施設に入った親の家は売るべき?空き家になる実家の5つの対処法

2024.06.19更新

この記事の監修者

キムラ ミキ
キムラ ミキ

AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー

施設に入った親の家は売るべき?空き家になる実家の5つの対処法

親が介護施設や高齢者住宅に入所するため、空き家になる家の対応に迷っている人に、対処法と選択の判断材料をお伝えします。

この記事のポイント
  • 人の住まなくなった住居は傷みやすく、「特定空き家」に該当するような状況になれば取り壊しを余儀なくされることも…。
  • 施設に入った親の家を賃貸に出す選択もありますが、場合によっては大幅なリフォームが欠かせないこともあります。
  • 売却、賃貸、空き家のまま維持など対処法はさまざま。親の意向を理解したうえで選択することが重要です。

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目次

施設に入った親の家の対処法、5つの選択肢

建物は人が利用しなくなると劣化が進みます。親が施設に入ることになったとき、親の持ち家をそのまま放置してしまうと劣化が進んでしまうでしょう。その場合、相続発生時に相続したいと考える相続人もいないかもしれません。また、利活用するとしても多額の修繕費などが必要になる可能性もあります。

結果として負の遺産となってしまわないためにも、施設に入った親の家の対処法についてはさまざまな方法が考えられます。ここでは「売却する」、「賃貸に出す」、「空き家を担保にお金を借りる」、「空き家のまま維持する」、「次の世代が住む」といった5つの有力な選択肢について紹介します。

選択肢1.売却する

メリット
・売却金を介護費用に充当できる
・維持費用・手間が不要になる
・遺産分けが楽になる
デメリット
・片付けや修繕費用が必要な場合もある
・売却期間が長いもしくは売れない場合もある
・売買の手続きが必要となる
まず、選択肢として考えられるのが「売却」です。売却により資産を現金化し、介護費用に充当することもできます。前述したような家の維持や管理の必要がなく、将来の相続時の遺産分割も不動産を処分していると比較的楽になることがメリットでしょう。

逆に、売却するための手間や費用が必要となります。たとえば高く売るためにはある程度の整理整頓が必要です。状況によってはリフォームが必要になることもあるでしょう。仲介を依頼する不動産会社を探す時間も必要ですし、売りに出しても簡単に売れないこともあります。

また、立地条件や築年数などにより、売りやすい物件・売りにくい物件があります。何より所有者である親の同意がなければ売ることもできません。

選択肢2.賃貸に出す

メリット
・家賃収入が入る
・家を残せる
・節税になる
デメリット
・片付けや修繕が必要
・家を自由に使えなくなる
・売り時を逃がす可能性がある
・3000万円特別控除が使えなくなる
売却が難しい場合や親の同意が得られない場合、賃貸物件として活用する選択肢もあります。

家賃収入を介護費用に充当できるメリットがありますが、空室になった場合には資金計画に狂いが生じます。また、賃貸物件として適切なメンテナンスが必要であり、場合によっては大幅なリフォームが欠かせないこともあります。

資産として残すことはできますが、一定期間の経過後に売却した場合「居住用財産売却の3,000万円控除」が適用できず、節税効果を失うこともあります。

また、いったん賃貸にしてしまうと所有者側からの契約解除は難しく、自分の財産を自由にできないデメリットもあります。賃貸契約期間を限定できる「定期借家契約」の活用も視野に入れるとよいでしょう。「持ち家を貸し出す方法」の記事も参考にしてください。

選択肢3.空き家を担保にお金を借りる

メリット
・家はそのままで、介護資金ができる
・資金用途は自由
・相続が不要になる
デメリット
・審査が厳しい
・金利が高い
・残積リスクがある
親の家を担保に介護資金を借りる方法もあります。「リバースモーゲージ」と言いますが親が亡くなった時に担保になっている家を売却して、借りたお金を一括返済する方法です。

そのため、毎月の返済は利息分だけで元金の返済は必要ありません。融資額は担保評価の5~6割までであり、元金が将来の売却時に売却代金を超える場合は、超えた分の元金返済が免除される「ノンリコース型」を選択することもできます。

デメリットは、通常の住宅ローンよりも金利が高い点と、審査が厳しく立地条件などが悪いと担保評価が低い点です。

リバースモーゲージは、資金の使途は限定されないので、介護費用のほかにリフォーム資金や老人ホームの入居一時金など、自由に使うことができます。

また親が亡くなった場合には、いったん相続したうえで売却することになるので、相続人の同意を得て借りることになります。

親の自宅を活用した資金化の方法には、もう1つ「ハウスリースバック」がありますが、こちらは家を売却した後も親がそのまま賃貸借で住み続ける方法であり、リバースモーゲージとは目的が異なります。

選択肢4.空き家のまま維持する

メリット
・万が一施設が合わなかった場合、帰れる家がある
デメリット
・空き家の維持費用と手間がかかる
老人ホームなどは実際に入居して生活してみなければ、親にとって本当に望ましい住環境なのかわからないものです。あるいは、民間の施設では入居後に運営企業が経営破綻し、入居を継続できない場合などもあり、親の自宅をそのまま残しておく方法も考えられます。

この場合は、空き家となっている親の家をいつでも使えるようにしておく必要があり、維持管理は適切に行わなければなりません。

将来、親が亡くなった時には相続をし、その後の活用方法などを検討することになります。売却することも選択肢となり、よい条件で売却するにも空き家の管理は適切に行うことが望ましいでしょう。

選択肢5.次の世代が住む

メリット
・実家を処分せず有効活用できる
・空き家にせず済む
デメリット
・ほかの相続人と揉める可能性がある
子が親の家に住むという選択肢もあります。複数の子がいる場合将来の相続問題の元になる可能性はありますが、空き家にして維持管理に時間と費用を掛けるよりは、実家だった家を良い状態で残すことができます。

施設に入った親がやむを得ぬ事情で施設を出る場合など、帰る家があるというのは心強いものです。そのためにも家の所有権は親であり、子は「使用貸借人」の立場であることを明確にしておく必要があるでしょう。

相続問題が発生しないようであれば生前贈与する考え方もあり、親子間でもっとも望ましい資産の継承方法を検討してはいかがでしょう。

施設に入った親の家を売るべき理由

ここまで5つの選択肢をみてきましたが、親が再び実家で生活する可能性がほとんどなく、子も親の家に住む、あるいは活用することがなければ売却を進めるのが賢明でしょう。

なぜ売却を進めるのが賢明なのか、その理由を解説します。

売却金を介護資金に充てられるため

親が老人ホームなどの介護施設に入所する場合、親の資産や収入で介護費用が賄えるのか確認する必要があります。

老人ホームなどの入所一時金は高額になることもあり、親の預金や不動産・株式などの資産を売却し、賄えるかどうかを検討します。現在の市場価格を確認するなら「不動産一括査定サイト」を活用し、現在の売却可能価格を把握するとよいでしょう。

介護施設の費用相場

いわゆる老人ホームには民間の施設と公的機関の施設があり、次のようにたくさんの種類があります。
区分施設名称入居一時金月額利用料
民間施設住宅型有料老人ホーム0~380万円9~19万円
サービス付き高齢者向け住宅0~27万円11~20万円
グループホーム0~16万円8~14万円
公的施設ケアハウス0~30万円7~13万円
特別養護老人ホームなし10~14万円
介護老人保健施設なし8~15万円
介護医療院なし8~15万円
それぞれの入居一時金と月額利用料の目安を示しましたが、データは平均値に基づいています。実際の各施設の費用とは異なる場合があるため、ご注意ください。

民間施設の場合は「家賃の前払い」といった意味で「入居一時金」が必要となるのがほとんどですが、最近は月額料金に含み入居一時金が不要かわずかな場合もあります。

公的機関が運営する介護施設はケアハウスを除き入居一時金は不要であり、月額利用料は若干ですが民間施設よりも割安な場合もあります。

実家の維持費が不要になるため

親が老人ホームで生活する費用のほかに、考えておく必要のある費用が「空き家」となった親の家の維持管理費です。人の住まなくなった住居は傷みやすいと言われ、維持やメンテナンスはより念入りに行う必要があります。

屋根や外壁などのメンテナンスはおよそ10年ごとに行う必要があります。不具合が生じている設備機器を放置していると、いざという時には使い物にならないこともあるでしょう。

空き家のメンテナンス費用は意外と掛かるものです。さらに、遠隔地にある場合は、ときどき訪れて状況の確認もしなければなりません。空家等対策特別措置法の「特定空き家」に該当するような状況になると、取り壊しを余儀なくされることもあります。

代理で売るより手間がかからないため

介護施設に入所する場合には、何らかの「介護」が必要な状態になっていることを意味しています。たとえば、重い「認知症」の場合には、ものごとの判断が適切にできず資産の処分に関わる決断をすることに問題があるケースもあります。

不動産の売却にあたっては売主の意思能力に問題があった場合、売買契約が無効になることもあります。また、認知症が明らかになっている場合には「成年後見制度」に基づく成年後見人を選定するケースもあります。

成年後見人がいる場合には不動産の売却は後見人が手続きを行いますが、売買契約を経て引き渡しを行うには、家庭裁判所の許可を得なければなりません。

裁判所の許可は事情によっては下りないこともあり、時間が大変掛かる場合もあります。

成年後見制度による不動産売却は下記の記事も参照してください。

不動産価格が下がる可能性があるため

日本はすでに人口減少社会になっており、街づくりの考え方としてはほとんどの自治体が「コンパクトシティ化」を掲げています。つまり以前のように都市は拡大するのではなく、都心に集中させるとともに郊外への広がりを抑制する方向になります。

このことは都心部以外の住宅地の評価額は、将来上がる可能性よりも低下もしくは横ばいで推移する可能性が高いと考えられます。

利活用の方法がない場合は「空き家」となり、管理が十分にできない場合は「管理不全空き家」となってしまう可能性があります。さらに、そのまま放置すると「特定空き家」として指定を受けると、家の解体除却を強いられることもあるのです。

相続後よりも税金の控除額が増える可能性があるため

相続後に売却するよりも、税金の控除額が増える可能性があります。次章にて詳しく解説していきましょう。

親の家の売却を考える2つのタイミング|税金比較

実家を売るタイミングとしては大きく2つのケースが考えられます。

・親が施設に入った時
・相続した時

それぞれの売却時期についてメリット・デメリットを比較してみましょう。以下の比較を参考にして、ご自身のケースで個別具体的に考えてみるとよいでしょう。
メリットデメリット
施設に入った時・一時金など介護費用に充当できる
・居住用資産売却3,000万円控除が適用できる
・相続人が複数いる場合には相続時に不動産分割の必要がなくなる
・親の同意がなければ売却できない
相続した時・不動産を相続するため、現金・預金よりも相続税評価額が低い・不動産譲渡所得税の課税を受ける
・遺産分割協議がまとまらないと売却できない

施設に入所した時

施設に入所した時に売却を行う大きなデメリットとしては、親の同意が必要ということです。親の家の名義人が親であるなら、その名義人の同意がなければ売却できないからです。親の同意を得て、売却できればその売却資金を介護費用に充当できますし、モノからお金に換えることにより、相続時の遺産分割もややこしくありません。

また、自宅を売却の際に活用できる居住用資産売却3,000万円控除も利用できるため、譲渡所得税の負担が軽減されます。

相続した時

親が自宅として使っていた不動産の相続評価額の軽減措置があります。そのため同価値の現預金を相続するよりも相続税の負担は軽減されます。

相続後、売却をする場合、居住用資産売却3,000万円控除は活用できませんが、被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例が活用できる場合もあります。ただし、売却時までに相続人の間で遺産分割協議がまとまっている必要があります。

相続してから親の家を売却する場合、一定の要件を満たしている被相続人の自宅については「譲渡所得から3,000万円控除」できる特例が適用される場合があります。

キムラ ミキ
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親の家をどうするか、考える時のポイント

前述した5つの選択肢を基に親の家の今後を検討する場合、忘れてはならない留意点があります。親との話し合いを経て方針が決まりますが、以下のようなポイントを念頭に置いて決めることが望ましいでしょう。

持ち家に関する親の意向

親がこれまで住んでいた家に対する思いにはさまざまなものがあります。売るにしても貸すにしても「自分の家ではなくなる」と感じるものでしょうし、リバースモーゲージでお金を借りることは将来手放すことを意味しています。

もしかしたらこのまま管理しながら残してほしいという気持ちが強いかもしれません。どのような思いでいるのか十分話し合いをし、親の意向を理解したうえで選択するのが重要です。

施設に移った親の住民票の問題

介護施設へ入所する際は住民票の移動が一般的です。ただし強制的なことではないので、住民票の移動に関するメリット・デメリットをよく検討する必要があります。

一方で住民票の移動が条件になる施設もあるので、よく確認することが大切です。市区町村が変わる場合には税金や保険料などが変わり負担が増える場合もあります。

またこれまで受けていたサービスが受けられないケースもあり、住民票の移動はできるだけ情報を集めて比較検討することが望ましいでしょう。

住民票を移動すると介護保険料が高くなるなど、デメリットがある場合には「住所地特例制度」を利用する方法もあるので、選択肢として覚えておきましょう。

空き家でも維持費用が掛かる現実

住宅の維持費用は空き家であっても必要なことは前述のとおりです。しかしその費用負担を親自身が認識して老後生活の資金計画に組み込むことは少なく、ほとんどの場合は相続人となる子世代が負担するか、あるいは最低限の維持管理で済ませる場合が多いのではと想像できます。

空き家は放置するほど劣化がすすみ、時間が経過するほど利用する場合の再生費用は高額になってしまいます。売却するにしても賃貸活用するにしても決断を早くし、中途半端な状態で放置しないよう心掛けたいものです。

売却できず活用も難しい空き家は維持管理費などの出費がかさなる可能性が高く、そのまま放置されるケースも少なくありません。そのため、将来の誰も相続しないことも考えられ、空き家予備軍となってしまいます。社会問題である空き家増加を防ぐためにも、売却など早めの決断と行動が求められます。

キムラ ミキ
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まとめ

普段はあまり考えることのない「親の家」について、介護施設などへの入所をきっかけに今後のあり方を考えるのはよい機会だと言えるでしょう。空き家になる親の家の対処については5つの選択肢があります。それぞれに判断する時の注意ポイントがありますが、親の家を「資産」として捉えて、現状の価値そして将来の価値を判断することも大切なことです。

不動産の価値はできるだけ現実性のある評価基準で判断することが重要であり、無料で手軽に申し込みのできる「不動産一括査定サイト」が現在は多く活用されています。

全国ほとんどの都市が対象となっており、申し込みから結果がわかるまでの期間も短くおすすめの方法です。

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キムラ ミキ
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AFP/社会福祉士/宅地建物取引士/金融広報アドバイザー

日本社会事業大学 社会福祉学部にて福祉行政を学ぶ。大学在学中にAFP(ファイナンシャルプランナー)、社会福祉士を取得。大学卒業後、アメリカンファミリー保険会社での保険営業を経て、(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わった。その後、2008年8月より独立し、現在、自社の代表を務める。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
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