- 熟年離婚では持ち家や年金、退職金の財産分与が複雑になりやすい傾向にあります。
- 財産分与には精算的・扶養的・慰謝料的の3種類があり、請求期限は離婚成立から2年以内と定められています。
- 不動産の分与方法は売却・代償金・共有維持など複数あり、正確な評価額の算出が争点となります。
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目次
増える熟年離婚と財産分与の問題
熟年離婚が増えている社会背景
一方で同居期間20年以上の離婚件数は2015年以降増加の一途を辿っています。その中でも同居期間30年以上の夫婦の離婚増加率はとくに大きくなっています。つまり婚姻期間の長い熟年離婚がとくに増加していることが統計にも表れています。

子どもの独立を機に、我慢していた不満が表面化するケースが多く、長年連れ添った夫婦でも「第二の人生」を模索する動きが広がっています。
熟年離婚に限定したデータではありませんが、2024年度の司法統計によると裁判所への離婚調停の申し立て理由で一番多いのは男女共に「性格の不一致」です。そして、申し立てるのは圧倒的に女性側が多いという事実があります。

熟年離婚における財産分与の心配事とは
共有財産が多く複雑化している
老後の生活費の基盤となる
持ち家の分配で揉めやすい
また、最近は自宅購入時の住宅ローンを夫婦で収入合算やペアローンで借りているケースもあり、住宅ローンの返済期間も長期化しており、財産分与を複雑化しています。
財産分与の基本知識と主な方法
財産分与とは?
熟年離婚における財産分与の方法
精算的財産分与
扶養的財産分与
慰謝料的財産分与
財産分与の割合と相場
財産分与の請求期限
熟年離婚で年金・退職金を分ける方法
退職金の分け方
年金の分け方
熟年離婚で不動産を分ける3つの方法
① 売却して現金で分ける
ただし、売れた値段で分配する、と合意が出来ていれば良いですが、片方に売却希望金額のこだわりがある場合、すぐに売れないこともあります。
まずは「いくらで売れそうか」
複数社に査定を依頼するところから始めましょう。
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② 妻が住み続け、夫に代償金を支払う
また、夫の住宅ローンが残っていて、妻がその返済を引き継ぎたい場合、借り換えや住宅ローンの名義変更をしなければいけません。これも金融機関の審査が必要であるため、やはり妻の支払い能力が問われます。
万一、住まない夫が住宅ローンの返済を継続した場合、離婚後の夫にとっては自宅ではない家の住宅ローンを返済していることになり、自分が住む自宅のための住宅ローンという観点では、金融機関との契約違反に該当する可能性もあります。
これらのことは、妻が自宅を出て、夫がそのまま自宅に住み続ける場合にも注意しなければいけないポイントです。
裁判所に申し立てをして離婚調停を行うのであれば、不動産鑑定士による評価額の算出が必要となるケースも出てきます。
そこまで至らない場合、不動産会社による査定を活用することもあります。その場合、1社ではなく、複数社の査定を入手した方がより納得感の持てる査定金額を入手できるでしょう。
複数の不動産会社に依頼することは手間がかかるもの。
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③ 持ち分だけ分けて共有にする
ただ、どちらかが事情が変わり、すぐに売りたいとか、売る気がなくなったなど事情が変わった時に揉める要因になります。さらにそのまま持ち続けた場合、将来の相続では、面識もない相続人同士が共有しているなんてことも起きかねません。そうなると売るにも貸すにもトラブルを抱える負動産となります。
不動産の場合、所有中にも税金や維持費が発生することを意外と見落としがちです。 もし財産分与で所有することになる場合、所有するために負担する費用についても考慮しておく必要があります。
【チェックリスト】損しない不動産財産分与のための5つのポイント
1. 所有者名義の確認
2. 住宅ローンの残債確認
もし、売却しても住宅ローンを完済できない見込みの場合、手持ち資金で穴埋め可能ならば売却可能です。しかし、穴埋めできない場合、売却はできないという判断になるかもしれません。
3.売却査定額の把握
1社のみの査定を鵜呑みにするのはNG。
できるだけ客観的な評価をもとに話し合いをしましょう。
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4.財産分与の合意と書面化
5.売却スケジュールと生活設計の整理
売却が決まり、買主に引渡しをするまでに自分達の引越しも完了しておかなければいけません。売却資金で住宅ローンの残債を完済する予定ならば、銀行とも事前に手続きが必要です。引越し先も当然、確保しておかなければいけません。
ただでさえ慣れない手続きの連続です。売却の流れを把握し、段取り良く計画的に進めていきましょう。
よくある質問
- 夫の退職金は妻がもらえる権利はある?
- 退職金が婚姻期間中に形成されたものであれば、妻にも財産分与として請求する権利があります。しかし、財産分与として認められるのは、勤務先に退職金制度があり、退職金を受け取ることが確実であること、実際に受け取るまでの期間が10年以内など、受け取ることが確実視できないと認められないこともあります。
- 熟年離婚で財産分与を拒否できますか?
- 法的には拒否できません。民法768条に「協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる」と規定されており、原則は拒否できません。しかし、財産分与の請求権の時効になった時(現行は2年以内。民法改正施行後は5年以内)や相手側が財産分与を放棄した時は拒否できます。
- 婚姻期間25年の年金分割はいくらですか?
- 婚姻期間中の厚生年金記録を分割できる制度です。分割割合が50%の場合、報酬比例部分についても25年分の厚生年金(標準報酬月額、標準賞与額)の半額が受け取れる計算になります。ただし、これも離婚等をした日の翌日から2年以内という期限が定められています。
- 熟年離婚の財産分与の平均額はいくらですか?
- 夫婦の資産状況により異なりますが、「司法統計年表(家事編)第27表」によると婚姻期間25年以上の1,000万円以上の財産分与額の割合が一番多いことが分かります。
婚姻期間が長くなればそれだけ共同で築いた財産も増えるということでもあります。
まとめ
さらに財産分与には期限もあるため、損をしないためにも、正しい情報をもとに早めに準備を進め、計画的に進める必要があります。
結婚式のケーキ入刀は「夫婦の最初の共同作業」と形容されることがあります。一方で離婚の財産分与は「夫婦の最後の共同作業」と言えるかもしれません。 離婚の原因によってはお互いに感情的になっていることも考えられますが、是非お互いに協力して、財産分与をスムーズに進めたいところです。
円満な財産分与には「正しい資産評価の把握」が不可欠。
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この記事の監修者
AFP/宅地建物取引士/住宅ローンアドバイザー
マイホーム購入、セカンドライフの住まいの選択、空き家になった実家の活用など、「お金」と「不動産」相談専門のファイナンシャルプランナー。
大手ハウスメーカー勤務中に、年間300件を超える住宅ローンアドバイス、ローン取次業務を経験。現在は独立し、家づくりや不動産実務に精通したファイナンシャルプランナーとして活躍中。実務経験を踏まえた不動産とお金のセカンドオピニオンは大きな安心感があると、相談者からも好評を得ている。





熟年離婚の財産分与はその後の人生に大きな影響を与えます。「早く別れてすっきりしたい」という感情的なものもあると思いますが、改めて今後の人生設計を見直す良い機会でもあります。