- 不動産仲介には、1つの不動産会社が売主と買主の仲介を行う「両手仲介」と、売主側と買主側で異なる不動産会社が仲介を行う「片手仲介」があります。
- 両手仲介では、不動産会社が売主から預かった物件を、自社の顧客のみに販売しようとする「囲い込み」が問題視されています。
- 両手仲介は、適切に運用されれば売主・買主双方にとって有益な取り引きです。囲い込み防止には、信頼できる不動産会社選びが重要です。
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目次
両手仲介・片手仲介の違いは何?
片手仲介:売主側と買主側でそれぞれ異なる不動産会社が仲介する取り引き形態
以下の章では、それぞれの仕組みやメリット・デメリット、手数料の詳細について詳しく解説していきます。
両手仲介とは
両手仲介の仕組み

詳しくは後述しますが、両手仲介には以下のようなメリット、デメリットがあります。
● スムーズな取り引きが可能
● 売主と買主の意思疎通がしやすい
● 手数料の交渉余地
● 買主の資金計画や検討度合が詳細に分かりやすい
【デメリット】
● 利益相反の問題
● 囲い込みのリスク
● 客観的な判断の困難
両手仲介の手数料とは
売主が支払う手数料:3,000万円×3%+6万円+消費税=105.6万円
買主が支払う手数料:3,000万円×3%+6万円+消費税=105.6万円
不動産会社の総収入:211.2万円
片手仲介とは
片手仲介の仕組み

片手仲介には以下のような以下のようなメリット、デメリットがあります。
● 利益相反の回避
● 売主側の要望を最優先
● 透明性の確保
● 囲い込みの防止
【デメリット】
● 連絡の複雑化
● 情報の食い違い
● 手数料の値引き交渉が難しい
片手仲介の手数料とは
売主が売主側の不動産会社へ支払う手数料:
3,000万円×3%+6万円+消費税=105.6万円
買主が買主側の不動産会社へ支払う手数料:
3,000万円×3%+6万円+消費税=105.6万円
各不動産会社の収入:105.6万円
両手仲介の問題点は2つ
問題点①利益相反
本来、不動産仲介会社は依頼者の立場に立って最善のサポートを行うことが求められます。しかし、両手仲介では売主と買主の両方から手数料を受け取るため、どちらの利益を優先すべきか曖昧になってしまいます。
たとえば、売主は「できるだけ高く売りたい」と考え、買主は「できるだけ安く買いたい」と考えます。通常であれば、売主側の仲介会社は売主の利益を、買主側の仲介会社は買主の利益をそれぞれ代弁します。
ところが両手仲介では、1つの会社が相反する利益を同時に代弁しなければなりません。この結果、どちらの利益も中途半端になり、適正な価格交渉が行われない可能性があります。
とくに、仲介会社が自社の利益(両方からの手数料)を優先し、早期成約を重視するあまり、依頼者の利益が軽視されるケースも少なくありません。
問題点②囲い込み

囲い込みとは、不動産会社が売主から預かった物件を、ほかの不動産会社に紹介せず、自社の顧客のみに販売しようとする行為です。具体的な手口としては以下のようなものがあります。
●登録しても詳細情報を掲載しなかったり、故意に不正確な情報を掲載する
●ほかの不動産会社から「この物件を案内したい」と連絡があっても、「すでに申し込みが入っている」「売主が不在にしている」などの理由で断る
●自社の購入希望者と他社の購入希望者が重なった場合に、自社の購入希望者の方が購入価格が低いにもかかわらず、他社の購入希望の情報を売主に報告せずに契約締結を進める
結果として、売却価格が相場より安くなったり、売却期間が長期化したりするリスクが高まります。
このような問題を避けるためには、不動産会社選びの際に両手仲介の方針について確認し、透明性の高い取り引きを心がけている不動産会社選びが大切です。
両手仲介は悪いことではない!
なぜなら、不動産売買における仲介会社の契約は「媒介契約」であり、売主や買主の代理人となる「代理契約」とは異なるからです。
媒介契約では、不動産会社は売主と買主の取り引きを仲立ちする立場であり、どちらか一方の代理人として行動するわけではありません。そのため、宅地建物取引業法でも両手仲介は認められている正当な取り引き形態となっています。
問題となるのは両手仲介という仕組み自体ではなく、その運用方法です。囲い込みのような不適切な行為が問題であって、適切に運用されれば両手仲介も有効な選択肢となります。重要なのは、透明性を保ち、売主・買主双方に対して公平なサービスを提供する会社を選ぶことです。
両手仲介にはメリットもある
両手仲介を行っている会社は大手が多い
全国的なネットワークにより転勤などで遠方の物件を探している顧客にも対応でき、大手企業のブランド力と安心感により売主・買主双方から選ばれやすくなっています。
売主買主の意思疎通がしやすい
情報の伝達ミスや食い違いが発生しにくく、急な変更や追加要望にも迅速に対応できるのが大きなメリットです。
スムーズな売却が可能
また、両手仲介により利益が大きくなるため、不動産会社もより積極的な営業活動を行ってくれることが期待できるでしょう。
両手仲介は手数料の値引きがしやすい
囲い込みを防ぐため、気を付けるべきポイント
両手仲介の場合、専任媒介契約は注意深く行う
専任媒介契約には積極的な営業活動や広告宣伝費の集中投入、レインズ(不動産流通機構)への登録義務、定期的な活動報告などのメリットがあります。しかし、契約期間中は他社に相談できず、囲い込みをされてもすぐに他社に変更することが困難になるでしょう。
対策として、契約前に売却戦略や広告方針を詳しく確認し、定期的な報告内容を事前に合意しておくことが大切です。
レインズ登録状況をこまめに確認する
物件の詳細情報が正確に記載されているか、取り引き状況が通常は「公開中」のステータスになっている箇所が「売主都合で一時紹介停止中」など表示が不適切に使用されていないかを確認しましょう。また、他社に紹介用の販売図面が登録されているかもチェックしましょう。
不動産会社からレインズ登録証明書を受け取り、その後も定期的に登録内容をチェックすることが大切です。
販売状況の報告内容をよく確認する
他社からの問い合わせ件数や内見希望者の数、広告・宣伝活動の状況などを詳しく聞きましょう。1か月以上他社からの問い合わせがゼロの場合や価格を大幅に下げる提案ばかりするといった状況は囲い込みの可能性があるため注意しましょう。
信頼できる不動産会社に相談をする
まずは3~5社で無料査定を実施し、査定額だけでなく、その根拠をしっかりと比較検討しましょう。各社の売却戦略や提案内容を詳しく聞き、手数料や付加サービスの内容も確認することが大切です。
無料の一括査定を活用すれば、効率的!
複数の不動産会社から、じっくり比較検討しましょう
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売却活動が始まってからも、進捗を定期的に報告してくれる会社なら安心です。契約内容や手数料について分かりやすく説明してくれる透明性の高い会社を選ぶようにしましょう。
売却が長期化した場合の対応策についても事前に確認しておくことで、より安心して売却活動を進めることができます。
まとめ
重要なのは、両手仲介そのものを避けることではなく、信頼できる不動産会社を選び、囲い込みなどの問題を防ぐための対策を講じることです。
不動産売却や購入を検討している方は、この記事で紹介したポイントを参考に、慎重に不動産会社を選択し、透明性の高い取り引きを心がけてください。適切な知識と注意深い対応により、満足のいく不動産取り引きを実現できるでしょう。
実は、両手仲介はメリットの多い取り引き方法。
信頼できる不動産会社を選べば囲い込みも怖くありません!
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この記事の監修者
グローバルトラスト不動産株式会社 代表取締役/宅地建物取引士
三菱UFJ不動産販売、ソニー不動産(現SRE不動産)で主に居住用不動産の売買仲介を経験。その後、「透明性の高い不動産取引の仕組みをもっと世の中に広め、依頼を受けた顧客の利益を最大限追及する」ことを基本理念とし、2017年にグローバルトラスト不動産株式会社を創業する。
著書の「初めてでも安心!失敗しない家の売り方・買い方」はAmazonにてベストセラー3冠獲得。2か月後に増刷も決定。





不動産の囲い込みを売主側が見抜くのは困難です。査定の際、営業マンが囲い込みをしないと話していても、実際には囲い込みをされていたケースもあります。
会社のホームページに囲い込みをしない方針や囲い込み対策について、しっかり記載されているか確認することも大切です。