- 荷物処分は、10~40万円程度の処理費用が相場とされており、工夫次第で処理費用を抑えることができます。
- 荷物処理のタイミングは空き家の解体・売却前に終わらせるのがおすすめですが、相続放棄前に行ってはいけません。
- 荷物処分の有無は、売却方法を仲介か買取にするかで変わるため、売却査定後に検討をするのが適切です。
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※ページ下部の「売却査定、買取査定サービスの注意点」をご確認いただいたうえ、ご利用ください。
目次
荷物処理の費用の相場
一般的には荷物の処理費用は「10~40万円程度」が相場です。以下は総務省が行った、遺品整理サービスの見積額の金額分布です。
| 金額の区分 | 件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 10万円以下 | 7 | 9.3% |
| 10万円超20万円以下 | 19 | 25.3% |
| 20万円超30万円以下 | 23 | 30.7% |
| 30万円超40万円以下 | 12 | 16.0% |
| 40万円超50万円以下 | 5 | 6.7% |
| 50万円超60万円以下 | 3 | 4.0% |
| 60万円超100万円以下 | 4 | 5.3% |
| 100万円超 | 2 | 2.7% |
| 合計 | 100.0% |
また、この統計から全体の7割が10~40万円の間に含まれることがわかります。
家の荷物処理費用を抑える6つのコツ
①粗大ゴミとして捨てる
②清掃施設に自己搬入する
③リサイクルの買取サービスを利用する
④フリマアプリなどに出品する
⑤複数の不用品回収業者の相見積もりを取る
また、家の処分費用は、荷物の量や家の広さだけでなく回収業者が手配する人員やトラックの大きさなどで決まります。ただし「処分費用一式プラン」で申し込むよりも、処分費用の内訳を明示してくれる業者をおすすめします。また、追加費用やキャンセル料があるかどうかもチェックして選ぶことが適切です。
⑥買取業者にそのまま売る
買取会社によっては、家財道具のほか取り壊しが必要な建物もそのまま買い取ってくれることがあり、解体費用と荷物処分費用どちらもゼロ円にできます。
買取の方法に関しては、後述する「買取による売却方法」にてくわしく解説します。
荷物処分業者の選び方
一般廃棄物収集運搬業許可業者を選ぶ
ですが、一般廃棄物収集運搬業の許可を受けずに「遺品整理」と称して荷物処分のサービスを行っている事業者も多く、運搬部分のみ許可を受けた事業者に外注しているため、処分費用が割高となることがあります。
また、一般廃棄物収集運搬業は市町村が許可しています。許可を受けた事業所かどうかは市町村のホームページで公開されていることが一般的なため、確認するのもおすすめです。
社歴の長い荷物処分業者を選ぶ
さらに、実績も豊富であるため安心して依頼ができます。
荷物処分業者に依頼する際の3つの注意点
①処分しないものは事前に分けておく
貴金属や仏壇、故人の愛用品などの残しておきたいものは、先に運び出しておかないと破損されたり、捨てられたりすることがあります。先に運び出すことが難しい場合でも、最低限残す荷物の分別だけはしておき、作業員に伝わるようにしておくことが望ましいです。
②追加料金の有無を確認する
さらに、見積もりの中に、「但し書き」として小さく追加費用に関する記述があることも少なくありません。見積書や契約書をよく読み、どのような時に追加料金が発生するかを事前にしっかり確認しておくことが重要となります。
③キャンセル方法を確認する
キャンセルはいつまで可能なのか、キャンセル費用は業者によって異なるため料金はいくらなのか確認しておくことが望ましいです。
家の荷物処理が必要となるタイミングと注意点
家の売却の前
なお、仲介か買取かに関わらず、査定の前に荷物を処分しておくことは不要となります。査定は荷物が処分された前提で行われるため、荷物の有無によって査定価格が変わることがないためです。
ただし、買取業者が荷物を処分する場合には、処分費用も見積もるため荷物が残っている状態で査定されます。
仲介で売る際は、内覧前に荷物を処分しておくことが理想です。内覧時に家財道具が残っていると、購入希望者に対して雑多なイメージを与えてしまうためです。
家の解体の前
解体現場で発生する廃材は産業廃棄物に分類されるため、多くの解体業者は産業廃棄物収集運搬業の免許を有していますが、家の荷物処分に必要な一般廃棄物収集運搬業の免許まで有している解体業者は多くありません。
荷物処分のみ免許を有するほかの業者に外注するため、費用が上乗せされて解体費用が高くなってしまうことが多くあります。さらに、会社によっては家財道具が残ったままでは解体工事を引き受けてくれないこともあります。
解体業者は自分で探すことが難しい場合もあります。売却を予定している場合は不動産会社、新築を予定している場合は施工会社に紹介してもらうことをおすすめします。紹介者に相見積もりまで取ってもらうと価格を抑えやすくなります。
家を相続した後
相続放棄の申述をする前に単純承認をしてしまうと、相続放棄ができなくなる決まりがあります。単純承認とはすべてを無条件で相続することを指しますが、家財道具の処分や貴金属などの形見分けをすることも単純行為とみなされます。
相続放棄を行うには相続の開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所に申述をすることが必要ですが、この間に処分作業や形見分けなどを行うと、相続放棄ができなくなってしまいます。
相続放棄をしたい人は、ほかの相続人にもその意思を伝え、処分作業や形見分けにはいっさい関与しないことが必要となります。
空き家の売却方法

仲介による売却
仲介は、市場価格のため高値で売れる傾向がありますが、売却まで時間がかかる点はデメリットとなります。また、順調に進めば査定から売却まで4~5か月程度で売れますが、なかなか売れない物件だと売却までに1年以上かかる場合もあります。
仲介による売却の流れは、以下の通りです。
①土地の境界を確定しておく
②不動産の査定を依頼する
③媒介契約を締結する
④売却活動を開始する
⑤売買契約書を締結する
⑥引渡を行う
⑦必要があれば確定申告を行う

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物件を購入したい人が現れたら売買契約を締結し、引渡は売買契約の1~1.5か月後に行うことが通常です。
買取による売却方法
買取は早く売れるというメリットがあり、査定から売却までの期間は1週間~1か月程度です。一方で売却価格が安くなるというデメリットもあります。
買取による売却の流れは、以下の通りです。
①不動産の査定を依頼する
②売買契約書を締結する
③引渡を行う
④必要があれば確定申告を行う
空き家の場合、買取の売却価格は仲介の売却価格の5~8割程度となります。買取後に解体が必要な物件は仲介の5~6割程度、解体が不要の物件は仲介の7~8割程度のイメージです。査定は無料のため、より高く売却するためにも複数の会社に査定依頼をしましょう。
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ただし、買取でも断られてしまう物件は少なからずあります。買取業者は転売を目的に買い取るため、転売益が見込めない物件は買い取りません。
解体費用が更地価格を上回ってしまう築古物件は典型的な一例です。土地価格が安い田舎に存在する建物が大きな物件は、解体費用が更地価格を上回りやすいため断られることが多いでしょう。買取を断られてしまうような物件は、売主が空き家を取り壊し、更地にした状態で売る必要があります。
空き家の売却で必要な費用
売却で生じる費用
売買代金が400万円超であれば、「売却価格×3%+6万円」を上限とする仲介手数料が発生します。
買取で売却した場合には、仲介手数料は発生しません。
✓ 印紙税
印紙税は売買契約書に記載する売却価格で決まり、主な印紙税は以下の通りです。(2027年3月31日までの軽減税率)
| 売却価格 | 印紙税 |
|---|---|
| 1,000万円超5,000万円以下 | 1万円 |
| 5,000万円超1億円以下 | 3万円 |
抵当権抹消の登録免許税は、不動産1個につき1,000円です。司法書士手数料は、1.0~2.5万円程度となります。
空き家にローンが残っている場合は、抵当権抹消費用と銀行に支払う一括返済手数料が必要です。
✓ 一括返済手数料
一括返済手数料は、税込みで3.3~5.5万円程度です。
✓ 所得税・住民税・復興特別所得税
売却益(譲渡所得)が発生した場合に生じます。譲渡所得に乗じる所得税および住民税、復興特別所得税を合算した原則的な税率は以下の通りです。
※保有期間は売却した年の1月1日における所有期間のこと
| 保有期間5年以下 | 譲渡所得の39.63% |
|---|---|
| 保有期間5年超 | 譲渡所得の20.315% |
解体で生じる費用
| 構造 | 坪単価 |
|---|---|
| 木造 | 坪4~7万円 |
| 鉄骨造 | 坪6~9万円 |
| 鉄筋コンクリート造 | 坪8~11万円 |
まとめ
空き家の売却価格が高ければ、荷物処分業者への依頼後に仲介で売却しても割に合います。一方で売却価格が安ければ、荷物が残った状態のまま買取を選択したほうが処分費用と手間が省けて合理的です。そのため、空き家を売却予定であれば、売却価格と処分方法をセットで考えるとよいでしょう。
荷物が残ったままの状態で査定依頼をし、仲介と買取の両方の売却価格を比較検討したうえで決断することをおすすめします。
荷物処分について悩んだら、まずは売却査定をしてから対処法を考えるのが効率的です。
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この記事の監修者
不動産鑑定士/中小企業診断士/宅地建物取引士/公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)
不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。
不動産鑑定士と中小企業診断士の資格を活かした不動産鑑定のほか、専門性の高い不動産Webライターとして活躍する。
各種著名メディアにおいて、相続関連や空き家の処分方法に関する取材対応の経験あり。





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