ローン特約とは何か?不動産売買で知っておくべき基礎知識を徹底解説

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この記事の監修者

柴田 充輝
柴田 充輝

宅地建物取引士/1級FP技能士/社会保険労務士/行政書士

ローン特約とは何か?不動産売買で知っておくべき基礎知識を徹底解説

住宅ローンの利用で、融資が受けられない時のリスクを解消するローン特約。ローン特約の仕組みや注意点を解説していきます。

この記事のポイント
  • ローン特約とは、不動産売買契約において買主が住宅ローンの融資を受けられなかった場合、契約を白紙に戻せる特約のことです。
  • ローン特約には「解除権留保型」「解除条件型」の2種類があり、解除権留保型の場合は買い主が契約解除の意志表示をする必要があります。
  • ローン特約は、買主を保護する一方、売主はさまざまなリスクを負います。トラブル防止のため、双方の認識の齟齬を防ぐ対策が必要です。

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目次

ローン特約とは

通常、不動産売買契約を結んだ後に買主の都合で契約を解除する場合、手付金の放棄や違約金の支払いが発生します。

しかし、ローン特約があれば融資が受けられなかった場合、ペナルティを受けることなく契約の解除が可能です。

ローン特約の仕組みについて

ローン特約を付加した住宅ローンの契約をする時の基本的な流れは、以下のとおりです。
1. 売買契約締結時:ローン特約を含む契約書を作成
2. 融資申し込み:指定期限内に金融機関へ住宅ローンを申し込む
3. 審査結果待ち:金融機関による融資審査を受ける
審査の結果、融資の承認が得られれば契約がそのまま継続します。契約内容に基づいて、残金の決済や物件を引き渡すのが一般的な流れです。

融資が否認された場合、ローン特約により契約が解除されます。その結果、さかのぼって契約がなかったものとなり、買主が支払った手付金は全額返還されます。

柴田 充輝
柴田 充輝

ローン特約がなしだとどうなる?

ローン特約がなく、融資が受けられなかった場合、先に支払っている手付金は返還されません。また、契約解除に伴って違約金の支払いが発生します。
手付金の没収契約時に支払った手付金(物件価格の5~10%程度)を失う
違約金の発生契約書に記載された違約金(物件価格の10~20%程度)を支払う
物件価格が3,000万円の場合、手付金は約150万~300万円、違約金は約300~600万円程度です。不動産が高額になるほど、手付金や違約金も増えます。

一般的なローン特約の内容は?

ローン特約を設定する際は、以下の5つの項目を明確に定める必要があります。

①融資金額

契約解除の対象となる融資金額を明記しましょう。たとえば、物件価格が3,000万円で自己資金が500万円の場合、「融資金額2,500万円以上」と記載します。

設定した金額に満たない融資しか受けられない場合、買主は契約を解除できます。

②ローン特約の期限

ローン特約には、権利を行使できる有効期限を設けるのが一般的です。定めた期限内に契約解除の意思表示をすれば、契約解除が可能となります。

なお、契約を解除できる期限は、一般的には契約締結から1〜2か月程度です。

③融資を申し込む予定の銀行

融資を申し込む金融機関を具体的に記載します。記載する金融機関は、1つでも複数でも問題ありません。記載した金融機関から融資を受けられなかった場合、買主はローン特約により契約を解除できます。

④予定の金利条件

希望する金利の上限を設定します。たとえば「年利2.5%以下」という条件を定めた場合や、2.5%を超える金利での融資しか受けられない場合は、契約解除が可能です。

⑤ローン特約を使う場合の解除方法

契約解除の具体的な方法を定めます。通常は「書面による通知」が必要で、解除の意思表示をする期限も明記されます。買主が契約解除をするには、定められた期限内に定められた方法で意思表示をしなければなりません。

ローン特約には2種類ある

ローン特約には2つの種類があります。「解除権留保型」の場合、買主から契約解除の意思表示をする必要があるため、注意が必要です。

解除権留保型解除条件型
仕組み買主が融資を受けられない場合に、契約を解除できる融資承認が得られなかった場合に、契約が自動的に解除される
解除の方法買主が解除の意思表示をする必要がある融資が不承認になった時点で自動的に解除される
買主の選択権あり(融資が不承認でも契約継続を選択可能)なし(融資不承認で自動解除)
契約の効力融資結果に関わらず、解除するまで契約は有効融資不承認により契約は無効となる
手付金解除権を行使すれば手付金は返還される自動解除により手付金は返還される
買主の負担解除の判断と手続きが必要手続き負担は軽い
それぞれ、くわしく見ていきましょう。

①解除権留保型

解除権留保型とは、買主が能動的に契約解除の意思表示をすることで、契約を解除できる形式です。融資が否認されても自動的に契約は解除されず、買主が期限内に明確な意思表示をしなければ、解除の効力は発生しません。

期限を過ぎると契約解除権を失うため、本命の金融機関以外から融資を受ける必要性が出てきます。

②解除条件型

解除条件型とは、融資が承認されなかった場合に、自動的に契約が解除される形式です。融資否認と同時に契約が自動解除され、買主による意思表示は不要です。

期限切れにより意思表示を忘れてしまうリスクがない一方で、自動解除されるため、買主の意思に関わらず契約が終了してしまうデメリットがあります。

ローン特約のメリット・デメリット

不動産の売買契約にローン特約を設けることにより、メリットとデメリットの両方が発生します。買主・売主の双方から、どのような影響があるのかを見ていきましょう。

買主のメリット

ローン特約があることにより、買主には以下のようなメリットがあります。
● 契約解除のペナルティが発生しない
契約時に支払った手付金が全額戻ってきます。契約書に定められた違約金を支払う必要がなく、不動産仲介業者への手数料の支払いも不要です。 つまり「希望の条件で融資を受けられなければ契約を解除できる」というリスクヘッジが可能で、安心して不動産取引を進められます。
● 安心感が得られる
手付金の放棄や違約金の支払いなどの経済的損失に加え、希望の金融機関で審査に通らなかった場合のリスクにも備えられます。 初めて住宅ローンを利用する方や転職直後で審査に不安がある方、自営業で収入が不安定な方にとって、安心材料となるでしょう。

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買主のデメリット

ローン特約があることにより、買主には以下のようなデメリットがあります。
● 契約解除に条件がある(解除権留保型の場合)
期限内に意思表示をしないと契約を解除できません。1日でも期日に遅れると解除権を失うため注意が必要です。 また、特約に定められた解除条件をすべて満たしていない場合も契約解除はできません。
● 再契約の手間がかかる場合がある(解除条件型の場合)
解除条件型の場合、特約の条件に該当すると自動的に契約が解除されます。欲しいと思っていた物件を取得できず、再度物件を探さなければなりません。 売主との交渉次第では、再度契約を締結し、異なる金融機関で融資に申し込むことも可能です。ただし、実際に再契約できた場合でも再契約の手間が発生するだけでなく、そもそも売主が応じてくれない可能性もあります。

契約解除は、口頭では効力がなく書面での通知が必要となるケースが一般的です。詳細な確認が欠かせません。

柴田 充輝
柴田 充輝

売主のメリット

ローン特約は買主を保護するための仕組みのため、売主にとってのメリットは少ないです。ですが、以下のようなメリットがあります。
● 契約トラブルを防げる
「買主のローンが通らなければ契約は白紙になる」という条件を事前に共有できます。解除の条件が明確になり、双方が納得できる形で契約解除が可能となり、円滑な取引を実現できます。

売主のデメリット

ローン特約を付けることにより、売主からすると具体的には以下のようなデメリットがあります。
● 金銭的補償が得られない
契約解除になっても手付金を取得できず、契約違反に対する違約金も請求できません。
● 再契約の手間や不確実性がある
買主が別の金融機関で融資を試みる場合でも、再契約に応じるかは売主次第です。
● ほかの購入希望者への販売機会を失う
契約期間中は他の購入希望者との取引が制限される場合があります。

ローン特約を付ける際の注意点5つ

不動産取引にローン特約を付ける場合は、売主と買主で認識の齟齬を防ぐための対策が欠かせません。具体的に注意すべき5つの点を解説します。

①ローン特約の種類をはっきりさせる

ローン特約には、「解除権留保型」と「解除条件型」があります。それぞれ条件が異なるため、どちらの形式を採用するかを慎重に検討しましょう。

● 解除権留保型:ほかの金融機関での融資も検討したい場合に向いている
● 解除条件型:手続きを簡単にしたい場合に向いている

種類を正確に把握しておかないと、解除権の有効性をめぐってトラブルになるケースがあります。

買主は融資が否認されたことで契約解除を申し出たものの、売主から「解除権留保型なので、意思表示がされていない以上、契約は有効」と主張される可能性があります。

解除権を失うと、手付金や違約金で数百万円の負担が発生する事態になりかねません。ローン特約の種類、条件などは明確にしておきましょう。

柴田 充輝
柴田 充輝

②売買契約書には融資を受ける金融機関名を記載する

融資の申し込みをする金融機関名は、「都市銀行」や「地方銀行」という抽象的な書き方ではなく、正確に記載しましょう。正式な金融機関名を記載しないと、ローン特約が適用されない可能性があります。

ローン特約が適用されなければ、希望していた銀行からの審査に通過できなかった場合、契約解除ができません。その結果、不利な条件(高金利や借入金額が低いなど)での融資を受ける結果となり、返済が家計を圧迫するリスクがあります。

③売買契約書には融資条件を明確に記載する

金融機関名だけでなく、融資条件も明確に記載しましょう。条件を詳細に定めることで、希望とかけ離れた融資条件でローン契約を締結する事態を防げます。

なお、記載すべき融資条件は以下のとおりです。
項目
融資金額2,500万円以上
金利年利2.5%以下
返済期間35年以内
融資実行日○年○月○日まで
たとえば、金利に関する条件を定めていないケースを考えてみましょう。これだと、当初の想定よりも高金利での条件を提示された場合、契約を解除できません。

金利に関する条件を明確に記載しておくことで、希望している金利以上の条件を提示された場合に契約を解除でき、ローンの返済が家計を圧迫するリスクを防げるのです。

④契約解除の方法や期日は把握しておく

誤った方法で契約解除の意思表示をしたり、期日に遅れたりすると、契約解除ができません。「どのように契約解除の手続きをするのか」も、正確かつ詳細に定めましょう。

たとえば、期限が「2025年7月31日17時まで」となっている場合、当該時間を過ぎると解除の意思表示ができません。

1日遅れただけで、手付金や違約金で数百万円の経済的負担が発生してしまいます。安心して売買契約を締結するためにも、「期日」「時間」「意思表示の方法」を必ず確認しておきましょう。

柴田 充輝
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⑤契約解除は書面で伝える

契約解除の意思表示は、書面で伝えるのが一般的です。口頭だと「言った言わない」のトラブルになるため、「内容証明郵便」にして契約解除を伝えましょう。

契約解除の例文を紹介するため、参考にしてみてください。
○年○月○日付けで締結いたしました不動産売買契約につきまして、住宅ローン特約に基づき、融資承認が得られなかったため、本契約を解除いたします。
つきましては、手付金○○万円の返還をお願いいたします。

まとめ

ローン特約は、不動産売買において買主を保護する役割をはたしています。住宅ローンの審査に通過できなかった場合や、希望する条件で融資を受けられなかった場合の保険として、重要な役割を担っているのです。

ローン特約には「解除権留保型」と「解除条件型」があるため、それぞれの違いを理解することも欠かせません。また、契約解除の意思表示は必ず書面で行う必要がある点に留意しましょう。

ローン特約は、買主売主ともにしっかりとした理解が必要です。
不明点があれば、すぐに不動産会社に相談をしましょう!

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柴田 充輝
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宅地建物取引士/1級FP技能士/社会保険労務士/行政書士

厚生労働省や不動産業界での勤務を通じて社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。 FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。

現在はWebライターとして金融・不動産系の記事を中心に執筆しており、1,200記事以上の執筆実績がある。自身でも株式や不動産への投資を行っており、実体験を踏まえて記事制作・監修に携わっている。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
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