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【結論】土地は「親が売る」が有利になりやすい
結論から言えば、多くのケースで「両親が所有者のまま直接売却する」ほうが、手元に残る金額を増やしやすい傾向があります。
判断の軸は次の4点です。
1. 贈与税
2. 譲渡所得税
| 所有期間5年超 | 長期譲渡(税率20.315%) |
|---|---|
| 所有期間5年以下 | 短期譲渡(税率39.63%) |
3. 土地の評価額
路線価がある地域では路線価方式、路線価がない地域では固定資産税評価額×倍率(倍率方式)で評価するのが一般的です。
4. 両親・夫婦の今後の資金計画、親族の合意
とくに「贈与を受けてから売却」する場合、贈与税と譲渡所得税の合計額は、親が直接売却する場合と比較して数百万円単位で変わる可能性があります。
所有者である親御さんとのコミュニケーションが、どれだけできているかは大きなポイントです。とくに将来の相続人となる兄弟姉妹も含めたコンセンサスを取る必要があります。
【比較】贈与→売却 vs 両親が直接売却:税金と手取りの違い
ケースA:親から贈与→子が売却
贈与税の考え方
贈与税は課税価格に応じて税率が段階的に変わる超過累進課税のため、条件次第では贈与税だけで数百万円規模になることもあります。
贈与後に売却すると「譲渡所得税」もかかる
・みなし取得費:1,500万円×5%=75万円
・売却益の目安:1,500万円-75万円=1,425万円
・譲渡所得税額は所有期間や住民税などで変動(目安として約20%前後):1,425万円×20%=約285万円
ケースB:両親が直接売却(税金を抑えやすい)
・所有期間5年超なら長期譲渡税率(20.315%)
・要件を満たせば「居住用財産の3,000万円特別控除」などが使える可能性あり(※)
税金の比較まとめ:評価額1,500万円の土地を売却する場合
・子が贈与後に売却 ➡ 贈与税+譲渡所得税で数百万円以上の税負担になるケースもあり得る
【落とし穴】「110万円まで非課税」で土地は守れない/評価額の調べ方
ここでは、土地贈与で見落としやすいポイントと、評価額の調べ方を整理します。
贈与税基礎控除110万円の誤解
【土地贈与で課税が大きくなりやすいケース】
・面積が広い(郊外でも評価が積みあがる)
・権利関係が複雑(分筆・共有など)
相続時精算課税制度は使いどころに注意
※制度選択の可否・影響は家庭状況や資産全体で変わるため、専門家へ相談するのが安全です。
土地の「評価額」と「実勢価格」は別物。調べる順番はこれ
| 固定資産税評価額 | 固定資産税評価証明書(市区町村で取得可能) |
|---|---|
| 相続税評価額(路線価) | 国税庁の路線価図で確認 |
| 実勢価格(いくらで売れるか) | 不動産会社の査定(複数比較がおすすめ) |
【代替案】親が動けないなら「家族信託」を検討
一方で、「親が高齢」「手続きが難しい」「遠方で動けない」など、実務面で壁があるご家庭も多いでしょう。その場合に検討したいのが、親が所有者のまま子が手続きを進めやすくする「家族信託」という仕組みです。
親の手続きが不安なら:家族信託という選択肢
・子が実務を進めやすい: 親に代わって不動産会社とのやり取りや契約を進められるため、親の負担を減らせます。
家族信託を利用するための「絶対条件」
| 親が元気なうちに | 判断能力が低下した後では契約を結ぶことができません。いざ売却が必要になった時に「手遅れ」にならないよう、早めの対策が必要です。 |
|---|---|
| 兄弟姉妹の合意 | 将来の相続トラブルを防ぐため、家族全員で売却の目的と代金の使い道(親の介護費用にする等)を共有しておくことが不可欠です。 |
| 専門家の設計 | 契約内容次第でリスクが変わるため、専門家を交えて検討しましょう。 |
不動産の取引の際にはお子さんが毎回同席することをおすすめします。高齢の親御さんは、不動産会社の説明を理解しづらいこともあります。実勢価格より安価な売却価格を提示されて、それを正しいと思い込んで承諾するケースも散見されます。 売却価格だけではなく取引全体を注意深くみていく必要があります。
【早見表】土地の「贈与・売却」パターン別比較
| 比較項目 | 子が贈与を受けてから売却 | 両親が直接売却 | 家族信託を活用して売却 |
|---|---|---|---|
| 税負担の軽さ | ★☆☆ 重くなりやすい | ★★★ もっとも抑えやすい | ★★★ 親の直接売却と同等 |
| かかる主な税金 | 贈与税+譲渡所得税 | 譲渡所得税のみ | 譲渡所得税のみ |
| 特例の活用 | 原則、子が売却時は特例なし | 3,000万円特別控除などの可能性 | 親の資産として特例が使える |
| 売却の手続き | 子が自分の意志で進められる | 親が主体。高齢だと負担大 | 子が受託者として代行できる |
| 資産の帰属 | 売却代金は「子」のもの | 売却代金は「親」のもの | 売却代金は「親」のもの |
| 向いている人 | 贈与税を払ってでも早期に名義を移したい場合 | 親が健在で、手続きもスムーズに行える場合 | 親の認知症が不安だが、税負担は抑えたい場合 |
まとめ
・親の手続きが不安なら、判断能力があるうちに「家族信託」を検討する
・まずは「実勢価格(いくらで売れるか)」を査定で把握し、税試算と合わせて比較する
税負担で損しないために、
まずは土地の実勢価格を確認してみましょう。
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※ページ下部の「売却査定、買取査定サービスの注意点」をご確認いただいたうえ、ご利用ください。
この記事の監修者
不動産投資アドバイザー(RIA)/相続診断士/貸家経営アドバイザー/住宅ローンアドバイザー
アネシスプランニング株式会社 代表取締役。住宅コンサルタント、住宅セカンドオピニオン。大手ハウスメーカーに勤務後、2006年に同社を設立。
個人住宅・賃貸住宅の建築や不動産売却・購入、ファイナンスなどのあらゆる場面において、お客様を主体とする中立的なアドバイスおよびサポートを行い、3000件以上の相談を受けている。
WEBメディアに不動産投資についてのコラムを多数寄稿。著書に「不動産投資は出口戦略が9割」「不動産投資の曲がり角 で、どうする?」(クロスメディア・パブリッシング)など。





【私が回答します!】
「両親の好意に応えたいけれど税金が心配...」という気持ちはとても自然です。結論から言うと、税負担だけを比べるなら「両親が所有者のまま直接売却」が有利になりやすいケースが多いです。本記事では、土地贈与と売却の税制を、判断軸とシミュレーションでわかりやすく整理します。