相続した不動産は放置しておくと損です。
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※この記事では、ご自身で相続手続きすることを前提としてご紹介していますが、相続はさまざまな問題も絡んでくるため、弁護士や司法書士など専門家に依頼・相談するケースが一般的です。 |
目次
不動産相続の手続きの流れと必要書類

【ステップ1】 | 相続する財産・相続人を確認 |
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【ステップ2】 | 必要書類の準備 |
【ステップ3】 | 遺産分割協議 |
【ステップ4】 | 相続財産の名義変更 |
【ステップ5】 | 相続税の申告・納付 |
【ステップ1】相続する財産・相続人を確認する
遺言書有無の確認
事前に遺言の有無を確認できているのが一番良いですが、一般的には、自宅で保管している場合、日常利用していた机の引き出しやタンスの中などに、金庫や貸金庫に預けている場合には、その中に保管されていることが考えられます。また、公正証書遺言(公証役場で公証人に作成してもらう遺言)を作成していた場合には、公証役場にある「公正証書遺言検索システム」で探すことができます。
なお、遺言が見つかった場合の注意点がひとつ。遺言書の偽造や複製を防ぐために家庭裁判所で「検認」手続きをする必要があるため、遺言書は勝手に開封してはいけません。
法定相続人の調査・確定
相続順位 | 血族の種類 |
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常に相続人 | 配偶者 |
第1順位 | 死亡した人の子供、もしくは代襲相続人となる孫・ひ孫 |
第2順位 | 死亡した人の直系尊属(父母や祖父母) |
第3順位 | 死亡した人の兄弟姉妹、もしくは代襲相続人となる甥・姪 |
相続財産の調査・確定
■相続財産となるものの例
プラスの財産 | 預貯金、不動産、株式などの有価証券、ゴルフ会員権、宝石、貴金属など |
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マイナスの財産 | 住宅ローン、カードローンなどの借金、未払いの税金など |
相続放棄
相続財産に借金などのマイナスの遺産が多い場合など、相続の開始から3カ月以内であれば相続放棄の申し立てを家庭裁判所に行うことができます。裁判所への申し立てを行うためには、相続放棄の申述書や被相続人の住民票除票など多くの必要書類を揃えなければならず、早めの対応が必要です。また、申し立て前に遺産を使ったり、換金したりしていないことが条件となります。相続放棄をすると、相続権利が後位の法定相続人に移動することとなり、責任の放棄ともなりかねないことに注意しましょう。
【ステップ2】必要書類の準備
□ | 相続人全員の戸籍謄本(被相続人が亡くなった日付以降のもの |
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□ | 相続人全員の印鑑証明書 |
□ | 被相続人の戸籍謄本(出生時から死亡時まで) |
□ | 被相続人の住民票の除票(本籍記載のあるもの) |
□ | 遺言書もしくは遺産分割協議書 |
□ | 対象不動産の登記事項証明書 |
□ | 不動産を相続する人の住民票 |
□ | 固定資産評価証明書 |
□ | 相続人全員分の住民票の写し |
【ステップ3】遺産分割協議
遺産分割協議書の作成
遺産分割協議における注意点
一方、法的な縛りがない分、強制力が働かないということが考えられます。遺産分割協議は、最終的に相続人全員が署名捺印をする必要があるため、どうしても進まない場合には、家庭裁判所において遺産分割調停を申し立てる必要があることも念頭においておきましょう。
【ステップ4】相続不動産の名義変更
一般的に、相続登記は司法書士等の専門家に依頼するケースが多いですが、ご自身で行う場合には、以下の流れで必要な書類を法務局に提出をしたら、相続登記は完了です。
相続登記の申請の流れ
Step1 | 相続する不動産の登記事項証明書を取得 |
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Step2 | 遺産分割協議書の作成 |
Step3 | 相続登記申請書の作成 |
Step4 | 相続登記申請(法務局で手続き、もしくは郵送) |
相続登記に掛かる費用としては、登記事項証明書や住民票など必要書類の取得費用として1,000~10,000円程度(必要書類の数による)と、司法書士に依頼する場合は司法書士報酬が数万円~10万円程度。必要書類や不動産の数によって金額が変動しますので、司法書士に依頼をする場合には、見積もりをすることをおすすめいたします。
名義変更については以下の記事で詳しく触れています。
【ステップ5】相続税の申請・納付
相続税には基礎控除額があり、差し引いて残った金額に対して相続税が課せられますが、遺産総額が基礎控除額よりも少なければ申告の必要もありません。詳しくは次章で説明してまいります。
不動産を相続時に発生する税金

不動産の相続税評価額
土地の相続税評価額は「路線価方式」もしくは「倍率方式」による評価方法で求められます。一般的に売却価格よりも低い額となっているため、価値以上の課税がされる心配はありません。自宅などの建物部分は、固定資産税の納税通知書に記載されている「固定資産税評価額」がそのまま使用されます。
相続税の計算方法
相続税がかかるかどうかは「基礎控除額」を把握することから始めましょう。平成27年に相続税が改正され基礎控除額が減額されたことから、相続税の申告対象も増えているので注意が必要です。
相続税の基礎控除額=3,000万円+相続人の数×600万円 |
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例えば、法定相続人が配偶者と子供2人の計3名いる場合、基礎控除額は4800万円となります。遺産総額が4800万円を超えている場合は、相続税が課せられます。課税対象の遺産総額を相続人ごとに分割し、相続税率を掛け合わせると納税額を把握することが可能です。
参考リンク: No.4155 相続税の税率:国税庁
その他の控除や特例について
【配偶者控除】
配偶者は、最大1億6,000万円、もしくは法定相続分のうち多い金額まで相続税がかかりません。配偶者は相続税負担が大きくならないように配慮されています。しかし、この制度を最大限利用して相続税を軽減するために、極力多くの財産を配偶者が相続したとしても、二次相続時の子の相続税負担が増える場合があります。二次相続対策も合わせて検討をするとよいでしょう。
【小規模宅地等の特例】
小規模宅地等の特例とは、被相続人が居住していた土地や貸付事業をしていた土地に対し、80%または50%まで評価額を減額するものです。この特例を適用するには、一定の条件を満たしていなければなりませんが、かなり大きな評価額減額の特例となりますので、対象となるかどうかをいま一度確認してみましょう。
その他の税金
登録免許税=固定資産税評価額×0.4% |
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仮に固定資産税評価額が1,000万円の不動産を相続した場合には、1,000万円×0.4%=4万円となります。
相続不動産におけるトラブルを回避するための遺産分割方法とは

預貯金など現金化されているものであれば、相続人間での配分が決まれば比較的スムーズに分割ができますが、土地や建物など不動産の場合、事情は異なり少々複雑になります。不動産における遺産分割方法としては、以下4つの方法が一般的です。
現物分割 | 不動産をそのまま相続人の一人が取得する方法 |
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代償分割 | 不動産を1人が取得するが、他の相続人に対し相応の金額を支払う方法 |
共有 | 不動産を相続人で共有する方法 |
換価分割 | 不動産を売却し、売却代金を相続人で分割する方法 |
売却を前提に考えるなら換価分割
引き継ぐ実家に子が同居したり、移り住む予定があるのであれば、「現物分割」や「代償分割」の方向で話し合いを進めるとよいでしょう。誰も住む予定がなく、兄弟など相続人が複数いる場合、相続した不動産を売却して売却代金を相続人同士で分け合う「換価分割」であれば明確に分配できるのでトラブルも防ぐことができます。
換価分割を行う場合、実際に売却手続のできる相続人を選び、選ばれた相続人が自分の名義にした上で売却手続きを行うこととなります。その際は遺産分割協議によって、誰が売却するのか、売却代金や期限、誰がどれだけ相続するのかを決めると良いでしょう。
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相続した不動産は放置しておくと損!

しかし、管理が難しいからと言って放置しておくことは得策ではありません。なぜならその間も固定資産税を払い続けなければなりませんし、一戸建てなら傷んでしまうためです。マンションであったとしても、その価値は下がってしまいます。
そこで考えられる対応策が、相続した不動産を売却するということ、です。両親と離れて暮らしている方や、既に不動産を相続しているけれど特に活用されてない方など、ぜひこの機会に相続不動産の売却について基礎的な知識を身につけておきましょう。
相続した不動産の売却にも相続登記が必要
相続登記を行わないことで発生するデメリットやリスク
売却などの処分が自由にできない |
他の相続人が、自分の持分(法定相続分)だけを勝手に登記して売却してしまう |
不測の事故が起きても、不動産賠償が受けられない |
将来的に相続人が増える可能性がある(相続人の一人が亡くなると、その配偶者や子息といった家族が相続の権利を引き継ぐため) |
相続した不動産であっても譲渡益の申告が必要
なお、譲渡所得の申告には譲渡した不動産の取得費及び減価償却費が必要になります。また減価償却費を算出するためには取得時期が分からなければなりません。しかしながら相続した不動産の場合、相続人がその不動産の情報を把握していない場合もあります。減価償却費や取得費の計算を行うためにも、相続する不動産を購入した当時の売買契約書を探しておくようにしましょう。 売買契約書が見つからず取得費がどうしても分からない場合は、売却した際の譲渡金額の5%相当額(3,000万円で売却した場合は、150万円)を取得費とすることができます。
相続税を支払った場合、譲渡税を軽減できる
さらに相続不動産を売却して譲渡益が発生した場合には、譲渡税も申告によって収めなければなりません。相続税を支払い、なおかつ譲渡税も支払わなければならないなんて、税金の二重取りをされているような気分になるかもしれません。
そこで相続税申告期限の翌日から3年以内に相続不動産を売却した場合に限り、相続税の一定額を取得費に加算できる「相続税の取得費加算の特例」が認められています。取得費に相続税の一部を加算することによって、譲渡益を抑えることができるため税金の軽減につながります。
相続する物件種類ごとの注意点
土地のみを相続する場合
戸建てを相続する場合
【空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例】
被相続人が住んでいた不動産を空き家のまま譲渡した場合、一定の要件に当てはまれば譲渡所得の金額から最高3000万円まで控除することができます。増加する空き家問題の対処として令和5年(2023年)12月31日までの売却であることを条件に、他にも細かく要件があるため、適用されるかどうかの確認が必要です。
マンションを相続する場合
不動産相続に関するよくある質問

Q.相続した不動産にローン残債がある場合、支払い義務はある?
Q.相続発生後でも間に合う相続税対策はある?
Q.遺言書に不満がありましたが言い出せず、相続手続きが終わってしまいました。
Q.相続人の中に認知症の母がいますが遺産分割協議は可能でしょうか。
まとめ

相続不動産の売却には、遺産分割協議や相続登記などと段取りが多くなります。相続人が集まれる機会も限られるため、なるべく早いうちに各種手続きを行うと良いでしょう。特に相続人が複数いる場合には、一度タイミングを逃してしまうと、後になってからでは「なぜ今さら」と他の相続人との交渉も難しくなってしまうこともあります。ただし、不動産以外に借金などマイナスの相続財産がある場合には注意が必要です。相続不動産を売却してしまえば、相続を単純承認したこととなり、借金まで相続することになったとしても、あとから相続放棄できなくなってしまいます。
相続の問題は実に複雑です。大きなトラブルを防ぐためにも、いざというときは弁護士や司法書士など専門家に相談すると良いでしょう。
相続した不動産は放置しておくと損です。
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監修キムラ ミキ
【資格】AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー
日本社会事業大学 社会福祉学部にて福祉行政を学ぶ。
大学在学中にAFP(ファイナンシャルプランナー)、社会福祉士を取得。
大学卒業後、アメリカンファミリー保険会社での保険営業を経て、(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わった。
その後、2008年8月より独立し、現在、自社の代表を務める。