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親名義の土地に建てた家は売却できる?権利関係(借地権・使用貸借)を解説

子の土地の権利が借地権(地上権)であった場合は、売却にあたって土地の所有者(底地権者)である親の承諾が必要になります。
一方、使用貸借は無償であるため、借地権(地上権)とは権利が大きく異なり、借りている側の権利が弱く、貸主がいつでも土地の返還を求められるため、そのままの権利では建物を売却することはできません。
土地所有者(親)が他人に無償で土地を貸すとは考えにくいので、使用貸借であった場合は、借地契約に切り替えたうえで、親の承諾が必要になります。
| 借地権(地上権) | 他人の所有する土地を使う権利 |
|---|---|
| 底地権 | 借地権のついた土地を所有する権利 |
| ※借地権と底地権を合わせると(完全)所有権となる | |
借地権として土地の権利を売却する場合は、借地契約期間や地代だけでなく、契約更新料、建て替え承諾料、譲渡承諾料など借地権独自の条件も設定しなければなりません。弁護士や司法書士、不動産会社など専門家に相談するようにしましょう。
住宅ローンが残っていても売却できる?抵当権と完済方法
今回のケースでは、土地の権利が借地、使用貸借いずれの場合でも、親の土地に建物を建てているため、住宅ローンを借りた際に親の土地にも抵当権が設定されているのが一般的です。売却にあたって、住宅ローンは全額返済しなければならず、完済すれば抵当権は解除されるので、親の土地と子の建物に設定された子の抵当権についてはあまり気にする必要はありません。
ただし前述したように、売却にあたっては親が土地の権利を借地として他人に貸すことを承諾しなければ売却できないので、その点が最も重要なポイントです。
他に気になる点としては、住宅ローンが20年以上残っているので、ローンの残債が売却資金で完済できるかという点です。もし、売却資金だけではローンを完済できない場合は、自己資金を追加して完済する必要があります。
売却資金で住宅ローンの完済ができない場合、任意売却という選択肢があると思っている方もいるようですが、任意売却はローンを一定期間以上滞納しているような経済的困窮状態の方が、金融機関の承諾を得て初めて可能な方法です。単純に売却資金で完済が難しい場合の任意売却は認められず、資金を追加して完済しなければなりません。追加資金が用意できない場合は、売却は断念することになります。
【ケース別】売却時に選べる3つの選択肢と判断基準

① 親の土地を借地(権)として貸し出し、借地権付き建物として売却する
② 親の土地も建物と一緒に所有権で売却する
親にとっては土地を部分的に失うことなり、土地の分筆という手間と費用もかかるため、抵抗感が強く、親が土地の売却を望んでいない場合は、借地権よりも親の承諾を得るのが難しいでしょう。
③ 建物を売却せず、賃貸住宅として貸し出す
住宅ローンは自ら居住する住宅の新築、取得の資金として使途が決められています。そのため、その住宅を賃貸住宅として勝手に貸し出すなど違反した場合、全額を一度に返済するように求められる可能性がありますので、注意が必要です。ただし、遠方への転勤などやむを得ない理由がある場合に限り、金融機関から住宅ローンを借りたまま賃貸住宅として貸し出すことを承諾してもらえる可能性があります。
まとめ
親との良好な関係を保つには、しっかりと話し合うことがもっとも大切です。その際、売却する場合の親の土地の権利、借地なら地代の設定金額など権利と経済面を明確にしたうえで、親の納得のいくものとしなければなりません。
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この記事の監修者
公認不動産コンサルティングマスター/宅地建物取引士/AFP/2級FP技能士
不動産サポートオフィス 代表コンサルタント。横浜国立大学卒業。
神奈川県住宅供給公社を経て、不動産仲介業者に従事した後、2011年に個人事務所として不動産サポートオフィスを開設。自宅購入、不動産投資、賃貸住宅など個人が関わる不動産全般に関する相談・コンサルティングを行う他、不動産業者向けの企業研修や各種不動産セミナー講師、書籍、コラム、記事等の執筆・監修にも取り組んでいる。
主な著書に「貯蓄のチカラ~30歳からのおカネの教科書」(朝日新聞出版)などがある。





【私が回答します!】
「夫の父に申し訳ない」「複雑な権利関係が心配」――親名義の土地に自宅を建てた方が、住み替えや転居を検討する際に直面する不安です。結論を言うと売却は可能、ただし「親の承諾」と「権利関係の整理」が必須です。本記事では、借地上の建物売却の基本、住宅ローン残債があるケースの解決策、そして家族との合意形成の進め方までわかりやすく解説します。