親が住んでいた分譲マンションの相続|手続きの流れや相続税の計算を解説します

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この記事の監修者

吉崎 誠二
吉崎 誠二

不動産エコノミスト/社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

親が住んでいた分譲マンションの相続|手続きの流れや相続税の計算を解説します

親から分譲マンションを相続する予定がある方に向けて、必要な手続きや評価額の調べ方、注意点についてご説明いたします。

この記事のポイント
  • 分譲マンションを空き家の状態にした場合でも、管理費や固定資産税など年間50万円程度の支出が必要になります。
  • 相続した分譲マンションが築40年を超えていたら買い手が付きづらい可能性も…。その場合は買い取りも視野に入れて。
  • 相続発生から、相続をするか否かを考える期間は3か月です。相続発生前からあらかじめ家族間で話し合っておきましょう。
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目次

親の古い分譲マンションは相続するべき?

全国のなかでも首都圏ではとくに、持ち家に占める分譲マンションの割合は増加しており、親のマンションを相続するというケースは今後も増えていくものと思われます。親が所有する分譲マンションを相続するべきかは、どんな分譲マンションかにもよります。

築古分譲マンション、とくに築40年以上の場合は、建物の老朽化のみならずそこに住む人も高齢化が進んでいるケースがあります。それに伴い、分譲マンションの維持管理に問題が生じている可能性もあるでしょう。

また、2024年1月からマンションの相続税評価額の評価方法が変わっています。タワーマンションなどの相続税評価額が見直されていますので、いま一度計算方法などをあらためて知っておく必要があるでしょう。

まずは、分譲マンションを相続するうえでの基本的なポイントについてご説明しながら、築古分譲マンションが直面する問題や、マンション相続後の活用方法について考えてみましょう。

親の住んでいたマンションを相続する手続きの流れ

分割が難しい分譲マンションの相続は、遺産分けで揉めないようにするために全体の手続きを事前に把握しておくことが必要です。

【ステップ1】遺言書の確認

遺言書の有無を確認します。自筆証書遺言の場合は、裁判所の検認手続きが必要です。遺言書がある場合は、その内容に従って遺産分割を行います。ただし、相続人全員が遺言書の内容を変更することに同意する場合は、その限りではありません。

【ステップ2】相続人の決定

被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本を取り寄せて、法定相続人が誰であるかを確定します。その際、相続放棄や相続欠格者、相続廃除者についても確認が必要です。相続放棄や相続欠格者、相続廃除者に子や孫がいる場合には、代襲相続が自動的に発生します。

【ステップ3】遺産分割協議書の作成

遺言書がない場合、相続人全員の合意のもと、遺産を相続人にどう分割するのかを決め、遺産分割協議書を作成します。相続財産に、分譲マンションがある場合には、相続人間で共有をするのか、いずれかの相続人が単独で所有するのか、分譲マンションを売却してその売却益を分割するのかを決めなければいけません。

【ステップ4】名義変更手続き

相続財産に、分譲マンションなど不動産が含まれる場合には、相続によって所有権者が変更になった旨の相続登記を行います。

相続登記が義務化されています!

2024年4月1日から、不動産の相続登記が義務化されました。この制度変更により、相続人は被相続人(亡くなった方)の死亡を知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。この義務を怠ると、10万円以下の過料が科される恐れがあります。

相続登記の義務化は、所有者不明土地の発生を防ぐことで相続人の権利を適切に保護し、不動産の円滑な利活用を促進することを目的としています。しかし、相続登記の手続きは複雑で、専門的な知識が必要となるケースも少なくありません。そのため、司法書士をはじめとする専門家の助けを借りることも検討するとよいでしょう。

【ステップ5】相続税の申告・納付

相続税を計算し、申告納付を行います。申告は、原則として相続開始を知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。

相続財産が、基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)の範囲内である場合には、相続税が発生しないため申告は必要ありません。しかし、相続税計算において特例などを利用した場合には、相続税の発生有無に関わらず、申告が必要になります。

マンション相続にかかる税金

マンションを相続する際は登録免許税と相続税の2種類の税金がかかります。

登録免許税

マンションの所有者移転登記、すなわち相続登記を行う際に支払う税金です。以下の計算式で算出します。
固定資産税評価額×0.4%(※)=登録免許税
(※) 税率は変更の可能性があります。

相続税

被相続人の財産を相続した相続人に課税される税金です。相続財産が、以下の計算式で算出する基礎控除額と同額または下回る場合には、相続税は課税されません。
基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数
【例】 夫が亡くなり、妻と子ども2人が夫の財産を相続した場合
夫の財産は、預貯金3,000万円、分譲マンション2,200万円(※相続税評価)とする。
遺言書の「妻に預貯金1,000万円と分譲マンション、子に預貯金1,000万円ずつ相続する」という内容に従うものとする。 なお、分譲マンションの敷地利用権について、小規模宅地の特例が使える場合があるが、今回は考慮しない。
●遺産産総額と各法定相続人の相続額
 預貯金3,000万円+分譲マンション2,200万円=5,200万円

●基礎控除
 基礎控除額
 3,000万円+600万円×3人=4,800万円

 遺産総額から基礎控除額を差し引く(課税対象額)
 5,200万円-4,800万円=400万円

●課税対象額を法定相続分で按分
 法定相続人は妻と子ども2人で、法定相続分は妻2分の1、子どもはそれぞれ4分の1。
 妻:400万円×1/2=200万円
 子:400万円×1/4=100万円

●税率をかけて、税額総額を出す
法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円
 妻: 200万円×10%=20万円
 子: 100万円×10%=10万円
 税額総額は、20万円+10万円+10万円=40万円

●遺産分割に応じて、各人の税額算出
 妻の相続財産=預貯金1,000万円+分譲マンション2,200万円=3,200万円
 相続財産総額に対する割合=3,200万円÷5,200万円≒0.6153
 税額=40万円×0.6153=246,120円
 ただし、配偶者の税額の軽減の適用を受けるため、税額は0円
子の相続財産=預貯金1,000万円
 相続財産総額に対する割合=1,000万円÷5,200万円≒0.1923
 税額=40万円×0.1923=76,920円

マンションの相続税評価額の計算方法

2024年1月1日以降の相続・贈与から、マンションの相続税評価額の計算方法が変更されました。新しい方法では、マンションの築年数、総階数、所在階、敷地持分などの個別性をより反映した評価が可能になります。
マンションの評価額=従来の評価額×区分所有補正率

従来の評価額の計算方法

従来の評価額は、建物の評価額と土地(敷地利用権)の評価額の合計です。これらは以下のように算出します。

建物の相続税評価額

建物の相続税評価額は、固定資産税評価額と同じです。固定資産税評価額は、年1回送られて来る固定資産税の課税証明書、または固定資産評価証明書で確認できます。なお、この金額には、専有部分に対する評価額と共有部分の評価額に持分割合を乗じたものが含まれています。

土地(敷地利用権)の相続税評価額

土地の相続税評価額を計算する方法には路線価方式と倍率方式の2種類があります。

分譲マンションの所在地に路線価がある場合には路線価に分譲マンション全体の地積を乗じて算出します。その金額に持分割合を乗じると相続税評価額となります。

路線価がないエリアに立地している場合には倍率方式(固定資産税評価額に評価倍率を乗じる方法)で分譲マンション全体の評価額を算出し、その金額に持分割合を乗じて相続税評価額を求めます。

区分所有補正率とは

区分所有補正率は、マンションの築年数、総階数、所在階、敷地持分狭小度などを考慮して算出されます。

この率は評価水準に応じて決定され、0.6未満から1.0を超える範囲で変動する可能性があります。これにより、マンションの個別性をより反映した評価が可能となりました。

なお、従来の方法で計算した評価額と新方式で計算した評価額を比較し、低い方の金額を採用することができます。また、分譲マンションの土地については、条件を満たせば小規模宅地の特例が適用される場合があります。

詳しくは国税庁からの通達に記載がありますので、あわせて確認ください。

まずは資産価値をチェック!

相続税評価額は、相続税計算をする目的のために使われるものであり、実際の売買価格よりも低い価格水準に設定されています。分譲マンションは、その立地・利便性・築年数・広さなどで資産価値が決まります。

分譲マンションを相続するか否か、そして相続後にどのような選択肢(居住、売却、賃貸など)を選ぶのかは、あらかじめ資産価値を把握してから考えても遅くはありません。まずは、不動産会社に査定依頼をしてみてはいかがでしょう
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マンションの相続税対策に利用できる特例/控除

マンションを相続する際に活用できる主な特例や控除には、小規模宅地などの特例、配偶者控除、配偶者居住権があります。これらを適切に活用することで、相続税の負担を大きく軽減できる可能性があります。

小規模宅地などの特例

小規模宅地などの特例は、被相続人などの居住用や事業用(たとえば賃貸住宅)として使用されていた土地について、一定の条件を満たす場合に、相続税の課税価格を減額できる制度です。

適用条件

・被相続人などの居住用や事業用として使用されていた土地であること
・相続人が相続後も一定期間(原則として3年以上)その土地を使用し続けること

特例の内容

・居住用宅地:330m2まで評価額の80%減額
・事業用宅地:400m2まで評価額の80%減額(賃貸用は50%)

具体例

評価額5,000万円の居住用マンションを相続する場合
●通常の相続税評価額:5,000万円
●特例適用後の評価額:1,000万円(5,000万円×20%)
差額の4,000万円分の相続税が軽減されます。

配偶者控除

配偶者控除(正式名称:配偶者に対する相続税額の軽減)は、被相続人の配偶者が相続や遺贈により財産を取得した場合に、一定の金額まで相続税が課税されない制度です。

適用条件

・相続人が被相続人の配偶者であること
・実際に相続または遺贈により財産を取得すること

控除の内容

以下のいずれか大きい金額まで相続税が課税されません
・配偶者の法定相続分相当額
・1億6,000万円

具体例

夫の遺産総額が3億円で、妻と子2人が相続する場合
●妻の法定相続分:1億5,000万円(3億円の1/2)
●控除額:1億6,000万円(1億5,000万円と1億6,000万円のうち大きい方)
妻が1億6,000万円までの財産を相続しても、相続税はかかりません。

配偶者居住権

配偶者居住権は、2020年4月から施行された民法改正で新設された権利です。被相続人の配偶者が、相続開始時に居住していた被相続人所有の建物に終身または一定期間、無償で居住できる権利を相続できる制度です。

配偶者居住権のメリット

・配偶者の居住権を保護しつつ、建物の所有権をほかの相続人に相続させることができる
・配偶者居住権の評価額は建物の評価額より低くなるため、相続税の負担を軽減できる

たとえば、市場価値1億円のマンションの配偶者居住権の評価額が6,000万円になるケースもあり、相続税の負担を軽減できる可能性があります。

これらの特例や控除を適切に組み合わせることで、相続税の負担を大きく軽減できる可能性があります。ただし、適用条件や計算方法が複雑なため、具体的な活用方法については税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

また、これらの制度は改正される可能性もあるため、最新の情報を確認することも大切です。

マンションを相続した後の3つの選択肢と判断基準

マンションを相続後どのように活用すればよいのかを考えましょう。ここでは「住む」「貸す」「売る」の3つの選択肢と、それにともなう判断基準について解説します。

相続した分譲マンションに「住む」なら

同居していた場合や、愛着のある実家に引っ越すことが可能であれば「住む」という選択は、相続登記をするだけで、手間がかからず相続不動産を生かすことができます。相続した分譲マンションに「住む」ことを選択する場合、次のような点に留意が必要です。

管理体制が整っているかどうか

分譲マンションの管理体制、修繕履歴や積立金残高について現状を把握し、管理体制に問題がないかチェックしておきましょう。

資産価値が下がらないかどうか

分譲マンションの立地や利便性はもちろんのこと、売り出し物件の有無を確認し、資産価値が下がらない物件かどうかを見極めましょう。

また、築古マンションの場合、大規模修繕などを行っておらず、新耐震基準を満たしていないケースもあります。長期修繕計画どおりに修繕などを行い、資産価値を維持できる状況にあるかどうかの確認も重要です。

相続した分譲マンションを「貸す」なら

相続したマンションにいずれ住む予定がある、もしくは手放したくないという方は「貸す」選択も検討してみましょう。空き家のままよりも管理しやすく、家賃収入で固定費の支払いも可能になります。相続した分譲マンションを「貸す」ことを選択する場合、次のような点に留意が必要です。

賃貸物件として収支計画が成り立つかどうか

賃貸物件を探している方に魅力的な物件と感じてもらうため、分譲マンションの維持管理費に加えてリフォーム費用も含め、その費用を回収できる収支計画を成り立たせる必要があります。その収支計画を実現するための家賃設定が可能なのか周辺の類似物件の家賃相場やニーズを確認しておきましょう。

出口戦略がとれるかどうか

将来的には誰かにその賃貸経営をバトンタッチするか、分譲マンションを売却するかなど、出口戦略を定めておく必要があります。さらに築年を経れば、築古マンションが抱える問題がさらに深刻化している可能性もあります。何年間所有して、その後どうするのかあらかじめ考えておくことが望ましいでしょう。

相続した分譲マンションを「売る」なら

住む予定もなく、維持も難しいという人や、兄弟姉妹で円満に遺産分けをしたいという人には売却をおすすめします。相続した分譲マンションを「売る」ことを選択する場合、次のような点に留意が必要です。

相続した物件を自己利用、賃貸など収益利用されない方は、「そのままにしておく」ではなく、タイミングをみて売却の選択肢を選ぶことが賢明です。市況などをみながらできる限り高く売りたいものです。また、複数の業者に売却査定をお願いすることで有利に進めることができるでしょう。

吉崎 誠二
吉崎 誠二

兄弟姉妹で相続する場合は売却して換価分割を

分譲マンションを兄弟姉妹で相続した場合、売却して換価分割を行うのも選択肢の1つです。

換価分割とは、相続財産を売却して現金化し、その売却益を相続人間で分配する方法を指します。この方法では公平な分割が可能になり、将来的なトラブルを回避できるほか、各相続人が自分の取り分を柔軟に活用できるなどのメリットがあります。

【換価分割の流れ】
【STEP1】相続人の間で合意を得る
【STEP2】複数の不動産業者に査定依頼
【STEP3】具体的な売却方法の決定
【STEP4】売却代金を分配
換価分割を行うためにはまず、相続人の間で合意を得ることから始まります。マンションを売却して換価分割することについて、兄弟姉妹全員の同意を得ることが大切です。

次に、複数の不動産業者に査定を依頼し、適正な売却価格を把握しましょう。その後、一般売却にするか、相続人の一人が買い取るかなど、具体的な売却方法の決定に進みます。

決定した方法でマンションを売却した後、得られた売却代金は各相続人の法定相続分または遺言で定められた相続分に応じて分配します。この過程で、相続税などの税金面での影響も考慮する必要があるため、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

このように、分譲マンションを兄弟姉妹で相続した場合、売却して換価分割を行うことで、将来的な管理や処分に関するトラブルを回避しつつ、各相続人の事情に応じた相続財産の活用が可能になります。共有で相続すると、売却する際に相続人間で話し合いがまとまらず、売却できないというケースも少なくありません。しかし、換価分割を選択することで、そうした問題を未然に防ぐことができるでしょう。

また、時が経過し、元々の相続人の子や孫などが共有者になると、さらに利害関係が複雑化し、話し合いの機会を持つことも難しくなりがちです。そのため、相続時点で換価分割を行うことは、長期的な視点から見ても賢明な選択といえます。

買い取りも視野に入れて

築40年を超えた分譲マンションは、先に述べた通り、管理体制、間取りなどの現状トレンドとの乖離、住人(所有者)の高齢化など、さまざまな問題を抱えているため、買い手が付きづらい可能性もあります。

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親の古いマンションを相続する際の問題点とは

築40年を超える築古分譲マンションは、さまざまな問題を抱えている可能性があります。その問題についてご説明いたします。

分譲マンション飽和の問題

「令和5年住宅・土地統計調査」(総務省)によると、中古住宅ストックのなかでも分譲マンションの割合が増加しています。また、中古住宅ストックの中で分譲マンションのみにフォーカスすると、1980年以前に建築された分譲マンションは全体の2割程度を占めています。

この状況は、築古マンションの市場価値低下と流動性の低さという深刻な問題を引き起こしています。

分譲マンションを相続し、売却や賃貸の選択肢を検討する方も多いでしょう。しかし、2001年以降に建築された、比較的新しい分譲マンションが3割以上ある中で、よほど需要のあるエリアでない限り築40年以上の分譲マンションの価値を維持することは難しくなっています。これらの築古マンションは、新築や築浅物件と比較して、設備の老朽化、間取りの旧式化、耐震性能の不安などから、買主や賃借人の関心を集めにくくなっているといえるでしょう。

さらに、マンション供給の増加にともない、とくに都市部では分譲マンション市場の飽和が進んでいます。この状況下で、築古マンションの売却や賃貸は困難になっており、市場での流動性が低下していることは事実です。相続したマンションを売却しようとしても、買主が見つからない、または大幅な値下げを強いられるケースも少なくありません。

このような状況を踏まえると、築40年以上の分譲マンションを相続した場合、その活用方法を慎重に検討する必要があります。売却や賃貸を選択する場合は、物件の魅力を高めるためのリノベーションや、価格設定の工夫が必要となるでしょう。また、長期的な視点から見れば、建て替えや再開発などの選択肢も視野に入れる必要があるかもしれません。

最新の令和5年の「住宅・土地統計調査」でも、全住居の中で共同住宅(マンションなど)が占める割合は増加しています。また、同調査の空き家に関する調査では、共同住宅(マンションなど)は全国の空き家の過半数を占めています。

吉崎 誠二
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築古マンションの維持費の問題

分譲マンションは、住まないまま空き家にしたとしても、管理費および修繕積立金の支払いが発生します。また、固定資産税もかかります。

分譲マンションの物件規模や共用施設、管理会社によっても異なりますが、築10年程度で管理費、修繕積立金がそれぞれ月1.5万円、固定資産税が年10万円程度はかかるのが一般的でしょう。つまり、住まないまま空き家にしたとしても、年間50万円程度の支出が必要になる可能性があるといえます。

さらに築古物件となると、それ以上の支出も考えられます。相続する可能性のある分譲マンションの管理費、修繕積立金、固定資産税について確認しておきましょう。

建て替え・修繕の問題

修繕積立金は、長期修繕計画に基づいて積み立てているものです。しかし、実際に建て替えや大規模修繕を行う際に、修繕積立金だけでは不足することも多く、管理組合から多額の一時金の支払いを求められることもあります。

しかし、建て替えや大規模修繕には、分譲マンションの住人(所有者)の一定割合の同意も必要です。分譲マンションの住人(所有者)の高齢化が進んでいると、その一時金を支払えないため、建て替えや大規模修繕に同意を得られないケースもあります。

そのため建て替えや大規模修繕を実行することができず、維持管理に限界がきてしまった「限界分譲マンション」も増えているのが現状です。

相続放棄後の問題

分譲マンションの相続に関するさまざまな問題を知ると、相続放棄を検討する方もいるかもしれません。しかし、2023年4月に施行された改正民法により、相続放棄に関する規定が大きく変更されました。主な改正点は以下のとおりです。
1.相続放棄者の義務が明確化されました
相続放棄時に相続財産を「現に占有している」場合に限り、その財産を相続人または相続財産清算人に引き渡すまでの間、保存義務を負います。
2.「管理義務」が「保存義務」に改称されました
これは相続放棄者が相続財産の管理や処分の権限を持たないことを明確にするためです。
3.「相続財産管理人」が「相続財産清算人」に改称されました
これらの変更により、たとえば遠方に住む相続人が被相続人のマンションを相続放棄した場合、そのマンションを実際に管理していなければ、保存義務を負わなくなりました。

ただし、保存義務がある場合にそれを怠ると、損害賠償責任を問われる可能性があります。また、相続放棄後に相続財産を処分すると、相続放棄の効力が失われる恐れがあるので注意が必要です。

相続の承認または放棄の熟慮期間は従来どおり3か月です。この期間は決して長くないため、相続が発生する前から家族間で十分に話し合い、必要に応じて法律の専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

築40年を超えた分譲マンションは、さまざまな問題を抱えている可能性があります。相続が発生してから、ゆっくりと考えればよいと思っている方もあるでしょう。

しかし、その間に、その問題がさらに進行し、選択肢が限られてしまう可能性もあります。将来的に分譲マンションを相続する可能性がある場合には、前もってどのようにするのかを家族間で話し合い、いざ相続が発生した時に慌てず対応ができるようにしておきたいものです。

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吉崎 誠二
吉崎 誠二

不動産エコノミスト/社団法人 住宅・不動産総合研究所 理事長

(株)船井総合研究所上席コンサルタント、等を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルなどを行うかたわら、ラジオNIKKEI「吉崎誠二の5時から”誠”論」などテレビ、ラジオのレギュラー番組に出演。また新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は年間多数。

著書:「不動産サイクル理論で読み解く 不動産投資のプロフェッショナル戦術」(日本実業出版社)など11冊。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
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