住宅ローンがどうしても払えなくなったら、ひとりで悩む前に、
不動産のプロに相談 してみるのがおすすめです。
目次
住宅ローンの返済が苦しくなったら、まずすること

1. 銀行に相談(リスケジュール)
2. 個人再生+住宅ローン特例
3. 売却の検討
4. 放置して競売になるのを待つ
住宅ローンを滞納してしまったら、起こること

住宅ローン滞納1か月目
住宅ローン滞納2~3か月目
住宅ローン滞納3~4か月目
住宅ローン滞納4~5か月目
住宅ローン滞納6か月目
競売にかけられる前に検討したい任意売却とは

任意売却とは大まかにいうと、マイホームを売却しても住宅ローンが残ってしまうケースにおいて、金融機関から抵当権解除の承諾を得て、マイホームを市場で売却する方法のことをいいます。
任意売却が可能な期間は、期限の利益喪失をしてから、競売の入札が始まる前までの期間です。目安としては、住宅ローンの滞納から3~12カ月といった時期です。ちなみに、競売開始決定通知が届いた後、現地調査などが行われるため、実際に競売の入札が始まるまでには数か月かかります。
任意売却をするメリット・デメリット
メリット | ・市場価格に近い金額で売却できる |
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・引っ越し費用などを売却金から控除してもらえる可能性がある | |
・売却にかかる諸費用も売却代金から捻出できる | |
・任意売却後の返済計画の交渉ができる | |
・近隣に知られずに売却できる | |
デメリット | ・個人信用情報には金融事故情報記録が残る |
・債権者の同意が得られない場合がある | |
・販売活動に期限があり、競売になってしまう場合もある |
任意売却の進め方

任意売却の具体的なステップ
① 不動産業者への相談
② 価格査定
③ 債権者の同意を確認して売却活動スタート
④ 売買契約・決済と引き渡し
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①任意売却の相談
②価格査定
査定価格が決定したら、ローン残高や債務状況などの詳細を把握したうえで、任意売却のプランを組み立てます。金融機関との交渉も任せることになるので、信頼関係が築ける担当者かどうかもチェックしましょう。問題なければ、専任媒介か専属専任媒介の契約を結びます。
③債権者の同意を確認して売却活動スタート
④売買契約・決済と引き渡し
任意売却の種類

1.市場売却
【メリット】
任意売却の種類の中では、相場価格に基づいて、最も高く売ることができる可能性が高い方法です。結果として、売却後に残る住宅ローンがいちばん小さくなるため、銀行などの債権者の同意がとりやすいといえます。
【デメリット】
売却まで時間がかかる可能性もあります。また、内見時の室内イメージで売りやすさが左右されるため、清掃や整理整頓を心がけておきましょう。売却後は、引き続き居住することはできません。
2.親子間売買
【メリット】
任意売却後も、住み続けることができるため、精神的苦痛が小さいことがメリットといえます。子どもがローンを組み直して、コストを抑えることも可能となります。
【デメリット】
親子間売買に、融資をしてくれる銀行を見つけることが難しい可能性があります。また、市場売却よりも売却価格が低い可能性があり、銀行などの債権者の同意を取りづらいでしょう。また、生前贈与と受け取られると、贈与税が発生しますし、子が新たにマイホームを購入するときに住宅ローンを借りづらい状況となることもあります。
3.買戻し
【メリット】
居住し続けられるので、住宅ローンの滞納があったということを近所に知られないで済みます。親子間売買のように、贈与税が発生する可能性がないこともメリットです。
【デメリット】
買戻し金額が高くなる可能性もあり、買い戻せない場合には引っ越すことになります。また、市場売却よりも売却可能価格が低い可能性があり、銀行などの債権者の同意を得にくいでしょう。
4.リースバック
【メリット】
引き続き住み続けられるため、マイホームを売却したことなどを近所に知られずに済みます。お子さんの卒業まで等、期限を区切って賃貸契約を締結することも可能です。
【デメリット】
買い戻しと異なり、買主が身内ではない第三者であるため、入居審査が厳しい可能性もあります。また、ビジネスライクに家賃設定をされる可能性もあり、もともとの住宅ローン返済額と家賃に金額差がない場合には、リースバックの意味がありません。そのため、銀行などの債権者の同意を得にくい可能性があります。
5.買取
【メリット】
売買契約締結まで、一番早い方法です。不動産業者は買取後に商品価値を上げて、転売をします。そのため、クリーニングやリフォームを行うことを予め見込んでおり、建物、室内状況が悪くても買い取ってもらうことが可能です。
【デメリット】
クリーニングやリフォームを見込んでいる分、相場価格を下回る価格での買取となる可能性が高く、銀行などの債権者の同意を得にくいでしょう。もちろん、そのまま住み続けることはできません。
6.抵当権消滅請求
【メリット】
下位の抵当権設定者に抵当権抹消を依頼することを買主に任せることができます。
【デメリット】
買主が自ら、抵当権抹消のために動き、費用負担をする必要があるため、理解をしてもらえる買主を見つけることが極めて難しいでしょう。買主も抵当権設定された状態で、所有権移転されているため、銀行からの融資を受けづらい可能性があります。
任意売却のその後

よくある質問

Q. | 任意売却ができない場合とは? |
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A. | 任意売却は債権者である金融機関の同意がなければ行うことができません。競売による債権の圧縮や不良債権化を回避するための手段が任意売却であるため、問題なく返済ができる人、競売までの猶予期間が短い場合は許可されないケースがほとんどです。また、税金の滞納などで差し押さえされている場合は任意売却を利用できません。 |
Q. | 任意売却をすれば競売は必ず避けられる? |
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A. | 期限の利益喪失から競売で落札される前日までが、任意売却可能な期間です。一般的に滞納およそ6カ月で「競売開始決定通知書」が届き、10~12カ月で入札開始となります。任意売却で売却活動をしている間も、競売の準備は進んでおり、買い手が見つからなければ競売で売却されることになります。 |
Q. | 任意売却に費用や税金はかかる? |
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A. | 通常の不動産売却と同様、仲介手数料や契約書類にかかる印紙税、抵当権の抹消登記費用などがかかります。仲介手数料の上限額は【(売買価格×3%+6万)×消費税】の計算式で求めることができます。任意売却の場合、これらの費用は売却代金から清算してもらうことが可能です。 |
Q. | 離婚したので家を売りたいのですが任意売却にすべき? |
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A. | 離婚をきっかけに住宅ローンの滞納が発生した状態で、共有名義の家を売却するなら、金融機関の合意を得ることができれば任意売却という選択肢もあるでしょう。退去して久しいとしても、連帯債務から逃れることはできません。ただし、共有名義人のどちらかが住宅ローンの支払い能力がある場合、金融機関が任意売却に同意しないこともあります。離婚後の不動産売却については、下記の記事でより詳しく説明しています。 |
まとめ

住宅ローンがどうしても払えなくなったら、ひとりで悩む前に、
不動産のプロに相談 してみるのがおすすめです。

監修キムラ ミキ
【資格】AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー
日本社会事業大学 社会福祉学部にて福祉行政を学ぶ。
大学在学中にAFP(ファイナンシャルプランナー)、社会福祉士を取得。
大学卒業後、アメリカンファミリー保険会社での保険営業を経て、(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わった。
その後、2008年8月より独立し、現在、自社の代表を務める。