- 不動産を贈与した時に課税される税金は、贈与税のほか不動産取得税、登録免許税があります。
- 贈与税にも特例がありますが、特例を受けるためには申告が必要!
- 安易に贈与を行うことで予想を超えた税金が発生する可能性も。専門家に相談しながら慎重に行いましょう。
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目次
【贈与税とは】不動産の贈与税はどんな時にかかる?
基本的には個人が個人から財産(不動産)をもらったときにかかる
年間の非課税枠110万円を超えた分に課税される
非課税枠の110万円は「財産をもらう側」でカウントします。たとえば、ある人が父親から100万円、母親から100万円をもらった場合には非課税枠を超えてしまいます(※)。一方で、父親が3人の子供に100万円ずつ贈与を行った場合には、子が他の人から贈与を受けていなければ非課税枠を超えません。
※相続時精算課税を使わない場合。相続時精算課税制度は後ほどくわしくご紹介します。
生活費などは贈与税がかからない
不動産の譲渡などで贈与税に注意すべきケース
本来の価値より著しく低い価額で財産(不動産)を譲り受けたとき
財産(不動産)購入のための借金を免除されたとき
対価の支払いなく不動産の名義変更をしたとき
不動産の持分を毎年少しずつ贈与していくとき
不動産贈与の課税方式と贈与税の計算方法
【贈与税の課税方式①】暦年課税
(課税価格-基礎控除110万)×税率-控除額 |
---|
不動産の評価方法と評価額
また、建物については、固定資産税評価額をもとに評価されます。土地、建物いずれも、借地権など他人の権利が付着している場合、評価額が低くなるようになっています。
贈与税の税率
※2022年(令和4年)3月31日以前の贈与では20歳
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万以下 | 10% | - |
300万以下 | 15% | 10万 |
400万以下 | 20% | 25万 |
600万以下 | 30% | 65万 |
1,000万以下 | 40% | 125万 |
1,500万以下 | 45% | 175万 |
3,000万以下 | 50% | 250万 |
3,000万超 | 55% | 400万 |
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万以下 | 10% | - |
400万以下 | 15% | 10万 |
600万以下 | 20% | 30万 |
1,000万以下 | 30% | 90万 |
1,500万以下 | 40% | 190万 |
3,000万以下 | 45% | 265万 |
4,500万以下 | 50% | 415万 |
4,500万超 | 55% | 640万 |
(受贈額500万円-基礎控除110万円)×15%-控除額10万円=48万5千円 |
(受贈額500万円-基礎控除110万円)×20%-控除額25万円=53万円 |
上の税率表を見るときには、基礎控除を差し引いた後の価格を見てください。間違いやすいです!
暦年贈与の生前贈与加算期間が7年に
この「持ち戻し」の期間は、以前は3年だったのですが、2024年1月1日の税制改正によって持ち戻し期間が延長されました。なお、2023年までに生前贈与していた分については、7年ルールの対象外です。
また、相続人以外には7年ルールが適用されないので、相続人ではない孫などは対象外になります。
暦年贈与は、元気なときから早めにコツコツと行うのがポイントです。贈与の年数を長くし、贈与する人数を多くすれば、より多くの財産を非課税で贈与できます。
【贈与税の課税方式②】相続時精算課税制度
ただし、相続が発生したときには、相続時精算課税制度を利用して贈与した財産を、相続財産に含めて相続税を計算します。相続税を算出したら、前払いした贈与税を控除することができます。このとき相続財産が基礎控除額以下ならば、すでに納付した贈与税は還付されます。
相続時精算課税制度の注意点
相続時精算課税制度をいったん選択すると、特定の贈与者からの贈与については相続発生まで継続的に適用され、取りやめることはできません。相続時精算課税制度がメリットとなるケースは限られているので、慎重な判断が必要です。
相続時精算課税制度にも基礎控除110万円
不動産を贈与するときに必要な税金
不動産取得税とその計算方法
なお、不動産取得税の課税標準となる額が、土地は10万円、家屋を建築により取得した場合は23万円、建築以外で取得(贈与含む)した家屋は12万円に満たない場合においては不動産取得税は課税されません。これを免税点といいます。
土地 | 家屋 | ||
---|---|---|---|
新築・増築・改築によるもの | 売買・交換・贈与によるもの | ||
免税点 | 10万円 | 23万円 | 12万円 |
登録免許税
税率は登記内容によっても異なりますが、売買や贈与による所有権移転登記の場合、2%となります。なお、相続による所有権移転登記は、0.4%となっています。
登録免許税は、以下の計算式で算出されます。
課税標準(取得した不動産の固定資産税評価額)×2% |
---|
贈与税の申告と納税方法
なお、インターネットを活用して、e-TAX経由でウェブ上申告することも可能です。
e-Taxで納付 | インターネットでe-Tax経由で納付する方法 ダイレクト納付もしくはインターネットバンキング口座から振り込む |
---|---|
コンビニで納付 | QRコードを利用してコンビニの端末などで納付する方法 |
クレジットカードで納付 | インターネット上のクレジットカード支払いを利用 |
スマホアプリで納付 | 「国税スマートフォン決済専用サイト」からスマホ決済アプリを選択し納付する方法 |
現金で納付 | 金融機関又は所轄の税務署の窓口で、元気に納付書を添えて納付する方法 |
贈与税の納税に際して留意すべきこと
不動産の贈与税軽減のために利用できる特例と控除
夫婦間での居住用不動産贈与と配偶者控除
この特例の適用を受ける場合、以下のような条件に該当する必要があります。
・夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
・配偶者から贈与された財産が、 居住用不動産(※1)であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること
・贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した国内の居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した 居住用不動産に、贈与を受けた者が実際に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること(※2)
※1:「居住用不動産」とは、専ら居住の用に供する土地若しくは土地の上に存する権利又は家屋で国内にあるものをいいます。
※2:配偶者控除は同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けることができません。
相続時精算課税制度を利用した不動産贈与
不動産購入資金を贈与する場合の非課税枠
住宅等取得資金の非課税制度
贈与者ごとの非課税限度額は、次のイまたはロの表のとおりです。
住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 | 省エネ等住宅 | 左記以外の住宅 |
---|---|---|
~平成27年(2015年)12月31日 | 1,500万 | 1,000万 |
平成28年(2016年)1月1日~令和2年(2020年)3月31日 | 1,200万 | 700万 |
令和2年(2020年)4月1日~令和3年(2021年)12月31日 | 1,000万 | 500万 |
令和3年(2021年)4月1日~令和3年(2021年)12月31日 | 800万 | 300万 |
ロ 住宅用の家屋の新築等に係る対価等の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合
住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 | 省エネ等住宅 | 左記以外の住宅 |
---|---|---|
平成31年(2019年)4月1日~令和2年(2020年)3月31日 | 3,000万 | 2,500万 |
令和2年(2020年)4月1日~令和3年(2021年)12月31日 | 1,500万 | 1,000万 |
令和3年(2021年)4月1日~令和3年(2021年)12月31日 | 1,200万 | 700万 |
まとめ
不動産の贈与にも税金がかかります。
まずは特別控除の適用を受けられるか相談してみてはいかが。
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この記事の監修者
不動産鑑定士/土地活用プランナー
千葉大学卒業、地方銀行に勤務後、都内の不動産鑑定業者で事務所ビルやマンション等の収益物件の評価を数多く経験。現在は不動産鑑定士事務所を経営し、住宅・店舗・更地・山林・資材置場など多様な不動産に携わる。
土地活用や相続対策にも精通し、不動産に関するお悩み解決に尽力している。
毎年、同じ金額の贈与を続けるのではなく、贈与する時期や金額を毎年変えて、贈与契約書をその都度作成し、単発の贈与を何度も行うとよいでしょう。