定期借地権付きマンションは売れない?売却成功のコツと注意点をくわしく解説します

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この記事の監修者

秋津 智幸
秋津 智幸

公認不動産コンサルティングマスター/宅地建物取引士/AFP/2級FP技能士

定期借地権付きマンションは売れない?売却成功のコツと注意点をくわしく解説します

この記事では借地権の基本情報に触れながら、定期借地権付きマンションのメリット・デメリットを整理し、売却成功のコツを紹介します。

この記事のポイント
  • 定期借地権付きマンションは都心を中心に増えており、立地の良さや価格が魅力です。
  • 借地権には種類があり、それぞれに契約期間、更新の有無、契約満了後の更新や返還のルールなどが違います。
  • 売りにくさの原因である定期借地権のデメリットを把握して、売り時を逃さないように注意しましょう。

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目次

定期借地権付きマンションとは

定期借地権付きマンションは、購入時に所有権マンションと比べて安く購入できるというメリットがある反面、所有している間や売却時には所有権マンションと比べて気を付けなければいけない点がいくつかあります。

知らずに売り時を逃して後悔することにならないために、まずは借地権の基本と、所有権との違いについて理解を深めましょう。

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借地権とは

そもそも「借地権とは」について基本のおさらいをしておきましょう。

借地権とは、建物の所有を目的とする土地の賃借権や地上権のことを指します。土地を所有することなく、土地を借りるだけでその土地の上に自分の建物を建てるなどある程度自由に土地を利用することのできる権利です。

借りる人のことを借地権者、貸す人のことを借地権設定者(あるいは底地人)と呼び、借地権者は土地を借りることの対価として、借地権設定者(底地人)に、権利金や地代を毎月支払います。

地上権と賃借権の違い

マンションの土地の権利形態として一般的なのは所有権(土地について厳密には敷地権となります)ですが、借地権付きマンションの場合、「地上権」もしくは「賃借権」と表示されている場合がありますが、それぞれの違いは以下の通りです。
地上権借地権
権利の分類物権債権
存続期間最短30年
※30年以上であれば土地所有者との合意
で自由に設定可
普通借地権:30年以上
定期借地権一般定期借地権:50年以上
事業用定期借地権:10年以上50年未満
建物譲渡特約付借地権:30年以上
地主の承諾不要必要
※売買(第三者への譲渡)・建て替え・抵当権設定・大規模リフォーム
地代の有無原則なし
※土地所有者との契約によっては発生する
あり
登記の有無ありなし
※賃借権を登記することもできるが、登記しない場合がほとんど
地上権は、民法上の物権であるため、非常に権利が強く、その物を直接かつ排他的に支配することができます。一方、借地権(賃借権)は債権であるため、当事者の合意による権利のため、地上権ほど権利は強くありません。

そのため、地上権には登記が必要で、地主の承諾なく、地上権を売買できるほか、土地上を自由に使用することができます。

敷地権とは、土地と建物を一体化して登記されている権利形態で、建物の所有者は土地の一部を使用する権利を持っていますが、土地を単独で売却することはできません。従って、一般的な所有権とマンションの土地の所有権(敷地権)は権利の内容が異なります。

秋津 智幸
秋津 智幸

3種の借地権とその違い

借地権付きマンションを購入する前に、借地権の種類とその内容についてよく理解しておくことが大切ですので、借地権について詳しく説明します。

借地権には「旧借地権」「普通借地権」「定期借地権」の3つがあり、さらに定期借地権には3つの種類があります。
旧借地権普通借地権定期借地権
一般定期借地権事業用定期借地権建物譲渡特約付借地権
契約期間30年(非堅固20年)30年以上50年以上10年以上50年未満30年以上
用途制限なし制限なし制限なし事業用限定制限なし
更新不可不可不可
更新後30年(非堅固20年)20年以上(2回目10年以上)なしなしなし
契約期間満了後建物買取請求権あり建物買取請求権あり更地にして返還更地にして返還建物を買い取るのが条件

旧借地権

借地権には、平成4年8月に制定された借地借家法と、それ以前よりあった旧借地法の2種類があります。旧借地法は、借地権者側(借りる人)の立場を相当強く守る内容となっており、地主側とのトラブルが多く発生しました。そのため、借地権の取引自体が減少してしまったという過去があります。

この問題を解決するために借地借家法が制定されましたが、旧借地権で契約されたものを更新して新借地法に切り替える場合には契約自体を新しく取り交わさないといけないことから、現在でも旧借地権による契約が多いのが現状です。

旧借地権の借地期間は、30年(非堅固建物の場合20年)、更新後30年(非堅堅建物の場合20年)となっています。

普通借地権

普通借地権は、平成4年の改正により生まれた更新のない定期借地権に対し、更新のある借地権であることからこう呼ばれています。普通借地権の借地期間は一律30年で1回目の更新20年、2回目の更新10年で、いずれも当事者間でこれより長い期間を定めることは可能です。

更新に際して土地所有者が更新を拒絶する場合「正当事由」が必要とされますが、旧借地権ではその取り扱いについて争いが絶えなかったことから、新借地権では「正当事由」をある程度まで明確にして、土地所有者のその土地を使用する必要性かつ建物が著しく老朽化しているなどの事情について正当事由がある場合には、立ち退き料などの給付を行うことで更新を拒絶できるものとしました。

また、普通借地権では、正当事由があり、更新拒絶によって借地契約が更新しないで終了した際、その時点で建物が残っている場合には、地主に対して建物の買取りを請求することができますが、あくまで買取り自体は協議によります。

定期借地権

改正された借地借家法で、新たに制定された定期借地権は契約期間満了に伴って借地契約が終了し、更新されないのが特徴で、借地権者は建物を取り壊し、更地にして地主に返還しなければなりません。

定期借地権には、一般的借地権、事業用定期借地権、建物譲渡特約付借地権の3種類があります。一般定期借地権は、用途に制限がなく、借地期間50年以上と契約期間が長いのが特徴です。事業用定期借地権は、用途が事業用に限られ、契約期間も10年以上50年未満と一般定期借地権と比べて期間が短く、用途が制限されます。

建物譲渡特約付借地権は、用途の制限はありませんが、土地所有者が借地人から建物を購入することで借地関係が終了するという特徴があり、契約期間は30年以上となります。

マンションにおいては定期借地権付きマンション、通称「定借マンション」として都心を中心にタワーマンションなどの分譲が盛んですが、こうした定借マンションには一般定期借地権が採用されています。

借地権にかかる費用について

費用に関しては、それぞれ契約によりますが、毎月の地代以外に、契約時に保証金や権利金を支払う必要がある場合もあります。一般的に、保証金は賃料不払いなどに備えて支払われるもので、契約終了後に返還されます。一方、権利金は借地権設定の対価で、借主には返還されないという違いがあります。

なお、前払賃料方式という、賃料を前払いする方式もあり、これらが併用される場合もあります。

一時金の種類内容返還の有無
保証金方式賃料不払いなどの備え返還される
権利金方式借地権設定の対価返還されない
前払賃料方式賃料の前払い返還されない

なお、借地権者は、土地を修していないため、土地に対する固定資産税・都市計画税を支払う必要がありません。所有権を購入するのと比べると保証金や権利金は安価に設定されていることが多いため、費用面でメリットがあります。

借地権の契約期間と満了後について

契約期間については、契約する借地契約によってそれぞれ法律で定められた範囲内であれば、土地所有者(貸主)と借地人(借主)の間で自由に設定することができます。

契約期間満了後については、旧法借地と普通借地による契約では、原則として契約更新することができ、正当事由に加え補償の給付がなければ、土地所有者(底地人)は更新を拒絶することができません。

この2つの借地契約は借地人(借主)保護が強く、土地所有者が土地を貸しにくいことから、定期借地権が誕生しました。定期借地契約では、契約満了後の更新がなく、建物の買取請求ができないことを条件としており、一般定期借地と事業用定期借地契約では更地にして土地所有者に返還することとなっています。

定期借地権付きマンションと所有権のマンションの違い

定期借地権付きマンションと一般的な所有権(敷地権)のマンションとの最大の違いは、所有権のマンションは永続的に居住できる(仮に建て替えた後も居住する権利は継続する)一方、定期借地権付マンションは、借地期間の終了する時点では建物を取り壊して土地所有者に土地を返還しなければならないため、借地期間より少し前には居住できなくなる点です。

そのため、定期借地権付きマンションには管理費や修繕積立金のほかに建物解体積立金というものが必要になります。そのほか、土地の権利の違いにより、購入時の価格、住宅ローンの利用、固定資産税や都市計画税、地代といった負担するものの違い、売却の難易度などに違いが出てきます。

前述の通り、定期借地権付きマンションでは一般定期借地権が採用され、50年以上の借地期間が設定されますが、多くの定期借地権付きマンションの借地期間は建物の存続期間が50年以上もつこともあって60年~70年となっています。ただし、建物を解体する期間があるため、契約期間の1年から2年前には立ち退きとなります。

秋津 智幸
秋津 智幸

定期借地権付きマンションのメリット

ここで、定期借地権付きマンションのメリットについても触れておきましょう。

相場よりも安く買える

新築の定期借地権付きマンションは、一般的な所有権のマンションと比べると借地権である分、相場の約2割程度安い値付けがされることが多いようです。土地の権利が定期借地権ではなく、普通借地権のマンションもありますが、その場合もやはり所有権の物件と比べると土地の利用に制限があるため、価格は所有権のものより安くなります。

土地に関わる税金がかからない

定期借地権付きマンションの土地の所有権は地主にあるため、土地に関わる税金である「固定資産税」や「都市計画税」の支払い義務は地主にあります。ただし、定期借地権付きマンションであっても、土地の利用の権利と建物は所有権で取得するため、「不動産取得税」や建物に対しての固定資産税や都市計画税はかかることを覚えておきましょう。

立地が良い場合が多い

定期借地権付きとして売りだす背景として、土地所有者が古くから所有している土地や神社や寺が持つ稀有な土地など、土地所有者がその事情から土地の売却はできない、あるいは売却したくないという土地、また普通借地ではいつ土地が戻ってくるのかわからないので普通借地では貸したくないという土地を活用するために定期借地権を採用していることがあります。

とくに、利便性や居住性の高い立地で、土地の取得が不可能な土地を住居用として活用できるという点が定期借地権の1つのメリットで、非常に優れた立地に建つ定期借地権付きマンションも多くなっています。

定期借地権付きマンションは立地の良さと価格が魅力。
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定期借地権付きマンションを売却する際のデメリット

つぎに定期借地権付きマンションを売却する際のデメリットについて見ていきましょう。

売却価格は低くなる

定期借地権付マンションは、同様の立地の所有権のマンションと比較すると売却価格は安くなります。これまで説明してきたように定期借地権は、土地の利用に制限があるため、購入時の価格が安い半面、当然ながら売却するときの価格も安くなります。

とくに、定期借地権付きマンションの場合、借地期間が短くなるにつれて居住できる期間も短くなり、土地建物の権利の価値が下がっていきます。そのため、築年数が古くなるにつれて売却できる価格も下がっていきます。

なお、土地の権利が普通借地権のマンションの場合は、土地の権利が更新できるため、所有権のマンションと比べると70%~80%程度での売却となることが多いですが、更新が近い場合、更新のための土地所有者への承諾料が発生するため、その分安くなる傾向があります。

ただ、所有権のマンションと比べたときの”価格の差別化”とも言え、土地の権利の価値を考えれば、相対的な価格が安いことは必ずしも悪いわけではありません。

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住宅ローンが利用しにくい

定期借地権付きマンションは、基本的に”借地”というだけで担保価値としてはやや低くなるうえ、残存の契約期間が短くなるにつれて、買主が利用する住宅ローンにも制限が付いてしまいます。

たとえば、定期借地権付きマンションであれば、基本的に借地契約の残存期間が住宅ローンの返済期間の限度となり、「定期借地権の残存期間が10年以上あること」などを条件としている金融機関もあります。

一般定期借地権の契約期間は50年以上ですので、新築時は問題ありませんが、築後20年以上経過してから売却する場合、買主の住宅ローンの返済期間が最長で30年しか設定できないこともあります。

普通借地権付きマンションの場合、借地契約の残存期間は更新できますが、売却の際、金融機関によっては住宅ローンの返済期間を更新までの残存期間とすることもあります。

その場合は土地所有者の更新に対する承諾書などを提出することで、買主の利用する住宅ローンの返済期間も長くすることができるケースもあるので、借地契約の残存期間が短い場合は、仲介する不動産会社とも相談して対応するようにしましょう。

秋津 智幸
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なお、令和7年12月31日までに居住する住宅を購入するにあたって住宅ローンを利用した場合、一定の要件を満たせば最長13年間(または10年間)は住宅ローン年末残高の0.7%の還付を受けられるという住宅ローン控除があります。

要件を満たせば、定期借地権付きマンションを含む借地権付マンションでも基本的に利用が可能です。ただし、土地部分の権利代金について購入時の支払い方によって住宅ローン控除の対象外となるものがあります。

具体的には、前払い式で土地の権利代金を支払う場合、権利金や保証金(一定の算式で計算)は控除の対象となりますが、前払賃料として支払う形式のものは住宅ローン控除の対象外となります。あらかじめ注意しておきましょう。

借地契約の残存年数が短いと売れにくくなる

定期借地権付きマンションは借地契約の残存年数により売れにくくなる可能性が非常に高くなります。まだ最も古く分譲された定期借地権付きマンションでも築30年程度なので、現在のところ売却しにくくなるとしても限定的ですが、今後築年が更に古くなると顕著に売れにくくなるのではないかと思われます。

たとえば、一般定期借地権で、借地期間を60年と設定している場合、築30年のときに売却すれば残存期間は30年ですが、築後40年のときに売却すると、買主は解体期間があるため20年未満の期間しか住めない上に、最後には建物を解体する必要があり、解体費用が不足する場合には一時金が発生する可能性があります。

また、普通借地権付きのマンションの場合は、借地契約は基本的に更新できるので、定期借地権付きマンションと比べて、現契約の存続期間が短くなることで借地権の価値が下がることはありませんが、更新時や建て替え時の承諾料が発生するため、更新や建て替えが近い場合は売れにくくなる可能性はあります。

地価が上がると地代が上がる可能性も

借地権の場合、「地代」を一括で支払っている場合を除いて、毎月のランニングコストとして地代を支払わなければならない場合は、土地の価格が上昇した場合は地代も値上げされるリスクもあるといえます。

建物解体積立金が必要になる

定期借地権付きマンションの場合、契約期間満了時に更地返還するために、解体費用を準備するために、解体準備金や建物解体積立金と呼ばれる積み立て金を各区分所有者から徴収していきます。所有権のマンションでも必要な、通常の管理費や修繕積立金も毎月必要になるので、追加で固定費がかかることが購入者のネックとなることもあります。

地主の許可と承諾料がかかる場合がある

定期借地権付きマンションの場合は、あらかじめ売買することは承諾されている物件が多く、売却にあたって土地所有者(地主)の承諾が必要になることは稀です。

一方、普通借地権付きマンションの場合は、売却時や借地契約更新時に土地所有者(地主)へ連絡するだけでなく、その承諾と承諾料や更新料が必要になるケースがあります。売却前に早めに購入時の売買契約や管理規約などを確認し、連絡方法や承諾料を把握しておきましょう。

定期借地権付きマンションの売却を成功させるコツ

定期借地権付きマンションのデメリットを踏まえながらも、売却する際には以下のポイントを押えておきましょう。

興味を引く値付けをする

どのようなマンションでも同じですが、周辺の競合となるマンションよりもお得感を感じる価格で売り出すことができれば、購入検討者の興味を引き付けることができます。とくに定期借地権付きマンションの場合は、所有権のマンションと比べて、土地の権利が制限される分、価格は割安である必要があります。

ただし、希少性の高い立地のマンションであれば、そこまで意識して割安である必要もないので、相場と比べて魅力ある程度の値付けができればよいでしょう。

なお、買主の候補となる人に定期借地権付きマンションの特徴で気になる点については、実際に住んでみての感想として説明ができるようにし、メリットだけでなくデメリットもきちんと伝えるようにしましょう。

出来るだけ早く売り出し、売却期間に余裕を持つ

とくに定期借地契約の残存期間が短くなればなるほど、売却しにくくなることは先に述べた通りですが、なるべく早く行動することが大切です。一般的な所有権のマンションよりも売却期間は長めに見積もっておく必要があるでしょう。当然、引っ越しのスケジュールなども余裕をもって設定しておきましょう。

実績のある不動産会社に任せる

定期借地権付きマンションの売却実績がある不動産会社を選ぶのも大切なポイントです。定期借地権付きマンションのメリットもデメリットも熟知したうえで、買主とうまくマッチングしてもらうことが、売却成功の鍵となります。

ターゲットの設定や広告プランなど、定期借地権付きマンションの経験値や売却ノウハウを持った会社をパートナーに選定できると、売却成功の近道となるはずです。

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よくある質問

ここでは、借地権付きマンションを売却するときによくある質問についてお答えします。
地主の許可をとる必要があるの?
定期借地権付きマンションでは、分譲前に区分所有者が売買することについて地主の承諾を得た状態で借地契約が締結されているマンションも多く、マンションの区分所有者が個別に売買にあたって地主の承諾を取る必要がないマンションも多いようです。しかし、中には売買に際して、地主からの承諾を必要とするマンションもありますので、管理規約や売買契約書で確認が必要です。また、地主への承諾料の支払いについては、承諾が原則でも承諾料が必要なケースもあるので、やはり事前に管理規約や売買契約書の確認が必要です。

一方、普通借地権付きマンションを売却するにあたっては、基本的に売却や譲渡に関しては地主の承諾を得てから行います。地主の承諾なくして借地権付きマンションを売却してしまうと、無断譲渡を理由として借地契約を解除される可能性もあります。これは土地や一戸建ての場合も同様です。

一方、借地権の種類が地上権であれば地主の承諾なくして借地を第三者に売却することができます。地上権が設定されているかどうかを登記簿謄本で確認してみると良いでしょう。
承諾料(名義書き換え料)はどれくらいかかるの?
定期借地権付きマンションや普通借地権付きマンションを売却する場合、地主の承諾の対価として承諾料(名義書き換え料)を支払うことがあります。これは、借地権が地主の承諾なしに売却できないことから、「承諾してもらうために」支払われるものです。一般的に、承諾料は借地権価格の5〜15%とされることが多いといわれますが、実際は、5%よりも安いこともあれば、15%を超える場合もたくさんあり、契約内容によってまちまちです。

従って、そのマンションではいくら必要なのか、売主が売却前に契約書や地主に確認しておく必要があります。
定期借地権付マンションは売れない?
定期借地権付きマンションは、前述した通り、借地期間が短くなると非常に売却しにくくなります。借地期間の終了とともに、土地の権利を失い、建物は解体されるため、不動産としての価値は無くなってしまうためです。ただし、借地契約期間がまだ十分ある場合は、買主が住宅ローンを利用することもでき、売却することは可能です。築年が進むにつれて売却価格は安くなっていきますので、売却するなら早めに決断するべきでしょう。

まとめ

定期借地権付きマンションを中心に借地権付きマンションを売却するにあたって必要と思われる借地権の内容や、売却時に押さえておくべき注意点、よくある質問についてお伝えしました。

定期借地権付きマンションは、将来、土地の権利が無くなり、建物も解体しなければならないといった特徴があり、築年数が進むと、不動産の価値も減少していくため、長く住みたいと考える買主からは敬遠され、売れ残ってしまう可能性もあります。従って、定期借地権付きマンションを売却するなら、まだ十分に借地期間の残っているうちに売却することがポイントになります。

一方、借地権は土地の権利が制限される分、立地が所有権では手に入らない優れた場所にある、価格が安いことなどメリットもあります。そうした所有権のマンションと比べて優位な点をアピールすることで、早期高値売却を実現することも期待できます。今回の記事を参考に、売却する際は、仲介を依頼する不動産会社とよく打ち合わせしながら売却を進めましょう。

借地権の仕組みとデメリットをしっかり理解し、
借地権ならではのメリットをうまく伝えるのがコツです。

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この記事の監修者

秋津 智幸
秋津 智幸

公認不動産コンサルティングマスター/宅地建物取引士/AFP/2級FP技能士

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント。横浜国立大学卒業。

神奈川県住宅供給公社を経て、不動産仲介業者に従事した後、2011年に個人事務所として不動産サポートオフィスを開設。自宅購入、不動産投資、賃貸住宅など個人が関わる不動産全般に関する相談・コンサルティングを行う他、不動産業者向けの企業研修や各種不動産セミナー講師、書籍、コラム、記事等の執筆・監修にも取り組んでいる。

主な著書に「貯蓄のチカラ~30歳からのおカネの教科書」(朝日新聞出版)などがある。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
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