- 不動産投資に勉強は必須!セミナーに参加して多くの情報を得ること。
- 不動産会社や金融機関との信頼関係を築くことが不動産投資では非常に大切。
- 必ず現地へ足を運び個人として信頼を獲得することが、金融機関と上手に付き合う方法の1つです。
安藤 新之助さんプロフィール
株式会社サクセスアーキテクト 代表取締役
高校卒業後、通算20年以上住宅業界に携わり、2008年不動産投資を開始。当時の年収400万円から7年で資産10億円と家賃収入1億円を達成し、42歳でサラリーマン生活を卒業しセミリタイア。現在14棟214室を保有する実践不動産投資家としてwebコラム執筆やTV、新聞などのメディアに多数出演しながら、3法人を運営し不動産賃貸業ならびに不動産賃貸経営コンサルタントとして活動中。「NOをYESに変える不動産投資最強融資術」(ぱる出版)を執筆。
目次
年収400万円サラリーマンから不動産投資への道のり
安藤新之助さん(以下敬称略)「32歳、転職してまもない頃に新築一戸建てを建てたのですが、転職先の会社は中途採用の場合、昇進・昇給が期待できなかった。このままでは年収500万が精一杯だと気づき、将来にわたり収益できる仕組みを考えたことからです」
ー投資のなかで、あえて不動産投資を選んだのはどうしてですか?
安藤「その前から株式投資には取り組んでいて、300万の元手を最大で3000万まで増やしました。しかしアメリカのサブプライムショックなどがあり、1000万まで減らしたことから、株式では食べていけないと。その時、私にとってのメンターである邱永漢さんから、不動産投資がいいよ、とアドバイスしていただきました」
ー尊敬している人からのアドバイスや自分の状況などが重なり合い、不動産投資を決意したと
安藤「もう頭の中でガチっとピースがハマったというか。これからは不動産投資だと。私自身、住宅業界が長かったので、自分のスキルも活かせると思いました」
ーそこから不動産投資についての勉強を始めた。
安藤「暇さえあれば不動産の本を読み、ネットで不動産投資セミナーを検索しました。仕事が平日休みのため、土日のセミナーは有給をとり受講しましたね。妻には『また不動産?』と言われるほどのめり込んで勉強しました」
不安の中で始めた不動産投資の1棟目
安藤「1年〜1年半ですね。最初の物件は愛知県豊田市のマンションを1棟買いです。私が豊田市出身、岡崎市在住なので土地勘もあった。利回りが10%を超え積算評価も十分。購入にあたり全ての条件を満たしていました」
ーその物件はどのようにして見つけたのでしょうか?
安藤「私のことを応援してくださる不動産業者さんが、『この案件なら誰でも買うから、まず安藤さんに』と勧めてくれました」
ー実際にその物件では収益を出せた。
安藤「7年ほど保有したのですが、1億1千万円で購入し、売却が約1億4000万円。今までのキャッシュフローと売却益も含め金融機関へ残債を返済後、9000万ほどキャッシュを得ることができました」
ー最初に1億1千万の1棟買い。思いきりましたね。
安藤「最初は1500万ぐらいの1室から始めようかと思っていたのですが、勉強していくうちに大きい物件がいいと。空室などリスクはあるのですが、総合的に考えると取り組みやすいことがわかったからです」
ー1サラリーマンがいきなり1億1千万の物件からスタート。しかも不動産会社から好物件の提示。不動産投資には人脈も大事ですね。
安藤「不動産投資で皆さんにお伝えしたいポイントの1つが”足で稼ぐこと”です。多くの方が、ネットや文字情報しか見ずに完結してしまうけれど、私は全ての物件に実際に訪れ、業者の方や仲介店の方の話を聞きます。足で稼ぐことにより『安藤さんは真剣な人だ』と思ってもらえる。応援してくれる方が増えていきます」
ー足で稼ぎ信頼を得ていく。
安藤「皆さんに背中を押してもらいました。ただ1棟目を購入する際は不安感も強かったですよ。不動産賃貸経営の知識はあっても実践とは異なります。売買契約の際、契約日の3日前からあまり食べられなくなり、契約日には幼馴染に同行してもらったほどです。印鑑を上下逆に押すなど相当緊張していました。現在はそこまでガチガチになることは無いのですが。ただ、今でも引き渡しまではかなり慎重になりますね」
ー2つ目の物件は?
安藤「実は、1棟目を購入した5ヶ月後に5600万円の物件を購入しました」
ーということは、1件目の物件のローンを返済しつつ、2件目を購入することになった。それは1件目が評価されたから追加融資が可能だったのでしょうか。
安藤「いえいえ。その当時評価は出ていません。むしろ横暴だと。当時はサブプライムショック後で融資が厳しくなり、愛知県内の金融機関には全て断られました。そこで不動産投資の師匠の伝手をたどり、県外の銀行で融資を取り付けました」
ー愛知県内の金融機関が全滅とは衝撃です。
安藤「担当者からお叱りを受けましたね。『1サラリーマンが収益不動産を買うのは間違っています』と。銀行内の個室に案内され、3人に延々と説教されたこともありましたよ」
ー冷遇されるだけではなく、説教までされた。
安藤「そもそも不動産投資は余剰資金を回したり節税対策でするものであり、資産がない人はやるものではないと。ただこの経験から、金融機関はどのような人に貸したいか、貸したくないか。というのもわかってきました」
サラリーマン時代の経験が活きた銀行との信頼関係作り
安藤「なぜ自分が不動産賃貸経営を始めたのか、を明確にしていきました。あとは約束をきちんと守る。時間を守る、提出物は言われたものを確実に出す、などからです」
ー人として信用してもらえる行動をとった。
安藤「たとえば、銀行に融資の依頼に行く際、時間を守るのはもちろんですが、駐車場に車を置く際の駐車位置も考える」
ー建物に入る前から想定する。
安藤「あえて一番遠くの場所に停めた際、担当者から、なぜ遠くに置いたのか尋ねられました。そこで私は、『私は銀行に商談に来ているため時間がかかることが見込まれます。だからなるべく遠くに置き、出入りに近い位置の駐車スペースはATMの利用など時間が短い人に』。と」
ー相手に立って気配りができる、というのが伝わると信用につながってくる。
安藤「そして、あえて自分の属性、勤めている会社名を全面に出さず、個人として信頼してもらえるよう心がけました。会社自体にネームバリューがあっても、私個人の実績、信頼ではない。私はセミナーなどで相談を受ける際にも、勤めている会社名を全く出さない気持ちでやりましょう、と話しています」
ー〇〇会社の誰それ、ではなく、1個人としての融資依頼であると。
安藤「その方が純粋に、そして謙虚になれる。1個人が投資をする際に勤務先は関係ありません。融資に関するこれまでの戦いについては、著書『NOをYESに変える『不動産投資』最強融資術』に詳しく書いたので、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。今振り返ると、最初の1棟目購入時のタイミングで融資をことごとく断られたことが、今となって活きている。すぐに借りることができなくてよかったと今は感じています」
脱サラしてから大きく変わったことと自身の今後の目標
安藤「まず1つ目に自分の時間が自由に使えるようになりました。自分の事業に専念でき、家族と過ごす時間も増えた。2つ目には人との付き合い。人脈がかなり変わりましたね」
ー会社員の場合、同僚や取引先など、仕事関係に偏りがちですが。
安藤「現在は経営者や法人幹部責任者の方々との交流が9割近くです。何気ない会話の中に様々な学びを得られる。そこから、社会につながる仕事をしようと思うようになりました」
ー社会につながる仕事ですか?
安藤「皆さんに喜んでいただける、貢献できるものなら収益は回ってくる。ということがようやくわかりました。だからやりがいになるし、とても楽しいです。ビジネスにおいて世の中をいかに良くしていくか、という目線に変わりました」
ー不動産投資を続けた結果、人としてもスキルアップした。
安藤「なので、私にとって不動産投資とは、節税対策や儲けるためではなく、事業としての地域貢献。地域を、そして自分を豊かにするという楽しさを求め、チャレンジを続けていくことだと思っています」
ーまずは不動産や金融について勉強する。自己投資をし、自ら現場に行き信頼関係を結ぶ。そして金融機関が借りて欲しいと思える人物になる。その結果いい話がどんどん集まるようになる。
安藤「いい物件を持ち、高い入居率を維持していると、金融機関から『ぜひうちで融資を』と言われるようになります。そして資金調達のバックグラウンドができると不動産業者からも『しっかりした物件なら間違いなく買ってくれる。最初に持っていこう』となります。何度も言いますが、足で稼ぐ! これに尽きます」