専門家に聞く!欠陥が判明したリノベーション住宅、売却時の告知義務と価格への影響は?

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この記事の監修者

秋津 智幸
秋津 智幸

公認不動産コンサルティングマスター/宅地建物取引士/AFP/2級FP技能士

専門家に聞く!欠陥が判明したリノベーション住宅、売却時の告知義務と価格への影響は?

【30代男性からのお悩み相談】
札幌市で「フルリノベーション済み・安心」という言葉を信じて築33年の戸建てを購入しましたが、入居後に雨漏り・排水管故障・内壁のへこみが次々発覚しました。
できれば売却して新築への買い替えを検討していますが、欠陥がある状態での売却は可能でしょうか?
また、告知義務や価格がどの程度下がるのかについても教えてください。

※本記事の相談は、実際にアンケートで募集した悩みを、要約・編集したものです。

【私が回答します!】「安心と言われて買ったのに次々と欠陥が...」そんな裏切られた思いと経済的不安は理解できます。本記事では、欠陥住宅の売却時における売主の法的リスクを専門家の視点で詳しく解説します。

秋津 智幸
秋津 智幸

目次

欠陥住宅は売却価格がどれくらい下がる?相場への影響

結論
・軽微な欠陥:補修費+αの売主負担で売却可能
・重大欠陥:2〜3割以上の価格下落が一般的
実際に欠陥のある物件を売却する場合、壁のへこみや建具の不具合のような「軽い欠陥」であれば、補修もかんたんです。この場合、価格への影響は「補修費+α」程度で済みます。

一方、建物の傾きなどの構造上の問題や、雨漏りなどの「重大な欠陥」をそのままにして売却する場合は注意が必要です。実務上、雨漏りや構造欠陥がある築古戸建では、不動産会社の査定段階で相場の2〜3割減となるケースが多く見られます。とくに築年数が古い物件では、建物に価値がないものと判断され、「土地だけの価格」となってしまうことも少なくありません。

また、重大な欠陥の原因を突き止めて完全に補修した場合でも、過去に欠陥のあった事実は買主に伝えなければなりません。修理済みの場合はそのまま売却するよりは高く売れるものの、相場価格より1~2割程度安くなるのが一般的です。

契約不適合責任と告知義務 ― 売主が説明すべき範囲

売却する物件に欠陥がある(または過去にあった)場合、売主はその内容をすべて買主に伝える必要があります。これを「告知義務」と言います。

もし欠陥を隠して引き渡し、後日欠陥が判明した場合には、売主が「契約不適合責任」を問われます。これは「契約と違うものを売った」ことに対する売主の責任です。

契約不適合責任で求められる可能性がある対応は、主に次の4つです。
・履行の追完請求
壊れている場所を直すよう求められる。
・代金の減額請求
売主が欠陥の補修や修理ができない、あるいはしない場合は、その分安くしてほしいと値下げを求められる。
・契約解除
一定期間のうちに売主が補修や修理をしない場合、「話が違うので白紙に戻す」と言われ、契約は解除、受け取った代金を返さなければならない。
・損害賠償請求
欠陥を知りながら黙っていた場合などに、損害分の代金を請求される。

欠陥の程度によっては、“知らなかった”では済まされないケースもあります。今回のケースのように雨漏り、排水管の故障、内壁のへこみがある場合、隠して売ることはできません。すべて直してから売る場合でも、欠陥の内容や補修した事実は必ず伝えましょう。

秋津 智幸
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欠陥住宅は「そのまま売る」「直して売る」どちらが得?

重大な欠陥を直さずに売却する場合、前述の通り、相場よりかなり安い価格となってしまいます。一方、直してから売却する場合、雨漏りなどの修理には数百万円かかることもあります。ここで注意したいのは、「修理代以上に高く売れるとは限らない」という点です。

また、住宅ローンを返済中の場合は、売った代金でローンを完済しなければなりません。もし売却金額がローンの残債を下回るなら、その差額を自己資金から用意しなければなりません。
【失敗しないためのステップ】
1.まず、欠陥がある状態で不動産会社に「査定」をしてもらう。
2.その金額でローンが完済できるか確認する。
3.「直した場合、査定額がいくら上がるか」を不動産会社に相談する。

「今の状態のまま引き渡す」「売主は契約不適合責任を負わない」という特約をつけて売ることも可能です。ただしそのためには、欠陥について隠さずきちんと告知することが前提となります。

秋津 智幸
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見積もり次第では、補修せずに売却した方が手元にお金が残る場合もあれば、自己資金が足りずに売却を断念せざるを得ないこともあります。新築への買い替えにはさらに資金が必要になるため、慎重な検討が必要です。

欠陥物件を専門に扱う「買取業者」に売却するという方法もあります。相手はプロなので、欠陥に対しては許容度が高く、決断も早いのですぐに手放せるのがメリットです。ただし、土地値よりさらに安く見積もられてしまうこともあります。

秋津 智幸
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リノベーション業者への責任追及は可能?

「フルリノベーション済み」「安心」という言葉は魅力的ですが、実際には施工不良や見えない欠陥が後から見つかるケースも少なくありません。

今回のケースで修理代などを請求したい場合、基本的には「購入時の売主」が相手になります。リノベーション業者が売主なら直接責任追及できますが、売主がリノベーションを他社に依頼していた場合は、リノベーション業者へは間接的な追及(売主が施工した業者に責任を追及)となります。

また、売主が不動産会社(宅建業者)だった場合、宅建業法の規定で最低でも引渡しから2年間は契約不適合責任を負うルールがあります。合わせて、売買取引に仲介業者があった場合、その仲介業者(宅建業者)に告知義務違反の責任を問える可能性があります。

ただし、購入から時間が経過している場合や、売主が個人や一般法人の場合で「責任を負わない(免責)」という約束で契約していた場合は、責任を問うのが難しくなります。

契約不適合責任の特約期間が経過した場合や免責特約があった場合でも、売主が悪意(欠陥のことを知っていたのに告知しなかった)なら特約は無効となり、損害賠償請求として責任を追及できる可能性があります。いずれにしても高度な法律知識が必要なため、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

秋津 智幸
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まとめ

まず最初にやるべきこと
・欠陥内容を正直に伝えたうえで査定を依頼する
・「現状売却」「補修後売却」両方の査定額を聞く
重大な欠陥があった事実を隠して売却することは、さらなるトラブルを招くだけです。欠陥を「隠さず伝える」ことが売主にとって自分を守る最善策となります。

まずは不動産会社に相談し、「ローンを完済できる価格で売却できるか」をシミュレーションしましょう。もし売却が難しい、あるいは買い替え費用が準備できないようであれば、「今の家をしっかり補修して住み続ける」という選択肢が最も現実的で安心な解決策になるかもしれません。

欠陥が見つかったからといって、
必ずしも「手詰まり」になるわけではありません。
正しい戦略構築を、不動産のプロに託してみませんか?

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この記事の監修者

秋津 智幸
秋津 智幸

公認不動産コンサルティングマスター/宅地建物取引士/AFP/2級FP技能士

不動産サポートオフィス 代表コンサルタント。横浜国立大学卒業。

神奈川県住宅供給公社を経て、不動産仲介業者に従事した後、2011年に個人事務所として不動産サポートオフィスを開設。自宅購入、不動産投資、賃貸住宅など個人が関わる不動産全般に関する相談・コンサルティングを行う他、不動産業者向けの企業研修や各種不動産セミナー講師、書籍、コラム、記事等の執筆・監修にも取り組んでいる。

主な著書に「貯蓄のチカラ~30歳からのおカネの教科書」(朝日新聞出版)などがある。

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