土地活用に興味はあるけど何から始めたらいいかわからない。そんな声をよく聞きます。土地活用を始めるということは、単なる地主から事業オーナーに変わるということです。そう簡単には踏み込めませんし、事業を始めることで背負うリスクもあります。
しかし、土地活用にはさまざまな方法が存在し、リスクの低い方法もあれば、リスクはあるものの高い収益を得られるものもあります。ここでは、土地の活用を検討するにあたって、相談するべき内容から活用の進め方まで、基本的な流れを初めての方でもわかりやすいように解説いたします。
土地活用の基礎知識
土地活用とは、空き地などの利用していない土地をうまく活用して利益を生み出すことです。土地活用の例として、アパート・マンション経営などをはじめとした賃貸経営や駐車場経営、店舗、トランクルーム、土地信託などが挙げられます。
土地活用するということは、単なる地主から、事業のオーナーになるということです。「自分の土地を活用するのだから、土地活用は資金がいらない」と考えている方が意外と多いのですが、そのようなことはありません。土地活用をうまく進めるためには、その土地に適した方法で活用すること、そしてその活用法に対していくらの費用が必要で、いくらの利益が見込めるかなどを計算して進めることが大切です。ただ持っているだけの状態から、活用する側に回るにあたって、土地活用に関する基礎知識をしっかりと身につけておきましょう。
土地を所有しているだけでは意味がない
利用していない土地は、ただ持っているだけでは収益を生み出しません。むしろ、毎年の固定資産税で収支がマイナスとなるだけでなく、土地の上に建物が建っている時と比べて金額が高くなります。
固定資産税は、不動産を所有している限り毎年かかる税金です。3年に1度見直される固定資産税評価額を基準としています。土地の上に何も建物が建っていない「更地」の状態だと、この固定資産税評価額に税率1.4%を掛けた金額が固定資産税となります。一方、土地の上の建物が「小規模住宅用地(1戸当たり200㎡までの部分)」である場合、固定資産税は6分の1に、「一般用住宅地(1戸当たり200㎡を超える部分)」である場合には、固定資産税は3分の1となります。
このように、土地は所有しているだけで固定資産税が掛かってしまいます。さらに、空き地(更地)のままでは固定資産税がさらに高くなってしまうのです。
土地を活用して収益メリットを得る
土地を空き地(更地)のまま所有していると損をしてしまうのはお伝えした通りです。せっかくの資産を眠らせておくのももったいないので、収益を生み出す方法を考えてみましょう。
例えば、賃貸マンションや賃貸アパートを建てて家賃収入を得る方法があります。管理会社をうまく活用すればオーナーは何もすることなく、自動的に家賃収入が入ってくる仕組みを作ることができるのです。ただし、賃貸マンションや賃貸アパートを建てるのには高い建設費が求められ、多くの場合、アパートローンを組まなければ賄えません。金利が上乗せされた毎月の返済額と、得られる家賃収入額を見比べて、やりくりできるかをよく検討する必要があるでしょう。また、入居者がうまく入らず空室が続くようであれば最悪、破産してしまうリスクもあります。
金銭面のリスクを避けたい場合には、貸駐車場などの初期投資が少ない土地活用法も考えられます。貸駐車場は、収益が低いものの管理が容易で、リスクが小さいのが特徴です。土地を活用しないのと比べたらずっと良いでしょう。他にも土地活用法にはさまざまな方法があります。ご自身の懐具合と相談しつつ、それぞれの土地に適した方法を選ぶことが大切です。
土地を活用して税制メリットを得る
土地を有効活用することで、さまざまな税制メリットを得ることができます。税制メリットを得る手段としては、先にご紹介した固定資産税だけでなく、不動産所得の損益通算や不動産による相続税対策が挙げられます。以下では、これらの手段についてご紹介します。
不動産所得の損益通算
土地活用で得た家賃収入は不動産所得として計上されます。そこで利益が生まれた場合、その翌年の2月16日~3月15日の間に確定申告を行わなければなりません。不動産所得はその所得を得るのに要した経費を計上できるため、収入から経費を差し引いた所得がマイナスになることがあります。マイナスになれば税金を納める必要がなくなるだけでなく、そのマイナス分を給与所得などの他の所得から差し引くことができます。これを損益通算と呼びます。
もちろん、家賃収入で充分な収益が出ていればマイナスにはなりません。基本的にはプラス収益で税金を納めた方が良いでしょう。アパートやマンションで収入を得る場合には、減価償却費を計上したり、青色申告特別控除を受けられたりします。減価償却は建物が経年劣化するにあたって、その目減り分を経費として毎年計上するというものです。
一方、青色申告特別控除は専門的な帳簿をつけて確定申告することで最大65万円の控除を受けられるというものです。減価償却費や青色特別申告控除の最大の特徴は、実際に手元から支払われた経費ではないということです。つまり、実際の現金の動きではプラスとなっているのに、帳簿上はマイナスになっていることもあるのです。減価償却費や青色申告特別控除をうまく活用すれば、不動産所得の損益通算の効果も高まります。
不動産による相続税対策
土地活用することで相続税対策とすることができます。不動産は、相続時の評価に相続税路線価などを用います。路線価とは、道路ごとにつけられた価格のことで、価格土地に接している道路の価格に面積を掛け合わせることで土地の評価額を算出します。相続税や贈与税を算定する際に基準とする相続税路線価は、物件にもよりますが一般的に不動産の実勢価格の80%程度を目安として設定されます。つまり、1億円かけて建てたマンションの評価額が8,000万円として評価されるならば、その分だけ相続税を安く抑えることができるのです。
これ以外にも、相続に関しては土地に関して優遇される特例が多く、うまく活用することでさらなる相続税の節税が見込まれます。事前に専門家に相談することをおすすめします。
土地活用は誰に相談すればいい?
土地活用を始めようと思った時は、誰に相談するのが良いのでしょうか。土地活用の内容について、「まだ決まっていない場合」、「ある程度方向性は決めている場合」、「明確な場合」の3つに分けてご紹介します。
まだ決まっていない場合
まだ土地活用の内容について決まっていない場合、どの土地活用法が「資産運用面」で一番効果的なのかについて、FP(ファイナンシャルプランナー)や金融機関、税理士などの専門家に相談しましょう。
土地活用の種類ごとに土地活用のための費用や、必要な経費や課される税金などを差し引いた上で見込まれる利益、初期投資を何年で回収できるかなどを、専門家の知見から計算してもらえた上で判断ができます。
ある程度方向性は決めている場合
土地活用について、方向性がある程度決まっている場合は、建設業者や建設コンサルタント、不動産業者に相談してみましょう。例えば、賃貸収入を得るのであれば賃貸マンションが良いのか、賃貸アパートが良いのか、賃貸マンションであれば何階建てが良いのかなど、今後の細かい方針についてのアドバイスを得られるでしょう。
明確な場合
どの方法で土地活用するのかが決まっている場合は建設業者や各専門業者に相談しましょう。実際にその土地活用を実行した場合、どれくらいの費用がかかるのかについて見積もりを取った上で、比較検討をすると良いでしょう。
一括プラン請求で比較検討
どのように活用するのかについて、明確に方向性が決まっている場合でも、まだ内容が決まっていない場合でも、土地活用を行った際にどれくらい費用がかかるのかの見積もりを出しておいて、その金額感を知っておくことが大切です。
業者に見積もりを依頼する際には、希望条件を入力するだけで複数の業者に同時に請求できる一括プラン請求をおすすめします。土地活用について考えるにあたっては、複数社に見積もりの相談を持ち掛けて、その内容を比較検討することが必須です。しかし、1社1社に見積もりを依頼するのは手間と時間がかかります。そんな時、一括プラン請求を活用すれば、簡単に見積もりの手続きを進められるのです。
土地活用の流れ
実際に土地活用を進める際は、以下のような流れで進めていきましょう。
1.相談
まずは不動産会社や建設業者などに訪問して土地活用の相談をしましょう。この段階では、どの土地活用を選択するかをはっきりと決めていなくても問題はありません。しかし、相談をスムーズに進めるため、目的や要望をある程度絞り込んでおいて、不動産会社や建設業者の担当者にその希望を伝えられるようにしておきましょう。
また、1社だけに相談を絞ると、相場より高いお金を払ってしまうなど失敗する可能性があります。少なくとも、2~3社以上に相談するようにしましょう。先ほどお伝えした通り、相談依頼する際は、一括プラン請求を活用すると便利です。
2.市場調査
土地活用の方向性が決まったら目的に合った土地活用が行えるのかどうかを確認するため、不動産会社や建設業者、建設コンサルタントなどに依頼して、土地の立地や周辺情報などをもとに市場調査を行いましょう。なお、調査の結果、土地活用は困難と判断されることもあります。
3.プラン設計・提案
市場調査の内容をもとに、どのような活用方法が適しているかについて、土地活用のプラン設計に基づいた提案を受けることができます。この段階まで進むと、ある程度はっきりした費用が見えてくるはずです。資金計画に落とし込んで、うまく進められるかどうかを再検討しましょう。
土地活用に必要なお金って?
土地活用にはさまざまな費用が掛かります。賃貸マンションを建てる時の費用を例にすると、以下の項目が挙げられます。
・建築本体工事(本体工事費) |
・付属設備工事(電気設備、給排水設備) |
・附帯工事(外構工事など) |
・各種手数料(建築確認申請費用や登記費用など) |
・税金(不動産取得税や登録免許税、印紙税など) |
これらを合計した金額に対し、いくらのローンを借りて毎月の返済はいくらなのか、または、毎月の収益はいくらなのかを収支シミュレーションで計算します。
4.契約
工事の内容と資金面に納得ができる施工業者と契約しましょう。
5.建築・施工
いよいよ建物の建築・施行が始まります。完成後、すぐに家賃収入を得るためにも、工事途中から入居者を募集しておくと良いでしょう。
6.完成引渡し(管理開始)
無事、建物が完成したら引き渡しを受け、建物の管理がスタートします。管理にあたっては、その一切を管理会社に任せることもできます。設計・施工を依頼した会社が管理業も行っているのであれば、彼らに管理を任せるのも良いでしょう。
まとめ
土地活用の基本的な内容から、相談すべき専門家、土地活用の進め方についてお伝えしました。土地活用を相談した会社によってその活用法は大きく変わります。土地活用にはさまざまな方法があり、明確な正解はありません。自分のなかで活用法を明確に決めているのであればスムーズに物事は進みますが、そうでない場合はさまざまな可能性を模索する必要があります。いくつかの専門業者を回って相談を持ち掛けると良いでしょう。
その際、一括プラン請求を活用すると、自動的に土地にあった業者を紹介してくれるため非常に便利です。土地活用では、まずは一括プラン請求を利用しましょう。
監修逆瀬川 勇造
【資格】AFP(2級FP技能士)/宅地建物取引士/相続管理士
明治学院大学 経済学部 国際経営学科にてマーケティングを専攻。
大学在学中に2級FP技能士資格を取得。
大学卒業後は地元の地方銀行に入行し、窓口業務・渉外業務の経験を経て、2011年9月より父親の経営する住宅会社に入社し、住宅新築や土地仕入れ、造成、不動産売買に携わる。
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