専門家に聞く!築50年の空き家を売るなら、更地と古家付き土地のどっちがお得?

更新

この記事の監修者

秋津 智幸
秋津 智幸

公認不動産コンサルティングマスター/宅地建物取引士/AFP/2級FP技能士

専門家に聞く!築50年の空き家を売るなら、更地と古家付き土地のどっちがお得?

【40代女性からのお悩み相談】
80代の義母が千葉県八千代市で所有する築50年の空き家は、10年前まで使用していましたが現在は傷みがひどく、居住不可能です。
夫の実家の隣地で将来的に相続予定ですが、更地・駐車場・現況売却のどれが最も得でしょうか?

※本記事の相談は、実際にアンケートで募集した悩みを、要約・編集したものです。

【私が回答します!】
「義母の家をどうすべきか悩んでいる」「家族の思いもあって決断しづらい」――築古の空き家を前にすると、誰もが同じ不安を抱きます。とくに親族間で意見が分かれるケースでは、“経済的な損得”と“家族の気持ち”のバランスが難しいものです。本記事では、築50年の空き家を「更地」「古家付き土地」のどちらで売却すべきかを徹底比較し、損をしない判断基準と具体的な費用試算を解説します。

秋津 智幸
秋津 智幸

目次

築50年の空き家はそのままでも売れる?中古一戸建て・古家付き土地・更地で比較しよう

築50年の空き家を売却する場合、建物自体の価値はほとんど評価されなくても、土地の価値で売却することが可能です。そのまま中古住宅として売ることもできますが、中古住宅として売却すると、たとえば木造の戸建ての場合、築50年では建物は評価されず、価格は相当低く見積もられてしまいます。

一方、土地として売却する場合でも、更地として売却するか、古家(古い建物)付きの土地として売却するかでも価格は異なってきます。それぞれのメリットとデメリットを比較してみましょう。
売却条件メリットデメリット
中古一戸建て・解体費が不要
・税負担が抑えられる
・価格は低め
・建物の契約不適合責任が発生
土地古家付き土地・見た目が悪く売却に時間がかかる
・解体費分の価格交渉が入る場合がある
・建物の契約不適合責任を負わずに済む
更地(更地条件含む)・高値で売れる可能性が高い
・解体費がかかる
・税金が増える場合がある

更地条件とは

不動産の売買において、建物や工作物を売主負担で取り壊し、更地の状態で引き渡すという売買契約の条件のこと。「更地渡し」ともいわれる。

築50年以上の木造の一戸建ての空き家なら、中古一戸建てとして売却するメリットが少ないといえます。また、少しでも売却期間を短く、価格は高く売却したいなら更地で、手間や売却前の費用を抑えたいなら、古家付き土地での売却がおすすめです。

査定前には地域の取引事例をチェック!

なお、実際に八千代市内の取引事例でみると、同じ市内でも地域や不動産の個々の条件で価格は大きく異なるので、一概には比較できませんが、たとえば、勝田台駅徒歩10分圏の売り中古戸建の場合、成約価格を土地面積で割った坪単価は30万円~40万円、似た立地の売り土地の場合、40万円~50万円程度が中心になっています。

なお、古家付き土地の制約事例が少なく、更地または更地条件の土地が多いエリアで、その価格差はやや更地の方が高いという感じになっています。この差も「更地にするかどうか」を判断する大切な材料になります。
※2025年11月時点の相場情報です。

不動産はさまざまな条件によって価格が決まるため、具体的な条件を確認、精査して査定が行われます。現在の相場で売り出した場合の価格が知りたい場合は、不動産会社に査定を依頼することをお勧めします。

秋津 智幸
秋津 智幸

更地にして売却する場合の費用と効果

更地で売却する場合は、前述の通りのメリットとデメリットがあります。とくに、更地は古家があるより見栄えもよく、すぐに新しい建物を建てることができるので、売却しやすく、価格も高く売却できる可能性が高くなります。

一方、1月1日時点で更地の場合、固定資産税などが更地評価になるため、税金が高くなる可能性がある点や解体の手間と費用がかかることがデメリットです。

更地にして売却する場合、気になる解体費用の目安は、道路条件が悪くない木造の2階建ての建物であれば坪4万円~6万円程度です。30坪の建物なら、120万円~180万円が解体費用の目安となります。
※2025年11月時点の相場情報です。

解体費用は、道路状況や建物地下部分の有無、築年、構造(木造など)、隣地との距離などさまざまな条件で変わってきますので、必ず見積もりを取って比較するようにしましょう。

解体費も価格が上がっています。最近は30坪の建物で100万円では厳しいようです。

秋津 智幸
秋津 智幸

古家付き土地と更地の売却事例

古家付き土地で売却した場合と更地で売却した場合の収支を、簡略化した例で比較すると以下のようになります。
売却条件古家付き土地更地(更地条件含む)
売却前の費用0円165万円(※1)
売却価格2,000万円2,300万円
売却時の費用(※2)約67万円約76万円
収支(※3)1,933万円2,059万円
(※1)解体費用は、築50年以上の木造2階建ての30坪の戸建て住宅で、前面道路や隣地との距離などに問題がない場合に150万円だったケースの税込概算
(※2)売却時費用は、仲介手数料と印紙代のみ。抵当抹消や住所変更登記などは顧慮しない
(※3)売却後の利益にかかる譲渡所得税の課税前

なお、更地と古家付き土地の価格差には、売主の解体の手間分を上乗せできる可能性があります。一方、古家付き土地に対して価格交渉が入る場合、買主の解体の手間分も含んだ交渉になることが多くなります。

駐車場や賃貸利用にする選択肢は現実的?

空き家を売らずに活用して収入を得るという選択肢もあります。たとえば、駐車場にして収入を得る、リフォームして賃貸住宅として貸し出すといった選択肢が考えられます。

いずれの場合でも重要なのは、その活用方法に需要があるか、そしてどのくらいの収入が見込めるかという点です。駐車場は更地にするだけでなく整備費用もかかり、リフォームも程度によりますが、それなりに費用がかかります。そうした費用を回収しつつ固定資産税や修繕費などの維持費が賄える、またはそれ以上の収入が得られるかがポイントになります。

駅や商業施設に近い比較的人の往来の多い立地に近ければ、成り立つ可能性は高いです。しかし郊外の住宅地などでは、たとえば月1万円で2台分を貸しても、年間24万円。駐車場造成費用が60万円、固定資産税が年10万円かかると、3年以上続けてようやく元が取れる計算です。

このように、立地条件によっては収益化が難しいこともあります。費用を回収することさえ難しいならば、売却することが得策といえます。

なお、郊外の戸建てでもリフォームせずにそのまま賃貸住宅として貸せるなら、収益がプラスになる可能性がありますが、後々修繕費がかかるようなら、やはり売却してしまった方が得策です。

空き家売却で損しないための判断基準

空き家の売却で、更地にして売却するか、古家付き土地で売却するかの判断基準は以下の4点です。
①売却前に解体費など費用を拠出できるか
②建物の状態
③更地と古家付き土地での査定額の差
④周辺売出事例とのバランス
売却前に費用が拠出できるかは売主の経済事情によります。ただし、建物の状態が倒壊の危険があるほど劣化している場合は、更地にするのが得策です。

また、実際に査定を依頼して、更地と古家付き土地で解体費用を上回るほど更地が高く見積もられるなら、経済事情にもよりますが、更地を選んだ方がいいでしょう。

さらに、周辺の売出事例で更地が多く、古家付き土地の事例が少ない場合も、売却の早さを考えれば、更地で売る方がよくなります。

判断に迷う場合は、解体費の見積もりと査定を同時に取り、数字で比較するのが最も確実です。不動産コンサルタントやFPなどの専門家に相談すれば、税金や相続の観点も含めたアドバイスが得られます。

家族の思いと資産価値の両方を守るために、今のうちに情報を整理しておきましょう。

所有者が売却時または過去3年間居住していない住宅を売却した場合は、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が適用されないため、譲渡所得税が発生する可能性があるので、注意が必要です。

秋津 智幸
秋津 智幸

まとめ

親族(義母)に売却を勧める場合、本人だけでなく家族の反対も考えられます。実家や古くから所有する不動産であれば、愛着もありなおさらです。

売却や土地活用を親族に勧める場合は、売却の査定額や解体費、土地活用による収益など具体的な数字を示して、とくに維持費の負担が重い場合はどうするのかなど、現実的な視点で話し合うようにしましょう。

そのうえで、売却する場合はご紹介したことを参考に条件を判断してみてください。

売却査定も、解体の査定も、複数社に依頼して取り寄せて比較することが最も肝心です。大切な資産を最大に活かす方法を、不動産のプロと一緒に考えてみませんか?

不動産の一括査定依頼

不動産の一括査定依頼はこちらから無料

2,500社の中から1番条件の良い不動産会社が見つかる!

  • 大成有楽不動産販売
  • 東京建物不動産販売
  • 住友林業ホームサービス
  • スターツピタットハウス株式会社
  • Century21
  • STEP1都道府県

  • STEP2市区町村

無料査定スタート
powered by HOME4U

※ページ下部の「売却査定、買取査定サービスの注意点」をご確認いただいたうえ、ご利用ください。

この記事の監修者

秋津 智幸
秋津 智幸

公認不動産コンサルティングマスター/宅地建物取引士/AFP/2級FP技能士

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント。横浜国立大学卒業。

神奈川県住宅供給公社を経て、不動産仲介業者に従事した後、2011年に個人事務所として不動産サポートオフィスを開設。自宅購入、不動産投資、賃貸住宅など個人が関わる不動産全般に関する相談・コンサルティングを行う他、不動産業者向けの企業研修や各種不動産セミナー講師、書籍、コラム、記事等の執筆・監修にも取り組んでいる。

主な著書に「貯蓄のチカラ~30歳からのおカネの教科書」(朝日新聞出版)などがある。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
●また、具体的なご相談事項については、各種の専門家(税理士、司法書士、弁護士等)や関係当局に個別にお問合わせください。

売却査定、買取査定サービスの注意点

売却査定サービス
  • リンク先の売却査定サービス(以下「提携先サービス」といいます)は、株式会社カカクコム(以下「当社」といいます)の提携先である株式会社NTTデータ・ウィズが提供するサービスとなります。

個人情報の取り扱いについて

  • 当社は、お客様への提携先サービス提供のため、スマイティの不動産一括査定フォームでご入力いただいた個人情報を含む査定依頼データを提携先に提供いたします。これらの情報は全て提携先が厳重に管理し、同社から不動産会社に開示されます。提携先での個人情報等の取り扱いに関しては、以下をご確認ください。

個人情報の取り扱いについて:「HOME4U 個人情報の取り扱いについて」

物件情報について

  • 当社は、お客様に広告宣伝等の情報を提供するため、スマイティの不動産一括査定フォームでご入力いただいた物件情報を利用いたします。
買取査定サービス
  • リンク先の買取査定サービス(以下「提携先サービス」といいます)は、当社提携先である株式会社リビン・テクノロジーズが提供するサービスとなります。

個人情報の取り扱いについて

  • 当社は、提携先サービスでご入力いただいた情報を保有しておりません。個人情報を含む査定依頼データは、全て提携先が厳重に管理し、同社から不動産会社に開示されます。提携先・不動産会社での個人情報等の取り扱いに関しては、各社のプライバシーポリシー等をご確認ください。

売却査定および買取査定の提携先サービスについて

  • 査定依頼可能な企業数は、お住まいの地域やお客様の物件のタイプによって異なります。
  • お客様の物件の状態によっては査定ができない場合もございます。ご了承ください。
  • 提携先サービスの提供は日本国内(一部離島等を除く)に限らせて頂きます。
  • 査定結果について、提携先の各不動産会社から直接連絡をいたします。
  • 査定後の不動産の売却、買取について、当社および提携先は関与いたしません。
  • 提携先サービスは、セキュリティを保つために情報を暗号化して送受信するSSL(Secure Sockets Layer)機能に対応しています。ご利用の際はSSL対応ブラウザをお使いください。
  • 提携先サービスについてご不明な点がございましたら以下よりお問い合わせください。当社ではお答えできません。

売却査定:「HOME4U サービスに関するお問い合わせ」

買取査定:「リビンマッチ サービスに関するお問い合わせ(0120-935-565)」

カテゴリから探す