AI査定のメリット・デメリットを理解して
あなたの不動産売却に役立てましょう!
目次
AI査定って簡単で便利だけど信頼できるの?

AIとは
最近では、将棋や囲碁で使われるアプリケーションが、典型的なAIと言ってよいでしょう。人間が膨大なデータを処理して答えを導くと大変な時間がかかりますが、AIなら短時間で答えを出すことができます。
AIによる不動産査定の仕組み
・所在地
・種類や用途
・面積
・構造
・建築年
・居住状態
上記の入力データは、人の手による査定においても同様です。土地の価格算定には所在地情報が重要なデータとなります。所在地情報から公示地価や路線価を把握し、交通利便性や都市計画における将来性などを推測していきます。
マンションの場合は、取引事例から算出する方法が多く用いられ、この場合も所在地が重要な情報となります。また、一戸建て住宅など建物に関しては、面積・築年・種類・構造などのデータから、現在の価格を算出します。このプロセスも人の手による査定と同様です。
AI査定と業者査定の違い

一戸建ての場合
たとえば一戸建て住宅の敷地が、南向きの角地と北向きの中間画地とでは、評価額にかなりの違いが出ます。しかし、AI査定では敷地の道路付けに対応していないアプリが多いのです。さらに注文建築で建てられた一戸建て住宅には、デザイン・機能・性能などで、標準的な住宅とは異なる価値のある物件が多く、AI査定ではこのあたりも評価に反映することができません。
築年数が同じ物件であっても、耐久性や維持メンテナンスの状況によって、法定耐用年数を大幅に超える高耐久な物件もあるでしょう。一戸建てには、人間が関わるからこそ査定に加算できる評価ポイントが多くあるのです。また、地域によってはAIの保存データが乏しく、一戸建てに対応できないものもあるので注意が必要でしょう。
マンションの場合
マンションは一戸建てと異なり供給業者が少なく、建物としての品質や性能にあまり格差はありません。デベロッパーによってはグレードにより複数のシリーズを供給している場合もありますが、せいぜい2グレードぐらいであり、参考になる成約事例に困ることはないでしょう。マンション査定価格に影響を及ぼす大きな要素は、「立地条件」と「築年数」です。AIから瞬時に出される算出価格は、人間が数十分かけて計算する結果とあまり差がなく、早く正確な査定結果を導き出せると言ってよいものです。
ただし、AI査定も万能ではありません。地方都市などでは物件数が少なく、年間成約事例が数件といった都市もあります。データ数が少ないと、実際価格との乖離が生まれる可能性もあり、同一マンションに成約事例がない場合は、計算結果が出てこない可能性もあります。
AI査定のメリットとデメリット

メリット
気軽にマンションの価格を調べられる
値動きの激しい都心のマンションでは、最適な売却タイミングを狙って売却依頼をすることも可能となるため、高値売却を考えている人には便利なツールと言えそうです。
匿名で査定を行える
くわしい物件住所を登録したくないという場合は、物件住所の入力が不要という匿名査定もあります。たとえば、最寄り駅からの所要時間を入力し、物件種別と面積だけで査定額を出してくれるものがあります。また、なかにはアカウント登録すら不要のアプリもあるので、完全匿名での査定も可能です。
不動産会社の営業電話が来ない
デメリット
実際の売却価格とはギャップがある
売出価格と成約価格に大きな違いが出ることもあり、売出価格をデータベースとしたAI査定では、実際に売却できる価格との間にギャップが生まれることもあります。
売却を依頼する会社を選べない
1.売却予定不動産の売出価格を決める
2.信頼できる不動産会社を探す
AI査定は不動産価格を知るだけであって、2番目の「信頼できる不動産会社を探す」ことはできません。不動産会社に直接査定を依頼すると、担当者が現地を訪れ内外部や周辺状況などをくまなく点検確認し、後日査定ができると査定結果をていねいに説明するものです。一般的に不動産査定を依頼する場合は、複数の会社に依頼するので会社それぞれの特徴や、担当者の人柄などを把握できるものです。そして、その中からもっとも信頼できそうな会社を選んで、不動産売却を依頼しています。
しかしAI査定では、不動産会社の担当者に会うこともなく、複数の会社を比較して信頼できる会社を見きわめることもできません。不動産会社には売却戦略や、売却後の住まいなど相談したいことも多いもの。信頼できる会社を選ぶことは、実に大切なことなのです。
無料で媒介をしてくれるのでお得な感じもしますが、買手がまだ見つかっていない物件登録時は、コーディネーターが決まっていません。そのため、物件登録時の法律的な規制内容やインフラの調査など、売主みずから行う必要があります。不動産に関する知識がない場合は、負担が大きく手間もかかることになります。一般の媒介とは異なることを理解しておきましょう。
不動産会社による訪問査定が信頼度NO.1

不動産会社の担当者と話をする機会を持つことにより、不動産に関する知識や人柄が確認でき、売却を依頼する会社としてふさわしいかどうかの判断が可能となります。AI査定は参考価格を知るには便利ですが、不動産の売却には訪問査定が必要と理解しておきましょう。
訪問査定を複数の会社に依頼するなら「一括査定」が便利です。

まとめ

・データベースが少ない
・成約価格ではなく売出価格がベースのAIもある
・物件種類や地域によって査定根拠となるデータがないケースもある
このような理由から、本格的な売却前に、シミュレーションとして使用するといった使い方が今のところは望ましいといえそうです。とはいえ、財産分与など、資産評価ツールとしての利用価値は十分にあります。ご自身の状況に合わせて、AI査定と、不動産会社による訪問査定を使い分けることをおすすめいたします。
AI査定のメリット・デメリットを理解して
あなたの不動産売却に役立てましょう!

監修弘中 純一
【資格】宅建取引士/一級建築士
宅建取引士・一級建築士として住宅の仕事に関り30年以上になります。
住宅の設計から新築工事・リフォームそして売買まで、あらゆる分野での経験を活かし、現在は住まいのコンサルタントとして活動。
さまざまな情報が多い不動産業界ですので、正しい情報発信に努めています。