家の買い替えはスケジュールの組み方が肝心!
事情に合わせて3つのパターンから選びましょう。
目次
“買う”と“売る”のタイミングは、永遠のテーマ

1. | 売りを先行させるパターン |
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2. | 買いを先行させるパターン |
3. | 売りと買いを同時進行させるパターン |
実際には、この「売る」と「買う」のタイミングがなかなか難しく、まさに不動産取引の永遠のテーマと言えそうです。新たに土地を購入して建てる場合などは、建売とちがって設計や建築の期間を6か月程度は見なければならないので、できれば買いを先行させたいところです。新築マンションの場合も、建築の1年以上前から販売を開始しているケースがあり、よい場所を確保したければ先に購入して建築を待つのが理想的です。
ところが、新しい家や土地・マンションを先に購入してしまうと二重ローンとなって、急いで現在の家を売らなければならないことにもなりかねません。そうなると、どうしても売却価格を相場より安めに設定する必要が生じます。「理想の家に住み替えられるなら、多少のことは目をつぶる」という心づもりであれば、買いを先行させるのもよいでしょう。 折衷案として、同時進行というやり方があります。この場合、現在の家の引き渡し日と新居への入居日がうまく合えば、効率がよさそうですが、現実には買主と買い物件を同時に見つけることは簡単ではありません。また、売りと買いの同時作業は大変です。
「売り」を先にすると、資金繰りが明確になる

しかし、売りを先行させた場合は、自宅の引き渡しと住宅購入のタイミングが合わなければ、仮住まいをしなければなりません。引っ越し代・敷金・礼金・仲介手数料・家賃・備品購入費など、もろもろを合わせると100万円以上の出費になる可能性があり、新居の購入費用がその分マイナスになります。さらに、犬や猫などのペットを飼っているご家庭や、ピアノを演奏される方がいるご家庭などは、仮住まいで住める場所もかなり制限されます。もし仮住まいの可能性がある場合は、事前に予定している地域の賃貸情報をチェックしておくとよいでしょう。
理想の物件を見つけてから家を売ると、目的意識が明確になる

ただし、実際に売りに出した際にいくらで売れるのか、本当に買手が付くのかという心配はあります。どうしても売れない場合は、購入を見合わせることを視野に入れることも必要でしょう。 不動産会社によっては「買い取り保証」をしているところもありますが、相場よりかなり安くなってしまいます。売却が決まってお金が入るまで、一時的にお金を借りる「つなぎ融資」を受けることも可能ですが、そのための利子がかかり、期間的な制限もあります。
買いを先行させる場合は、新居に住みたい気持ちばかりが優先して失敗をしないよう、よく考えてから実行しましょう。
「売りが先」のメリット・デメリット
メリット | 売り急ぐ必要がないので、高値で売却できる可能性が高い。 |
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資金繰りをはっきりさせてから、無理なく新居の購入に臨める。 | |
デメリット | 売却が決定してから新居に移るまで、仮住まいが必要となる。 |
新居が決まらない内に売却を進めるので、目的意識が薄い。 |
「買いが先」のメリット・デメリット
メリット | 住みたい新居がすでに決まっているので、目的意識がはっきりしている。 |
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住むところが決まっていないという不安感がない。 | |
デメリット | 短期間に自宅を売却しなければならないので、安値でたたかれる可能性がある。 |
売却がうまくいかない場合は、せっかく決めた新居をあきらめなければならない。 |
「売りと買い・同時進行」のメリット・デメリット
メリット | 時間的なロスが少ない |
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デメリット | 売りと買いの作業を同時に進めなければならない |
あせりは禁物! 心から納得できる新居選びを

買い換えをするときに気を付けたい3つのポイント
1. | たとえ時間がかかっても、本当に気に入った物件を買うこと(もちろん現実を踏まえた上で)。 |
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2. | 売りを先行した場合は、数か月~1年の仮住まいを覚悟すること。 |
3. | 買いを先行した場合は、売却価格が低くなることを覚悟するか、場合によっては申し込んだ物件を解約することも視野に入れること。 |
家の買い替えはスケジュールの組み方が肝心!
事情に合わせて3つのパターンから選びましょう。

監修坪 義生
【資格】社会保険労務士/宅地建物取引士
明治大学政治経済学部政治学科卒業、千葉大学大学院社会科学研究科修士課程修了(経済学)。
社会保険診療報酬支払基金、衆議院議員秘書、(株)矢野経済研究所(「住宅産業白書」、「出版社経営総鑑」、「コンピューター・サプライ市場の展望と戦略」を担当)等を経て、91年、じんじ労務経営研究所(社会保険労務士登録)を開設。同年より、「月刊人事マネジメント」取材記者として企業のトップ・人事担当者を中心に取材・執筆多数。