施設に入った親の家は売却or空き家のまま?5つの選択肢を解説します

2023.08.01更新

この記事の監修者

弘中 純一

弘中 純一

【資格】宅地建物取引士/一級建築士

施設に入った親の家は売却or空き家のまま?5つの選択肢を解説します

親が介護施設や高齢者住宅に入所するため空き家になる家をどうするべきか迷っている人に、対処方法選択にあたっての判断材料をお伝えします。

「実家」という資産を今後どうするべきか。
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目次

施設に入った親の家どうする?

施設に入所することになった親の家をどうするかについては、いくつかの選択肢がありますがその前に確認しておくポイントがあります。

今後掛かる介護費用の負担と、住まなくなる親の家の維持管理費用についてです。

まず確認すべきこと|介護費用は賄えるか?

親が老人ホームなどの介護施設に入所する場合、親の資産や収入で介護費用が賄えるのかを確認する必要があります。
基本的な考え方としては、毎月掛かる費用は親の収入の範囲で行い、入所時に一時的に掛かる費用は資産で賄うのが望ましいでしょう。

親の収入はほとんどの場合年金ですが、ほかに不動産収入や株式配当・投資信託分配金などの収入があるケースもあります。年金は「国民年金」「厚生年金」「企業年金」の3種類さらに「個人年金」を受け取るケースもあり、総収入を把握し毎月掛かる介護費用+生活費用を満たせるかどうかの確認をします。

一時的な費用としては老人ホームなどの「入所一時金」が考えられます。一時金は高額になることもあり、親の預金や不動産・株式などの資産を売却し賄えるかどうかを検討します。

株式などは時価で把握できますが、不動産は現在の市場価格を知る必要があり「不動産一括査定サイト」などを活用し、現在の売却可能価格を把握するとよいでしょう。

介護施設の費用相場

いわゆる老人ホームには民間の施設と公的機関の施設があり、次のようにたくさんの種類があります。
区分施設名称入居一時金月額利用料
民間施設介護付き有料老人ホーム約340万円15万円~28万円
住宅型有料老人ホーム約70万円9万円~16万円
サービス付き高齢者向け住宅約20万円11万円~19万円
グループホーム約8万円10万円~14万円
公的施設ケアハウス約37万円9万円~13万円
特別養護老人ホームなし10万円~14万円
介護老人保健施設なし8万円~15万円
介護医療院なし8万円~15万円
それぞれの入居一時金と月額利用料の目安を示しましたが、データは平均値に基づいていますので実際の各施設の費用とは異なる場合があるのでご注意ください。

民間施設の場合は「家賃の前払い」といった意味で「入居一時金」が必要となるのがほとんどですが、最近は月額料金に含み、入居一時金が不要かわずかな場合もあります。公的機関が運営する介護施設はケアハウスを除き入居一時金は不要であり、月額利用料は若干ですが民間施設よりも割安な感じがあります。

空き家の維持費用は軽視できない

親が老人ホームで生活する費用のほかに、考えておく必要のある費用が「空き家」となった親の家の維持管理費です。

人の住まなくなった住居は傷みやすいと言われ、維持やメンテナンスはより念入りに行う必要があります。屋根や外壁などのメンテナンスはおよそ10年ごとに繰り返し行う必要があり、不具合が生じている設備機器を放置しているといざという時には使い物にならないこともあるでしょう。

使ってもいない誰も住んでもいない住宅のメンテナンス費用は意外と掛かるものです。さらに遠隔地にある場合は、ときどき訪れて状況の確認もしなければなりません。空家等対策特別措置法の「特定空き家」に該当するような状況になると、取り壊しを余儀なくされることもあります。

施設に入った親の持ち家、5つの選択肢

親の家をどうするかについてはいろいろな方法が考えられますが、ここでは有力な選択肢として5つの方法についてみていきます。

選択肢1.売却する

まず、選択肢として考えられるのが「売却」です。売却により資産を現金化し、介護費用に充当することもできます。前述したような家の維持や管理の必要がなく、将来の相続時の遺産分割も不動産を処分していると比較的楽になることがメリットでしょう。

逆に、売却するための手間や費用が必要となります。たとえば高く売るためにはある程度の整理整頓が必要です。状況によってはリフォームが必要になることもあるでしょう。仲介を依頼する不動産会社を探す時間も必要ですし、売りに出しても簡単に売れないこともあります。

また、立地条件や築年数などにより、売りやすい物件・売りにくい物件があります。何より所有者である親の同意がなければ売ることもできません。

選択肢2.賃貸に出す

売却が難しい場合や親の同意が得られない場合、賃貸物件として活用する選択肢もあります。

家賃収入を介護費用に充当できるメリットがありますが、空室になった場合には資金計画に狂いが生じます。また、賃貸物件として適切なメンテナンスが必要であり、場合によっては大幅なリフォームが欠かせないこともあります。資産として残すことはできますが、一定期間の経過後に売却した場合「居住用財産売却の3,000万円控除」が適用できず、節税効果を失うこともあります。

また、いったん賃貸にしてしまうと所有者側からの契約解除は難しく、自分の財産を自由にできないデメリットもあります。賃貸契約期間を限定できる「定期借家契約」の活用も視野に入れるとよいでしょう。「持ち家を貸し出す方法」の記事も参考にしてください。

選択肢3.空き家を担保にお金を借りる

親の家を担保に介護資金を借りる方法もあります。「リバースモーゲージ」と言いますが親が亡くなった時に担保になっている家を売却して、借りたお金を一括返済する方法です。

そのため、毎月の返済は利息分だけで元金の返済は必要ありません。融資額は担保評価の5~6割までであり、元金が将来の売却時に売却代金を超える場合は、超えた分の元金返済が免除される「ノンリコース型」を選択することもできます。

デメリットは、通常の住宅ローンよりも金利が高い点と、審査が厳しく立地条件などが悪いと担保評価が低い点です。

リバースモーゲージは、資金の使途は限定されないので、介護費用のほかにリフォーム資金や老人ホームの入居一時金など、自由に使うことができます。また親が亡くなった場合には、いったん相続したうえで売却することになるので、相続人の同意を得て借りることになります。

親の自宅を活用した資金化の方法には、もう1つ「ハウスリースバック」がありますが、こちらは家を売却した後も親がそのまま賃貸借で住み続ける方法であり、リバースモーゲージとは目的が異なります。

選択肢4.空き家のまま維持する

老人ホームなどは実際に入居して生活してみなければ、親にとって本当に望ましい住環境なのかわからないものです。あるいは、民間の施設では入居後に運営企業が経営破綻し、入居を継続できない場合などもあり、親の自宅をそのまま残しておく方法も考えられます。

この場合は、空き家となっている親の家をいつでも使えるようにしておく必要があり、維持管理は適切に行わなければなりません。

将来、親が亡くなった時には相続をし、その後の活用方法などを検討することになります。売却することも選択肢となり、よい条件で売却するにも空き家の管理は適切に行うことが望ましいでしょう。

選択肢5.次の世代が住む

子が親の家に住むという選択肢もあります。複数の子がいる場合将来の相続問題の元になる可能性はありますが、空き家にして維持管理に時間と費用を掛けるよりは、実家だった家を良い状態で残すことができます。

施設に入った親がやむを得ぬ事情で施設を出る場合など、帰る家があるというのは心強いものです。そのためにも家の所有権は親であり、子は「使用貸借人」の立場であることを明確にしておく必要があるでしょう。

相続問題が発生しないようであれば生前贈与する考え方もあり、親子間でもっとも望ましい資産の継承方法を検討してはいかがでしょう。

実家を売却すべき理由とタイミング・注意点

ここまで5つの選択肢をみてきましたが、有力な活用法がない場合は「売却」が大きな選択肢となります。しかし売却するにしてもタイミングが重要であることと、さらにいくつか注意したいポイントがあります。

実家の売却をおすすめする理由

親が再び実家で生活する可能性がほとんどなく、子も親の家に住む、あるいは活用することがなければ売却をすすめるのが賢明です。

日本はすでに人口減少社会になっており、街づくりの考え方としてはほとんどの自治体が「コンパクトシティ化」を掲げています。つまり以前のように都市は拡大するのではなく、都心に集中させるとともに郊外への広がりを抑制する方向になります。このことにより都心部以外の住宅地の評価額は、将来上がる可能性よりも低下もしくは横ばいで推移する可能性が高いと考えられます。

利活用の方法がない場合は「空き家」となり、管理が十分にできない場合は「管理不全空き家」となってしまう可能性があります。さらにそのまま放置すると「特定空き家」として指定を受けると、家の解体除却を強いられることもあるのです。

実家を売るベストタイミングとは

実家を売るタイミングとしては大きく2つのケースが考えられます。

・親が施設に入った時
・相続した時

それぞれの売却時期についてメリット・デメリットを比較してみましょう。
メリットデメリット
施設に入った時・一時金など介護費用に充当できる
・居住用資産売却3,000万円控除が適用できる
・相続人が複数いる場合には相続時に不動産分割の必要がなくなる
・親の同意がなければ売却できない
相続した時・不動産を相続するため、現金・預金よりも相続税評価額が低い・不動産譲渡所得税の課税を受ける
・遺産分割協議がまとまらないと売却できない

相続してから親の家を売却する場合、一定の要件を満たしている被相続人の自宅については「譲渡所得から3,000万円控除」できる特例が適用できます。ただし、現時点では令和5年12月31日までに売ることが条件となっています。

弘中 純一
弘中 純一

実家を売る時の注意点

親が施設に入る時など相続の前に実家を売却する際に、注意しなければならないことがあります。

介護施設に入所する場合にはなんらかの「介護」が必要な状態になっていることを意味しています。たとえば重い「認知症」の場合には、ものごとの判断が適切にできず資産の処分に関わる決断をすることに問題があるケースもあります。

不動産の売却にあたっては売主の意思能力に問題があった場合、売買契約が無効になることもあります。また認知症が明らかになっている場合には「成年後見制度」に基づく成年後見人を選定するケースもあります。

成年後見人がいる場合には不動産の売却は後見人が手続きを行いますが、売買契約を経て引き渡しを行うには、家庭裁判所の許可を得なければなりません。裁判所の許可は事情によっては下りないこともありますし、時間が大変掛かる場合もあります。

成年後見制度による不動産売却は「認知症になった親の不動産は売却できる?」の記事も参照してください。

親の家をどうするか、考える時に留意すべきこと

前述した5つの選択肢を基に親の家の今後を検討する場合、忘れてはならない留意点があります。親との話し合いを経て方針が決まりますが、以下のようなポイントを念頭に置いて決めることが望ましいでしょう。

持ち家に関する親の意向

親がこれまで住んでいた家に対する思いにはさまざまなものがあります。売るにしても貸すにしても「自分の家ではなくなる」と感じるものでしょうし、リバースモーゲージでお金を借りることは将来手放すことを意味しています。

もしかしたらこのまま管理しながら残してほしいという気持ちが強いかもしれません。どのような思いでいるのか十分話し合いをし、親の意向を理解したうえで選択するのが重要です。

施設に移った親の住民票の問題

介護施設へ入所する際は住民票の移動が一般的です。ただし強制的なことではないので、住民票の移動に関するメリット・デメリットをよく検討する必要があります。

一方で住民票の移動が条件になる施設もあるので、よく確認することが大切です。市区町村が変わる場合には税金や保険料などが変わり負担が増える場合もあります。またこれまで受けていたサービスが受けられないケースもあり、住民票の移動はできるだけ情報を集めて比較検討することが望ましいでしょう。

住民票を移動すると介護保険料が高くなるなど、デメリットがある場合には「住所地特例制度」を利用する方法もあるので、選択肢として覚えておきましょう。

空き家でも維持費用がかかる現実

住宅の維持費用は空き家であっても必要なことは前述のとおりです。しかしその費用負担を親自身が認識して老後生活の資金計画に組み込むことは少なく、ほとんどの場合は相続人となる子世代が負担するか、あるいは最低限の維持管理で済ませる場合が多いのではと想像できます。

空き家は放置するほど劣化がすすみ、時間が経過するほど利用する場合の再生費用は高額になってしまいます。売却するにしても賃貸活用するにしても決断を早くし、中途半端な状態で放置しないよう心掛けたいものです。

売却や活用が難しい空き家は維持管理費などの出費がかさむ可能性が高く、そのまま放置されるケースも多くなります。将来の相続時には誰も相続しないといったことも考えられ、不健全空き家の予備軍ともなります。社会問題ともなっている空き家増加を防ぐ意味でも売却など早めの決断が大切です。

弘中 純一
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まとめ

普段はあまり考えることのない「親の家」について、介護施設などへの入所をきっかけに今後のあり方を考えるのはよい機会だと言えるでしょう。空き家になる親の家の対処については5つの選択肢があります。それぞれに判断する時の注意ポイントがありますが、親の家を「資産」として捉えて、現状の価値そして将来の価値を判断することも大切なことです。

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宅建取引士・一級建築士として住宅の仕事に関り30年。住宅の設計から新築工事・リフォームそして売買まで、あらゆる分野での経験を活かし、現在は住まいのコンサルタントとして活動中。さまざまな情報が多い不動産業界で正しい情報発信に努めている。

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