売却損は特例で軽減!適用条件や不動産売却で損失を出さない方法を解説します

2024.01.23更新

この記事の監修者

秦 光一郎

秦 光一郎

【資格】税理士

売却損は特例で軽減!適用条件や不動産売却で損失を出さない方法を解説します

売却損が生じても税金で取り戻せる場合があります。この記事では不動産売却時に売却損が生じた場合の取り扱いについて解説します。

この記事のポイント
  • 特例・控除を受けるには確定申告が必要。忘れずに対応するようにしましょう。
  • 売却にじっくりと腰を据えて取り組めるよう、資金的にも時間的にも余裕をもって取り組んでください。
  • 売却する際には必ず複数の不動産会社に査定依頼をし、情報収集することが大切です。

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目次

売却損とは

個人が不動産を売却し、その不動産に値上がり益があると所得税を納めなければなりません。不動産を売却する際の値上がり益部分を譲渡所得といいます。

譲渡所得が発生しているか判断するために、個人が不動産を売却した場合、以下の算式で譲渡所得を計算することになっています。

譲渡所得=収入金額-(取得費+譲渡費用)

マンション等建物の場合は使用され中古になる分、通常は購入金額よりも安い金額で売却されます。この売却による収入金額が「取得費」と「譲渡費用」の合計よりも低い金額であると、損失が発生します。上記計算式でいうと譲渡所得がマイナスになるということです。このマイナスの金額のことを「売却損」といいます

この計算式中の「取得費」とは、土地であれば購入金額を指します。建物であれば、購入金額から売却するまでの時の経過に応じた減価の額を控除した金額を指します。「譲渡費用」は売却するために必要な費用をいい、不動産会社の手数料などを指します。

利益が出たときは税負担が増える

上記の譲渡所得がプラスの金額である場合、所得税や住民税が課されます。不動産から生じた譲渡所得に課される所得税などは、給与や年金に課される所得税などとは分けて計算します。

このため不動産の売却等から生じる譲渡所得を「譲渡所得」といいます。譲渡所得に課される税金は、その不動産の所有期間が売却した年の1月1日で5年超であるか、5年以下であるかによって異なります

所有期間が5年を超える不動産の譲渡所得を「長期譲渡所得」といい、適用される税率は所得税、住民税、復興税を合わせて15.315%です。5年以下については、「短期譲渡所得」といい、税率は同39.63%になります。

売却損が出たときに利用できる特例・控除

赤字と黒字の金額を相殺する手続きのことを「損益通算」といいます。従前は土地建物の譲渡により生じた損失と給与等との相殺が認められていました。

バブル期に購入した不動産を損切りし、その売却損と高額な役員報酬を相殺して所得税還付を受けていた富裕層は大勢いましたが、平成16年の税制改正によりこれが認められなくなりました。

現在では原則とし土地建物の譲渡により生じた損失は、ほかの土地建物の譲渡により生じた譲渡所得としか損益通算ができません

また、損失の金額を翌年以降に繰り越して翌年以降の所得と通算する規定を「繰越控除」といいますが、不動産の売却損については繰越控除も平成16年の税制改正により認められなくなりました。

しかしながら所定の要件を満たす場合、現在でも「損益通算」や「繰越控除」が認められる特例があります。「損益通算」や「繰越控除」が認められると、給与等から源泉徴収された所得税の一部または全部が還付されます

非常に有利な特例ですので、不動産売却を検討される折には、ご自身がこの特例に該当するかどうか、必ず検討なさってください。現在でも使える「損益通算」「繰越控除」の特例は、以下の2種類です。いずれもご自宅用の不動産の譲渡に関係する特例となっています。

①「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」
②「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」

特例・控除の適用条件

ここでは、特例・控除を受けるための条件について説明していきます。

買替の場合

「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」は、旧居を売却し新居を購入した場合に使うことのできる特例です

この特例の適用要件に該当すれば旧居の売却により生じた売却損を、その年の給与などと損益数算することができます。また損益通算を行っても控除しきれなかった売却損は、その年の翌年以後3年間繰り越して給与などと相殺することが認められています。この特例の適用を受けるためには、以下の要件に該当することが必要です。
自分が住んでいるマイホームの譲渡であること。以前に住んでいたマイホームの場合、住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日までに譲渡をすること。
譲渡した年の1月1日における所有期間が5年超であり、日本国内に所在するものであること譲渡した年の1月1日における所有期間が5年超であり、日本国内に所在するものであること
災害により滅失した家屋の敷地の場合、譲渡した年の1月1日における所有期間が5年超であり、災害があった日から3年を経過する年の12月31日までに譲渡すること
譲渡する年の前年1月1日から翌年12月31日までの間に日本国内にある不動産(新居)で家屋の床面積が50㎡以上のものを取得すること
新居を取得した年の翌年12月31日までに住み始めること又は住み始める見込みであること
新居を取得した年の12月31日において、住宅ローンの償還期間が10年以上であること
この特例は、売主と買主が親子や夫婦など特別な関係にある場合や、売却した年の前年及び前々年に、居住用財産の軽減税率、3,000万円特別控除、買替特例、交換特例等の各種特例の適用を受けている場合などには適用することができません

また、旧居宅の敷地面積が500m2を超える場合や、年末に償還期間10年以上の住宅ローンが無い年、合計所得金額が3,000万円を超える年等には、繰越控除の適用が制限されます。

ちなみに給与収入のみの人が、合計所得金額3,000万円を超えるのは、給与額面額金額が31,950,001円以上となる場合です。年収31,950,001円以上の人は、前年以前の売却損があっても繰越控除を受けることができなくなります。

買替以外の場合

「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」は、住宅ローンの残っているマイホームを売却した時に使える特例です

具体的には、住宅ローン残高よりも少ない金額でマイホームを売却した場合に、その売却損の一部分の金額をその年の給与等と損益通算をすることができるという特例です。新居を購入する必要はありません。

また、損益通算を行っても控除しきれなかった売却損は、翌年以後3年間の繰越が認められ、翌年以後の給与等と相殺をすることができます

この特例で、給与等と損益通算できる売却損の金額は、上記譲渡所得の算式で求める金額ではありません。マイホーム売買契約日前日の住宅ローンの残高が、マイホームの売却金額を上回る場合の、その上回る金額が、損益通算およびその後の繰越控除の対象となる金額となります。この特例の適用を受ける上での要件は以下の通りです。
上記買替の場合の要件①~③と同じ要件
マイホームの売買契約日の前日に、住宅ローンの償還期間が10年以上であること
マイホームの売却金額が、上記②の住宅ローン残高を下回ること
この特例は、親子や夫婦等特別な関係にある人への売却には適用できませんし、合計所得金額が3,000万円を超える年には繰越控除が適用できません。

またマイホームを売却した年の前年及び前々年に、居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例、3,000万円特別控除、買替特例、交換特例等の各種特例を適用している場合も適用できません。

更に売却した年の前年以前3年以内にこの特例の適用を受けている場合や、売却した年又はその年の前年以前3年内に、マイホームを買い替えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例の適用を受ける又は受けている場合にも適用できません。

これらの特例の適用関係は極めて複雑で有利不利の判定には税務的な専門知識が必要です。適用に当たっては専門家にご相談なさることをお勧めいたします

特例・控除を受けるには確定申告が必要

上記の特例は、その適用を受けるためにはいずれも確定申告書に計算書や明細書その他の書類を添付して提出することが必要です。

たとえば、いずれの特例も売却損の金額の明細書や計算書を作成することが求められます。売却した家屋の所有期間や面積等が判る書類、登記簿謄本や売買契約書、住宅ローンの残高証明書、場合によっては住民票、戸籍謄本なども必要になります。

翌年以降に繰越控除を受けるには、この特例の適用を受けた年から繰越控除を適用する年分まで連続して確定申告書(損失申告用)を提出していることも必要です。

とりわけ注意しなければならないのは、当初申告が期限内申告である必要があることです。医療費控除等で単に還付を受ける場合には、所得税の申告期限後であっても税務署は受け付けてくれます

しかしながら繰越控除の適用を受けようとする場合は、売却年において期限内申告書の提出が求められています。つまり売却した年の翌年3月15日までに確定申告書を提出できていないと、この特例の適用を受けることができなくなってしまう訳です

売却損を出さないためにできること

売却損を活用できる特例について解説してきましたが、売却損は出さないに越したことはありません。不動産に関しては、売り急ぎは損失の元です。

売却に際してはじっくりと腰を据えて取り組めるよう、資金的にも時間的にも余裕をもって取り組んでください。特にご自宅の買換え等の場合、心理的に売り急ぎへ誘導されがちです。よく準備し情報収集して取り組みましょう。

特に不動産の価格は、値幅があるものです。不動産の査定は一社のみにお願いするのではなく必ず複数社へ依頼しましょう。そうすることで適正価格帯を把握することができます。適正価格帯の中でなるべく高く売り抜けることで売却損を発生させない、なるべく少額にする、ことができます。

それと共に現状いくらで売却できれば売却損が発生しないのか、適正価格で売却した場合、どの程度の譲渡所得又は売却損が発生するのか、知っておくことは重要です。そのためには取得費の計算方法を確認しなければなりません。以下の資料もご参考になさってください。

不動産売却の成否は不動産会社選びにかかっている

不動産の売買は多くの人にとって、一生のうち何度も経験する類のことではありません。不動産の価格は一般的に高額であり、特に土地の場合、2つとして同じ条件の土地は存在しないからです。

そのため物件との出会いを「一期一会」と表現する場合もあります。であるからこそ不動産会社の選別はとても重要です。なるべく多くの買手希望者と繋がっている、買手希望者の情報を持っている不動産会社へ売却依頼をすることが望ましいことです

まとめ

この記事では売却損が発生した場合に適用できる所得税の特例や、売却損を発生させないためにできることを考えてきました。ご自宅の売却を検討される際には必ず複数の不動産会社に査定依頼をし、情報収集をしましょう。

たとえ希望する金額で売却できず売却損が発生してしまう見込でも、要件に該当すれば所得税を取り戻すことができる可能性があります。ご自身が特例に該当するか、特例に該当するためにはどうすれば良いか、前もって情報収集し適用漏れの無いようになさってください。

不動産を売却して売却損が出たら…
適用できる特例や控除をおさえておきましょう!

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秦 光一郎

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【資格】税理士

会計事務所に勤務しつつ平成16年税理士試験に合格。税務コンサルタント会社にて金融機関をサポートする業務の中、資産税業務の経験を積む。平成22年税理士法人シン総合会計設立。主に中小企業の会計税務支援を中心に、事業承継、資産税業務にも従事。不動産会社の税務相談会相談員、金融機関のセミナー講師等に携わる。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
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