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転勤期間別で変わる!「売却」か「賃貸」かの判断基準

たとえば、転勤期間が5年以上あり、戻らない可能性が高ければ「売却」が有力な選択肢です。一方で、転勤期間が3年以内であり、戻る可能性が高ければ「賃貸」が有力な選択肢といえます。
また、以下のような点も判断要素となります。
| 判断要素 | 考え方 |
|---|---|
| 築年数 | 新築を購入したばかりなら賃貸(または空き家)、築年数が古い物件なら売却 |
| 子どもの進学 | 通学可能な学校に進学予定なら賃貸、受験などで遠方の学校に通う見込みがあれば売却 |
| 住宅ローン | 帰還時に再びローンを組みたくなければ賃貸、再びローンを組んでも構わなければ売却 |
インフレ基調や建築コスト上昇の影響で、当面は不動産価格の上昇基調を前提に検討した方が良いかもしれません。
住宅ローンがあっても賃貸は可能?転勤時の注意点
住宅ローンはマイホームに住むことを前提としたローンであることから、賃貸に出すと不動産投資(収益を目的とした不動産所有)とみなされてしまいます。
銀行に無断で貸し出すと、住宅ローンの利用目的(資金使途)に違反します。最悪の場合、契約違反で、ローンの一括返済を求められる重大なリスクであるため、必ず事前に銀行に届け出てください。
なお、転勤期間中に家族全員が転居すると、その間は住宅ローン控除が適用外になります。空き家の状態であれば戻ってきた年から再び住宅ローン控除を適用できますが、賃貸に出すと戻ってきた年の翌年からでないと住宅ローン控除が適用できません。
いずれも住宅ローン控除の終了時期がうしろ倒しされるわけではなく、終了時期は元のままであり、適用期間が失効するという点がポイントです。
そのため、住宅ローン控除に関しては、「空き家」と「賃貸」を比べると賃貸の方が1年分損をすることになります。
売却を決めるなら「税制優遇」を最大限に活用しよう!
売却では、売買契約時や引渡時も原則として本人が立ち会うことが必要です。(ただし、信頼できる人に代理人になってもらえば契約手続きはできます。)
また、マイホームの売却では、「3,000万円特別控除」や「所有期間10年超の軽減税率」など、大きな節税効果のある特例を活用できます。
ただし、転居後の売却でマイホームの節税特例が利用できるのは、転居してから3年後の12月31日までに売却した物件です。転居してから3年後の12月31日までの売却であれば、その間に賃貸に出していても構いません。
いずれにしても、売却するのであれば、節税特例が利用できるタイミングを意識しておくことが適切です。
賃貸経営で失敗しないために!リスク管理と具体的な収支シミュレーション
転勤中の賃貸は、契約期間終了時に借主から確実に家を返してもらうために、「定期借家契約」を採用することが多いです。定期借家契約とは、更新のない契約のことを指します。
住宅の場合、定期借家契約の賃料は相場よりも安くなり、地域や契約期間にもよりますが家賃は相場の6~8割程度となります。
たとえば、家賃の相場が13.3万円の場合、定期借家契約の賃料が相場の8割だとしたら月額家賃は約11万円です。シミュレーションでは、5%程度の空室率も見込んでおくことが望ましいといえます。
一般的な規模の戸建てを前提に標準的な費用感でシミュレーションを行うと、以下の通りです。
| 項目 | 収支 | 内容 |
|---|---|---|
| 家賃収入 | 125.4万円 | 11万円×12か月×(1-空室率5%) |
| 固定資産税 および 都市計画税 | 16.0万円 | 1月1日時点の所有者が支払う |
| 損害保険料 | 12.0万円 | 火災保険や地震保険の保険料 |
| 管理委託料 | 6.3万円 | 管理を委託する管理会社に支払う委託料。家賃の5%程度が相場 |
| 修繕費 | 8.0万円 | 経年劣化の部分や寿命によって壊れた設備の費用 |
| 住宅ローン | 158.4万円 | 月額返済額は13.2万円を想定 |
| 支出計 | 200.7万円 | |
| 収支 | ▲75.3万円 |
そのほかとして、マンションの場合には支出に管理費および修繕積立金も発生します。
転勤中の一時賃貸は家賃が安くなることもあり、借入金の返済額によっては収支がマイナスになることもあります。
まとめ
賃貸に出す場合、住宅ローンが残っている時は金融機関への届出や税制特例の条件確認が必要です。
転勤前は焦って決めがちですが、収支や税制、再居住の可能性を冷静に比較し、家族にとって最も納得できる選択をしていただければと思います。
売るか貸すか迷ったら、
まずは自宅の今の価値を確認してみましょう。
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※ページ下部の「売却査定、買取査定サービスの注意点」をご確認いただいたうえ、ご利用ください。
この記事の監修者
不動産鑑定士/中小企業診断士/宅地建物取引士/公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)
不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である(株)グロープロフィットの代表取締役。
不動産鑑定士と中小企業診断士の資格を活かした不動産鑑定のほか、専門性の高い不動産Webライターとして活躍する。
各種著名メディアにおいて、相続関連や空き家の処分方法に関する取材対応の経験あり。





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