- 不動産売却時に仲介会社に依頼する際、締結する書面を媒介契約書といいます。媒介契約書には取り引きで重要な事項が記載されています。
- 媒介契約書に記載のある、契約の種類(一般・専任・専属専任)や依頼者としての義務、違約金の有無、媒介報酬のルールはとくに確認すべき事項です。
- 媒介契約書の内容を十分に理解しないと、不利な条件での取り引きやトラブルに発展する可能性があります。不明点は不動産会社に確認しましょう。
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目次
媒介契約書とは
不動産を売却する際は、不動産会社に仲介を依頼することになりますが、そのサービスを利用するために締結するのが媒介契約書です。本格的な売却活動を始める前に締結します。
なお、買主と締結する「売買契約書」は印紙を貼らなければならない課税文書ですが、媒介契約書に印紙は不要です。勘違いしやすい部分なので注意しましょう。
媒介契約書のひな型




そのため、最終的には、自分が実際に締結する媒介契約書をよく見て内容を確認することが必要です。
媒介契約書で確認すべきポイント7つ

①媒介契約の種類
一般媒介契約とは、複数の不動産会社に同時に仲介を依頼できる契約のことです。専任媒介契約と専属専任媒介契約は、1社の不動産会社にしか仲介を依頼できない契約のことを指します。
専任媒介契約と専属専任媒介契約の主な違いは、専任媒介契約は自己発見取引ができるのに対し、専属専任媒介契約は自己発見取引ができないという点です。自己発見取引とは、売主がみずから買主を見つけることを指します。
②媒介契約書の有効期間
専任媒介契約と専属専任媒介契約は、有効期間が法律で3か月を超えてはいけないと定められています。(仮に3か月以上の契約期間が定められていた場合は3か月となります。)
通常、不動産を売るのには3か月程度の時間がかかるため、媒介契約の有効期間も最長の3か月と定められていることが一般的です。
一方で、一般媒介契約は法律上の有効期間の定めはありません。そのため、一般媒介契約の有効期間は何か月でもよいですが、通常は専任媒介契約や専属専任媒介契約と同様に3か月で定められています。有効期間を過ぎた場合は原則として媒介契約は終了しますが、依頼者が申し出れば更新をすることは可能です。
媒介契約書の有効期間は、専任媒介契約や専属専任媒介契約では基本的に不動産会社を切り替えられない期限であると認識しておく必要があります。
なお、一般媒介契約は元々重ねて仲介を依頼できるため、契約期間中に他社を追加して依頼することは可能です。
③レインズへの登録義務と報告義務(専任媒介と専属専任媒介)
レインズ(REINS:Real Estate Information Network System)とは、全国の不動産会社が見ることができる物件情報サイトのことです。媒介契約書では「指定流通機構」と表記されています。レインズに物件が登録されると、全国のほかの不動産会社も買主をあっせんすることができます。
専任媒介や専属専任媒介は一社専属の契約であることから、売主が不利益を受けないためにもレインズのような是正システムがあるのです。売主の不利益とは、たとえば仲介を依頼した不動産会社が手抜きをして一向に売却活動を進めないといったことが挙げられます。
レインズへの登録義務と報告義務は、下表のような期限の制限が存在します。
| 媒介契約の種類 | 登録義務 | 報告義務 |
|---|---|---|
| 専任媒介 | 7日以内 | 2週間に1回以上 |
| 専属専任媒介 | 5日以内 | 1週間に1回以上 |
そのため、一般媒介契約には不動産会社にレインズへの登録義務と報告義務は課されていません。
④明示型か非明示型(一般媒介)
非明示型…ほかに依頼する不動産会社を明示しなくてよい方式
非明示型のほうが自由度は高いため、後から他社を追加する可能性が高い場合には、非明示型を選択することをおすすめします。
⑤特別依頼にかかる費用
特別依頼にかかる費用とは、具体的には遠隔地への出張旅費やテレビコマーシャルなどの過大な広告費が想定されています。なお、不動産会社が一般的に行っているインターネット広告やチラシの費用は、特別依頼にかかる費用には該当しません。
⑥違約金の発生
1.専任媒介や専属専任媒介であるのにも関わらず他社へ依頼した場合
2.専属専任媒介であるのにも関わらず自己発見取引をした場合
3.一般媒介の明示型であるにも関わらず明示していない他社に依頼した場合
4.売主の一方的な都合で有効期間内に契約を解除した場合
費用償還の請求で不動産会社から求められる可能性のある費用は、以下のとおりです。
| 現地調査費用 | 写真代や交通費 |
|---|---|
| 権利関係調査費用 | 謄本や公図の取得費用 |
| 販売活動費用 | チラシなどの広告費や現地案内のための交通費 |
| 契約交渉費用 | 交渉のやり取りで生じた交通費 |
専任媒介や専属専任媒介で不動産会社を切り替えたい場合、一方的に契約解除をすると違約金が発生する可能性があります。そのため、切り替えたい場合は、3か月の有効期間を満了したタイミングで行うことが適切です。
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⑦建物状況調査のあっせんの有無
建物状況調査を行うか否かは売主の自由であり、売主が建物状況調査を実施したいと申し出れば、不動産会社はインスペクター(建物状況調査を行う人のこと)を紹介してくれます。建物状況調査のあっせんをした場合、媒介契約の締結時に不動産会社はその旨を記載した書面を依頼者に交付する義務があります。
なお、建物状況調査には、別途インスペクターに対して費用が発生します。インスペクションの費用相場は5~6万円程度です。
媒介報酬の基礎知識
媒介報酬の発生要件
2.媒介契約により不動産会社の媒介行為が存在すること
3.媒介行為により売買契約などが有効に成立すること
つまり、媒介契約を締結しただけでは仲介手数料は発生せず、売買契約が成立しないと不動産会社は仲介手数料を請求できないということです。
媒介報酬の限度額
| 取り引き額 | 媒介報酬(別途消費税) |
|---|---|
| 200万円以下 | 取り引き額 × 5% |
| 200万円超から400万円以下 | 取り引き額 × 4% + 2万円 |
| 400万円超 | 取り引き額 × 3% + 6万円 |
媒介報酬の支払いのタイミング
本来、不動産会社は売買契約成立時に媒介報酬を100%請求できますが、引渡まで売主が依頼する業務も多いため、商習慣で売買契約と引渡で50%ずつに分ける形となっています。
売買契約が解除された時の媒介報酬
| 解除事由 | 媒介報酬の請求の可否 |
|---|---|
| ローン特約による解除 | 請求できない |
| 停止条件不成就による契約効力の不発生 | |
| 不動産会社の責任による解除 | |
| 手付解除 | 請求できる |
| 売買当事者の債務不履行による解除 | |
| 合意解除 |
たとえば、農地の売却で売買契約後に農地法の許可が下りなかった時などが該当します。停止条件不成就による契約効力の不発生のケースも、仲介手数料を請求できないことになります。
まとめ
とくに、媒介契約書には契約の種類(一般・専任・専属専任)や依頼者としての義務、違約金の有無、媒介報酬のルールなど、取り引きに直結する重要な事項が記載されています。これらを十分に理解せずに契約してしまうと、不利な条件で取り引きを進めることになったり、思わぬトラブルに発展したりする可能性があります。
そのため、契約を結ぶ前には媒介契約書の内容をていねいに確認し、少しでも不明点があれば、不動産会社に遠慮せず質問することが大切です。媒介契約書としっかり向き合い、納得したうえで契約を結ぶことが安心して売却を進めるための第一歩となります。
媒介契約書に不明点があっても放置は禁物!
気軽に相談できる不動産会社を見つけることが、売却成功の秘訣です。
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この記事の監修者
不動産鑑定士/中小企業診断士/宅地建物取引士/公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)
不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。
不動産鑑定士と中小企業診断士の資格を活かした不動産鑑定のほか、専門性の高い不動産Webライターとして活躍する。
各種著名メディアにおいて、相続関連や空き家の処分方法に関する取材対応の経験あり。





一般媒介はひな形が明示型となっているため、依頼者が何も言わないと明示型となってしまうことが多いです。非明示型にしたい場合には、媒介契約締結前に不動産会社にその旨を伝えることが適切です。