- 戸建て投資の利回り相場は、築年数にも影響されますが、新築物件で5~6%、中古物件で6~8%とされています。
- 区分マンション投資と比較すると、物件価格は戸建ての方が高くなる傾向に。ただし、戸建ての方が家賃を高めに設定することが可能です。
- 不動産投資を始める前に、賃貸需要や将来必要になる修繕費、また出口戦略まで含めた計画を立てるようにしましょう。
目次
戸建て投資とは
戸建て投資を行う物件については、最初から投資目的で購入するパターンのほかに、親の相続や長期間の転勤に伴って、持ち家を賃貸運用するというケースも戸建て投資に含まれます。
また、コロナ禍でテレワークが推奨されたことにより、部屋数が多く個人のスペースを取りやすい戸建て住宅は、ファミリー層だけでなく、夫婦2人の家庭でも注目が高まっています。
戸建て投資にはアパート・マンションへの投資と異なる独自の特徴・メリットがあり、近年人気が高まっています。
戸建て投資にはどんな方法がある?
他にも、築年数の古い戸建てをリフォームして賃貸に出す「ボロ物件投資」は、中古戸建て投資よりもさらに安い金額で購入でき、利回りが高いのが特徴です。さらに、マイホームを購入してしばらく住み、住宅ローンを完済したのち賃貸として貸し出す「ヤドカリ投資」という方法もあります。
新築戸建て投資
中古戸建て投資
戸建て投資の利回り相場
地方の利回りの理想は10%といわれています。これに対して都市部の利回りは7%が理想です。実際のところ、利回りは築年数にも影響されるため、新築物件で5~6%、中古物件で6~8%が相場とされています。
利回りの高い物件を探している場合は、地方都市の中古物件を購入しましょう。
戸建て投資の初期費用
中古戸建を取得する場合の初期費用
新築戸建を取得する場合の初期費用
なお、建売住宅の場合、首都圏では土地建物合わせて4,100万円、全国平均では、約3,600万円となっています。
戸建て投資のメリット
家賃収入で、物件の購入価格以上の利益を得ることができれば、投資で失敗しマイナスになると言う事態はなくなります。
ここではとくに、長期入居・資産価値・リフォームや建て替え・維持費、など4つのポイントについて詳しくそのメリットを解説します。
【メリット①】長期の入居が望める
入居者が変わらなければ家賃収入も安定しますし、入居希望者の審査等も不要なので、投資に必要な各種業務の負担も減らせるでしょう。
【メリット②】資産価値が落ちにくい
物件を売却する際にも、場合によっては建物を解体して土地として販売することも可能です。
再建築不可の敷地の場合には解体後に新しい建物を建てられないという制約が発生します。再建築不可物件は売却先が見つかりづらいため購入する際は注意が必要です。
【メリット③】リフォームや建て替えなどの自由度が高い
壁を塗り替えたり、床を畳からフローリングにしたり、敷地内の物を除去して駐車スペースを設ける、などさまざまな工夫ができるため、オーナーの意思で自由に物件を蘇らせることができます。
【メリット④】維持費が安い
オーナーとしては、設備の故障や家賃回収、クレームなどに対応することになります。
戸建て投資のデメリット
【デメリット①】管理状況を把握しづらい
また、戸建て物件はマンションと違って、ある程度の土地が必要になるため地方や郊外に立地しており、交通アクセスが良くない傾向にあります。そのため、行き来するだけでもかなりの時間がかかってしまいます。
【デメリット②】ローンが組みにくい
日本では築年数の経過に応じて建物の資産価値を減らしていくという考え方が一般的なので、古い物件は基礎や内装に問題がなくても融資の上限額が小さくなってしまいます。
こうした物件に投資するためには、十分な手持ち資金を用意しておきましょう。
建物が古く資産価値が0になっていたとしても、土地が広く土地値が高い場合は、地元の信用金庫や信用組合から融資を受けられる場合もあります。
【デメリット③】利幅が少ない
また、所有している戸建物件を担保に融資を受けて規模の拡大を目指そうとしても、築年数が古い物件は担保の価値が低くなるため、融資を受けることが難しくなります。
したがって、短期間で投資の規模を大きくして、多くの利益を得たいのであれば、戸建ではなく一棟もののマンションやアパートが向いていると言えます。
【デメリット④】空室リスクが高い
戸建て投資は賃貸物件特有の需要をキャッチできる投資手法ですが、賃貸の戸建てに住みたいという需要が限られる以上、長期間空き室になってしまうリスクが高いといわれています。
とくに、ローンを組んで戸建て投資を始めた場合、入居者を確保するまで自己資金で返済をすることになります。戸建て投資をするなら、入居者を期待できる物件かどうかの検討が必要不可欠です。
【デメリット⑤】修繕費用が大きくなりがち
最近では、業者に頼むのではなく自分で修繕する「DIY」がブームになっていますが、膨大な時間を要するだけでなく、安全性には十分に注意が必要です。
また、築古の戸建ての場合には、雨漏りやシロアリにも十分に注意しましょう。購入前に、ホームインスペクター(住宅診断士)に依頼する方法もあります。
戸建て投資と区分マンション投資の比較
ここでは、その3つの中でも少額から始めやすい「戸建て投資」と「区分マンション投資」についてそれぞれ比較していきます。
物件価格
区分マンション投資は、東京都心の物件であっても、ワンルームであれば新築で2,000~3,000万円程度から購入することができ、中古区分マンションであれば、物件によっては1,000万円以下で購入できることもあります。
家賃
戸建て投資は、間取りが広くいわゆる「ファミリー物件」という扱いになるため、家賃についても必然的に高く設定することができます。
マンションのファミリー物件よりも、独立性やオリジナリティがあるため、相場家賃よりも若干高めの家賃でも決まる傾向にあります。
区分マンション投資は、大手ゼネコンなどの不動産会社の分譲販売であれば、建物のつくりや、最新の設備が導入されることが多く、建物自体の見栄えも良いため、近隣相場の家賃よりも若干高めに設定できる傾向があります。
利回り
区分マンション投資は、物件価格が低いため、新米オーナーでも比較的簡単に購入できますが、利回りについてはあまり大きくは望めない傾向があります。毎月管理費や修繕積立金といった固定経費が、ワンルームでも1万円前後かかるため、そこまで高い利回りは難しいと言えます。
とくに、物件価格が高い都内の区分マンションの場合は、3%前後の利回りになることもあります。
空室リスク
そのため、入居者さえ決まれば、区分マンションよりも空室が生じるリスクは低いと言えます。
区分マンション投資は、戸建て投資と同じように一戸に対する不動産投資であるため、空室になる確率は低いものの、万が一空室になった際のダメージが非常に大きくなります。
また、戸建てに比べて定期的に入居者が入れ替わるため空室が生じるリスクは高いです。
修繕費
また、室内設備も区分マンションより多く、使用頻度も多いため、修繕が発生するリスクは高いです。
区分マンション投資は、毎月の修繕積立金がかかる分、マンション共用部分の修繕についてはすべて管理組合が対応してくれます。投資家が自分で手配しなければならないのは、専有部分である室内の設備のみにとどまるため、修繕リスクは低いと言えます。
管理
区分マンション投資は、管理組合から委託を受けた管理会社が共用部の管理を行うため、投資家の独断で管理の委託先を変更することができません。
管理をしてくれること自体はとても便利なことですが、戸建て投資と違って自由に管理することができない、といった点があります。
流動性
区分マンション投資は、サラリーマンをしながら副業で始める方でも比較的簡単に購入できるため、売却する際にも戸建てに比べて売りやすい傾向があります。
とくに、東京都内の駅から近い立地にある区分マンションについては、価格次第ではすぐに買主が見つかるでしょう。
ローン
区分マンション投資は、物件価格が低く、物件自体のクオリティが一棟アパートよりも高いため、銀行ローンを利用しやすい傾向があります。また初期費用についても、物件価格が低いため仲介手数料なども低く抑えられます。
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戸建て投資に向いている人とは
借金をせずに不動産投資を始めたい人
ローンを利用すれば自らの資金以上の物件にも投資できるものの、投資額が膨らむと利子の負担や返済ができなくなったときのダメージも大きくなってしまいます。
まずは小さな規模でリスクを抑えて投資したいと考えているなら、戸建て投資を検討すると良いでしょう。
リフォームなどの技術がある人
そのため、自身でリフォームが可能であれば、割安の物件を購入し、自力でリフォームをすることで資産価値を高め、不動産経営を円滑に行うことができます。
地域や社会に貢献したい人(空き家活用など)
戸建て投資では、そのままでは住めないような物件を安く買い取り、リフォームを施して、収益を生み出す物件に再生させることもできます。そのため空き家を活用したい人には向いている投資方法です。
投資用戸建て物件を選ぶときの注意点
耐震基準をはじめ安全性は確かか
一方、旧耐震基準(昭和56年(1981年)5月31日以前に建築確認を受けた物件)は、震度5強程度の揺れでも建物が倒壊せず、破損したとしても補修することで生活が可能な構造基準として設定されています。
地震などによって入居者に死傷者が出た場合、物件のオーナーに損害賠償が求められるケースもあるため、中古物件を選ぶ際には、より安全性の高い新耐震基準の物件を選びましょう。
また、新耐震基準の物件は融資にも影響します。投資用に戸建てを購入するなら、出口戦略についても考えておく必要があります。
旧耐震の物件は、金融機関から融資を受けられないケースが多いため、売却の際に買い手が見つかりづらいリスクがあります。建物として売却を想定しているのであれば、旧耐震の物件は避けるようにしましょう。
土地の規制など理解したか
再建築ができない、売却が困難である、といったリスクが発生する可能性があります。
また、「借地」とは地主等との賃貸借契約や地上権に基づき利用できる土地です。戸建てが建つ土地が借地であれば、地代がかかり、リフォーム等をするには所有権者の許可を得なければないため、しっかり理解しておきましょう。
周辺に戸建て賃貸の需要があるか
たとえば、子育てや買い物に便利な施設がどれくらい充実しているのか、公園や医療機関の評判はどうなっているのか、周りの治安や環境はどうか、周辺に戸建ての賃貸住宅はどれだけあるのか、など周辺の環境をチェックして、需要があるのかどうかを見極めましょう。
まとめ
ただし、賃貸需要を期待できない物件や、高額な修繕費がかかる物件に投資をすると損をする可能性が高いため注意しましょう。
また、戸建ての物件を購入する際は、出口戦略を含めてエリアや建物を吟味する必要があるため、不動産業者と協力しながら投資向きの物件を探しましょう。戸建て投資は、賃貸需要が見込めるエリアで、適切な中古物件であれば高利回りでの運用も期待できます。
購入前には、土地値や修繕費見積、賃貸需要や売却可能性などをしっかり確認し、隠れたリスクを洗い出して収益シミュレーションを実施した上で決定しましょう。
需要が増加している戸建て住宅への投資、
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この記事の監修者
宅地建物取引士/AFP/J-REC公認 不動産コンサルタントなど
2010年、世田谷区内の中古区分ワンルームマンション購入から不動産投資をスタート。区分・一棟・戸建て・日本・海外…と幅広く不動産賃貸業を営む(2022年3月時点)。
現在は総合マネープロデューサーとして、人生におけるマネーリテラシーの重要性をメディアやセミナーなどで伝えている。年間のセミナー登壇数は300本を超える。
「満室バンザイ」(平成出版)、「不動産はあなたの人生を変えてくれる魔法使い 女性の願いを叶えてくれる最幸マイホーム購入術」(ごきげんビジネス出版)など執筆。
売主さんの中には、相続で親の自宅を手にしたがどうしていいかわからず、「タダでもいいので引き取って欲しい」という方もいらっしゃいます。そういう物件を手に入れてリフォームして賃貸に出す「空き家投資」というやり方もあります。