不動産投資において融資獲得は最重要!初心者のためのローンの借り方を徹底解説します

2024.07.16更新

この記事の監修者

安藤 新之助
安藤 新之助

株式会社サクセスアーキテクト 代表取締役

不動産投資において融資獲得は最重要!初心者のためのローンの借り方を徹底解説します

不動産投資の魅力は、融資を用いて収益不動産を購入できることです。この記事では不動産投資の融資について深堀して解説します。

この記事のポイント
  • 融資を利用することで即座に不動産投資のスタートを切ることができる、これが何よりの融資のメリットです。
  • 不動産投資は「不動産賃貸経営」。投資ではなく事業であることを意識しなければ融資を受けることは難しいでしょう。
  • 融資を受ける際、貸す側の目線に立ってみることが融資獲得へ向けて大きなステップアップとなります。

目次

不動産投資ではローンを利用すべき!融資の5つのメリット

不動産投資のメリットは、ほかの投資ではほぼ不可能と言える金融機関から融資を受ける事が可能であるという点です。もちろん、借入に抵抗があるなら毎月こつこつと貯金をして貯まったところで不動産を購入する方法もあります。

しかし、貯まるのを待つとなると、投資額にもよりますが、よほどの収入がないと数年から十数年先になってしまいます。そんな時間を先取りし、機会損失を補ってくれるのが融資なのです。

1.投資のスタートを早く切れる

好条件の物件に出会った際に融資を利用し即座に購入することで、収入を得る事が可能になります。マイホームの購入と同じで、その時その一瞬のタイミングを逃さずに済みます。

2.レバレッジを効かせられる

融資を利用すれば本来であれば手の届かないような高額な物件を購入することが可能になります。 たとえば5,000万円の物件を購入する場合、自己資金500万円を準備し、金融機関からの融資4,500万円獲得すれば5,000万円の物件を手にすることが出来ます。

3.家賃収入でローン返済ができる

マイホームを購入した場合、購入者本人の給与等が返済原資になります。一方、不動産投資の場合、ローンの返済原資は家賃収入です。金融機関から借り入れするのはともに購入者ご本人ですが、ローンの返済原資がご自身の給与等か家賃収入になるかが大きな違いです。

入居者から好まれるお部屋作りに努め、入居率をしっかりキープすることでローン返済金だけでなく、差額のキャッシュを手に入れることが可能です。

4.団体信用生命保険に加入できる

個人で物件を購入した場合、団体信用生命保険に加入することが可能になります。住宅ローンと同じで、借入した本人に万が一のことがあっても借入金の残債は保険金で賄われるため、本人はもちろん家族にとっても安心です。

5.経営者としての実績につながる

満室経営を継続し良い結果を残せば、金融機関から評価を得られ、規模を拡大する際に融資が受けやすくなります。

不動産投資の融資の特徴

不動産投資に使う融資はマイカーローンや住宅ローンと同じく種類があります。不動産投資で使う主な融資の種類とその特徴を解説します。

不動産投資の融資の種類

アパートローン

相続対策や資産形成でアパート、マンションを購入する際に利用するローン商品です。金融機関によって投資目的はNGであったり、OKであったりします。

ローン商品の諸条件に物件、属性が合致すればスムーズに資金調達が可能。ご本人の年収など属性によって融資額は増減し、保証会社の審査と保証料が必要となるのが一般的です。

建物の構造や築年数など融資対象も決まっており金利も1%台~4%台と金融機関により設定が異なります。

不動産投資ローン

その名のとおり不動産投資を目的としたアパート、マンションなどを購入する際に利用するローン商品です。購入の際のハードルが低く資金調達がスムーズです。

たとえば法定耐用年数を超えたアパート、区分マンション、築古戸建てなど銀行などで融資のつきにくい案件に利用したりするケースが多いです。

一方、投資目的の融資になるのでリスクも高く見込まれており、融資事務手数料や繰り上げ返済時の違約金も割高。金利レートも2%後半~7%台と高めです。物件に金利やその他諸費用をカバーするだけの収益力が必要となります。

プロパーローン

プロパーローンとは借入申込者のニーズに沿ったオーダーメイドローンのこと。金利や融資期間など金融機関の個々のガイドラインもありますが、基本的に借入申込者との話し合いによって諸条件が決まります

一般的に融資金額の上限はなく、アパートローンや不動産投資ローンと比べ金利も0%台後半から2%台と低めです。保証会社は不要ですが、保証人は必要となります(借入が法人であれば代表者本人、個人であれば配偶者が一般的)。

金融機関がリスクを負う為、初心者の方に審査は厳しく融資のハードルは高いですが、実績を積むことにより、規模拡大の場面でプロパーローンは最強な味方となります

不動産投資に融資が期待できる金融機関

都市銀行

三菱UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行・りそな銀行を指します。以前は個人不動産融資に積極的な都市銀行もありましたが現在は消極的不動産賃貸運営の実績を持ち、資産背景が潤沢な方であれば前向きに検討してくれるでしょう。

地方銀行 第二地方銀行

地方銀行とは全国地方銀行協会の会員、第二地方銀行とは第二地方銀行協会の会員のである銀行を指します。

各銀行の支店営業エリア内において融資が可能となります。全国主要都市に進出している銀行であれば投資可能範囲が広がります。不動産融資に積極的な銀行、消極的な銀行は都度変化しますので、融資情報のアンテナを張ることが融資獲得への近道となります。

信用金庫

信用金庫とは信用金庫法に基づく共同組織金融機関であることを指します。信用金庫は地域で集めた資金を地元企業や住民に還元、発展寄与する事で成り立っています。

信用金庫は地方銀行に比べ営業エリアが狭く、投資対象エリアが限られますが、地元密着な分、融資の相談をした際に親身になってくれます。

信用組合

信用組合は組合員が所有する金融関係共同組合です。信用金庫と似た特徴がありますが、営業エリアが信用金庫よりも狭くより地域密着性が高いです。組合員になることでより信用組合から手厚くサポートが期待できるため、不動産投資を始める際に信用金庫と同様に心強い味方です。

ノンバンク

ノンバンクとは銀行とは異なり預金の受け入れを行わない融資を専門に行う金融機関のことを指します。消費者金融会社、信販会社、クレジットカード会社などがあります。

銀行と比べお金を借りやすいといったメリットがある反面、金利が高く短期売買もしくは収益性の高い物件であることが求められます

投資スタイルが確立され、計画性をもって利用すれば非常に心強い資金調達先となりますが、借りやすいからと言って安易に融資を受けると金利、手数料負担などで思わぬ痛手を被る恐れがありますので注意が必要です。

政府系金融機関

政府系金融機関とは政府からの出資によって特殊法人として設立された金融機関です。日本政策金融公庫、日本政策投資銀行、商工組合中央金庫などがあります。

創業資金や物件を購入した後の修繕費用など、親身になって相談に乗ってくれます。金利も低めで保証人なしで融資が可能。不動産投資を始めたい方には心強い味方といえます。

一方、物件に対する担保評価の目線は厳しく、融資金額の上限もあり満額の融資を獲得するにはハードルが高めです。融資の返済期間も短く、購入する際にある程度の自己資金を用意することが一般的です。

融資の審査基準

融資の審査基準は借入する本人の融資使途、属性、物件の所在地、収益評価、積算評価など総合的に判断されます。

【融資使途】
融資を受けたお金を何にどのように使うか貸手として重要なポイントとなります。使用使途を明確にすることが大切です。

【属性】
勤務先、勤続年数、年収、金融資産の有無などを指します。申し込みの際に包み隠さず正直に伝えましょう。

【投資エリア】
金融機関の営業エリア、本人の居住地によって決まります。投資エリア、営業エリア、本人の居住地が合致すると融資獲得に有利に働きます。

【収益力】
物件から得られる収益がプラスになること。空室リスク、その他の経費を控除しても耐えられる収益力が求められます。他の収入に頼らず、物件単体で収支が合う物件であることが必須です。

【積算評価】(※1)
万が一、物件を売却する場面になった際に担保力が必要となるため重要視されます。

(※1)積算評価とは:物件価値の評価方法の1つ
・土地の価格=相続税路線価×土地の面積
・建物の価格=再調達価格(※2)×延べ床面積×(法定耐用年数―築年数)÷法定耐用年数

(※2)再調達価格(1㎡あたり)
木造・軽量鉄骨 13万円 重量鉄骨造18万円 RC・SRC造20万円程度が目安

 
上記にあげた諸条件をクリアすれば融資を獲得できる近道となります。しかしながら、各金融機関の基準があり、さらに各支店の方針によっても融資の可否が左右されるため、柔軟に金融機関を開拓するマインドが必須です。

融資額と条件

融資を受ける際には金額と金利、返済期間などしっかりイメージして計画を立てる事が大切です。ではどのような目線で諸条件をイメージすればよいのでしょうか。

返済年数

着目したいのは建物の築年数と構造です。借入をする際の返済年数の原則は法定耐用年数がベースとなり、そこから建物の築年数を引いた年数が融資期間となります。

例)・RC造の法定耐用年数 47年
  ・物件の築年数 12年
47年(法定耐用円数)ー12年(物件の築年数)=35年(融資期間)
融資期間35年をMAXとして返済期間を設定します。その融資期間の中で、潤沢に毎月のキャッシュフローを生み出すイメージであれば融資期間を長めに、早く借入金を返済したい場合は短く設定します。

返済方法

返済方法として、元利均等返済元金均等返済が用いられます。元利均等返済のメリットは毎月の返済額が均等でキャッシュフローが安定している一方、金利負担が大きくなるため、支払い総額が元金均等返済より多くなるデメリットがあります。

元金均等返済のメリットは毎月の元金返済が一定となる為、元金の返済が早く進みますので金利の支払い総額が減ります。一方、金利負担が元利均等返済より少なくなりますが、返済開始から一定期間、元利均等返済より額が多くなるため、毎月のキャッシュフローを圧迫することがデメリットです。

金利について

【変動金利】
市場の金利が下がれば借入金利も下がりますが、市場の金利が上がれば借入金利もあがります。市場金利が下降曲線の際にメリットがあります。デメリットとして固定金利に比べ、支払い開始時の借入金利は低めですが返済金額が定期的に変動するため収支計画がしにくい特徴があります。

【固定金利】
3年、5年、10年などの設定があります。市場の金利が上昇しても約束した金利は変わらないため収支の計画が立てやすいメリットがあります。デメリットとしては設定金利が変動金利よりも高めなこと、市場金利が下がっても約束した金利での支払いになることがあげられます。また、契約によって途中解約や繰り上げ返済の際に違約金が発生する場合もあります。

物件の購入を検討の際には収益シミュレーションを用いて、物件ごとに金利、返済方法、融資期間を算出しあなたの理想とする収支を組むことをお勧め致します。

融資申し込みに必要な書類一覧

1身分証明書運転免許証、パスポート、健康保険証など
2所得証明書直近過去3年分の源泉徴収票、確定申告書
3納税証明書直近過去3年分の納税証明書
4勤務先の会社概要・職歴書・資格証職務内容をワードやエクセルで作成
5資産背景一覧本人、家族の預貯金、有価証券、借り入れ状況など資産背景を一覧にしたものを作成
6物件概要書購入予定の物件名称、所在地、土地、建物の免責、利回りなどが記載されたもの
7家賃のレントロール物件の賃貸契約内容を一覧にまとめた書類
8建物図面建物の平面図、立面図、給排水図面など
9登記簿謄本・構図固定資産税評価証明・公図など土地建物の過去の所有者の履歴、地形、課税額が記載されたもの
10建築確認済証・検査済証建物が建築基準法や条例に適合しており問題がないことが確認された際に発行される書類。再発行は不可で紛失の場合は役所で建築台帳記載事項証明書を発行
11不動産売買契約書・重要事項説明書契約が成立していなくても融資申し込みは可能。契約・取得に至った場合は提出が必要
① ~⑤まではご自身で準備し⑥~⑪までは不動産業者に準備してもらうのが一般的です。上記の書類と合わせてご自身の購入の目的など事業計画書を作成し、添付すると良いでしょう。金融機関側としても融資取組みの追い風になります。

融資実行までの具体的な流れ

1.ターゲットとなる金融機関を選択
2.アポイント
3.面談
4.融資申し込み
5.支店内審査
6.本部審査
7.融資承認
8.金銭消費貸借契約
9.融資実行

上記の流れで融資が実行されます。期間として一般的に1~1.5カ月ほど時間を要します。

初心者でも大丈夫!融資獲得のコツ

金融機関へ融資を打診する際に貸手の立場、見方を押さえておくことが大切です。借手として融資獲得に向けて有利になるポイントを解説いたします。

できるだけ自己資金を貯めておく

自己資金を貯めることができる人は計画性がある証です。定期預金が継続されていれば、貸手としてきちんと返済できる人という期待感に繋がります。無駄を省き貯蓄に励みましょう。

「確実に返済できる人」であることを印象付ける

定期預金で毎月貯蓄出来ている人は好印象です。あとは住宅ローンやマイカーローンの返済実績があるのも良いでしょう。

一方、消費者金融やクレジットカードのリボ払いを利用したり、さらに延滞履歴がある場合、与信にかなりのダメージとなります。たった1000円程度のリボ払いが残っていたがために百数十万の融資金額が減額された事例もありますから注意しましょう。

投資ではなく事業であることを意識する

不動産投資と言われていますが、実態は不動産賃貸経営です。自身が経営者として運営してくマインドが大切。不労所得が目的で、購入したらあとはすべて業者にお任せのマインドの方は、金融機関も貸手として距離を置きたくなるものです。

複数金融機関に同時に打診する

金融機関の方針で、融資条件が大きく左右に振れることが日常的です。少しでも好条件を引き出すために数件の金融機関に打診しましょう。

取引のある金融機関の担当者と面識を持つ

貸手の気持として、初めての人にお金を融資するとなると心理的ハードルが高くなります。給与振り込みやご家族の預貯金や住宅ローン、マイカーローンなどで取引している金融機関の支店の担当者と面識を持ち、相談できる環境を整えておくとよいでしょう。

身なりに気を付けて謙虚な姿勢で面談に向かう

言葉づかい、態度、服装は面談の際にしっかりチェックされています。就職面接の時を思い出して挑みましょう。

よくある質問

融資を獲得するまでにいろいろな疑問や壁に遭遇します。
多く寄せられる疑問点についてお答えします。
融資NGと言われてしまいました。どうすればいいですか。
融資NGを告げられると心理的にショックを受けますが、次回の融資もNGということではありません。間違っても融資NGとなった理由を聞きだそうとしたり、融資をなんとかしてもらえるように食い下がるのは絶対にやめましょう。

決定事項は変わることはありません。かえって心証を悪くしてしまい次の融資に影響してしまいます。審査に取り組んでいただいたことに感謝し、次の機会に期待し他の金融機関にアタックしましょう。
住宅ローンを組んでいるが両立できるか?
とくに問題ありません。金融機関の諸条件よりますが、一般的に年収や資産背景をもとに全体の借入額から算出し、ローンの可否が決まります。

多額の住宅ローンを組んでしまっていると収益不動産でローンを組む際に足枷になってしまうケースもありますが、住宅ローンがあるから融資NGといことはないと思って頂いても大丈夫です。
年収が低くても不動産投資ローンは借りられますか?
年収が低いと融資、融資額に影響します。年収400万以上あると土俵に乗ってくるのが一般的です。

ただそれ以下であっても、日本政策金融公庫や信用金庫など金融機関によっては年収が低くともしっかりした事業計画を持ち、計画的に預貯金を積み上げていることなど実績を材料に前向きに検討してもらえるケースもあります。年収が高くても預貯金が無い方より安心だという見方です。

まとめ

融資を獲得するにあたって、ご本人の属性、不動産投資の取組みに対するマインドが一番の武器となります。物件の条件がいくら良くても取り組みに対する考え方、実績が伴わなければ融資の獲得は期待できません。

私生活において収支が赤字になることなく、毎年きちんと預貯金ができていることや、住宅ローン、マイカーローンなど返済実績を積み上げることも重要な実績です。

金融機関もそのような堅実な借手の方を歓迎してくれますし、近い将来、担当者に「融資してください」という依頼する立場から、担当者が「融資させてください」という依頼される立場になる可能性も十二分に期待できるでしょう。

融資を受ける際に貸す側の目線に立ってみることが融資獲得へ向けて大きなステップアップとなります。

貸し手の立場を想像してみると
不動産投資の融資獲得の道筋が見えるはずです!

この記事の監修者

安藤 新之助
安藤 新之助

株式会社サクセスアーキテクト 代表取締役

高校卒業後、通算20年以上住宅業界に携わり、2008年不動産投資を開始。当時の年収400万円から7年で資産10億円と家賃収入1億円を達成し、42歳でサラリーマン生活を卒業しセミリタイア。

現在14棟214室を保有する実践不動産投資家としてwebコラム執筆やTV、新聞などのメディアに多数出演しながら、3法人を運営し不動産賃貸業ならびに不動産賃貸経営コンサルタントとして活動中。

「NOをYESに変える不動産投資最強融資術」(ぱる出版)を執筆。 

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
●また、具体的なご相談事項については、各種の専門家(税理士、司法書士、弁護士等)や関係当局に個別にお問合わせください。