築年数の経過した家を売るとき、リフォームってした方がいいの?

2024.08.02更新

この記事の監修者

逆瀬川 勇造
逆瀬川 勇造

AFP/2級FP技能士/宅地建物取引士/相続管理士

築年数の経過した家を売るとき、リフォームってした方がいいの?

築年数が数十年経過した不動産の売却を検討している方へ、リフォームの必要性についてご紹介いたします。

築年数の経過した物件はリフォームの必要性はなくとも、
最低限の修繕はしておくと良いでしょう。

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目次

家を売る際、リフォームした方が早く高く売れるわけではない!?

家を売却するとき、少しでもよい状態で売却するためにリフォームを考える方もいるでしょう。しかし、リフォームしたからといって必ずしも早く、そして高く売れるわけではありません。

これには中古マンションの購入者数が増えていることがひとつの原因として挙げられます。中古マンションの場合、買主は立地や物件価格を重要視して探していることが多く、リフォームされた高い物件より、されていない安い物件が選ばれる可能性が高いと考えられます。

リフォーム済物件を探している人もいる

もちろん、リフォーム済物件を探している人もいます。とくにフルリフォームした物件であれば、専有部は新築とそう変わらないことが少なくありません。リフォームしても早く高く売れるわけではないですが、内覧時の好印象を持たれることが早期売却につながります。

中古物件の売却時には、リフォームについて十分に検討する必要があると言えます。設備や壁・床の老朽化など場合によっては、売却価格は据え置きリフォームにかける費用を売却のための必要経費と考えることも必要です。

リフォームの有無別にメリット・デメリットを考えてみましょう

ここでは、リフォームをして売却する場合と、リフォームせずに売却する場合、それぞれについてのメリット・デメリットを見ていきます。

リフォームした場合のメリット

リフォームして売却する場合、リフォーム費用は売主が負担することになりますが、売主が負担額分の利益を得られるかがポイントとなります。

・内見に来た際に第一印象がよい
・購入後すぐに住めるので、買主が住むイメージをしやすい

いずれも買主の購入の後押しとなるもので、うまくすれば「早く」、「高く」売却できる可能性があります。その他にも、リフォーム中に物件の不具合を発見した場合は、修理した上で安心して売却することができます。

リフォームした場合のデメリット

・リフォーム費を物件価格に上乗せできない場合が多い
・リフォームすることで買主の好みから外れてしまい、売れ残る可能性がある
・リフォーム工事中は売却活動ができない

まず、リフォームしてから売却する場合、リフォーム費用を物件価格に上乗せできないことがあります。これは冒頭でお伝えしたように、とくに中古マンションにおいては、専有部の状態よりも「立地」や「物件価格」を購入基準にしている買主が多いからです。

売却価格にリフォーム費用を上乗せできない場合もありますが、リフォームをすることでより高値で売却できる可能性が高まります。しかし、その場合リフォーム費用は売主負担になるためリフォームをするかは慎重に検討しましょう。

また、売主の好みでリフォームするため、買主の好みと外れてしまう可能性があるということが挙げられます。そもそも、リフォーム目的で中古マンションを購入する買主もたくさんいますので、場合によっては、リフォーム済物件を購入した後、買主がまた自分の好みに合わせてリフォームを行う可能性もありえます。

場合によっては、リフォーム工事は数か月に及ぶこともあります。その期間中は売却活動ができないので、早く売却したい売主にとってはリスクとなる点もデメリットだと言えるでしょう。

リフォームをしなかった場合のメリット

・リフォーム費用がかからなくて済む
・リフォーム工事期間がないので、すぐに売却できる

中古物件を購入後、自分好みにリフォームしたいという買主は想像以上に多いようです。不動産ジャパンの2011年のデータによると、中古物件を購入した人の内、47.9%が中古物件購入後に自らリフォームしたとされています。なお、不動産会社によりリフォーム済物件を購入した人の割合は10.5%、個人である売主によるリフォーム済物件を購入した人の割合は5.9%となっています。

売主がリフォームせずに中古物件を売却して、もともとリフォームに充てる予定だったお金を値引きするなどすれば売主にとっても買主にとってもよい結果となりやすいでしょう。

リフォームしなかった場合のデメリット

・築年数や状態が悪いことを理由に値下げ交渉される可能性がある

リフォームせずに売却する場合「築年数の古さ」や「状態の悪さ」から、値下げ交渉される可能性が高くなってしまいます。悪い印象を持たれないよう、最低限の費用でのリフォームや修繕を検討するのもよいでしょう。

リフォームしなくても、ハウスクリーニングや修繕は必要

リフォームを実施しない場合でもハウスクリーニングや修繕は行うことをおすすめします。たとえば壁紙が破けてしまっている場合やフローリングが一部剥がれてしまっているような場合には、修繕を実施すべきです。また、ハウスクリーニングを実施することできれいな状態で内見を行うことができます。

ハウスクリーニング

ハウスクリーニングは、専門業者や引越し業者、何でも屋のような業者が行っている場合などがあります。いずれの場合も、専門の機材を用いて素人には難しい水回りの掃除なども行ってくれます。

費用は部屋の広さに応じて30,000円~100,000円程度が相場で、作業自体は半日もあれば終わります。中古物件売却時にはできるだけハウスクリーニングを実施することをおすすめします。

なお、ハウスクリーニングはどの箇所を、どの程度の規模で清掃するかによって料金が異なるため、依頼する前に自分でできる限りの清掃は実施しておくとよいでしょう。

修繕

修繕については、不具合のある箇所について実施するため、まずは専有部のどの箇所に問題があるかを確認しましょう。

・床の修繕
・壁の修繕
・キッチンの修繕
・浴室の修繕

まず、フローリングは十数年程度で寿命を迎えるのが一般的で、古くなったフローリングはきしみや傾きが見られるようになります。きしみや傾きは歩いたらすぐに分かってしまうため、内見前に必ず直しておきたいところです。歩くとブヨブヨで浮いているように感じたりする場合は、見た目もよくありませんので、基礎部分まで傷めてしまう前に早めに修繕を実施しましょう。

なお、フローリングの上を歩くとギシギシと音がするような場合には、基礎の下の鋼製束が緩んでいる場合もあります。この場合も修繕を依頼する業者に見てもらえば問題ありません。

また、畳の場合は表面のほつれやカビの存在を確認してみましょう。とくにカビは、表面だけでなく畳の裏側・床面にまで広がっている場合があります。この場合、畳の交換だけでなく、畳の下の床面までしっかり清掃しなければなりません。床面の清掃を怠ると、畳を交換後すぐにカビが発生する場合もあるので、専門業者への依頼を忘れないようにしましょう。

また、壁紙の寿命は5~10年と言われています。長年変えずに使っていれば汚れや家電による色焼けで変色していたりすると部屋の印象が悪くなりがちです。もし、壁に穴を空けて目立つ場合には、部分的にでも壁紙の貼り替えを行いましょう。

キッチン

キッチンの修繕については、たとえばコンロや水回りが部分的に故障していたり、老朽化によって部屋全体の印象が悪く感じられる場合には、取り替えやリフォームの実施を検討する必要があるでしょう。フローリングや壁紙の修繕と比べて費用が高くなることが多いため、慎重に検討してください。

浴室

浴室が狭かったり、設備が古かったりするとそれだけで候補から外す方も多いようです。古い浴室の場合、「追い焚き機能」などのついた浴室にすることで購入の可能性を高めることもできるでしょう。浴室については、キッチンと同様、経費が大きいので慎重に検討するようにしましょう。

まとめ

リフォームやハウスクリーニング・修繕については、どの程度実施すれば効果を上げられるのか、判断が難しいところです。余計な出費を防ぐためにも、これらを実施する前にプロである不動産会社の担当者と相談しておくようにしましょう。

適切な判断をくだせる担当者に出会うためにも、複数の不動産会社に相談しながら、よりよい会社を見つけることが大切です。

築年数の経過した物件はリフォームの必要性はなくとも、
最低限の修繕はしておくと良いでしょう。

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逆瀬川 勇造
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AFP/2級FP技能士/宅地建物取引士/相続管理士

明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。大学在学中に2級FP技能士資格を取得。大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。

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