不動産を相続したらどうしたらいいの?相続手続きや売却する際の注意点をご紹介

  • 公開日:
  • 2018年5月1日
  • 更新日:
  • 2018年5月30日
不動産を相続したらどうしたらいいの?相続手続きや売却する際の注意点をご紹介
親や家族に万が一の事が起きた際に、不動産を相続することになったが、何をしたらいいかわからない。ここではそんな不動産相続時に必要となる手続きや、注意すべきポイントと合わせて、相続時に発生する費用や税金などのお金に関すること、相続した不動産を売却をする際のメリット・デメリット、売却ノウハウまで細かくご紹介いたします。

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※この記事では、ご自身で相続手続きすることを前提としてご紹介していますが、相続はさまざまな問題も絡んでくるため、弁護士や司法書士など専門家に依頼・相談するケースが一般的です。

目次

不動産相続の流れ

「急に相続なんて言われても困る!」そうならないためにも、相続が発生した際に、どのような手続きが必要となるのか、流れを確認しておきましょう。

相続の発生 ≫ 遺言書の確認 ≫ 相続人の確定 ≫ 相続財産の確定 ≫ 遺産分割協議 ≫ 相続登記

相続の発生

まず、被相続人が亡くなったら、死後7日以内に死亡診断書とともに死亡届を役所に提出します。

死亡届は、病院で亡くなった場合には病院の医師から貰いますが、自宅等で亡くなった場合には、掛かりつけの病院に連絡し、死亡診断をしてもらう必要があります。掛かりつけの病院が無い場合には、警察に連絡し、監察医もしくは検死官が検死を行い、死亡診断を実施します。

遺言書有無の確認

相続においては、故人のことを相続されるという意味で「被相続人」と呼びます。被相続人の遺言書の有無によって、その後の手続きが大きく変わってきますので、注意が必要です。

事前に遺言の有無を確認できているのが一番良いですが、なかなかそうはいきませんよね。一般的には、自宅で保管している場合、日常利用していた机の引き出しやタンスの中などに、金庫や貸金庫に預けている場合には、その中に保管されていることが考えられます。
また、公正証書遺言(公証役場で公証人に作成してもらう遺言)を作成していた場合には、公証役場にある「公正証書遺言検索システム」で探すことができます。いずれのケースにおいても、遺言書の有無はしっかりと確認しましょう。

なお、遺言が見つかった場合の注意点がひとつ。遺言書の偽造や複製を防ぐために家庭裁判所で「検認」手続きをする必要があるため、遺言書は勝手に開封してはいけません。

法定相続人の調査・確定

遺言書が見つかった場合には、遺言の内容に沿って相続の手続きを進めてください。

遺言書がなかった場合には、誰が相続人となるのかを調べるために、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や除籍謄本を取得し、親、兄弟姉妹、子、認知している子、養子など親族関係となる人をすべて洗い出し、相続人を確定させます。

なお、被相続人の配偶者は常に法定相続人となり、次いで子供、父母、被相続人の兄弟姉妹と順序が決められています。

参考リンク: 相続人の範囲と法定相続分:国税庁

相続財産の調査・確定

法定相続人が確定したところで、次は相続財産を調べます。この記事では”不動産"の相続の流れとして説明をしていますが、相続財産には不動産以外のものも含んで計算する必要があります。
一般的に大きな資産と言われるものが預貯金と不動産です。プラスの財産であれば良いですが、住宅ローンや借金などマイナスの財産も含みます。自宅や勤務先、取引先等、どのような財産があるか調べましょう。プラスの財産からマイナスの財産と葬儀費用を差し引いた金額に対して、相続税が発生します。

相続財産となるものの例
プラスの財産預貯金、不動産、株式などの有価証券、ゴルフ会員権、宝石、貴金属など
マイナスの財産住宅ローン、カードローンなどの借金、未払いの税金など

遺産分割協議

法定相続人と相続財産が確定したら、遺産分割協議に入ります。遺産分割協議とは、相続人間で行われる遺産の行き先を決める会議のことを言います。この協議は、後にご説明する「遺産分割協議書」に相続人全員の署名捺印があれば、必ずしも直接会って決める必要はありません。

不動産における遺産分割方法

預貯金など現金化されているものであれば、相続人間での配分が決まれば比較的スムーズに分割ができますが、土地や建物など不動産の場合、事情は異なり少々複雑になります。不動産における遺産分割方法としては、以下4つの方法が一般的です。

現物分割不動産をそのまま相続人の一人が取得する方法
代償分割不動産を1人が取得するが、他の相続人に対し相応の金額を支払う方法
共有不動産を相続人で共有する方法
換価分割不動産を売却し、売却代金を相続人で分割する方法

遺産分割協議書の作成

無事に協議が終わり分割内容が確定したら「遺産分割協議書」を作成します。形式や書式のルールは特にありませんが、土地や建物などは、登記簿謄本に記載されている通り、正確に記載してください。なお、この書類は、相続人すべてが署名捺印する必要があります。

遺産分割協議における注意点

遺産分割協議は裁判外での話し合いの場となるため、法的な縛りはありません。また、「いつまでに確定しなければいけない」という期日はないため、じっくりと納得するまで、話し合いを進めることができます。
一方、法的な縛りがない分、強制力が働かないということが考えられます。遺産分割協議は、最終的に相続人全員が署名捺印をする必要があるため、どうしても、進まない場合には、家庭裁判所において遺産分割調停を申し立てる必要があることも念頭において置きましょう。

相続登記の申請

これら一連の流れを経て、相続不動産の相続登記を行います。不動産を相続した場合、もともとの所有者(被相続人)の名義だったものを、相続人の名義に変更する必要があります。不動産の所有者変更の際に行う手続きを「所有権移転登記」と言いますが、相続登記は、それの相続版と覚えておくと良いでしょう。
一般的に、相続登記は司法書士等の専門家に依頼するケースが多いですが、ご自身で行う場合には、以下の流れで必要な書類を法務局に提出をしたら、相続登記は完了です。

Step1相続する不動産の登記事項証明書を取得
Step2遺産分割協議書の作成
Step3相続登記申請書の作成
Step4相続登記申請(法務局で手続き、もしくは郵送)

相続登記に掛かる費用としては、登記事項証明書や住民票など必要書類の取得費用として1,000円~10,000円程度(必要書類の数による)と、司法書士に依頼する場合は司法書士報酬が数万円~10万円程度。必要書類や不動産の数によって金額が変動しますので、司法書士に依頼をする場合には、見積もりをすることをおすすめいたします。

不動産を相続時に発生する税金

不動産の相続登記が完了すると、以下2つの税金が発生してきます。

1.登録免許税

不動産を”登記”することで発生するのが「登録免許税」で、以下のように計算されます。

登録免許税=固定資産税評価額×0.4%

固定資産税評価額とは、固定資産税の基準となる価格のことを言い、実際の取引価格とは異なるものですので注意が必要です。毎年、市町村(東京23区は都が行う)が決めており、地価公示価格の70%を目処に計算されています。

仮に固定資産税評価額が1,000万円の不動産を相続した場合には、1,000万円×0.4%=4万円となります。

2.相続税

登録免許税と同様に被相続人から相続人へ「相続」されることで発生するのが「相続税」です。相続税には基礎控除額があり、基礎控除額を差し引いて残った金額に対して相続税が課せられます。

相続税の基礎控除額=3,000万円+相続人の数×600万円

たとえば、相続人が配偶者と子供1人の場合には、

3,000万円+2人×600万円=4,200万円

が基礎控除額となります。

相続税の計算方法

ここで注意が必要なのが、相続するものが不動産だけとは限らないことです。相続税の対象となるのは相続遺産すべてです。不動産の他に、預貯金や有価証券などプラスの財産があり、総額が基礎控除額を越す場合には、相続税が発生します。反対に0円またはマイナスになる場合には相続税は発生しません。

それでは以下を例に相続税の計算をしてみましょう。

被相続人
相続人妻・長男・次男
遺産総額7,000万円(不動産、預貯金、有価証券)

基礎控除額

3,000万円+3人(妻・長男・次男)×600万円=4,800万円

課税対象の遺産総額

遺産総額7,000万円-基礎控除額4,800万円=2,200万円

上記の「課税対象の遺産総額」を相続人毎に法定相続分の割合で計算をすると・・・

課税対象額2,200万円×法定相続分の割合
2,200万円×2分の1=1,100万円
長男2,200万円×4分の1=550万円
次男2,200万円×4分の1=550万円

となります。
これらの金額を以下の「相続税の速算表」に沿って、相続人毎に納税額を計算します。

相続税の速算表

課税対象の遺産総額税率控除額
1,000万円以下10%-
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円越55%7,200万円

これを家族3人に当てはめてみると・・・

相続人各人の課税遺産総額税率控除額相続税
1,100万円15%50万円115万円
長男550万円10%なし55万円
次男550万円10%なし55万円

納税額は、総額で225万円となります。

ここまで不動産を相続する際に必要となる手続きについて説明をしてきました。次の章からは、相続した不動産を売却する上での注意点をご紹介していきます。

参考リンク: No.4155 相続税の税率:国税庁

相続した不動産は放置しておくと損!

相続の流れでも説明した通り、相続の発生によって親が所有していた不動産を譲り受ける場合、税金がかかります。さらに自分たちが居住している不動産でなければ、日々の管理も難しいでしょう。

しかし、管理が難しいからと言って放置しておくことは得策ではありません。なぜならその間も固定資産税※を払い続けなければなりませんし、一戸建てなら傷んでしまうためです。マンションであったとしても、その価値は下がってしまいます。

そこで考えられる対応策が、相続した不動産を売却するということ、です。

両親と離れて暮らしている方や、既に不動産を相続しているけれど特に活用されてない方など、ぜひこの機会に相続不動産の売却について基礎的な知識を身につけておくと良いでしょう。

※固定資産税の税額は、「固定資産税評価額(課税評価額)×1.4%(標準税率)」で算出できます。

相続した不動産の売却にも相続登記が必要

上記では、相続した不動産の売却もひとつの手段であると説明をしましたが、いざ売却して手放そうとした時に、相続登記をしていないと売却することができません。

実はこの相続登記は、いつまでに手続きしなければいけないという期限の決まりがありません。そのため、被相続人の死後、つい土地や住まいの名義を被相続人のままにしてしまうこともあります。しかし相続登記によって名義を変更していなければ、様々なデメリットが生まれます。

売却することができないということも、その一つ。例えば親が土地を所有していた場合、その親の死後であっても、相続登記をしなければ自分の判断で土地を売却することも、担保にしてお金を借りることもできません。

相続登記をしないことで生じるデメリットは他にもあります(下記参照)。不動産を相続することになったなら、なるべく早い時期に相続登記を行うようにしましょう。

相続登記を行わないことで発生するデメリットやリスク

売却などの処分が自由にできない
他の相続人が、自分の持分(法定相続分)だけを勝手に登記して売却してしまう
不測の事故が起きても、不動産賠償が受けられない
将来的に相続人が増える可能性がある(相続人の一人が亡くなると、その配偶者や子息といった家族が相続の権利を引き継ぐため)

売却を前提に考えるなら換価分割

上記では、相続した不動産を売却するためには相続登記による名義変更が必要だと説明しました。しかし相続する財産は、相続する人が確定していなければ、法定相続人(民法で決められている相続する権利のある人。配偶者や子どもなど)全員の共有財産となります。勝手に自分のものだとして登記することはできません。

実際には、相続する遺産は「実家のみ」など、わずかすぎて分けようもないというケースも少なくありません。しかし長引く不況や増税を背景に、ささやかな額でも相続を期待している人も増えています。そのため資産のない家族や親類でも、トラブルに発展している事例が多々あります。資産がないから、兄弟仲が良いからと安心してばかりもいられないのが実情です。

兄弟など相続人が複数いる場合、相続した不動産を売却して売却代金を相続人同士で分け合う「換価分割」であれば明確に分配できるのでトラブルも防ぐことができます。

換価分割を行う場合、実際に売却手続のできる相続人を選び、選ばれた相続人が自分の名義にした上で売却手続きを行うこととなります。その際は遺産分割協議によって、誰が売却するのか、売却代金や期限、誰がどれだけ相続するのかを決めると良いでしょう。

相続人が複数いる場合の相続不動産売却の流れ

Step1不動産を取得する(売却する)相続人を決める(遺産分割協議)
Step2不動産の名義を移す(相続登記)
Step3不動産業者に売却を依頼する(媒介契約を結ぶ)
Step4売却後、所有権移転登記を申請する
Step5売却代金を相続人の間で分配する

相続した不動産であっても譲渡益の申告が必要

相続した不動産であっても、やはり売却して得た利益(譲渡益)は課税の対象となります。忘れずに確定申告するようにしましょう。

なお、譲渡所得の申告には譲渡した不動産の取得費及び減価償却費が必要になります。また減価償却費を算出するためには取得時期が分からなければなりません。では、相続不動産の取得時期や取得費はどうなるのかというと、被相続人から引き継ぐことになります。

しかしながら相続した不動産の場合、相続人がその不動産の情報を把握していない場合もあります。減価償却費や取得費の計算を行うためにも、相続する不動産を購入した当時の売買契約書を探しておくようにしましょう。 売買契約書が見つからず取得費がどうしても分からない場合は、売却した際の譲渡金額の5%相当額(3,000万円で売却した場合は、150万円)を取得費とすることができます。

相続税を支払った場合、譲渡税を軽減できる

親から子どもへなど、被相続人から財産を相続した場合、その額に応じて相続税の支払いを課せられることがあります※。相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った翌日から10か月以内に行うことが原則です。例えば、1月6日に死亡した場合には、その年の11月6日が申告期限となります。またこの期限内に相続税を納税する必要もあります。そのためたとえ売却の意志があったとしても、相続税の納税を迫られます。

さらに相続不動産を売却して譲渡益が発生した場合には、譲渡税も申告によって収めなければなりません。相続税を支払い、なおかつ譲渡税も支払わなければならないなんて、税金の二重取りをされているような気分になるかもしれません。

そこで相続税申告期限の翌日から3年以内に相続不動産を売却した場合に限り、相続税の一定額を取得費に加算できる「相続税の取得費加算の特例」が認められています。取得費に相続税の一部を加算することによって、譲渡益を抑えることができるため税金の軽減につながります。

※相続税は必ず申告・納税しなければいけないものではありません。相続した資産総額が基礎控除額を超える人が対象となります。なお基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の人数」で算出できます。例えば相続人が3人いる場合の基礎控除額は「3,000万円+600万円×3=4,800万円」となるため、相続資産が4,800万円を上回らない限り相続税の申告・納税は必要ありません。

法定相続人基礎控除額
1人3,600万円
2人4,200万円
3人4,800万円
4人5,400万円

まとめ

いかがでしたでしょうか。

不動産相続の流れから相続した不動産の売却についてご紹介いたしました。

相続不動産の売却には、遺産分割協議や相続登記などと段取りが多くなります。相続人が集まれる機会も限られるため、なるべく早いうちに各種手続きを行うと良いでしょう。特に相続人が複数いる場合には、一度タイミングを逃してしまうと、後になってからでは「なぜ今さら」と他の相続人との交渉も難しくなってしまうこともあります。

ただし、不動産以外に借金などマイナスの相続財産がある場合には注意が必要です。相続不動産を売却してしまえば、相続を単純承認したこととなり、借金まで相続することになったとしても、あとから相続放棄できなくなってしまいます。
相続の問題は実に複雑です。大きなトラブルを防ぐためにも、いざというときは弁護士や司法書士など専門家に相談すると良いでしょう。

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【監修】キムラミキ

【監修】キムラミキ

【資格】AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー

日本社会事業大学 社会福祉学部にて福祉行政を学ぶ。
大学在学中にAFP(ファイナンシャルプランナー)、社会福祉士を取得。
大学卒業後、アメリカンファミリー保険会社での保険営業を経て、(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わった。
その後、株式会社優益FPオフィスでの業務委託・スタッフ経験を経て、2008年8月より独立し、現在、自社の代表を務める。

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