「不労所得」目的で不動産投資を始めるのはキケン!?

2024.07.12更新

この記事の監修者

吉崎 誠二
吉崎 誠二

不動産エコノミスト/社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

「不労所得」目的で不動産投資を始めるのはキケン!?

「不動産投資=不労所得」という話で興味を持つ人もいるでしょう。不動産投資の実態となぜ不労所得と言われるのかをご説明します。

不動産投資には隠れたリスクが潜んでいることを忘れずに

目次

不労所得とは?

不労所得とは、文字通り自分自身が労働せずとも、得ることができるお金(所得)のことです。この不労所得には金融機関の利子・利息株式投資の配当金などのほかに、収益物件を購入し賃貸することで得られる賃料収入なども挙げられます。

不労所得を得る仕組みには、金融機関の利子利息や株式投資をはじめ、近年ではYouTubeなどのコンテンツビジネスなどさまざまな種類があります。また、FXや株式などはお金を投資することでリターンを得ることができます。

不動産投資は、不動産に投資をしてリターンを得る投資で、以前から一定の人気があります。しかしどんな投資であってもリスクはつきものであることに注意が必要です。

投資とはリスクを取る事で、リターンを得ることです。そのため、「リスクゼロ」「確実なリターン」と謳う投資商品は、「確実な詐欺」と言えます。

吉崎 誠二
吉崎 誠二
ハイ
リスク
株式投資企業の株を所有し、配当金や優待を得たり、売却差益を得たりする投資法
FX投資外国為替の通貨差益を狙った投資。レバレッジを効かせる投資をすれば、さらにハイリスクハイリターンの投資になる
ミドル
リスク
不動産投資ローンを利用したレバレッジ効果が期待できる投資
ロー
リスク
投資信託投資の専門家が投資家から預かった資産を運用する商品
外貨預金預金金利+為替差益を利用すれば売却益が得られる
債券投資国債や地方債など。利回りは低いが安定性が◎
その他印紙収入書籍や楽曲の著作者に支払われる対価
コンテンツ
ビジネス
YouTubeやブログ、オンラインサロンなどのコンテンツ制作

不動産投資とはどんな投資?

不動産投資においては物件を購入しただけで継続的に家賃収入を得ることは時に難しいこともあり、失敗すれば多額の負債を抱え込んでしまう可能性を少なからずあります。

不動産投資は物件を購入して、人に貸して賃料が発生します。不動産投資の収入原資は、この賃料収入です。そのため、不動産投資の投資家は、賃料収入を安定かつ継続的に発生させる必要があります。そのためには、購入して終わりではなく、継続的に入居者に借りてもらう必要があります。

したがって不動産投資は、購入後もその物件のオーナーとして、直接的に関わり続けなくてはならないのです。この点は、株やFXと異なる不動産投資ならではの特徴でしょう。

不動産投資が不労所得と言われる理由

不労所得の代表的なものとして、不動産投資から得る不動産収入が挙げられるのは、不動産投資の収益の仕組みと、享受できるメリットによるものでしょう。

不動産投資の収益の仕組み

不動産投資の収益の上げ方は、大きく2つに分類されます。1つ目は、物件を購入し賃貸経営を行うことで、入居者から家賃収入を得るインカムゲインです。インカムゲインは不動産運用益とも言われます。

そして2つ目は、不動産を取得費用よりも高値で売却して、その差額分、つまり売却益から利益を得る方法です。こちらはキャピタルゲインとも呼ばれます。不動産投資が不労所得と言われるのは、前者のインカムゲインを確保することができるからです。
不動産投資は投資と呼ばれるものの、インカムゲインを確保するためには賃貸経営をしていく必要があります。株式投資は、投資家はお金だけ投資すれば、株式を取得し、会社について一定割合の所有者となりますが、実際の事業に関わる必要はありません。つまり、経営と所有が完全に分離します。

しかし、不動産投資は、物件を取得したら取得した本人みずからが事業者となって賃貸経営を行なっていく必要があるのです。

不動産投資のメリット

不動産投資の最大のメリットは、安定かつ継続的な収入を確保することができる点でしょう。事業計画を綿密に立て、リスクの低い物件を購入し、入居者が住んでくれれば毎月一定の家賃収入が得られるでしょう。入居者がいる限りは家賃が継続的に入る点は非常に大きなメリットです。

また、不動産投資の原資となる物件取得費は、その大半を金融機関から借り入れることが可能です。自分に多額の現金がなくてもローンで物件を取得して、家賃収入からローンの返済をまかなうことができるのも不動産投資ならではの魅力と言えるでしょう。

また、不動産投資を行う際は、団体信用保険に加入することになります。この保険は、投資をした方(不動産を購入した方)が亡くなったり、高度の障害を患ったりした場合にローンの残債が免除される仕組みです。本人や残された遺族は、その後物件を売却して生命保険の代わりとして使うこともできますし、そのまま所有して家賃収入を得続けることも可能です。

本当は甘くない不動産投資の現実

不動産投資では、不労所得以外にも税制面での優遇や、相続対策の点でも効果が期待できます。不動産投資以外の投資と比較すると、金銭的なリターン以外でもさまざまなメリットがある投資手法の1つとも考えられます。

その反面、不動産投資は投資である以上、リターンだけでなく、必ずリスクが存在します。不動産投資のおいしい面だけみて飛びつく前に、リスク面もしっかり理解し、十分に注意する必要があります。

不動産投資のリスク(デメリット)

ここまでお伝えしたようにメリットが多い不動産投資ですが、実際はリスクも多く存在します。そのなかでも、不動産投資ならではのリスクと言えるのは、空室リスクでしょう。

物件を取得したところで賃借者がいなくては賃料収入を受け取ることができません。空室にならなくても、入居者が賃料滞納してしまうと、同じく賃料収入がなくなってしまいますので、空室リスクと同様に不動産投資ならではのリスクとも言えるでしょう。

また、投資対象の不動産は、株式などと比較したときに、流動性が低いのが特徴です。株式は売りたいときにすぐに売却できますが、不動産は売却準備から実際に売却となるまで、数か月程度かかります。

そのため、すぐに現金化したいときにできないのも不動産投資ならではのデメリットと言えるでしょう。

不動産賃貸業におけるオーナーの役割

不動産に投資するということは、物件の大家さんになることを意味し、建物リスク、空室リスク、災害リスクなどのリスクに責任を持つことでもあります。

不動産投資を始める前に、どのようなリスクが存在するのかを必ず調べましょう。物件を紹介してくれる不動産業者は、購入してもらうことが目的なので、投資に関するリスクまで丁寧に説明することは少ないようです。投資分析や判断は、あくまでも投資家本人が行わなければなりません。

また、不動産投資は賃貸経営事業であることも忘れてはなりません。事業である以上、収入と支出のバランスをしっかり把握することが大切です。賃貸経営事業における支出の中には、将来的に発生するものもあります。

たとえば、不動産を長期的に保有していくと、物件が老朽化し修繕する必要があります。物件規模が大きくなればなるほど、修繕コストも膨大になります。また、室内の設備も定期的に交換する必要があります。メンテナンスを怠ると、入居者が競合物件に移ってしまい、空室増加の原因にもなります。

このように、数年、数十年のスパンで綿密に事業計画を設計していく必要があります。

不動産投資に向いている人とはどんな人?

不動産投資はハードルが高く、すぐに誰でも参加できるわけではありません。不動産投資には向いている人と、そうでない人がいます。

まず大前提として不動産投資は金融機関からの借り入れを行うのが一般的ですので、お金を借りられる与信力のある人であるべきです。どんなにいい物件があっても、金融機関からの与信が低く融資の審査に落ちてしまうと物件を手に入れることはできません。与信力は、その人の収入、勤務先、勤続年数、また、ほかの資産保有状況などを見ながら判断されます。

また、不動産投資は賃貸経営業ですので、数年、数十年と物件を保有することになります。投資期間中は、修繕や空室対策などさまざまな支出が発生します。中長期的な目線で不動産投資を考え、綿密なシミュレーションと計画を立てられる人が不動産投資には向いているでしょう。

不動産投資では物件情報の収集がとくに重要です。いい物件というのはどこにでも情報が転がっているわけではありません。無数にある情報の中からとくにいい物件情報を探し出し、投資対象として自分に最適な物件を購入しなくてはなりません。

そのためには、普段から多くの物件情報を収集する必要があります。不動産投資をするには絶えず物件情報を収集する能力が求められます。

上記をまとめると、不動産投資に向いている人とは
・金融機関から融資が受けられる
・綿密なシミュレーションや事業計画が立てられる
・物件情報を収集する能力がある
このような人ではないでしょうか。また不動産投資を最初からすべて自分1人で行うことは難しいので専門業者・専門家に相談しながら進めていきましょう。

実際に不労所得は可能なのか

不動産投資により不労所得を確保するのは可能です。しかし、正しい知識を持って、適切に賃貸経営を行う必要があります。事前の情報収集を怠り、不動産業者に言われるがままに物件を買ってしまうと、ほとんどのケースで失敗します。不動産投資は投資額も非常に高額になるので、失敗した際のリスクも高くなってしまいます。

確実に不労所得を得るためには、安定稼働が見込める物件を取得する必要があります。不動産は2つと同じものがありませんので、仮に構造や築年数が同じでも、エリアや間取りが異なれば、同じ入居率にはなりません。そういう意味では、投資家自身が物件の目利きを適切に行うべきでしょう。

また空室、家賃滞納など、さまざまなリスクを回避するために、購入予定の物件について徹底的に調査する必要もあります。売り出し時は満室でも過去をさかのぼると入居が不安定な物件も少なくありません。

また、不動産投資は買って終わりではありません。むしろ取得後からが本番とも言えます。投資期間中は、入居者のニーズもしっかりと把握し、そのトレンドに沿った設備の導入なども積極的に行いましょう。
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まとめ

インターネットや書籍など、さまざまな媒体で不動産投資の魅力が紹介されています。実際に、物件から得られる家賃収入は魅力的で不労所得になります。ただし、不動産投資には目には見えない隠れたリスクも潜んでいることを忘れてはいけません。

不労所得という言葉だけに惑わされず、投資、事業であることを念頭に置いて、まずは不動産周りの知識を積み上げるところから始めていきましょう。利回りや価格だけで物件を判断せず、将来的に継続して家賃収入を得られる物件かどうか、事前調査を徹底し、冷静に分析して投資判断をしていきましょう。

不動産投資には隠れたリスクが潜んでいることを忘れずに

この記事の監修者

吉崎 誠二
吉崎 誠二

不動産エコノミスト/社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

(株)船井総合研究所上席コンサルタント、等を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルなどを行うかたわら、ラジオNIKKEI「吉崎誠二の5時から”誠”論」などテレビ、ラジオのレギュラー番組に出演。また新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は年間多数。

著書:「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社)など11冊。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
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