不動産投資ローンの厳しい審査に通るには?「最強融資術」著者が伝授!

2024.03.15更新

この記事の監修者

安藤 新之助

安藤 新之助

株式会社サクセスアーキテクト 代表取締役

不動産投資ローンの厳しい審査に通るには?「最強融資術」著者が伝授!

不動産投資は購入する物件を担保に金融機関から融資を受け、レバレッジを効かせられるのが魅力!融資を勝ち取るためのポイントを解説します。

この記事のポイント
  • 金融機関から融資を受けて始められるのは不動産投資の魅力の1つ。
  • 有利なローンを組むために、金融機関のローン審査の基準を確認しておきましょう。
  • 「きちんと返せる人」であることを金融機関にアピールするコツを伝授します。

目次

不動産投資の成否は有利なローンを組めるかどうかがカギ

不動産投資は購入する物件を担保に金融機関から融資を受け、金融機関にもよりますが物件価格の1割~2割ほどの自己資金のみでレバレッジを効かせることができる唯一の投資です。

少しでも有利な条件でローンを組み、物件を購入することが成功するための重要なポイントです。

不動産投資はローン利用がおすすめ

まずは不動産投資でローンを利用する3つのメリットを説明します。

【メリット1】レバレッジ効果

ローンを用いることのメリットとして、購入予定の不動産の売買価格に対し一般的に1割~2割程の自己資金で不動産を購入することが可能となります。すなわち、少ない資金を元手に金融機関から他人資本を用いて不動産を手に入れることができるわけです。

自己資金を温存し、ローンをフル活用できれば複数棟の不動産を取得する近道にもなります。

【メリット2】団信による生命保険効果

通常の生命保険は自分の収入から毎月の保険料を支払うのですが、団信付きローンは金利手数料に含まれているため家賃収入から支払うことになります。

団体信用生命保険に加入しておけば、万が一の際に借入金の残債が保険金で賄われるため、ローン返済がなくなり毎月の家賃収入がまるごと入ってくることになります。

そのまま物件を保有し、毎月家賃収入を得るもよし、売却して現金化するもよし、団信は最高のスペックをもった生命保険といっても過言ではありません。

【メリット3】金融機関との取引実績になる

金融機関からローンを組み返済実績を積むことで、新たに物件を取得する際に実績としてみられ、当金融機関はもちろん他の金融機関からの資金調達にも有利になります。

ただし不動産投資をローンで行うにはリスクもある

一方、ローンを用いて行う不動産投資のリスクについても把握しておきましょう。

【リスク1】審査の難易度が高い

一般的な住宅ローンやマイカーローンと比べると投資目的なため、融資獲得の難易度が高くなります。

属性が高い方であれば融資審査に有利といえますが、クレジットヒストリーに問題があったり、物件の評価が低かったり瑕疵があったりすると融資獲得に苦戦します。日頃のお金の使い方の見直しや、物件の目利き力を求められます。

【リスク2】空室や金利上昇がキャッシュフローを圧迫する

不動産賃貸経営もほかの投資と同様に市場環境に左右されます。物件周辺の企業や大学の撤退があれば空室が増えますし、国内外の情勢による金利の上昇なども、毎月のキャッシュフローを圧迫します。

万が一の有事に備え、空室リスク、金利上昇リスクも視野にいれて、どこまで融資額を許容できるかをシミュレーションすることが大切です。

【リスク3】売りたくても売れなくなる場合がある

購入したものの、何らかの事情により売却が必要になることもあります。その際に、残債以上の金額で売却できなかったり、融資条件によっては残債の数パーセントなど多額の違約金が発生したりすることがあります。

求められる金額を支払い、金融機関の担保を外さない限り物件は売ることはできないので、常に金銭的に余裕をもった運営が必要です。

【リスク4】借入額が大きくなりすぎるとほかの金融機関でローンを組めなくなる可能性もある

実績が伴わないまま、短期間に借入額が大きくなっていくと、ほかの金融機関でローンを組むことが難しくなることがあります。元金返済と運営実績がつくことでローンが組めるようになります。

【リスク5】融資にともなう諸費用がかかる

融資事務手数料が融資額の数パーセントと多額なローンもあります。仮に融資額が5,000万で融資手数料が3%の場合、150万円が別途必要です。その分は自己資金で賄うことになるので、金融機関のローン条件をしっかり検討することが大切です。

また、金融機関の規約によってはローンの繰り上げ返済や売却時の一括返済をする際にその返済額の金額の数パーセントの手数料として支払う必要があります。

有利なローンとは

冒頭に「少しでも有利な条件でローンを組むこと」が成功の秘訣であると述べましたが、有利なローンとは具体的にどういったものなのでしょうか。

金利は低いほど良い

金利が低ければ元金返済の比率があがり、返済が進みます。低金利で融資を受けることができればキャッシュフローも増えるため、キャッシュが潤沢につみあがっていきます。

融資期間は長いほど良い

融資期間が長ければ毎月のキャッシュフローがあがります。手元資金が増えれば新たに投資する機会も増えます。一方、毎月元金返済も下がるため残債の減りも遅くなるリスクには注意が必要です。

希望の融資額が取れる

希望の融資額が獲得できるということは、お金の投資効率が上がり、自己資金の回収率が早まり、次の投資に弾みがつきます。

プロパーローンを利用する

プロパーローンとは金融機関が保証協会を介さず自社でリスクを負い貸し出すローンです。保証料など不要でコストが低く抑えられます。その分、審査は厳しくなりますが、獲得できれば金融機関からの高い信用と信頼の証にとなります。

不動産投資ローンの審査基準

不動産投資ローンは審査において、借手の属性、健康状態および物件のもつスペックの評価をもとに融資の可否が決定されます。その審査基準を解説します。

個人評価

・属性
上場企業、地元優良企業に勤務し安定した収入がある。年収は600万以上で勤続年数3年以上が望ましい。

・健康状態
心身ともに健康であり、原則、団体信用生命に加入できる。

・信用情報
キャッシングやリボ払いなど金融事故がないこと。私生活、見た目が派手でなく、アポイントメント時間、書類等の提出期限を守る。言動や経歴などに嘘、偽りがないかどうか。

物件評価

・収益力
収益力は重要な返済原資の裏付けとなる。運用経費を差し引いた後の返済原資がしっかり確保できることで破綻リスクを回避することが可能。

・積算評価
金融機関は物件を担保にとり、万が一貸出先が返済できなくなった時に売却して返済金に充当させるため、積算評価が確保できれば融資に取り組みやすくなる。

・融資エリア
金融機関の融資可能な営業エリア内に物件があることが融資の条件。金融機関によって全国対応可能なケースもあるが、大半の金融機関において営業エリアからの外か内かで融資獲得の可否が決まる。

・物件の構造、築年数
金融機関によって、物件の構造や築年数で返済年数や融資の可否が決まる。
例:鉄筋コンクリートの場合 法定耐用年数(47年)―築年数=融資可能返済期間

【審査難易度別】金融機関の種類

不動産投資ローンの審査難易度を金融機関の種別ごとに一覧表にしました。
※下記は目安であり、個人の属性や物件の評価により異なります
金利借入額返済期間エリア審査難易度
ノンバンク2.9~
4.8%
5億以内35年以内全国
地方銀行1~
4.8%
10億以内35年以内全国
信金 信組2~
6%
10億以内30年以内営業区域
政府系金融機関1.51~
2.8%
4800万以内10年以内全国
都市銀行1%台3億以内30年以内営業区域

不動産投資ローンの審査前に確認すべき大前提5つ

金融機関に融資面談のアポイントを取る前に、大前提として押さえておかなければならないポイントがあります。

1.最低年収ラインは400万円

不動産投資を始めるには、金融機関にもよりますが年収400万円以上が望ましいです。給与収入で生計が成り立っていることが条件です。金融機関により融資基準は異なるのであくまでも目安として考えましょう。

2.融資可能額は年収の10~20倍

融資可能額は年収の10倍~20倍が1つの目安です。既存の借入額のほか、金融機関の融資基準、資産背景により上下します。

3.頭金を入れるか入れないかは別として自己資金は必要

物件の取得費用とは別に不動産仲介手数料や登記費用修などの取得に伴う経費がかかります。また購入後の運営資金が必要です。乏しい資金で運営していては万が一の際の対処に行き詰まります。

4.銀行へのアポなし訪問はNG

アポなし訪問はまともに取り合ってもらえないと考えましょう。金融機関側もいろいろな案件を抱え忙しくしているものです。社会人としてマナーに欠けているとマイナスイメージに直結すると思っても過言ではありません。

不動産会社や知人から紹介してもらうのがベストでしょう。

5.物件の収益性と積算評価どちらが大事か

収益性と積算評価はどちらも大事です。いくら評価が高くてもキャッシュフローが乏しく返済できなければ困ります。

一方、キャッシュフローがよくても、万が一その建物が滅失や使用できなくなってしまえば返済できません。一方に偏りすぎないことがポイントです。

貸手として償却しない土地を担保があることを好みます。土地の資産性が高ければ融資に追い風となります。

安藤 新之助
安藤 新之助

審査通過で最も大事なことは「借りたら返せるか」

「借りたものは返す、貸したものは返してもらう。」誰でも分かることですが、現実的にはそうはいかないケースも多々あります。

金融機関はお客様から預かった大切な預金を貸出し運用して収益を上げています。貸したお金が回収できなければ大損害を被ってしまいます。借りたものはきちんと返すことができる人間であることを、いかにアピールするかを解説します。

きちんと返せる人を面談時にアピールする

身だしなみを整えアポイントの時間には遅刻のないよう訪問しましょう。面談時に質問されたことは嘘、偽りなく伝えること。金融機関側は洞察力に長けており見抜かれます。

誠実な対応はきちんと期日に返済できる人であろう安心材料になります。いくら属性が良く、物件のスペックが良くても、最後は融資を受ける人の人間性であるとみています。

靴は綺麗なものにした方がよいです。靴が汚い人に対しての信用度は低く、融資の土俵にあげない担当者も。

安藤 新之助
安藤 新之助

賃貸事業に取り組む姿勢が肝心

不労所得や節税の目的ではなく、「事業」として取り組むこと。不動産投資は不労所得という印象はありますが、現実にはないと思っても過言ではありません。

現地確認や業者との折衝など物件を取得すれば自身が行動し判断、決断することは山ほどあります。自身が代表者である意識をもちましょう。

主張を裏付けするプレゼン資料を書こう

融資面談に持参する、事業計画書を含むプレゼン資料は恰好のアピールの場です。

・なぜ不動産投資を始めたいと思ったのか動機
・なぜこの物件を選んだのか立地、収益性など
・購入するにあたりどの程度自己資金が用意できるか頭金、諸費用
・購入後きちんと返済できるかどうかCFシミュレーション
・利益はどの程度見込んでいるか収支計画
・購入後の管理運営はどのように想定しているか管理会社の選定など
・万が一運営に行き詰まり、返済に苦戦する場面になった際の対策資産背景

など、物件を購入するにあたってどのように運営をし、支払いを継続していけるかをプレゼン資料として作成することで融資獲得が有利になります。

不動産投資ローンの申し込みと手続きの流れ

1.ターゲットとなる金融機関を選択
2.アポイント
3.面談
4.融資申し込み
5.支店内審査
6.本部審査
7.融資承認
8.金銭消費貸借契約
9.融資実行

不動産業者などから紹介を受け、金融機関にアポイントを取ったのち、担当者と面談を行います。融資審査の申込を受けた担当者は上席に稟議を上げます。

支店内で取り組むか否かの協議を行い、支店長決済を取った後、本部審査にあげます。本部審査で事前承認を得られたのち、本申込みを行い、本部承認を得て金銭消費貸借契約の流れになります。

その後、引き渡し日に融資実行となります。期間として一般的に1~1.5カ月ほど時間を要します。

承認が得られたら大丈夫ということはなく、虚偽が発覚したり瑕疵があったりした場合には承認取り消しとなる場合があります。

住宅ローンで投資物件を購入するなど資金使途が違う場合、契約違反で一括返済を求められるので注意しましょう。

安藤 新之助
安藤 新之助

不動産投資ローンの必要書類

身分証明書
所得証明書
納税証明書
勤務先の会社概要・職歴書・資格証
資産背景一覧
物件概要書
家賃のレントロール
建物図面
登記簿謄本・公図・固定資産税評価証明など
建築確認済証・検査済証
不動産売買契約書・重要事項説明書

まとめ

不動産投資を成功させ、規模を拡大するのに必須なのが金融機関からの融資獲得です。

融資を獲得するためには、「融資をしても大丈夫な人」と貸手から思ってもらえることが重要です。属性が良くても融資を受けられない方もいれば、属性が低くても融資を受けられる方もいます。貸手の立場に立って融資されるにふさわしい人物になる努力が必要です。

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この記事の監修者

安藤 新之助

安藤 新之助

株式会社サクセスアーキテクト 代表取締役

高校卒業後、通算20年以上住宅業界に携わり、2008年不動産投資を開始。当時の年収400万円から7年で資産10億円と家賃収入1億円を達成し、42歳でサラリーマン生活を卒業しセミリタイア。現在14棟214室を保有する実践不動産投資家としてwebコラム執筆やTV、新聞などのメディアに多数出演しながら、3法人を運営し不動産賃貸業ならびに不動産賃貸経営コンサルタントとして活動中。「NOをYESに変える不動産投資最強融資術」(ぱる出版)を執筆。 

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