なぜアパート経営が相続対策になるの?4つの理由を解説します

2023.10.20更新

この記事の監修者

秦 光一郎

秦 光一郎

【資格】税理士

なぜアパート経営が相続対策になるの?4つの理由を解説します

アパート経営がもたらす相続税の負担減少効果について一般的な解説をします。

「相続税対策におすすめされる理由」を理解することも、
注意点にしっかり向き合うことも大切です。

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目次

税率が高い?相続税とは

日本の相続税の税率は10~55%と定められています。たとえば相続により3億円以上の財産を単独で取得するものとして計算される場合、55%の税率で相続税が課されます。これは単純な税率比較ではOECD加盟国の中で最も高率です

しかしながら実際に55%もの税率で相続税を課される人はごくわずかです。ここ数年の国税庁公表の課税事績を見ますと、相続税の対象となる財産の価格に対する相続税の負担率は12~13%で推移しています。

ただし相続税1人当たりの納税額は1,700~1,800万円です。平素から1,700万円もの納税を行っている人は少ないので、相続税は高い、負担が重い、との印象を受けるのは無理からぬことかもしれません。

税制改正による相続税の増税

相続税の申告義務がある人の割合は、2014年までは4%台前半でした。つまりお亡くなりになる方の25人に1人にしか納税義務が無かったのです。この割合は2015年以降税制改正の影響で8%台後半になりました。概ね12人に1人ですがこれは全国平均です。

都市部では13%前後で7.5人に1人、東京23区内では30%超。つまり3人に1人、相続税が課税されている地域もある様です。先の税制改正では相続税の基礎控除が引き下げられました。基礎控除とは、相続税が課税されない水準のことです。

従前5,000万円+法定相続人数×1,000万円であった基礎控除額は、3,000万円+法定相続人数×600万円となりました。たとえば子供2人の4人家族で親のいずれかが亡くなった場合、従前は財産が8,000万円を超えなければ相続税は課されなかったのですが、2015年以降この水準は4,800万円になったわけです

これは首都圏に一戸建てを所有し、老後資金として1,500万円程度の預金を持っていれば、概ね課税されるという水準です。相続税は、都市部の地価上昇と相まって、近年課税範囲が広がるとともに増税になってきたといえるでしょう

アパート経営が相続税対策になる4つの理由

相続税への増税傾向が強まる中、相続税対策として不動産投資への関心が高まっています。アパート経営が相続税対策としてなぜ有効なのか、その4つの理由を考えてみましょう。

1.土地建物は現金に比べて評価額が低いため

現金や銀行などに預けてある預貯金は、亡くなられた時点の残高で評価されます。ここで言う「評価」とは相続税を計算するために、金額に換算することです。預貯金は残高が1億円であれば、相続財産としても1億円以外の評価額にはなりません。

他方、土地や建物などの不動産は、少々事情が異なります。土地や建物も、相続税を計算するに際して金額に換算する、つまり評価が必要になります。この時の評価額は、相続税評価額と言われ、一般的な時価や販売価格とは異なる金額になります。特に都市部の土地や建物の場合、相続税評価額は時価よりも安い金額になる傾向があります。

このため、所有財産を預貯金から土地建物などの不動産に替えておくと、相続税額の見込額は少なくなります。これはアパート経営が相続税対策になるといわれる理由の1つです。

相続税評価額とは

相続財産である土地の評価方法は、路線価方式と倍率方式の2種類の方法があります。路線価方式は都市部(市街地)に所在する土地の評価方法であり、評価する土地の接する道路に付された路線価に基づき評価されるものです。路線価方式による評価額は概ね時価の80%といわれます

建物の相続税評価額は、固定資産税評価額を基礎として計算されます。固定資産税評価額は建築時に市区町村の担当者により固定資産評価基準に基づき評価されます。建物の固定資産税評価額は概ね建築コストの50~60%であるのが実情です

さらに土地建物の相続税評価額は、利用状況によっても評価が異なり、未利用の更地や自宅用よりも人に貸している土地の方が相続税評価額は安くなります。土地の上にアパートを建てて第三者に賃借している場合、20~30%程度安く評価されますし、第三者に賃貸している建物は30%安く評価され、結果として相続税額は軽減されるのです。

2.小規模住宅用地の減額の特例が適用されるため

相続税の計算には、「小規模宅地等の特例」という制度があります。これは、亡くなられた方の自宅や事業用の土地については、遺族の生活保障の観点から相続税の負担を軽減するとの考え方から設けられている制度です。

そして、アパートなど賃貸用の土地については、一定の要件を充足すれば200m2迄の評価額を50%減額することになっています

3.金融機関からの借入で債務控除が適用されるため

賃貸用の土地建物を金融機関からの借入金で購入または建築した場合、前述の通り土地建物は、購入価額や建築価額でなく相続税評価額で評価されます。他方、借入金は文字通り債務残高で評価されます。

被相続人が亡くなる際に残っている借入金は、マイナスの財産としてプラスの財産の価額から差し引くことができます。これを債務控除といいます。結果として購入した土地建物の相続税評価額と借入金残高との差額分、財産価額の圧縮に繋がり相続税負担は軽減されます。

4.定期的な賃料収入が生まれるため

アパート経営は定期的な賃料収入を生みます。賃料収入は預貯金などとして残るならば当然に相続財産を構成しますから、賃料収入が発生する事そのものが、相続税の負担を軽減させるものではありません。

しかし、預貯金など手持ち資金が潤沢になることは、相続税の納税資金の確保に繋がります。相続税の納税資金が確保されていることは、相続人間の揉め事を避ける上でも重要なことです。納税資金の準備に資するという意味で相続税対策となります。

アパート経営はどれくらいの相続税対策になる?

アパート建築がどの程度の相続税の軽減効果を生むのか、簡単な試算をしてみましょう。

【前提条件】
家族構成は夫、妻、子供2人。財産はすべて夫名義。
相続順序は夫→妻の順に発生。
夫の所有財産は3億円、小規模宅地の特例は考慮しない。

この場合、一次相続、二次相続とも法定相続分通りに相続をしていくと、一次二次の相続税額の合計は、4,700万円となります。上記夫が、相続税対策や相続後の家族の生活設計などを考えて賃貸アパート経営を始めたとします。前提条件は以下の通り。

賃貸用土地5,000万円で購入。相続税評価額4,000万円。
借地権割合70%地区に所在。
賃貸用建物5,000万円で建築。固定資産税評価額2,500万円。
購入および建築資金は全額金融機関より借入。


賃貸収入、借入金返済などの増減を加味せず、小規模宅地等の特例も考慮しないで、相続税額を試算すると、一次二次の相続税額の合計は3,220万円となり、賃貸経営を行わない場合に比し、相続税額は1,480万円程度減少する見込みになります

こうした相続税の減少効果が生じるのは、借入金が額面通り1億円でマイナスの財産として評価される一方、土地建物の相続税評価は、建築購入価額の半分ほどで評価されるためです。もちろん現実の相続税の計算はこれほど単純ではありません。

賃料収入や借入返済は財産価額へ影響を及ぼし、その影響額は建築購入時から相続開始時までの期間の長短によっても変動します。しかしながら1つの傾向として、アパート賃貸経営が相続税の圧縮効果を伴うことは事実です。

アパート経営で相続税対策をするメリット・デメリット

アパート経営は相続税対策として有効ですが、税対策以外のメリット・デメリットも検討して頂く必要があります。アパート経営のメリットとデメリットを見ていきましょう。

メリット

アパートなどの不動産賃貸経営は、不労所得という労役を伴わない収入をもたらします。これは相続開始後の相続人の生活の基盤として期待できます。また、せっかく築いた財産を減らさずに維持していくには、一定の費用負担が必要ですが、不動産賃貸経営は財産維持のコスト捻出効果も期待できます

株式市場が足元の十年余堅調であったため、金融資産への投資を好む人が増えていますが、一般的に不動産の投資利回りは株式等配当利回りに比し高率ですし、不動産の値動きは株式市場に比し安定しています。物件の選定を慎重に行えば、アパート経営は不労所得の確保や財産形成の観点で有用な方法となります。

デメリット

言うまでもなくアパートなどは賃借人が入居していれば収入を生みますが、入居者がいなければ収入を生みません。空室が増えたとしても、アパートなどに係る固定資産税負担や借入金返済は減りません。

建築後5年から10年が経過すると空室率は上がる傾向にあります。入居者の選定を誤れば、賃料の未納やご近所トラブルを招く可能性もあります。

また、アパートなどは経年劣化が進むと修繕費などの負担が大きくなりまし、台風や地震などの自然災害による被災もリスクとして考慮しておかなければなりません。こうしたアパート経営特有のリスクへの備えが必要になることは、デメリットと言えます。

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相続税対策としてアパート経営をする際の注意点

相続税対策としてアパート経営を始めるとしても、本質的な部分を見落としてしまっては本末転倒です。税対策以外の留意点を考えてみましょう。

事業であることを意識する

アパート経営を始めるに際して重要なことは、あくまでも事業として成立させなければ意味がない、ということです。採算を度外視することや、資金繰りがずさんな計画であるべきではありません。アパート経営が相続税対策になるとしても、それはあくまでも副産物として捉えるべきことです。

ご自身の財産形成や老後資金対策、財産の保全としての機能を果たすように、アパート経営を計画する必要があります。そうでないと、借入金返済が滞るなどトラブルを招き、元々所有していた財産すら棄損することになりかねません

賃貸需要があるか見極める

近年、大手建築会社が郊外の土地所有者に対して、実現の見込みの薄い収支計画に基づく強引な営業で賃貸アパートを建築させ、結果さまざまなトラブルに発展する事例が発生しました。

建築会社はアパート建築を請負うことが収益獲得に繋がるので、一括借上げやサブリース、賃料保証などの聞こえの良い言葉を用いて、土地所有者から建築の同意を取り付けようとします。

しかし、元々賃貸需要の無い地域にアパートを建築しても入居者が集まるものではありません。建物完成引き渡し後には業務は賃貸管理会社へ引き継がれ、入居者が集まらなければ一括借上げもサブリースも早期に条件変更を求められます。そのようなアパートが収益を生むはずもなく、残ったのは借入金のみという最悪の事態を招きかねません。

こうした事態を避けるには、アパート建築を計画する地域の賃貸需給状況を見極める必要があります。信頼のおける不動産業者や顧問税理士など、建築会社以外の専門家から情報収集をし、建築会社が提示する計画値の妥当性や収支の実現可能性を精査してください

実質利回りを計算する

アパート経営の検討をするに際して、もう1つ覚えておかなければならないのは「利回り」です。利回りには、「表面利回り」と「実質利回り」があります。

表面利回りとは、投資の年間収入を投資額で除したものです。3,000万円で購入したマンションの年間賃料が150万円であれば、表面利回りは、150万円÷3,000万円=5%となります。建築会社が提示する利回りは、ほぼ表面利回りのみです。

これに対して実質利回りとは、購入時の初期費用とランニングコストを考慮した利回り計算で、年間収入から固定資産税や修繕費などのランニングコストを差し引いたものを投資額と初期費用の合計で除したものです

たとえば、前述の例で、初期費用として120万の仲介手数料や登記費用が、ランニングコストとして固定資産税6万円、管理費修繕積立金で月3万×12月=36万円掛かるとします。この場合の実質利回りは、(150万円-6万円-36万円)÷(3,000万円+120万円)≒3.46%です。

実質利回りの方が、その物件に対する投資利回りの実態をより正確に表します。そのためアパート経営を検討するに際しては、対象物件の実質利回りを検討することは重要です。

顧問税理士などに相談しながらコストを見積もってください。また、借入金を利用予定であれば実質利回りと借入金の返済計画が見合っているかも重要な検討事項です

収入による所得税や住民税の負担も考える

アパート経営を始めると不動産所得が発生します。これは給与や年金などと合算されて所得税住民税の対象となります。建築当初は設備の減価償却費があるため、不動産所得は余り発生しません。

建築後10年から15年経過すると設備の減価償却が終了し、償却費が減少します。賃料収入は経年劣化により目減りする一方、償却費も減少するため不動産所得は増加し、所得税住民税の負担は増加します

アパートの購入建築資金の大半を銀行借入金で賄っている場合、収入の大半が借入返済へ回されます。そうするとアパート賃貸による現金の手残りは殆ど残らないにも関わらず、税負担だけは増え、納税資金を他から工面することになります。

こうした事態を避けるには、アパート建築に先立って税負担と借入返済を含めた長期的な収支計画を立てて検討する必要があります。採算性の合わない計画であれば断念する勇気も時には重要です。

よくある質問

ここでは、アパート経営相続に関するよくある質問をご紹介します。
アパート経営を法人化すると更に相続税対策になる?
アパート経営を法人化すると、財産が不動産から会社株式に変わります。一般的な傾向として、不動産よりも、会社株式評価の方が評価額は低くなり、また、法人化は所得分散を容易にします。他方、法人化はさまざまな追加コストを伴います。法人化によりコスト倒れにならないかは、顧問税理士と相談なさってください。
アパートを相続した際の手続きは?
アパートを相続したらまずはアパートの登記を確認し、名義変更を行います。相続後に行う名義変更の手続きを相続登記と呼びますが、相続登記を自身で行う場合は被相続人および相続人の戸籍謄本や遺産分割協議書などが必要です。その後、準確定申告、相続税の支払いと続きます。なお、生前贈与で相続する場合の手続きについては、アパート相続に関する記事を参照ください。
相続したアパートを売却する際の注意点は?
アパートを売却する際はアパートの所有期間を確認しておきましょう。これは、アパートを売却して利益があった時に、その利益に対して課される譲渡所得税の税率が所有期間によって異なるためです。また、事前に入居者に大家が変わる旨を伝えておくと、家賃の振込先が変わった場合でもスムーズに移行しやすくなります。詳しくは、相続予定のアパートを売却する際の手続きに関する記事を参照ください。

まとめ

平成27年の相続税改正では、税率が引き上げられただけではなく基礎控除が引き下げられたため、平成27年の課税割合と相続税額は大幅に上昇しました。現金として相続した場合は、評価額が100%となってしまうため、相続税額が大きくなってしまいますが、土地や建物として相続した場合は、評価額が減少するため、節税効果が期待できます。

アパート経営は大幅な相続税対策につながりますが、アパート経営が資産運用である以上、空室のリスクなどと隣り合わせであるため、相続税対策だけでアパート経営を行うのではなく、経営にも力を入れていきましょう。

「相続税対策におすすめされる理由」を理解することも、
注意点にしっかり向き合うことも大切です。

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この記事の監修者

秦 光一郎

秦 光一郎

【資格】税理士

会計事務所に勤務しつつ平成16年税理士試験に合格。税務コンサルタント会社にて金融機関をサポートする業務の中、資産税業務の経験を積む。平成22年税理士法人シン総合会計設立。主に中小企業の会計税務支援を中心に、事業承継、資産税業務にも従事。不動産会社の税務相談会相談員、金融機関のセミナー講師等に携わる。

●紹介されている情報は執筆当時のものであり、掲載後の法改正などにより内容が変更される場合があります。情報の正確性・最新性・完全性についてはご自身でご確認ください。
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