キャピタルゲインとインカムゲインの基礎知識|不動産投資ではどちらを狙うのが正解?

2024.07.18更新

この記事の監修者

寺岡 孝
寺岡 孝

不動産投資アドバイザー(RIA)/相続診断士/貸家経営アドバイザー/住宅ローンアドバイザー

キャピタルゲインとインカムゲインの基礎知識|不動産投資ではどちらを狙うのが正解?

不動産投資におけるインカムゲインとキャピタルゲインとは何か、どちらを狙った戦略がより収益を上げられるのかなどを解説します。

2つの利益、インカムゲインとキャピタルゲイン。
どちらの性格も理解して理想的な不動産投資を目指しましょう!

目次

キャピタルゲインとインカムゲインとは

投資で得られる利益を指す、キャピタルゲインやインカムゲインはどういったものなのでしょうか。

キャピタルゲインとは保有資産を売却した際に購入した金額よりも高く売却できた場合に生じる売却益を指します。この資産とは、建物や土地などの不動産をはじめ、株式や債券、貴金属なども該当します。

キャピタルゲインのメリットは、儲けが大きく出ること、投資回収スピードが速いこと、が挙げられます。一方で、失敗すると投資額を丸ごと失うなど大きな損失が生じる可能性があり、ハイリスクハイリターンな投資法ともいわれます。

インカムゲインは保有資産を持ち続けることで安定的、継続的に生じる利益を指します。株式投資では配当や株主優待など、預金では利息収入がこれにあたります。インカムゲインでは資産が目減りするリスクは低いものの、リターンは投資額に対して少額なことが多く、長期的に少しずつ積み上げていくイメージです。

資産を保ちながら長い期間で安定した収入を得たいという目的に向いているでしょう。

各投資のキャピタルゲインとインカムゲイン

キャピタルゲインとインカムゲインの概略について説明しましたが、具体的な投資先でのキャピタルゲインとインカムゲインについてみていきましょう。

不動産投資

不動産投資におけるキャピタルゲインとは保有不動産を売却した際に得られる売却益を指します。たとえば、1,000万円で買った投資マンションを1,500万円で売ることができた場合、購入時より500万円高く売れたので500万円儲かったことになります。この場合、キャピタルゲインは500万円生じたことになります。

逆に、1,500万円で買った投資マンションが1,000万円でしか売れなかった場合、売却益はマイナスとなり損失したことになります。こうした資産売却による損失はキャピタルロスといわれます。

不動産投資におけるインカムゲインは、保有不動産の家賃収入がこれにあたります。

株式投資

株式投資におけるインカムゲインは保有している株数に応じて配当金が得られます。たとえば、半年に一度、1株当たり3円の配当金があれば1,000株で3,000円の配当金を得ることができます。

株式投資におけるキャピタルゲインは保有している株式を売却した際に得られる売却益を指します。ある時、1株当たり500円の株式を1,000株購入したとしましょう。

この株が株高で1株当たり1,500円になった時、一気に全部売却したとしましょう。その場合のインカムゲインは1株当たり売却益が1,000円、1,000株をすべて売却すると100万円の売却益が生じることになります。

しかしながら、株式投資は株価の値動きを予想するのは難しいもので、場合によってはキャピタルロスを承知で売却しなくてはならないケースもあります。そういった点で株式投資のリスクは大きい一面もあります。

投資信託

投資信託とは、投資家から集めたお金を運用のプロが株式や債券などに投資・運用して、運用から出た利益を投資家に還元する金融商品です。投資信託から得られる利益にはキャピタルゲイン、インカムゲイン、そして償還益の3つがあります。

キャピタルゲインは投資信託における基準価格という価格から、購入時の基準価格よりも売却時の基準価格が高い場合にはキャピタルゲインを得られます。インカムゲインは投資信託の運用で得られる分配金を指します。分配金の支払い時期は毎月、3か月、半年、1年毎など、投資信託によって異なります。

投資信託の中にあらかじめ運用期間を設けているものもあり、それらの償還日を迎えた際に投資家に戻す償還金があり、購入価格との差額が得られた場合が償還益になります。

投資信託自体、運用がうまくいき利益を得られる場合もありますが、運用がうまくいかないと損失を生じます。自分自身で運用ができないため、どの投資信託商品を選ぶかによりその収支は変わってきます。

預金

預金は単に現金を金融機関に預け入れておくだけで利息が付きます。たとえば、郵便局でお金を預け入れしておけば、預金の受取利息で元金が1.5倍になったという話を聞かれたことがあるかもしれません。これが預金におけるインカムゲインに当たります。

今では普通預金や定期預金の受取利息はたかが知れているという状況ですが、昔は金利が高かったため、預金のインカムゲインは大きいものでした。一方、預金自体は株価のように上がったり下がったりするものではないので、キャピタルゲインに該当する利益はありません。

FX

FXとは外国為替証拠金取引というもので、為替レートが上がるか下がるかを予想して利益を得る投資の方法です。

FXにおけるキャピタルゲインは外国通貨を売買し、価格変動による為替差益が得られた利益を指します。FX自体は価格変動による為替差益が利益となるため、キャピタルゲインによる利益がメインとなります。

一方、インカムゲインは低金利の保有通貨を売って高金利の通貨を買ったときに生じる金利差によって計算されるスワップポイント(金利差調整分)を指します。

不動産投資におけるキャピタルゲインとインカムゲインの違い

ではさらに、不動産投資におけるキャピタルゲインとインカムゲインについて深堀してみましょう。先ほどもお伝えしました通り、不動産投資のキャピタルゲインは保有不動産を売却した際に得られる売却益をいいます。

バブル期の頃は1つの土地に何度も売買が繰り返されました。地方都市でも坪50万円だった土地が最終的には坪200万円までに跳ね上がったケースもあり、当時はキャピタルゲインありきでした。

一方、インカムゲインは保有不動産の家賃収入を指し、長期的で安定した収益を得られるという点では売却益のような大きな利幅はないのが特徴です。

現在の不動産投資ではインカムゲイン、キャピタルゲインの両方を得ることが理想的と言えます。簡単に言えば不動産自体を安く買い、長期で家賃収入を得て、タイミングよく高値で売却するという流れを繰り返すことができれば、その投資は成功と言えるでしょう。

キャピタルゲイン目的の不動産投資

目的をキャピタルゲインとした不動産投資はいわゆる不動産転がしと言えます。つまり、不動産を安く仕入れて高く売って利益を得るという話になります。

不動産を安く仕入れるには、物件の売却情報を掴むことが一番のポイントです。一般の投資家では難しい場合もありますが、相続で不動産を売却して相続税を支払うとか、会社廃業で保有不動産を現金に換えて借金を返済するなど、やむを得ない事情で不動産を売却する際には物件自体を安く購入できる可能性があります。売主ができるだけ早期に不動産をお金に換えたいという場合には、相場よりも低い価格での取引交渉も成立します。

ただ、こうした売却情報は地元の不動産業者や金融機関で内々の話が多く、一般の市場には出回りません。耳寄りな不動産情報が入手できるかどうか、また瞬時に買いの決断が下せるかどうかによります。

このように、市場よりも安価で不動産が購入できれば、ある一定の期間は保有して賃料収入を得ておき、タイミングよく高値で売却することが可能でしょう。しかしながら現状では都心は不動産価格が高騰しており、キャピタルゲイン狙いは難しい局面といえます。

インカムゲイン目的の不動産投資

一方、インカムゲインを目的とした不動産投資は長期安定の収益を得ることが可能です。ただし、キャピタルゲイン狙いのように短期で大きな利益は生みませんが、保有物件を増やしていけば、まとまった額の安定収入も夢ではありません。

たとえば、1,000万円の資金運用で投資マンションを買ったとしましょう。毎月の家賃は6万円、年間で72万円の収入を得ることができます。1,000万円の購入資金が現金であれば、年72万円の運用、単純計算で年7%程度の運用をした格好になり、約14年で投資資金が回収できます。このように、昨今の低金利時代に年7%の運用ができるのは不動産投資の強みでもあります。

しかし現金の保有がないとなると、銀行などの金融機関から融資を受けて資金調達をすることになりますが、物件の購入代金全額をローンで賄う場合には注意が必要です。

毎月の賃料とローンの返済額が同じであればまだしも、ローンの返済額が家賃を上回るような不動産投資はおすすめ出来ません。投資自体が当初から赤字であれば、ローンを完済しない限り黒字にはなりませんので、先の長い話になります。

また、インカムゲインの不動産投資は安定した賃料を得て不動産所得を確保することを目的とするものですが、何もせず30年間も建物が維持継続できるものではありません。不動産賃貸業を営むには様々なコストがかかります。

建物の修繕費用、入居率の悪化にともなう補てん、賃料の下落にともなう補てん、災害リスクなど、将来の起こりうる事象に対策が必要です。これに加えて、少子高齢化、空き家増加という見通しは出ていますので、こうした点を考慮しながら不動産投資を行うことです。

とくに、日本の場合では自然災害のリスクが高く、欧米などと違い地震や台風の災害リスクは高いのは考慮すべきです。万一、購入した投資物件が災害に合い賃料収入は得られない場合もあることを理解しておく必要があります。

不動産投資ではどちらを狙うのが正解?

近年、不動産価格の上昇でキャピタルゲイン狙いは難しいご時世になっています。特に東京23区は物件自体も少ない状況ですので、比較的高値でも購入する富裕層の投資家が増えています。安価で不動産購入できないとなれば、安定した賃料収入が得られるインカムゲインを狙える物件を選択することが先決でしょう。

キャピタルゲインを狙うには高いスキルが必要

キャピタルゲインを狙うには、不動産に関する有益な情報が得られるかどうかにかかっており、不動産投資のプロでないとなかなか難しいでしょう。

不動産価格が適正かどうか、将来にわたり安定した賃料収入が得られるのかどうか、地域的に開発があって不動産価格が上がる可能性があるかどうかなど、物件を瞬時に見極めるには相当なスキルが必要です。将来性のない物件を高値で買えば、キャピタルゲインどころかキャピタルロスになってしまい大損しかねません。

長期安定した賃料収入を得るには大家業のノウハウも欠かせない

不動産投資は大家業ともいえる一面があります。不動産投資でインカムゲインを安定的に得るためには、物件を人に貸して賃料を得るという不動産賃貸業を全うしなければなりません。したがって、賃貸借のノウハウは必要不可欠とされています。

とくに賃貸借で利幅を大きく得たいならば自主管理を目標とすべきです。不動産管理会社にサブリースや管理委託を依頼すれば楽ですが、その分だけ委託料を支払わなければならず、儲けが減少し投資コスト回収に時間がかかります。

いずれ不動産投資を拡大して本業にしたいのであれば、できる限り不動産業者に任せず自分自身でやってみることも重要でしょう。

目的に合わせて都度物件選択を。どちらも狙えればベスト

基本的にはインカムゲイン、キャピタルゲインの両方をバランスよく得ることが理想的と言えます。なかでも、購入物件の見極めは重要で、賃貸市場での競争力はもとより、将来出口戦略がとれるかどうかも物件選択の指標とするべきでしょう。

たとえば、キャピタルゲイン狙いの短期で稼ぐのか、それともインカムゲイン狙いの長期で稼ぐかによって購入物件も異なってきます。とはいえ、キャピタルゲイン狙いで買った物件が意外と長期安定賃料収入があってしばらく保有してみたり、インカムゲイン狙いで買った物件が急遽、値上がりして売却した方が大幅にキャピタルゲインを得たり、というようなこともあります。
【PR】RENOSY
「RENOSY不動産投資」は、物件情報を独自のデータベースに蓄積し、投資価値の高い物件をAIを使って効率よく厳選し、提案してくれるサービスを提供しています。物件購入後の管理、リノベーション相談、売却までのすべてをワンストップでサポートしてくれるのも、はじめて不動産投資に取り組む人には心強く、利用者の評判・口コミにも反映されています。インカムゲイン・キャピタルゲインの両側面から、あなたに合う不動産投資プランを探してみませんか?

初心者だけど効率よく不動産投資を始めたい方、まずは無料の資料を確認してみませんか?

無料の資料を見てみる

※「RENOSY」へ遷移します

まとめ

不動産投資における利益はキャピタルゲインとインカムゲインの2通りがあります。どちらも取得したいとは思いますが、まずは長期安定の収益を得るインカムゲイン狙いが基本と言えます。

インカムゲイン狙いの場合には、不動産賃貸業を営んでいくに伴うさまざまなリスクやコストのコントロールが必要でしょう。建物の修繕、入居率や賃料を保つための対策、災害リスクへの保険など、あらゆる工夫が必要です。これに加えて、少子高齢化や空き家増加といった社会情勢も考慮しながら不動産投資を行うことが肝要です。

また、長期安定した収益が得られる物件は不動産価値がありますので、最終的には出口戦略が取りやすいとも言えます。購入した価格と同額程度か、少しでも買った金額より高値で売却できればキャピタルゲインも得られます。理想的な利益確保のために、いつもアンテナを張って情報収集に努めましょう。

2つの利益、インカムゲインとキャピタルゲイン。
どちらの性格も理解して理想的な不動産投資を目指しましょう!

この記事の監修者

寺岡 孝
寺岡 孝

不動産投資アドバイザー(RIA)/相続診断士/貸家経営アドバイザー/住宅ローンアドバイザー

アネシスプランニング株式会社 代表取締役。住宅コンサルタント、住宅セカンドオピニオン。大手ハウスメーカーに勤務後、2006年に同社を設立。

個人住宅・賃貸住宅の建築や不動産売却・購入、ファイナンスなどのあらゆる場面において、お客様を主体とする中立的なアドバイスおよびサポートを行い、3000件以上の相談を受けている。

WEBメディアに不動産投資についてのコラムを多数寄稿。著書に「不動産投資は出口戦略が9割」「不動産投資の曲がり角 で、どうする?」(クロスメディア・パブリッシング)など。


●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
●また、具体的なご相談事項については、各種の専門家(税理士、司法書士、弁護士等)や関係当局に個別にお問合わせください。