【2025年最新】不動産価格はどう推移する?今後の動向と売り時予測

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この記事の監修者

吉崎 誠二
吉崎 誠二

不動産エコノミスト/社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

【2025年最新】不動産価格はどう推移する?今後の動向と売り時予測

不動産売却を検討している人に、過去の不動産価格の推移を紐解きながら今後の市場動向について予測し、解説していきます。

この記事のポイント
  • 家を高く売りたいなら、不動産売却のタイミングを見極めることが大切です。
  • 不動産価格は全体的な市況感に加えて、築年数や立地、エリアの需給バランス、国内外の経済環境、人口動態などの影響を受けます。
  • 公表されているデータから不動産価格の推移を調べることはできますが、正確な予測は難しいため不動産のプロに相談するのも1つの手です。

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目次

【土地・マンション・一戸建て】2025年3月までの不動産価格の推移

不動産の価格は、築年数や立地など不動産個体の特性だけでなく、不動産市場における需給バランスや国内外の経済環境などによって変動するため、「高く売れる時」を見極めることをさらに難しくします。

不動産市場の状況を把握するために、不動産価格の推移にも目を向けてみましょう。不動産価格の推移を調べる方法としては以下のようなデータをチェックするのが有効です。
データ名 提供元
不動産価格指数 国土交通省
公示地価 国土交通省
不動産情報ライブラリ 国土交通省
レインズデータライブラリー レインズ
東京カンテイ市況レポート 東京カンテイ
まずは2025年3月までの不動産価格の推移について、最新のデータを用いながら、土地・マンション・一戸建てにわけて解説します。

不動産の市況は緩やかに変化しますので、普段から定期的にチェックすることをお勧めします。また、全体的な動きと、個別具体的な動きにはギャップがある場合もあります。全体的な動きを踏まえつつ、所有または検討している物件周辺の動向を確認しておくことが大切です。

吉崎 誠二
吉崎 誠二

土地価格の推移【令和7年地価公示より】

2025年3月18日に発表されたばかりの地価公示のデータを用いて、全国の住宅地地価の推移をみていきましょう。

全国平均では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも4年連続で上昇となっています。

全国の住宅地地価動向

全国の住宅地の地価は、地域や用途により差があるものの、三大都市圏全体では上昇幅が拡大し、地方圏でも上昇傾向が持続するなど、全体として緩やかな上昇基調が続いています。

低金利環境は引き続き継続しており、住宅需要はいまだ堅調といってよいでしょう。とくに東京圏、大阪圏では高い上昇率となりました。

三大都市圏全体平均と東京圏、大阪圏は上昇幅が拡大しましたが、名古屋圏では上昇幅が縮小しました。とくに商業地においてはインバウンド需要、国内観光需要などで名古屋圏は、東京圏、大阪圏に比べての、相対的な弱さが影響しているのでしょう。

吉崎 誠二
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また、大手半導体メーカーの工場が進出している地域では、関連企業も含めた従業員向けの住宅需要も高まっており、商業地・工業地ともに上昇率も上がっています。

一方で、人口減少が進む地方では、価格が横ばいまたは下落傾向にある地域も見受けられます。

都市圏の住宅地地価動向

名古屋圏では上昇幅が下がったものの、東京圏及び大阪圏では上昇幅の拡大傾向が続いています。とくに東京圏は変動率+5.7%となり、住宅価格の上昇ペースは群を抜いています。再開発の進行やインフラ整備が価格上昇の要因となるケースが多く、とくに利便性の高いエリアでは地価の上昇が顕著です。

地方4市(札幌・仙台・広島・福岡)も都市圏の上昇に引っ張られていたものの、2年連続で上昇幅は縮まっています。

地方四市、とくに札幌市・仙台市・福岡市では長く地価上昇が続いています。加えてここ数年は建築工事費が上昇し、住宅価格がかなり上昇していることから買い控えも起こっているようです。こうした影響が地価の上昇幅が縮まっている要因でしょう。

吉崎 誠二
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コロナ禍を経て、オフィスへの出勤頻度やインバウンド需要の高まりから、交通・生活の利便性が高いエリアへの転入が増加し、都市圏の住宅需要が旺盛になっていることがうかがえます。

マンション価格の推移

近年大幅な上昇傾向を見せているマンション(区分所有)の価格について、2025年現在までの推移をみていきましょう。

全国のマンション価格動向

最新の不動産価格指数で全国平均の住宅用の推移を見てみると、とくにマンション価格の伸び率が大きいことが見て取れます。

近年の新築マンションは立地が良くもともと相場が高いエリアに集中していること、建設コスト高騰の要因が加わった結果、新築マンションの価格が上昇していることに起因しています。その影響が、中古マンションにも派生して、マンション(区分所有)の伸び率が大幅に上昇傾向にあると考えられます。

中古区分マンションの価格上昇の大きな要因は、建築費増加とマンション適地不足による競争の激化(=用地価格上昇)にともない、供給できる新築マンションが減少していること、そして供給された新築マンションは高値を付けざるを得ないため、需要が中古物件に移っていることです。

吉崎 誠二
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東京や大阪などの主要都市では高値圏が続く一方、地方都市では価格の伸びが鈍化しています。

都市圏のマンション価格動向

都市圏のなかでも、首都圏の中古マンション価格は東京都が牽引する形で大きな上昇をみせています。東京都の平均価格は7,712万円、前年同月比は+20%と、投資家にとっても魅力的な数字となっています。

東京23区では供給の限られたエリアにおいて、今後も価格が上昇する可能性が高いと考えられます。

一戸建て価格の推移

前述の不動産価格指数のデータから一戸建て価格の推移についても確認しましょう。

全国の一戸建て価格動向

一戸建ては、2020年まではほぼ横ばい、その後、2021年ごろから徐々に上昇傾向となりました。これは、コロナ禍によってテレワークが普及して働き方が多様化し、居住空間の充実を求める動きがあったことが一因であると言われています。

その結果、地方移住したり、郊外に一戸建てを所有しようしたりとする動きが一戸建ての価格上昇につながっていましたが、2022年後半ごろより上昇幅は鈍化し、ほぼ横ばいへと変化しています。

都市圏の一戸建て価格動向

三大都市圏の中古一戸建ての平均価格の2年間の推移です。都心回帰の動きがあり緩やかに上昇はしているものの、近年の物価高騰による家計への影響や住宅ローン金利上昇の懸念もあり、一戸建て需要が鈍化しているといえるでしょう。

不動産を売却するなら売り時の見極めが重要!

不動産を売却するなら、「高く売れる時」を見極めたいものです。不動産はひとつとして同じものがありません。そのため不動産の価格は個々の不動産の築年数や劣化具合などの要因により異なります。

売り時を見極めるためには、以下に示す不動産価格の変動要因をチェックして、今度の動向の予測をたてておくことが大切でしょう。

【変動要因その1】築年数などの個別要因

不動産の価格は物件のエリアや築年数、間取りなど、個別要因によって変動します。一般的には同じエリア、広さ、間取りなど類似条件下では、築浅であるほど、価格は高くなります。

ただ、中古物件においては、後ほどご説明する需給バランスによっては高い価格で売却できる可能性があります。所有する不動産のプロフィールだけでなく、その不動産がどのような強みを有しているか把握することは、高く売却するためにチェックしておきたいポイントです。

理論上では、新築マンションは原価(積算)により価格が決まり、中古物件は需給のバランスで決まります。

吉崎 誠二
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【変動要因その2】需給バランス

先に触れた個別要因とも少し重複する点もありますが、需給バランスは不動産価格の変動に影響を及ぼします。たとえば「開発進行中」、「住みたい街にランクイン」といったエリアは注目が集まり、需要が高まる可能性もあります。

しかし、供給(物件数)が需要を満たさない場合もあります。その場合には、不動産価格が上昇傾向となる可能性があります。開発や建設計画が動き出すと、需給バランスが変化する可能性があります。所有する不動産が立地するエリアの不動産の需給バランスをチェックしておきましょう。

【変動要因その3】経済環境

経済環境は、大きく不動産価格に影響します。一般的には経済環境が悪い時には不動産価格は下降し、経済環境がよい時には不動産価格は上昇します。

ただ、経済環境には、国内の景気動向だけではなく、諸外国の政治経済状況も作用します。海外情勢の影響で、新築物件は資材不足による建設コスト上昇や工期遅延が生じる可能性もあります。それによって既存不動産への需要が高まれば、価格上昇の可能性も考えられます。

不動産を、より高値で売却したいと考える場合には、広い視野で経済環境にも目を向ける必要があります。

【変動要因その4】人口動態

人口が増加傾向にあるエリアであれば、不動産需要も高まります。一方、人口が減少傾向にあるエリアはその逆です。所有する不動産のエリアの人口動態も、不動産価格に影響を及ぼすことを知っておきましょう。

不動産の中でも、とくに住宅価格は人口とともに世帯数の動向も影響があります。

吉崎 誠二
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今後の不動産価格の動向はどうなる?

それでは今後の不動産価格はどうなるでしょう。2025年3月までの現状把握および前章の変動要因に影響を与えそうな要素を踏まえて、動向を予測します。

2025年問題による不動産価格の暴落はない?

公示地価からも見て取れるように、全国的にも不動産価格(とくに大都市圏や地方主要都市のマンション価格)はバブル期を凌ぐ勢いで上昇しており、市場動向への専らの関心は「いつ不動産価格が暴落するのか」という下降タイミングの予測に集まっています。

少子高齢化や生産年齢人口の減少の転換期となる「2025年問題」による不動産市場への影響が懸念されていますが、都市部の不動産価格は、しばらくの間は旺盛な需要に支えられて大きな影響はないと予測されています。政府の減税などの住宅政策や再開発の進展によるインフラ投資が支えとなり、大幅な暴落は起こりにくいと考えられます。

住宅ローン金利の上昇は注視するべき

2025年に向けて住宅ローン金利の動向には注意が必要です。世界的な金融政策の変動やインフレの影響により、金利が上昇すると住宅購入者の負担が増し、不動産市場に影響を及ぼす可能性があります。

日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除してから、2025年1月にも政策金利を0.5%程度とする追加利上げを発表しました。これにともなって、住宅ローンの新規借り入れは変動金利の引き上げが予想されています。

今後も金利は上昇基調であることは間違いありませんが、「少しずつ段階的に動いていくのが適切な対応と思っている」という日本銀行植田総裁の発言からも、急激な金利上昇とはならないと推測されます。ただし今後も金融政策の動向には注意を払っておく必要があるでしょう。

価格の動向は3極化が進む

今後、不動産価格の動向は、「上昇するエリア」「安定するエリア」「下落するエリア」と三極化へ進むと考えられます。都市圏の人気エリアでは価格上昇が続く一方、地方の過疎地域では下落が進む可能性があります。
マンションについては、今後も都心部で利便性の高いエリアでの用地選定が進んでいくものと考えられます。将来の人口減少を見込んで、需要の高い立地でのマンションを建設するためです。さらにウクライナ情勢などによる建設資材の高騰が続くことになれば、都心部の新築マンションの価格は現在よりもさらに高い水準となる可能性があります。

一方で、地方や郊外においては、利便性の低いエリアについては価格低下の可能性があります。長期国債金利の上昇に伴い、住宅ローンの固定金利は上昇傾向にあります。今後、その影響が変動金利に及んでくれば、住宅の購入意欲がさらに低下する可能性もあります。

また、2025年4月からは新築住宅には省エネ性能の表示が義務付けられ、新しい基準の登場は既存住宅の資産価値にも影響を及ぼすでしょう。

その他にも人口減少などによる需給バランスの変動により、地方や郊外においては低い価格設定にせざるを得ない局面が来ることも十分に考えられます。

まとめ

不動産売却は売り時を見極めることが大切です。

もちろん、金利政策や物価の動向、その他のさまざまな要因によって不動産価格の動向を正確に予測することはできません。しかし、不動産の売却を検討している方にとっては、不動産会社に丸投げではなく、所有者自ら冷静に市場の動きを調査した上で、資産価値を把握する姿勢が益々求められると考えます。不動産を取り巻く環境は日々変化しています。その環境下において売り時を見極めるためには、よきパートナーが欠かせません。

市場の動きや所有する不動産の資産価値を把握するためにも、複数の不動産会社の中から真摯に相談に乗ってくれる心強いパートナーを選びましょう。よきパートナーともに売主自らも主体的に不動産売却を進めていくことが成功につながっていきます。

不動産価格はさまざまな要因で変動します。
市場の動きをチェックすると同時に、良いパートナー探しに注力を!

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吉崎 誠二

不動産エコノミスト/社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

(株)船井総合研究所上席コンサルタント、等を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルなどを行うかたわら、ラジオNIKKEI「吉崎誠二の5時から”誠”論」などテレビ、ラジオのレギュラー番組に出演。また新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は年間多数。

著書:「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社)など11冊。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
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