- 買付証明書は「物件を購入する意志」を書面に表したもの。提出することで、物件購入に向けて一歩前に進んだことになります。
- ただし、買付証明書を提出したからといって即座に購入に向けて話が進むとは限りません。
- 記載内容は年収、購入希望金額、手付金、有効期限など。極端な指値はNG!相場観をもって挑みましょう。
目次
不動産の買付の流れと基礎知識
この買付証明書を買主が提出することで不動産業者が間に入り、買主・売主が売買契約締結に向けて本格的な交渉が始まる流れになります。
買付の流れ
良い物件は1日と待ってはくれませんので、購入の意思決定をしたタイミングで速やかに買付証明書を仲介する不動産業者に提出することが大切なポイントです。
もし、売買金額が自分の予算より高い場合には、購入したい金額を記し提出します。その際に何故、価格交渉したいのか理由を書き添えることで売主から納得が得られ、値引きに応じてもらえる可能性が高くなります。
買付証明書とは
買付証明書を提出することで、物件購入に向けて一歩前に進んだことになります。
買付証明書の役割
ただし法的拘束力がないからといって、買付証明書を冷やかしまがいで提出するのは不動産業者などに迷惑がかかってしまいます。信頼関係に影響が出ますから慎みましょう。
優先順位のつけ方は不動産会社(売主)次第
しかしながら、仲介する不動産業者が提出された買付証明書の諸条件をもとに話を進めるか否かを決めることが実情です。少しでも高く提示した買主を優先し、売主に寄与したいと考える業者もいれば、金額を高く提示されても売却するにそぐわない買主とは繋ぎたくないと考える業者もいます。
買付証明書を提出したからといって、即座に購入に向けて話が進むとは限りませんのでそこは含み置きましょう
買付証明書と売買契約書の違い
摘要 | 買付証明書 | 不動産売買契約書 |
---|---|---|
①手付金の有無 | なし | あり |
②本人確認書類 | なし | 必要 |
③法的効力 | なし | あり |
④キャンセル | 可能 | 可能 (要手付放棄、違約金) |
買付証明書の提出時には手付金の予定金額を記載します。金額は売買金額の5~10%が相場。金額は話し合いによって変更が可能です。記載した額の手付金を売買契約時に現金、小切手、銀行振り込みにて支払います。
② 本人確認書類
買付証明書の提出時に本人確認書類は必要ありません。売買契約時の際には自動車運転免許証など本人が確認できるものが必要です。
③ 法的効力
買付証明書に法的効力はありませんが売買契約書には法的効力が発生します。売買契約書に記載された内容に違反が無いようにしなければなりません。万が一、契約違反があった場合 契約解除ならび損害賠償、違約金が発生します。
④ キャンセル
買付証明書はキャンセルすることは可能ですが、売買契約締結後にキャンセルする場合、手付金放棄となるのが一般的です。さらに注意点として手付解除(手付金を放棄して契約をキャンセルすること)の期限を過ぎた後にキャンセルすると、条文に定められた違約金が発生するため、契約をキャンセルするにはかなりの慎重さが求められます。
買付証明書を提出するメリット・デメリット
ここでは、買付証明書を提出するメリット、デメリットをご紹介します。
買付証明書を提出するメリット
希望の物件を買いやすくなる
お得な情報が入ってくる
不動産会社との信頼関係ができる
買付証明書を提出するデメリット
条件によっては後回しにされることもある
たとえば、相談なく売却希望価格に対して半額などの大幅な指値を入れたりするなどです。買主と業者、売主と信頼関係に影響が出てきます。
もちろん、売値が相場より相当高く値付けされているなど業者が納得するような明確な根拠があればよいかもしれません。価格は理由があって明示されていますから、慎重に条件提示をすることがポイントとなります。
買付を取り下げると信頼関係に影響がでることも
選ばれる買付証明書の書き方
ほとんどの場合、不動産業者が作成したひな形がありますのでその項目に応じて記載するのが一般的です。もちろん、ご自身のオリジナルの買付証明書でも大丈夫です。
買付証明書の内容についてご紹介いたします。
買付証明書のひな型
![](/press/system/press_image/2022/10/06/ZF5JKnVxtVjOXaMm_GbEh4NV2UxjNzdu2ChqGVRfk8M/trim/851ef0b153d3bb413eac1a6f9850d3c9_m.jpeg)
買付証明書の記載内容
サラリーマンの方など銀行融資を利用する際に、融資が受けられる見込みがあることを売主にアピールするなどに有効です。とくに記載しなくても問題ありません。
・購入希望金額
自分が購入したい金額を記載します。
価格交渉で指値をした場合、備考欄を設け指値の根拠を記載することで価格交渉に応じてもらえる可能性が高くなります。
修繕や設備のリフレッシュがなされていない場合、売主はその分を値引き予算として見積もっている場合もあります。
![安藤 新之助](https://sumaity.com/press/system/press_image/2022/08/02/Fv6gGv5QIj5qr8ER5efC2Ns5yHuUsuxpVxnjE_AvyRs/trim/51fedd90aa7f29405b21317aa40a25b1_m.png)
土地、建物の所在地、平米数、用途地域など、物件概要書、登記簿謄本に記載された情報をもとに記載します。
・手付金
契約時に支払う手付金の額を記載します。売買代金の5~10%が一般的です。
諸条件により、金額を変更することも可能です。
・引き渡し時期
決済、引き渡しの希望時期を記します。
融資利用の際、売買契約から1か月~1.5か月後を目安に設定します。
・融資情報
融資利用の有無を記します。
融資を受ける予定の金融機関名を書くケースもありますが、とくに書かなくても問題ありません。
・有効期限
買付の期限は2週間~1か月程度を目安にするのが一般的です。
買付証明書を出すときの注意点
極端な指値はNG
もし、指値を入れたい場合は不動産業者に一言、指値が可能かどうか、可能ならどの程度までいけそうか相談したうえで買付をだすことがポイントです。
まれに周辺相場よりも低く値付けされていることがあります。さらに安く買いたたこうとする気持ちが、チャンスを逃す羽目になることもあるので相場観をもって挑みましょう。
![安藤 新之助](https://sumaity.com/press/system/press_image/2022/08/02/Fv6gGv5QIj5qr8ER5efC2Ns5yHuUsuxpVxnjE_AvyRs/trim/51fedd90aa7f29405b21317aa40a25b1_m.png)
キャンセルは可能だが信頼関係を大切に
法的な拘束力がないからといって正当な理由なく取り下げるのは今後の信頼関係に影響がでますから、買付を出すときも取り下げるときも慎重に行いましょう。
自己資金の準備は万全に
親、兄弟から資金を借りる予定だったが急に借りられなくなった、仮想通貨・株や投資信託を売却し資金を捻出する予定が市場の暴落によって準備できなくなった…などはよくあるお話です。“確実”な自己資金がない中での買い付けは非常に危険ですから思いとどまる勇気も必須です。
まとめ
成功されている不動産投資家の方は買付証明書に思いを込め、スピード感をもって提出しています。競争に勝つためにも情報を常に取り入れ目利きを養っておく心構えが大切です。
「買いたい!」という意思を伝える買付証明書。
効果的な書き方や提出時の注意点を把握しておきましょう!
この記事の監修者
![安藤 新之助](/press/system/press_image/2022/08/02/Fv6gGv5QIj5qr8ER5efC2Ns5yHuUsuxpVxnjE_AvyRs/trim/51fedd90aa7f29405b21317aa40a25b1_m.png)
株式会社サクセスアーキテクト 代表取締役
高校卒業後、通算20年以上住宅業界に携わり、2008年不動産投資を開始。当時の年収400万円から7年で資産10億円と家賃収入1億円を達成し、42歳でサラリーマン生活を卒業しセミリタイア。
現在14棟214室を保有する実践不動産投資家としてwebコラム執筆やTV、新聞などのメディアに多数出演しながら、3法人を運営し不動産賃貸業ならびに不動産賃貸経営コンサルタントとして活動中。
「NOをYESに変える不動産投資最強融資術」(ぱる出版)を執筆。
物件購入を賄える自己資金、金融機関の与信がある場合、ローン特約を外すことで一気に優先順位が上がり購入できる可能性が高くなります。