家を売るタイミングはいつがベスト？「売り時」に高値で売却するための4つの基準

家を売るタイミングは市況、築年数、税金、季節の４つの重要な判断基準に基づいて進める必要があります。ここからは売り時を見極める4つの判断基準について順を追って解説していきましょう。

家を高値で売るタイミングを見極める際、もっとも重要な点は不動産の市況にあります。不動産の市況に大きく影響を与えるポイントとしては経済の動向や金利の動きがあります。

たとえば、昨今の首都圏の不動産価格の高騰は不動産を売却するには絶好のタイミングです。供給される不動産物件よりも不動産が欲しい、不動産を探すというような需要の方が多い状況下では高値で売却できる可能性は非常に高いと言えます。

不動産の市況と併せて住宅ローンの金利には注視しておきましょう。現在のように、たとえば変動金利は１％を切る超低金利の時代ですので、住宅ローンが借りやすい環境のため不動産を売却するタイミングとしては好機と言えます。

それは、購入者にとっては住宅ローンを利用しての不動産購入が容易い状況と言えます。価格的には多少の高値でも低金利のため返済の負担が少なく感じるという心理的側面もあるものです。

次に大きなポイントといえるのは不動産の築年数です。一般的には築年数が経過すればその分不動産価格の下落が生じます。

ただし、マンションの場合と戸建ての場合では築年数が同年でも不動産価格が異なります。マンションの場合には大規模修繕の時期が１つの目安に。

概ね築12年経過後に大規模修繕が行われますが、大規模修繕後のマンションの状況で場合によっては価格が修繕前よりも高くなるケースもあります。したがって、大規模修繕後に売却を検討するというのも１つの目安です。

また、同時期に管理費や修繕積立金の値上がりも想定されますので、大幅な値上がりがあると大規模修繕後とはいえ不動産価格はマイナス要因になる場合もあります。

たとえば、あるマンションで修繕積立金の大幅な値上げが決まった途端に多くの部屋が売りに出されたため、このマンション価格はいっきに下落してしまい値上げ前との売却価格に比べると大きくマイナスなったという事例もあります。

参考までに下記のグラフは国土交通省の資料になりますが、マンション価格の下落は減価償却年数を47年とした場合の下落率を表しています。たとえば、築30年程度になると建築当初の価格の2分の１程度になるというものです。

しかしながら、都内のマンションでは新築マンションの供給が頭打ちのため中古マンションの価格がかなり上昇傾向になっています。したがって、実情は下記のグラフの通りにはいかないエリアもあります。

また、戸建てに関しては建物の構造によって売却価格の変動があります。戸建ての多くは木造建築のため減価償却年数は22年。したがって、築15年ぐらいまでは下落傾向にありますが、それ以降はそれほど価格が下がらない傾向です。

マンション同様に都23区内では物件がかなり少ないので、戸建ての築年数が古いものは建物価格には値段が付かない形で古家付きの土地として売却される傾向にあります。

加えて、いわゆるハウスメーカーが建築した建物の場合には比較的高めの査定金額が出される傾向にあります。償却耐用年数の違いもあるのでそういった傾向になりがちです。

中古住宅の購入の際にも住宅ローンを利用した場合には住宅ローンの取得控除を利用することが可能です。下記の表は中古住宅を取得した場合の借入限度額、控除期間を示したものになります。

売却の際には買い手がこうした住宅ローン控除が利用できるものであれば、物件としての魅力が出ます。

ここからは税金の視点から家を売却するタイミングを見ていきましょう。

家を売却すると譲渡所得に応じて所得税と住民税が課税されます。譲渡所得とは家を売却した金額から買った時の金額と売り買いの諸費用（登記費用や仲介手数料等）を差し引いてプラスになった金額になります。つまり、家を売って利益があった場合の所得です。

売却金額－購入金額－（売却費用＋購入費用)＝譲渡金額⇒譲渡所得
※この譲渡所得がプラスになれば課税対象になります。

売却費用：仲介手数料や印紙代など
購入費用：仲介手数料や登記費用、ローン諸費用、印紙代など

例）
売却金額：8,000万円
購入金額：5,000万円
売却費用：280万円
購入費用：200万円

8000－5000－(280+200)＝2520万円⇒（売却して得た利益）譲渡所得

家の所有期間が5年を超える場合には長期譲渡所得、5年以下であれば短期譲渡所得となり下表のように税率が変わります。

譲渡所得は5年を超えて売却した方が、税率が低くなるので売った時に利益が出そうだと思うのであれば5年を経過後に売却した方がいいでしょう。

家を売って譲渡所得がある場合には、一定のものについては譲渡所得金額を計算する上で最高3,000万円が控除されます。

譲渡所得－特別控除＝課税譲渡所得金額
譲渡所得：譲渡価額－(取得費＋譲渡費用)
特別控除：3,000万円

なお、譲渡所得が3,000万円に満たない場合には、特別控除額は、譲渡所得の金額が限度となります。

先ほどの例の場合、譲渡所得が2520万円でしたので3000万円の特例控除を使うと実質ゼロ円となります。

譲渡所得（2520）－特別控除（3000）＝課税譲渡所得金額（－480万円）⇒ゼロ

3000万円の特例控除を利用する際、居住中の家を売る場合には期限はありません。しかし、空き家になっている家を売る場合には空き家になってから3年が経過する年の12月31日までに売却しないと利用できないので注意が必要です。

ここでは季節の視点から家を売るタイミングを考えてみましょう。売却のタイミングはやはり人が移動する季節、つまり、3月や9月という時期に需要が多い傾向にあります。ただ、ここ数年ではこうした季節需要の傾向は少なくなりつつあります。

昔は人事異動の季節で需要が増えるものでしたが、不動産価格の上昇や住宅ローンの金利情勢、コロナ禍などの影響で需要時期の変化が起きていると言えるでしょう。したがって、ベストな時期は昔ほど顕著に表れる傾向が少なくなっています。

仮に、買い手が3月や9月で住宅購入を検討するとなれば、住宅を探すタイミングとしては正月明けの1月中旬以降と8月のお盆休み明け以降になります。したがって、家を売りに出す時期は1月中旬以降と8月のお盆休み明けが良いでしょう。

ここまでは家を売るベストなタイミングについて見てきましたが、逆に売らない方が良いタイミングもあります。売らない方が良いタイミングとはどういったポイントがあるのでしょうか。

先ほども解説しましたが不動産価格が上昇傾向にある場合、5年以内に家を売ると短期譲渡所得税が課税される傾向にあります。そう考えると、たとえば6年目以降であれば長期譲渡所得税となり税率が低くなるのでメリットはあります。

ローン金利が今後、上昇傾向に向くと住宅購入の意欲が薄れます。そうなれば家を売りに出しても、思った価格でなかなか売れないということになりかねません。したがって、ローン金利が高い場合には売却のベストなタイミングとは言えません。

相場価格が上昇しているときは焦って売却すると、先送りした方が高値で売却できる可能性があります。その場合には相場価格をよく見極めることが重要です。できれば高値で売却した方が良いので、ベストタイミングがいつかを検討した方が良いでしょう。

より高値で家を売却するためにはどうすればいいのでしょうか。

不動産会社の話は良い話しかないので、まずは自ら不動産サイトなどを使って相場価格を見ておく必要があります。

不動産会社の中にはいわゆる媒介契約だけが欲しいため、相場価格より高く売れるとか既に購入希望者がいるなどのうまい話しかない場合があります。したがって、そういった話が本当なのか、整合性があるのかなど自らの見識を高めておくことが重要です。

自らの家がいったいいくらぐらいで売れるかを把握するためにはいくつかの不動産会社に査定してもらうことです。たとえば、よくある不動産サイトを使って数社の無料の査定をしてもらうことや信頼のおける不動産会社に問い合わせしてみることです。

少なくとも3社程度は話を聞いてみて比較するべきでしょう。

自宅の売却を検討している人に向けて、4つの軸をもとに家の売却のタイミングを解説してきました。家の売却のタイミングとして何を判断基準にしたらよいか、また、家を売らない方が良いタイミングもあることを解説してみました。

家を売るタイミング、家を売らない方が良いタイミング、高値で売るためのコツなどが理解できましたでしょう。あらかじめ家を売るタイミングについての知識を身につけておけば、ベストなタイミングで家を売ることができます。いざ自宅の売却の際には、ここに記したことをぜひとも実践してはいかがでしょうか。