目次
築50年の空き家はそのままでも売れる?中古一戸建て・古家付き土地・更地で比較しよう
一方、土地として売却する場合でも、更地として売却するか、古家(古い建物)付きの土地として売却するかでも価格は異なってきます。それぞれのメリットとデメリットを比較してみましょう。
| 売却条件 | メリット | デメリット | |
|---|---|---|---|
| 中古一戸建て | ・解体費が不要 ・税負担が抑えられる | ・価格は低め ・建物の契約不適合責任が発生 | |
| 土地 | 古家付き土地 | ・見た目が悪く売却に時間がかかる ・解体費分の価格交渉が入る場合がある | |
| ・建物の契約不適合責任を負わずに済む | |||
| 更地(更地条件含む) | ・高値で売れる可能性が高い | ・解体費がかかる ・税金が増える場合がある | |
更地条件とは
不動産の売買において、建物や工作物を売主負担で取り壊し、更地の状態で引き渡すという売買契約の条件のこと。「更地渡し」ともいわれる。

査定前には地域の取引事例をチェック!
なお、古家付き土地の制約事例が少なく、更地または更地条件の土地が多いエリアで、その価格差はやや更地の方が高いという感じになっています。この差も「更地にするかどうか」を判断する大切な材料になります。
※2025年11月時点の相場情報です。
不動産はさまざまな条件によって価格が決まるため、具体的な条件を確認、精査して査定が行われます。現在の相場で売り出した場合の価格が知りたい場合は、不動産会社に査定を依頼することをお勧めします。
更地にして売却する場合の費用と効果
一方、1月1日時点で更地の場合、固定資産税などが更地評価になるため、税金が高くなる可能性がある点や解体の手間と費用がかかることがデメリットです。
更地にして売却する場合、気になる解体費用の目安は、道路条件が悪くない木造の2階建ての建物であれば坪4万円~6万円程度です。30坪の建物なら、120万円~180万円が解体費用の目安となります。
※2025年11月時点の相場情報です。
解体費用は、道路状況や建物地下部分の有無、築年、構造(木造など)、隣地との距離などさまざまな条件で変わってきますので、必ず見積もりを取って比較するようにしましょう。
解体費も価格が上がっています。最近は30坪の建物で100万円では厳しいようです。
古家付き土地と更地の売却事例
| 売却条件 | 古家付き土地 | 更地(更地条件含む) |
|---|---|---|
| 売却前の費用 | 0円 | 165万円(※1) |
| 売却価格 | 2,000万円 | 2,300万円 |
| 売却時の費用(※2) | 約67万円 | 約76万円 |
| 収支(※3) | 1,933万円 | 2,059万円 |
(※2)売却時費用は、仲介手数料と印紙代のみ。抵当抹消や住所変更登記などは顧慮しない
(※3)売却後の利益にかかる譲渡所得税の課税前
なお、更地と古家付き土地の価格差には、売主の解体の手間分を上乗せできる可能性があります。一方、古家付き土地に対して価格交渉が入る場合、買主の解体の手間分も含んだ交渉になることが多くなります。
駐車場や賃貸利用にする選択肢は現実的?
いずれの場合でも重要なのは、その活用方法に需要があるか、そしてどのくらいの収入が見込めるかという点です。駐車場は更地にするだけでなく整備費用もかかり、リフォームも程度によりますが、それなりに費用がかかります。そうした費用を回収しつつ固定資産税や修繕費などの維持費が賄える、またはそれ以上の収入が得られるかがポイントになります。
駅や商業施設に近い比較的人の往来の多い立地に近ければ、成り立つ可能性は高いです。しかし郊外の住宅地などでは、たとえば月1万円で2台分を貸しても、年間24万円。駐車場造成費用が60万円、固定資産税が年10万円かかると、3年以上続けてようやく元が取れる計算です。
このように、立地条件によっては収益化が難しいこともあります。費用を回収することさえ難しいならば、売却することが得策といえます。
なお、郊外の戸建てでもリフォームせずにそのまま賃貸住宅として貸せるなら、収益がプラスになる可能性がありますが、後々修繕費がかかるようなら、やはり売却してしまった方が得策です。
空き家売却で損しないための判断基準

②建物の状態
③更地と古家付き土地での査定額の差
④周辺売出事例とのバランス
また、実際に査定を依頼して、更地と古家付き土地で解体費用を上回るほど更地が高く見積もられるなら、経済事情にもよりますが、更地を選んだ方がいいでしょう。
さらに、周辺の売出事例で更地が多く、古家付き土地の事例が少ない場合も、売却の早さを考えれば、更地で売る方がよくなります。
判断に迷う場合は、解体費の見積もりと査定を同時に取り、数字で比較するのが最も確実です。不動産コンサルタントやFPなどの専門家に相談すれば、税金や相続の観点も含めたアドバイスが得られます。
家族の思いと資産価値の両方を守るために、今のうちに情報を整理しておきましょう。
所有者が売却時または過去3年間居住していない住宅を売却した場合は、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」が適用されないため、譲渡所得税が発生する可能性があるので、注意が必要です。
まとめ
売却や土地活用を親族に勧める場合は、売却の査定額や解体費、土地活用による収益など具体的な数字を示して、とくに維持費の負担が重い場合はどうするのかなど、現実的な視点で話し合うようにしましょう。
そのうえで、売却する場合はご紹介したことを参考に条件を判断してみてください。
売却査定も、解体の査定も、複数社に依頼して取り寄せて比較することが最も肝心です。大切な資産を最大に活かす方法を、不動産のプロと一緒に考えてみませんか?
不動産の一括査定依頼はこちらから無料
約2,500社の中から1番条件の良い不動産会社が見つかる!

※ページ下部の「売却査定、買取査定サービスの注意点」をご確認いただいたうえ、ご利用ください。
この記事の監修者
公認不動産コンサルティングマスター/宅地建物取引士/AFP/2級FP技能士
不動産サポートオフィス 代表コンサルタント。横浜国立大学卒業。
神奈川県住宅供給公社を経て、不動産仲介業者に従事した後、2011年に個人事務所として不動産サポートオフィスを開設。自宅購入、不動産投資、賃貸住宅など個人が関わる不動産全般に関する相談・コンサルティングを行う他、不動産業者向けの企業研修や各種不動産セミナー講師、書籍、コラム、記事等の執筆・監修にも取り組んでいる。
主な著書に「貯蓄のチカラ~30歳からのおカネの教科書」(朝日新聞出版)などがある。





【私が回答します!】
「義母の家をどうすべきか悩んでいる」「家族の思いもあって決断しづらい」――築古の空き家を前にすると、誰もが同じ不安を抱きます。とくに親族間で意見が分かれるケースでは、“経済的な損得”と“家族の気持ち”のバランスが難しいものです。本記事では、築50年の空き家を「更地」「古家付き土地」のどちらで売却すべきかを徹底比較し、損をしない判断基準と具体的な費用試算を解説します。