中古一戸建ての価格は何で決まる?売却相場の調べ方や相場動向を徹底解説します

  • 更新日:
  • 2022年03月14日
中古一戸建ての価格は何で決まる?売却相場の調べ方や相場動向を徹底解説します
中古住宅の価格はどのように決まるのでしょうか。これは住宅の売却を考える方にとって重要な問題でしょう。新築の一戸建て住宅を購入し、20年経過してから売却しようとすると、半額ぐらいでなければ売れないと言われます。この記事では、一戸建て住宅の売却を考えている方に向け、中古住宅の価格がどのように決まるのか、不動産会社が査定する時に注目するポイント、一戸建て住宅の査定方法と価格決定プロセスなどについて解説します。

一戸建て中古住宅の価格を決める要素は複雑…。
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目次

一戸建ての価格は経済情勢にも左右される

一戸建て住宅の価格は、単に需要と供給のバランスだけで決まるものではありません。一戸建ての価格は経済情勢によっても大きく左右されるものです。

人口が増え経済がどんどん発展成長していたころは、住宅不足が叫ばれ土地や住宅の価格も上昇を続けていました。1980年代後半にはいわゆる「バブル景気」があり、土地の価格は急上昇しました。そこで国は土地価格抑制のためにさまざまな施策を打ち出し、やがてバブル崩壊により不動産価格は急降下したのです。その後景気は回復し、不動産の価格も落ち着きを取り戻しましたが、2008年には「リーマンショック」があり再び経済状況が悪化しました。

このように、経済情勢が移り変わるたびに不動産価格は影響を受け、一戸建て住宅の相場価格も変動してきました。

一戸建て中古住宅を取り巻く環境

不動産市場を左右する要因としては、社会全体の大きな流れによるものと、短期的に影響を与えるものがあります。大きな流れとしては、日本は2010年ころから人口減少に転じており、いろいろな面で人口減少にともなう影響が出ています。地域によっては一戸建て住宅の需要が減少しているケースが見られます。

また短期的な側面を見てみると、現在まだ収束の見通しが立っていない新型コロナウイルス感染症の影響が挙げられるでしょう。下のグラフは2018年6月から2021年5月までの不動産価格指数の推移を表したものです。2020年6月には大きく下落しましたが、その後上昇に転じ、2021年5月には2019年1月の水準まで戻っていることがわかります。

大きな下落の原因は言うまでもなく新型コロナウイルス感染症の影響です。1回目の緊急事態宣言が解除されたのは2020年5月25日であり、その後、不動産業界における活動は当初の予想に反し改善傾向になりました。このように、感染拡大が住宅価格に影響を与えているのです。

なぜ価格相場を知っておかなければならない?

不動産価格に定価といったものはなく、売却時点の経済情勢や需要状況により変動します。そのため「相場」と言われる訳ですが、証券市場のように1分1秒単位で価格が変動することはなく、月単位や旬単位など緩やかに動いていきます。

また、取り引きは「相対取引(あいたいとりひき)」のため、相場価格がそのまま売買価格になることはなく、最終的に売主と買主の合意により決まります。相場価格は売主が売り出す時点で参考になるもので、買主にとっても目安となる指標の1つです。

適正な値付けが売却成功の第一歩

初めて売り出す時の「売り出し価格」は非常に重要です。高い価格だと「いずれ下がるだろう」と様子を見られ、安過ぎる価格だと早く売れますが、高値売却のチャンスを失ってしまいます。そのため、早くかつ高く売るには、売出し時の適正な値付けが必要なのです。

不動産会社は査定を行い、その結果に基づいて売り出し価格を検討しますが、予想される売却までの期間や売主の希望価格なども勘案してくれます。不動産会社が提案する売り出し価格の根拠や、売却の見通しなどについて確認してみるのもよいでしょう。

損しない売却は売り時の見定めが肝心

売り出し価格で取り引きが成立することは少なく、ほとんどの場合は購入希望者から買受金額を提示してくるものです。時には大きな金額の値引きを交渉してくるケースもあり、売主としては迷うこともあるでしょう。しかし、不動産売買ではこのようなことは常にありますので、価格交渉を中断し買受希望を断るか、引き続き交渉を行うかを判断しなければなりません。

適正なタイミングに適正な価格で売るためには、不動産の相場価格を適宜調べることが重要です。次章では一戸建ての売却相場の調べ方を解説しますので、参考にしてください。

一戸建ての売却相場の調べ方

一戸建て住宅の価格相場を調べるにはいくつか方法があります。どの方法もインターネットを利用し短時間で調べることが可能です。

レインズで調べる

レインズは国土交通省の指定を受けた不動産流通機構が運営する、不動産会社独自のネットワークシステムです。一般の方はレインズのデータの一部のみ閲覧でき、その専用ウェブサイトを「REINS TOWER」と言います。REINS TOWERでは不動産市場の動きなどを定期的に公表しています。ここである程度の不動産の相場価格を把握することが可能です。

また、レインズは不動産会社だけが閲覧できる物件のデータベースを管理しています。そのため、不動産会社はさらにくわしい売買事例データや、販売中の不動産の価格などを常に把握できるようになっています。

不動産ポータルサイトで調べる

不動産ポータルサイトには販売中の物件が掲載されており、売りたい物件の付近にある物件を探して売り出し価格を確認することができます。

売り出し価格はあくまでも売主の希望価格が表示されているだけなので、実際に取り引きされる価格とは異なりますが、おおよその相場観は売り出し価格から推測できます。大まかな目安を知りたい時には、ポータルサイトで周辺の物件を調べてみるのは有効な方法です。
スマイティで調べる

※スマイティ中古一戸建て物件情報

土地の価格から調べる

建物の相場価格とあわせて、土地の価値も把握しておくとよいでしょう。国土交通省の「不動産取引価格情報検索」では、これまでに登録された土地の売買データを調べることができます。保存されているデータ量は不動産会社のみが閲覧できる「レインズ」と比較すると少ないですが、おおよその相場を把握するには十分です。取り引きデータや「公示地価」のデータも表示することができ、土地価格に限定するとかなり正確な相場価格を知ることができます。

また、相続税や贈与税の課税標準額の基になる国税庁の「路線価」も、土地の相場価格を調べる有力な情報です。

一戸建て中古住宅の価格変動要因

一戸建て中古住宅の場合は、建物と土地の価格査定を別々に行ったうえで、合計した金額を不動産査定額として提示します。建物と土地を別々に査定する理由は、建物と土地では価格に影響を及ぼす要素が異なるからです。それぞれの価格変動要因をご説明します。

建物

1.築年数
一戸建て住宅の多くは木造であり、木造特有の「湿気に弱い」「腐りやすい」などの欠点があります。そのため、耐久性で劣る点があり、築年数が古くなるほど資産評価は低下していきます。築年数がかなり経過した建物の場合、評価がほとんど付かないこともあります。そのような場合は「古家付き土地」として、土地の評価だけで売却する方法もあります。
2.維持管理状態
外壁や屋根など、風雨にさらされる部分は傷みやすいため、定期的なメンテナンスが必要です。適切な維持管理を行っている住宅なら、新築時の性能をある程度長持ちさせることができ、状態のよい中古住宅ほど評価は高くなります。しかし、維持管理を怠っていると劣化がどんどん進んでしまいます。これらの部分は、およそ10年のサイクルで塗装などのメンテナンスをすることが望ましいでしょう。

3.リフォーム歴
2の「維持管理状態」に関連することとして、リフォームや修繕工事の記録を残しておくと、買主が引き渡しを受けた後のメンテナンス計画の際にとても重要な情報になります。また、リフォーム歴がきちんと残っていると買主に安心感を与え、評価を高める要素にもなるのです。

4.新築時の施工の質や設備のグレード
施工を行う建築会社の技術レベルにより、住宅の性能は異なる場合があります。同じ資材を使い同じ作業方法で行っても、資材の保管方法や現場作業の熟練度などの差で、仕上がりが大きく異なることもあります。住宅設備のグレードは、建てる時の希望や予算とのバランスを考えて選択されており、やはり差があります。グレードの高い物件は希少性もあり、高い評価を受ける傾向があるでしょう。

土地

建物は同様のものを建てることや購入することができます。しかし、土地にはまったく同じ条件のものは2つとなく、それぞれ価格が算定されます。

1.利便性
駅からの距離や商業施設、医療機関、学校の有無など、生活に直接関わる利便性は土地評価において大きな要素となります。ほかにもスポーツなどの趣味がある方には、スポーツ施設や趣味に関連した施設が近いと好まれるでしょう。利便性は買主にとってかなり重要な土地選びの条件です。面積が狭い、日当たりが悪いなど多少条件が劣っていても、利便性が高い土地であれば評価が高くなる可能性があります。

2.周辺環境
利便性と関連しますが、周辺の生活環境や自然環境のよい土地のほうが評価は高くなります。たとえば、保育園が多い、公園が近い、交通量が少ない、同世代の子どもが多いなどの要因が考えられるでしょう。

3.形状や広さ
地形(じがた)と言われる土地の形は長方形が一般的ですが、三角形や「旗竿地」と呼ばれる路地状の土地など、さまざまな形があります。一般的に長方形がもっとも使いやすく、変形した土地ほど利用しづらいため価値が低くなってしまいます。また、面積も重要です。広過ぎると土地代金が高くなり、狭過ぎると予定していた建物が建てられないこともあるでしょう。土地は単位面積あたりの金額で計算しますので、広さに応じて価格は変わります。

4.接道状況
建築基準法では、建物の敷地と道路の関係について規定を設けています。敷地は幅員4メートル以上の道路に、2メートル以上の幅で接していなければなりません。この要件を満たしていない場合は、都市計画区域・準都市計画区域内で建物を建てることができませんので、売却が難しくなるでしょう。また、一般的に2方向の道路に接する「角地」は評価が高く、道路が北側より日当たりのよい南側にあるほうが高い査定となります。

一戸建ての相場を調べるうえで注意したいポイント

ここまで、一戸建て中古住宅の価格が決まる要因についてお話ししてきました。しかし、一戸建ての場合はそれぞれの物件で異なる個別要素が多く、標準的な評価基準を見出すことは難しいものです。

そのため、取り引きのタイミングや売主の事情などにより成約価格が決まることも多くなります。一戸建て住宅の価格を考える際には、以下のように柔軟に捉えることが大切です。

売り出し価格=成約価格ではない

中古住宅を売却する時には通常、不動産会社に不動産査定をしてもらいます。不動産査定では土地と建物の評価を行い、売れそうな価格を計算します。次に、売却してもらう不動産会社を決めて媒介契約を締結した後、本格的に売却活動に入りますが、まず売り出し価格を決めなければなりません。

売り出し価格はポータルサイトなどに物件情報を掲載する際、もっとも目立つ位置に記載されるものです。しかし、売買が成立したとしても、売り出し価格で取り引きされることは少ないので注意してください。一般的には価格交渉の結果、売り出し価格以下の金額に落ち着き、取り引き価格が決まります。この価格を「成約価格」と言います。

相場は変動する

売り出し価格を決める際に相場価格を重視することは、先ほどお伝えしたとおりです。相場価格から大きく乖離した高い価格では、なかなか売れずに時間ばかりがかかってしまいます。

その際、基準となる相場価格は一定ではないということも覚えておかなければなりません。たとえば、数年後に新しい駅ができ利便性がよくなるエリアは相場価格が上昇し、逆に利便性の悪くなるエリアは相場が下がるでしょう。相場は経済や社会環境などの影響を受け、常に変動するものです。

査定額も相場も目安でしかない

不動産査定の価格は「売れそうな価格」という目安でしかなく、成約時には大きく値引きされた金額になることも多いものです。また、不動産会社によっては、媒介契約を締結するためにわざと高い査定価格を提示するケースもありますので、このような会社には注意してください。そして相場価格も常に変動するものですので、あくまでも参考として捉えておくとよいでしょう。

よくある質問

中古住宅の売却にあたってよくある疑問をまとめました。一戸建ての売却の際に参考にしてください。
一戸建て売却の流れを知りたい
売却の流れを簡単にまとめると次のようになります。査定の準備→不動産査定→媒介契約→売却活動→契約・引き渡し
売却の際は、まず不動産査定を依頼します。新築時の図面や建築確認済証などの書類を準備しておくとスムーズです。その後、不動産会社と媒介契約を締結したら、不動産会社が売却活動を行います。購入希望者が現れ条件が整ったら売買契約へと進みます。くわしくは一戸建て売却成功のコツもご覧ください。
一戸建て売却はマンション売却よりも時間がかかるって本当?
中古の一戸建て住宅は、中古マンションより売却にかかる時間が長くなる傾向にあります。それは以下のような物件が多いためです。
・築年数が古い
・マンションと比べて立地条件が悪い
・土地の境界が不明確なため測量が必要
・リフォームが必要で購入前に工事を検討しなければならない

立地条件がよく築浅など需要の高い物件以外、一戸建て住宅はどうしても売却に時間がかかることが多いのです。
相続した実家の一戸建て売却を検討中ですが、注意するべきことは?
実家を相続し売却する際、必ず相続登記をしなければなりません。相続の時は相続税の申告・納税が義務となり、売却した場合はさらに譲渡益にも課税されます。要件を満たせば3,000万円の特別控除を適用できますが、これは2023年12月31日までの特例になっています。なお、2024年からは相続登記が義務化されるので覚えておきましょう。また「相続税の取得費加算の特例」といった制度もありますので、不動産を相続するならの記事もご覧ください。
一戸建て売却にかかる費用や税金を知りたい
一戸建て住宅も含め、不動産の売却にはどうしても必要な費用や税金があります。「仲介手数料」はよく知られているものですが、抵当権抹消登記や住所変更登記などの「登記費用」がかかるケースもあります。登記手続きには「登録免許税」、売買契約書を書面にした場合は「印紙税」がかかります。そのほか、場合によっては解体費や測量費が必要になることもあり、事前に計算しておくことが望ましいでしょう。不動産売却にかかる費用の記事もご参照ください。
一戸建てを売ってマンションに住み替える時の注意点は?
住み替えの場合に注意しなければならないのは「タイミング」です。住宅ローンの残高がある、新居でも住宅ローンを利用するといった場合は注意しましょう。現金で住み替えができる場合は問題ありませんが、住宅ローンの残高があって売却代金でローンを完済する場合や、購入するマンションでも住宅ローンを借りる場合は、つなぎ資金の融資や仮住まいが必要になることもあります。くわしくは売却と購入のタイミングの記事でご確認ください。

まとめ

一戸建ての中古住宅を売却する場合は中古マンションに比べ、成約価格に幅があります。それは、中古物件の個別の要素や条件などが、マンションよりも多様で複雑だからです。不動産会社による評価の方法や基準もさまざまで、査定価格には少なからず幅が生まれます。そのため、ご自身でも売却価格の目安を知ったうえで、複数の不動産会社に査定依頼をすることが大切です。それぞれの会社から出される査定価格とその根拠を確認し、媒介を依頼する会社を適切に選択しましょう。

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弘中 純一

監修弘中 純一

【資格】宅建取引士/一級建築士

宅建取引士・一級建築士として住宅の仕事に関り30年以上になります。
住宅の設計から新築工事・リフォームそして売買まで、あらゆる分野での経験を活かし、現在は住まいのコンサルタントとして活動。
さまざまな情報が多い不動産業界ですので、正しい情報発信に努めています。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
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