根拠を記載した評価書を作成するからです。
なお、鑑定の費用は「公共事業に係る不動産鑑定報酬基準」をベースに不動産鑑定士事務所がそれぞれ独自に設定しているため、依頼先によって費用には差が出ます。大手の不動産鑑定士事務所のほうが、費用は高くなる傾向があります。
不動産鑑定評価書とは
鑑定評価書は、税務署や裁判所に根拠資料として提出したり、売買の相手方に提示して交渉材料に使ったりします。土地や建物の値段だけでなく、賃料の鑑定や、借地権の鑑定、地代の鑑定などもあります。鑑定評価書は不動産鑑定評価基準に基づいて作成されるもので、公的に信頼できる重要書類として扱われます。
簡易鑑定という方法も
簡易鑑定は正式な鑑定評価書の一部を省略するので、費用が安くなり、調査期間を短縮できます。税務署等に提出するわけではなく、社内の会議で使いたい場合などは、簡易的な鑑定を依頼すれば十分でしょう。
ただし、簡易鑑定は、税務署や裁判所へ提出する証拠書類としては使えないので注意が必要です。
不動産鑑定と不動産査定の違い
費用の違い
不動産査定は、不動産会社が物件の売却価格を予想する意味があります。不動産会社が無料で査定してくれる理由は、査定した物件の売買を自社に依頼してもらうための営業活動の一環だからです。
資格の違い
不動産鑑定士とは?
判定方法の違い
鑑定評価書には価格の算出根拠がぎっしりと記載されるので、10ページ以上のボリュームのある書類になります。不動産査定も、鑑定評価の計算方法を準用して査定されますが、計算過程がやや簡便になっています。そのため査定書は数枚程度の書類になることが多いです。
取引事例比較法とは?
収益還元法とは?
原価法とは?
証拠能力の違い
不動産会社による査定額は売却予想価格の性質があるので、やや高めの査定額を提示されることもあるなど、公平な査定額とは限らないので証拠能力は弱いです。
期間の違い
不動産鑑定がおすすめなケース
遺産相続するとき
不動産には固定資産税評価額のように公的な評価額がありますが、時価と公的評価額に差があるときは、相続人の間で納得の得られない場合もあります。そのような時には不動産鑑定による客観的な評価額を利用すれば、公平に遺産を分けることができます。
相続税の節税をするとき
・土地は路線価地域の場合は路線価に基づく路線価方式となり、路線価が定められていない地域は固定資産税評価額に倍率を掛けた倍率方式
・建物は固定資産税評価額に基づく
以上のように公的な評価額を基にして相続税を計算しますが、不動産には個々の状態によって実際に売買される時価が評価額よりも低いケースがあります。
そこで相続税の計算をする場合、不動産鑑定によって計算された評価額に基づき相続税を計算し、税務署が認めると相続税が安くなることがあるのです。
離婚などで財産分与をするとき
1.夫婦が形成した財産を公平に分与する
2.離婚した後の相手の生活保障のため
3.離婚の原因を作ったことへの損害賠償
分与する財産の中に不動産がある場合は正確な評価額を算出して分与しますが、固定資産税評価額のような公的な評価ではなく、実際の価格に近い「時価」に基づく不動産鑑定により評価額を決める方法を採用するケースも少なくありません。
個人間で不動産売買をするとき
時価よりも高い金額での売買は買主に不利ですが、不当に安い金額では税務署から贈与とみなされ贈与税の課税をされるケースもあります。そこで第三者が客観的に売買金額を算定する必要があり、不動産鑑定を利用するケースがあるのです。
法人と役員の間で不動産売買をするとき
アパート経営を法人化するときも、個人から法人へ不動産を売却するので取引価格を慎重に決める必要があります。
思いがけない税金が課税されてしまうリスクを回避するためには、不動産鑑定を取得しておくと安心です。

不動産鑑定を依頼する流れ
1. 鑑定の申し込み
また、正式な「不動産鑑定評価書」以外に、簡易鑑定に該当する「不動産価格意見書」や「不動産価格調査書」の見積もりも依頼できます。見積もりが出てきたら費用や内容などを比較検討し、もっとも信頼できそうな事務所に依頼します。
税務署などに提出するときは簡易的な鑑定では認められないので、正式な鑑定評価書を取得しましょう。簡易鑑定にするかどうか迷ったときは、鑑定士に相談してみてください。

□ | 1.登記事項証明書 |
---|---|
□ | 2.公図 |
□ | 3.地積測量図、実測図 |
□ | 4.建物図面 |
□ | 5.住宅地図など |
□ | 6.固定資産評価証明書、または固定資産税納税通知書 |
□ | 7.過去の収支表(収益物件の場合) |
2. 調査開始
中間報告を受けることも可能!
3. 不動産鑑定評価書の交付
不動産鑑定を依頼する時の注意点
有効期限は最長1年
従って不動産鑑定評価書に有効期限は記載されませんが、できれば3ヶ月以内が望ましく、最長でも約1年間が目安と考えるのが一般的です。1年以内であっても、価格形成要因の大きな変動があった場合には、鑑定士に「時点修正の意見書」を依頼する必要があります。
スケジュールに注意
このように不動産鑑定評価書の完成に期限がある場合は、事前にスケジュールを立てて余裕をもって依頼しなければなりません。なお不動産鑑定は、依頼から納品まで2週間から1ヶ月程度かかるのが一般的です。鑑定の必要日数は、不動産の内容によって異なるので、余裕をもって依頼することをおすすめします。
複数事務所で比較
そのため依頼するにあたっては複数社に見積もりを依頼し、費用や鑑定業務への信頼性、相談のしやすさなどを比較検討し選択することが大切です。
不動産鑑定士は各都道府県の不動産鑑定士協会のホームページから探すことができます。なお、見積内容の確認と合わせて、スケジュールや支払い時期・方法なども確認し、費用の準備状況に合わせて依頼する時期を検討するようにします。
不動産鑑定士の得意/不得意分野の確認も
鑑定評価を依頼する場合には、主にどのような分野を扱っているのか確認し、見積もり費用ともあわせて選択材料にすることが大切です。
まとめ
・収益還元法
・取引事例比較法
・原価法
不動産鑑定は有料ですが不動産査定は無料で行ってくれるものです。不動産価値をおおまかに知りたい時は不動産査定で十分な場合もあります。不動産価格を知りたい時には、まず不動産会社に相談するのも賢い方法ですね。
不動産査定と不動産鑑定の違い、ご存じですか?
目的に合わせて不動産の評価を依頼しましょう!
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この記事の監修者

不動産鑑定士/土地活用プランナー
千葉大学卒業、地方銀行に勤務後、都内の不動産鑑定業者で事務所ビルやマンション等の収益物件の評価を数多く経験。現在は不動産鑑定士事務所を経営し、住宅・店舗・更地・山林・資材置場など多様な不動産に携わる。
土地活用や相続対策にも精通し、不動産に関するお悩み解決に尽力している。
亡くなった人の所有していた全財産から債務などを差し引いた額が、基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人数)を超えた場合に相続税の課税対象となります。高額な不動産を相続したときは、不動産鑑定が役立つことがあります。