専門家に聞く!両親の土地は贈与されてから売るべき?直接売却と税負担はどう違うの?

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この記事の監修者

寺岡 孝
寺岡 孝

不動産投資アドバイザー(RIA)/相続診断士/貸家経営アドバイザー/住宅ローンアドバイザー

専門家に聞く!両親の土地は贈与されてから売るべき?直接売却と税負担はどう違うの?

【20代女性からのお悩み相談】千葉県千葉市で、両親から土地を譲り受ける予定です。引っ越しで管理が難しくなるため売却を検討していますが、不動産知識がほぼなく、贈与税などの税金関係も不安です。贈与を受けてから売却するか、両親に直接売却してもらうか、税負担を考えるとどちらが有利でしょうか?

※本記事の相談は、実際にアンケートで募集した悩みを、要約・編集したものです。

【私が回答します!】
「両親の好意に応えたいけれど税金が心配...」という気持ちはとても自然です。結論から言うと、税負担だけを比べるなら「両親が所有者のまま直接売却」が有利になりやすいケースが多いです。本記事では、土地贈与と売却の税制を、判断軸とシミュレーションでわかりやすく整理します。

寺岡 孝
寺岡 孝

目次

【結論】土地は「親が売る」が有利になりやすい

土地を売却する際の税負担は、「誰が所有者として売却するか」によって大きく変わります。

結論から言えば、多くのケースで「両親が所有者のまま直接売却する」ほうが、手元に残る金額を増やしやすい傾向があります。

判断の軸は次の4点です。

1. 贈与税

土地の贈与は金額が大きくなりやすく、基礎控除110万円を超えると一気に課税対象が広がる点に注意が必要です。

2. 譲渡所得税

親がいつ・いくらで土地を取得したか、そして所有期間が5年を超えているかどうかで税率が変わります。
所有期間5年超長期譲渡(税率20.315%)
所有期間5年以下短期譲渡(税率39.63%)
また、親の居住用財産であれば「3,000万円特別控除」が使える可能性があります。

3. 土地の評価額

贈与税・相続税の計算に用いられる土地評価は、原則として「相続税評価額」です。

路線価がある地域では路線価方式、路線価がない地域では固定資産税評価額×倍率(倍率方式)で評価するのが一般的です。

4. 両親・夫婦の今後の資金計画、親族の合意

両親・夫婦の老後資金などを踏まえた判断が重要です。また、将来の相続も見据え、兄弟姉妹などの親族が納得しているかも確認が必要です。

とくに「贈与を受けてから売却」する場合、贈与税と譲渡所得税の合計額は、親が直接売却する場合と比較して数百万円単位で変わる可能性があります。

所有者である親御さんとのコミュニケーションが、どれだけできているかは大きなポイントです。とくに将来の相続人となる兄弟姉妹も含めたコンセンサスを取る必要があります。

寺岡 孝
寺岡 孝

【比較】贈与→売却 vs 両親が直接売却:税金と手取りの違い

贈与を受けて子どもが売却する場合と、親が直接売却する場合の税負担を、シミュレーションを交えて比較していきましょう。

ケースA:親から贈与→子が売却

この場合、税金の負担が重くなりやすいことに注意が必要です。

贈与税の考え方

土地を贈与された場合、贈与税は「贈与された年の価額(=相続税評価額)」をもとに計算されます。たとえば評価額が1,500万円の土地なら、基礎控除110万円を差し引いた1,390万円が課税価格の目安になります。

贈与税は課税価格に応じて税率が段階的に変わる超過累進課税のため、条件次第では贈与税だけで数百万円規模になることもあります。

贈与後に売却すると「譲渡所得税」もかかる

贈与後に土地を売却すると、売却益(譲渡所得)に対して譲渡所得税が課税されます。
譲渡所得(概算)=売却価格―(取得費+譲渡費用)
取得費が不明な場合は、売却価格の5%を「概算取得費」として計算するのが一般的です。結果として「売却益」が大きく見積もられて税金が増えるリスクがあります。
例:取得費不明の土地で売却価格1,500万円の場合
・みなし取得費:1,500万円×5%=75万円
・売却益の目安:1,500万円-75万円=1,425万円
・譲渡所得税額は所有期間や住民税などで変動(目安として約20%前後):1,425万円×20%=約285万円
贈与税+譲渡所得税が重なり、税負担が大きくなりやすいのが最大の注意点です。

ケースB:両親が直接売却(税金を抑えやすい)

両親が所有者のまま土地を売却する場合、次の点で有利になります。
・取得費(購入額・造成費など)を反映しやすい
・所有期間5年超なら長期譲渡税率(20.315%)
・要件を満たせば「居住用財産の3,000万円特別控除」などが使える可能性あり(※)
(※)ただし、「土地だけ」「空き家」「家屋と敷地の名義が別」など条件によって特例が使えないケースもあるため、適用可否は必ず個別確認が必要です。

税金の比較まとめ:評価額1,500万円の土地を売却する場合

親が直接売却 ➡ 特例や取得費次第で 税額を大きく圧縮できる可能性
子が贈与後に売却 ➡ 贈与税+譲渡所得税で数百万円以上の税負担になるケースもあり得る

【落とし穴】「110万円まで非課税」で土地は守れない/評価額の調べ方

「年間110万円まで非課税」という基礎控除は、土地のような高額資産ではほとんど効果がないのが実情です。さらに、贈与税の計算に使われる土地の評価額と、実際に売れる価格(実勢価格)は異なります。両者を正しく理解せずに贈与を進めると、想定以上の税金が発生するおそれがあります。

ここでは、土地贈与で見落としやすいポイントと、評価額の調べ方を整理します。

贈与税基礎控除110万円の誤解

土地の贈与では基礎控除を最大限利用しても大きく課税されるのが現実です。

【土地贈与で課税が大きくなりやすいケース】
・市街地で単価が高い
・面積が広い(郊外でも評価が積みあがる)
・権利関係が複雑(分筆・共有など)

相続時精算課税制度は使いどころに注意

60歳以上の親から18歳以上の子へ贈与する場合、条件を満たすと相続時精算課税制度を使えることがあります。2,500万円までの特別控除があり、贈与時の税負担が軽く見える一方、将来の相続や売却まで含めた設計が必要です。
※制度選択の可否・影響は家庭状況や資産全体で変わるため、専門家へ相談するのが安全です。

土地の「評価額」と「実勢価格」は別物。調べる順番はこれ

固定資産税評価額固定資産税評価証明書(市区町村で取得可能)
相続税評価額(路線価)国税庁の路線価図で確認
実勢価格(いくらで売れるか)不動産会社の査定(複数比較がおすすめ)
一般に公的評価額は実勢価格の70〜80%程度が目安と言われることがありますが、エリアや需給でブレるため、最終的には査定で確認するのが確実です。

【代替案】親が動けないなら「家族信託」を検討

原則として税負担を抑えやすいのは、所有者である「両親が直接売却」です。取得費や特例の検討余地があり、納税額を下げられる可能性があります。

一方で、「親が高齢」「手続きが難しい」「遠方で動けない」など、実務面で壁があるご家庭も多いでしょう。その場合に検討したいのが、親が所有者のまま子が手続きを進めやすくする「家族信託」という仕組みです。

親の手続きが不安なら:家族信託という選択肢

家族信託は、簡単にいえば、土地の「名義(管理・処分の権限)」だけを信頼できる子に託す契約です。
・贈与税がかからない:実質的な持ち主は親のままとするため、高額な贈与税は発生しません。
・子が実務を進めやすい: 親に代わって不動産会社とのやり取りや契約を進められるため、親の負担を減らせます。

家族信託を利用するための「絶対条件」

親が元気なうちに判断能力が低下した後では契約を結ぶことができません。いざ売却が必要になった時に「手遅れ」にならないよう、早めの対策が必要です。
兄弟姉妹の合意将来の相続トラブルを防ぐため、家族全員で売却の目的と代金の使い道(親の介護費用にする等)を共有しておくことが不可欠です。
専門家の設計契約内容次第でリスクが変わるため、専門家を交えて検討しましょう。
それでも事情により、やむを得ず「贈与をして売却」を検討するケースもあります。その場合でも、いきなり贈与を進めず、事前に不動産会社に査定を依頼し、売却価格・贈与税・譲渡税の3点を比較して「手取りの差」を見てから判断しましょう。

不動産の取引の際にはお子さんが毎回同席することをおすすめします。高齢の親御さんは、不動産会社の説明を理解しづらいこともあります。実勢価格より安価な売却価格を提示されて、それを正しいと思い込んで承諾するケースも散見されます。 売却価格だけではなく取引全体を注意深くみていく必要があります。

寺岡 孝
寺岡 孝

【早見表】土地の「贈与・売却」パターン別比較

比較項目子が贈与を受けてから売却両親が直接売却家族信託を活用して売却
税負担の軽さ★☆☆
重くなりやすい
★★★
もっとも抑えやすい
★★★
親の直接売却と同等
かかる主な税金贈与税+譲渡所得税譲渡所得税のみ譲渡所得税のみ
特例の活用原則、子が売却時は特例なし3,000万円特別控除などの可能性親の資産として特例が使える
売却の手続き子が自分の意志で進められる親が主体。高齢だと負担大子が受託者として代行できる
資産の帰属売却代金は「子」のもの売却代金は「親」のもの売却代金は「親」のもの
向いている人贈与税を払ってでも早期に名義を移したい場合親が健在で、手続きもスムーズに行える場合親の認知症が不安だが、税負担は抑えたい場合

まとめ

両親から譲り受ける土地を「どう売るか」は、資産を守れるかどうかの分かれ道です。
税負担の最小化なら「親が直接売却」を最優先に検討する
親の手続きが不安なら、判断能力があるうちに「家族信託」を検討する
・まずは「実勢価格(いくらで売れるか)」を査定で把握し、税試算と合わせて比較する
両親の好意を無駄にせず、税負担が少なくなる方法を選ぶことが、円満な家族関係と資産形成の両立につながります。「誰が・いつ売るか」で税額は大きく異なるため、冷静に比較検討したうえで判断しましょう。

税負担で損しないために、
まずは土地の実勢価格を確認してみましょう。

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寺岡 孝
寺岡 孝

不動産投資アドバイザー(RIA)/相続診断士/貸家経営アドバイザー/住宅ローンアドバイザー

アネシスプランニング株式会社 代表取締役。住宅コンサルタント、住宅セカンドオピニオン。大手ハウスメーカーに勤務後、2006年に同社を設立。

個人住宅・賃貸住宅の建築や不動産売却・購入、ファイナンスなどのあらゆる場面において、お客様を主体とする中立的なアドバイスおよびサポートを行い、3000件以上の相談を受けている。

WEBメディアに不動産投資についてのコラムを多数寄稿。著書に「不動産投資は出口戦略が9割」「不動産投資の曲がり角 で、どうする?」(クロスメディア・パブリッシング)など。


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