不動産売却の悩みは誰に相談すればいい?解決につながる不動産専門家とは

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この記事の監修者

弘中 純一
弘中 純一

宅地建物取引士/一級建築士

不動産売却の悩みは誰に相談すればいい?解決につながる不動産専門家とは

家の売却検討中の方に、不動産の専門家の役割や不動産会社との違いなどを解説し、不動産売却の悩みに適した相談先をお伝えします。

この記事のポイント
  • 不動産売却にかかわる専門家はさまざまですが、すべての過程でパートナーとなるのは不動産会社。
  • 業者選定を間違わなければ不動産売却を有利に進めることができます。
  • 信頼できる担当者に出会うためには複数社比較が鉄則です!

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目次

不動産売却の相談ならまずは不動産会社へ

不動産を売却するのは簡単ではなく、いくつかのハードルや問題をクリアしなければなりません。たとえば、次のような問題があります。

・買い手をどのように見つけるか
・いくらで売却できるのか
・必要な手続きは何か
・不動産を売った後の税金はどうするか
・トラブルが起きたらどうすればよいか

このような悩みや不安に関して、それぞれ相談できる専門家がいますが、まず真っ先に当たるのが不動産会社です。

売却を決めたら不動産会社に相談

不動産を売却する時は、次のような流れに沿って行います。
売ろうとしている不動産に関して、不動産会社に相談する
不動産会社に査定を依頼し、売却金額の目安を知る
売り出し価格を決定し、不動産会社と媒介契約を締結する
本格的に売却活動を開始する
不動産会社に問い合わせが入れば、内見などが行われる
購入希望者が現れれば、買受金額が提示される
売買価格や取り引き条件を調整し、合意にいたる
合意に基づき売買契約を締結する
契約書に基づき引き渡し日に決済・引き渡しをする
このうち、不動産会社は最初から最後まで売主をサポートします。サポートの内容は宅地建物取引業法に定められたもので、宅地建物取引士が責任を持って安心安全な取り引きを図ります。

そのほかの悩みは5つの専門家に依頼

不動産会社は不動産の売却が完了するまでのすべてのプロセスに関わりますが、その前後やプロセスの途中では不動産会社以外にも以下のような専門家が加わり、取り引きが正常に行われるようそれぞれの立場で役割を果たします。
不動産鑑定士不動産の価値を鑑定する
土地家屋調査士土地の測量や建物の面積など不動産の表示に関する調査をする
弁護士法律上のトラブル防止や紛争解決を担う
司法書士不動産登記の手続きをする
税理士税務の相談や確定申告を担当する
これらの専門家のくわしい役割は、後段でご説明します。

登記の手続きは自分でもできる!

「司法書士は不動産登記の手続きをする」と解説しましたが、登記は本来、登記義務者が行うものであり、司法書士は代理人として手続きを行います。つまり、登記手続きは自身でもできるものなのです。

所有権移転登記は引き渡し日に申請することが原則で、間違いがあってはいけません。そのため、司法書士に依頼することが多いのですが、時間に余裕がある場合は、所有者自身で行うこともできます。たとえば、相続登記は書類さえすべて整えられれば、簡単に行うことができます。

売却する不動産が相続したものであり、登記手続きがまだ終わっていない場合は、以下の記事を参考に自身でやってみることをおすすめします。

不動産の価値を相談したいなら「不動産鑑定士」

専門分野不動産の経済価値を評価する(国家資格)
概算費用20万~30万円
こんな悩みの人に
おすすめ
不動産会社よりも客観的に算定した売買価格が知りたい
選び方のポイント不動産売買の取り引きに関して理解が深いかどうか
不動産鑑定士は国家資格であり、公示地価や路線価の評価など公的機関からの依頼による業務や、不動産による現物出資の評価、抵当証券発行の評価など、客観的かつ厳密な不動産の鑑定業務を行います。

不動産の売却に際しては一般に、不動産会社の無料査定による売却価格の算定が行われています。しかし、不動産会社の無料査定より客観的で明確な根拠に基づいた評価が欲しい時に、不動産鑑定を行うことがあります。たとえば次のようなケースです。

・土地の単価が高い場合や面積が広大な場合、わずかな単価の違いでも取引価格が大きく変わる
・個人売買の場合は、不動産会社の関与がなく信頼感のある査定ができない
・相続・贈与・財産分与など一般的な売買に該当しない場合の所有権移転の際に、評価額をより正確に算定するため

土地の測量や境界について相談したいなら「土地家屋調査士」

専門分野不動産の表示に関して調査や測量を行う(国家資格)
概算費用4万~数十万円
こんな悩みの人に
おすすめ
土地の境界が不明な場合、地目の変更・分筆登記が必要な場合など
選び方のポイント一般的な規模の不動産売却であれば、小さい事務所のほうが親切であることが多い
古くからある住宅地の場合などでは、土地の境界石が見つからないことがあります。しかし、不動産の売却では土地の境界明示が必要であり、現況測量を必要とする場合もあるでしょう。

また、住宅地なのに地目が「原野」のままになっている場合や、大きな土地を分割して売却する場合などは、土地家屋調査士に依頼し、必要な測量と登記をしてもらわなければなりません。

測量を行う範囲は状況によって広くなることもあり、範囲が広いほど費用も高くなってしまいます。このような場合は、複数の土地家屋調査士事務所から見積もりを取るのもおすすめです。

相続や契約上のトラブルについて相談したいなら「弁護士」

専門分野法律事務(国家資格)
概算費用約20万円~(相談のみは最低5000円/時間)
こんな悩みの人に
おすすめ
不動産の売却にあたり、法律上の問題を解決したい
選び方のポイント不動産のトラブルや相続にくわしいかどうか
売却する不動産の相続登記が未了になっており、相続問題を解決しなければ売却できないケースや、借家人や借地人との契約を解除し立ち退きを行う必要がある場合などは、弁護士に相談しなければなりません。とくに立ち退き料の交渉などが必要な場合、不動産会社に依頼すると「非弁行為」に当たることもあります。

また、近隣住民とトラブルがあり不動産会社では対応できないケースなど、弁護士に依頼するほうが早く確実に解決できることもあります。

契約締結が終わり引き渡しまでの期間に、トラブルが発生することや、契約書中の手付解除期間が明確になっておらず、買主との間で合意解除できないケースや、地中埋設物が見つかり契約不適合責任を問われるケースなどが考えられます。

また、仲介した不動産会社が買主から預かった手付金を横領したなど、予想もしないトラブルに遭遇した場合には、弁護士に相談するケースも考えられるでしょう。

登記変更の手続きについて相談したいなら「司法書士」

専門分野法律事務、主に登記や供託(国家資格)
概算費用約2万円~(登録免許税は別)
こんな悩みの人に
おすすめ
登記に関する悩み、および紛争目的価額140万円以下の訴訟をする必要がある場合
選び方のポイント地元で評判のよい司法書士かどうか
不動産会社に紹介してもらう
不動産の売却で必ず関わるのが司法書士です。不動産登記申請は本来、所有者本人が自ら行うことができ、登録免許税だけの負担で済ますことが可能です。それでも、司法書士に報酬を払ってまで登記手続きを行うのには、以下のような理由があります。

・手続きが早く間違いがない
・不動産取引詐欺を防止できる

こういったメリットから、司法書士に依頼するのが一般的です。決済・引き渡しの時は必ず立ち会ってもらい、所有権移転登記手続きを速やかかつ確実に行ってもらいます。

そのほか、抵当権抹消・抵当権設定・所有者住所変更など、所有権移転登記にあわせて複数の登記申請が必要になることもあり、事前に打ち合わせを行っておくことが大切です。

また、弁護士に依頼するようなトラブルや訴訟などでも、紛争目的の価額が140万円以下であれば、司法書士に依頼することもできます。

不動産売却後の確定申告について相談したいなら「税理士」

専門分野税務に関する代理・申告・相談など(国家資格)
概算費用5万~20万円
こんな悩みの人に
おすすめ
相続税や譲渡所得税など不動産売却に関わる税金について相談したい
選び方のポイント相談しやすいかどうか
不動産会社に紹介してもらう
不動産売却に関わる税金は譲渡所得税がほとんどで、譲渡所得が発生する場合は確定申告が必要です。しかし、不動産の売買は金額が大きいため、納税額が心配になり、税理士に相談したいケースもあるでしょう。

事業をしている方以外で、顧問税理士がいるケースはほぼ考えられません。どのような税理士を選ぶか迷う場合は、不動産会社に相談して紹介してもらうのも1つの方法です。

ただし、確定申告を税理士に依頼するとかなり費用がかかります。特別控除が適用でき税額がゼロになるなどの場合は、細かな計算の必要がありません。申告するとしても簡単に行うことができるので、ご自身で申告するのもよいでしょう。

不動産売却のすべての過程でパートナーとなるのは不動産会社

不動産売却には多数の専門家が関わりますが、最初から最後までのすべてのプロセスに関わるのは不動産会社です。親族や知人などを相手とする場合は、不動産会社が介入せず売主と買主が直接売買する「個人間売買」を行うこともありますが、ほとんどの不動産売買では不動産会社が仲介に入ります。

不動産会社は宅地建物取引業法に基づき、公正で間違いのない取り引きを行うことが義務となっています。とくに取り引きの中で重要な役割を担うのが「宅地建物取引士」です。

売主が不動産の売却が初めてであっても、豊富な不動産知識とノウハウをもってサポートするのが宅建士の役割なのです。ここでは、不動産会社をどのように探して選ぶかについてご説明します。

不動産会社の選び方のポイント

不動産会社と一口に言っても、さまざまな種類の会社があります。

・マンションや建売住宅を開発販売するデベロッパー
・中古物件の買取りや再販売を得意とする買取再販業者
・新築・中古物件の販売代理や仲介業務を行う仲介業者
・ビルやマンションの賃貸事業者
・不動産投資物件や投資ファンドなどの専門業者

不動産の売却を依頼する場合は、仲介業務を行う「宅地建物取引業者」(宅地建物取引業法に基づいた免許を得て事業を行っている会社)に依頼します。

宅建業者には、テレビCMなどでよく知られ全国に営業網のある大手と、地域密着で活動している中小の会社があります。大手と中小、それぞれに特徴があり、必ずしもどちらがよいとは言えません。

また、売却の依頼をする場合には「媒介契約」を締結します。媒介契約には次の3種類があります。

・一般媒介契約
・専任媒介契約
・専属専任媒介契約
そして、もっとも大切なポイントは、売却活動を実際に行う担当者です。よい担当者に巡り合うためには、複数の会社に不動産査定を依頼するのが鉄則です。

複数社に一括査定を依頼するところからスタートしよう

不動産を売るには「売り出し価格」を決めなければなりません。そのためには、不動産会社に依頼して査定価格を出してもらいます。不動産査定は不動産鑑定と少し異なり、査定する会社によって価格に大きな違いが出ることがあります。

不動産査定では「売れるだろう」と思われる価格を算出しますが、不動産会社によっては媒介契約を結びたいがために、売れそうもない高い金額を提示する所もあります。そのような高過ぎる金額で売り出すと、まったく問い合わせがない状態になることもあり、大切な売り出し初期の時間をむだにしてしまいます。

査定価格には不動産会社のいろいろな思惑が入っていますので、できるだけ客観的な査定価格を知るため、複数の会社に依頼するのが不動産売却の定石です。その際には、一括査定サイトの利用をおすすめします。

一括査定サイトでは、検索して不動産会社をひとつひとつ探さなくとも、複数の会社に査定依頼ができます。無料で利用でき、査定を依頼した不動産会社からしつこい勧誘を受けることもない便利なサービスです。

複数の会社から査定結果を出してもらった後は、実際に媒介契約を締結する会社や担当者の候補を絞り込みます。すると本格的な査定のために担当者が訪問しますので、そこで人柄などを確認しましょう。

その後、3種類の媒介契約からもっともやりやすいと思える契約方式を決めて、売却をスタートします。

まとめ

不動産を売ろうと思ったら、まず不動産会社に相談します。相続や土地の境界などに関する問題がある場合、売却までに解決しなければなりません。不動産会社だけでは解決できない場合も、不動産会社が中心となってほかの専門家と協力しながら売却を進めていきます。

不動産会社は大切な資産である不動産の取り引きを公正に行い、売主と買主双方の利益を守る責任があります。そのため、不動産会社は宅地建物取引業の免許を取って事業を行い、国家資格を持つ宅地建物取引士が取り引きに関わっているのです。

不動産を売却する時にもっとも大切なことは、相談しやすく適切に対応してくれる不動産会社を選ぶことと言えるでしょう。

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弘中 純一
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宅地建物取引士/一級建築士

宅建取引士・一級建築士として住宅の仕事に関り30年。住宅の設計から新築工事・リフォームそして売買まで、あらゆる分野での経験を活かし、現在は住まいのコンサルタントとして活動中。さまざまな情報が多い不動産業界で正しい情報発信に努めている。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
●また、具体的なご相談事項については、各種の専門家(税理士、司法書士、弁護士等)や関係当局に個別にお問合わせください。

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